同姓同名のあの人は

白銀優実華

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一年生・春

春8

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私は夢中で絵を描いていたが、ふと気付くとバレー部やバスケ部は片付けをしていた。

見学人も葵も居なくなっていたので、私もスケッチブックとペンをスクールバックの中に戻して、ギャラリーから降り1階の廊下に出た。

そしたら、体育館に続く扉がガラッと開き声をかけられた。

「待って松下さん!片付け直ぐ終わらせるから、一緒に帰らない?」

扉の方を見ると千田くんが立っていた。

私は急な事で驚いて目を見開いた。

「あ、急にごめんね、でも話がしたくて待っててくれない?」

「…分かった、下駄箱の所で待ってるね」

私がそう言うと、千田くんはホッとした顔になった。

体育館の中から千田くんを呼ぶ声が聞こえてきた。

「あ、呼ばれてるね。じゃあ私先に行ってるから」

私は校舎の方に向かって歩いて行った。

下駄箱の所に着き、靴を履き替えた。

そして10分くらいだろうか、私の元に走ってくる足音が聞こえる。

それは千田くんの足音だと分かった。

「遅くなってごめん…待たせちゃったね」

ちょっと息切れして、肩を上下に動かしている千田くん。

「ううん、大丈夫だよ」

私がそう言うと、千田くんはニコッと笑った。

「それじゃあ、行こっか」

千田くんはそう言うと靴を履き替えて歩き始めた。

私もそれを見て歩き始めた。
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