同姓同名のあの人は

一年生・春

春７

体育館は校舎の裏手の、校舎を背にして左側にある。

私と葵は体育館の中に入り、ちょっとした廊下があり入って直ぐに２階のギャラリーに行く為の階段を登る。

見学人が疎らにいる中で、私と葵はバレーが見れて尚且つ、見学人があまりいない左端の方に行った。

左が男子バレー部で、右が男子バスケ部が練習をしていた。

大体の見学人はバスケ部の方だった。

「で、なんで急にバレー部の見学を？」

葵がバレー部の練習をしているのを見ながら言った。

「えっとー、数学の時間に千田くんが私に部活の練習見に来てほしいって言われて…」

私もバレー部の練習、特に無意識に千田くんを見ながら言った。

「ふーん、なーるほどねー」

葵は含みのある言い方をした。

「何、その言い方ー」

「千田くんもやるなーと思って」

私はその言葉に首を傾げた。

「…ああ！バレー？上手いよね」

「上手いけど、…はあ、なんでもない。…千田くん大変ね」

葵は何故かため息を吐いた、最後の方は何を言ったのか分からなかった。

「…？あ、そうだ！」

私はスクールバックからスケッチブックとペンを出した。

そして私は千田くんを描いたりしていた。

「美結、あたしもう帰るね？買いたい本あるし」

葵の話を話半分で聞いていた。

「…うん」

私はその後、葵が帰ったのを絵を描くのに夢中になっていて知らなかった。

その後、絵を描いている時、千田くんと何度か目が合った様な気がした。