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LOVE 5
しおりを挟む「朝也さん……。大丈夫だよ。知り合いだから」
手を掴まれたとこが熱くなる
「紫貴ちょっと待ってて。」そう伝えて少し離れたとこに朝也さんを連れて行く。
立ち止まると「待ってた。話がしたくて」と言われる。
「話すことなんか…ないです。」
悲しそうな顔して朝也が「俺にはあるよ。連絡取れなくて焦ったよ。」
「それはごめんなさい。待たせてるのでもう行かなきゃで」
(話す勇気がでないよ、そんな顔しないで)
「じゃあ俺明日休みだから仕事終わるの待ってる。話しだけは聞いて。お願い。」
朝也さんのこんな顔見た事ない。
「…わかりました。明日19時に終わるので」
「じゃあ入り口のとこで待ってる」
はい。と返事をして紫貴のところへ戻る。
明日話せばこのモヤモヤした気持ちは晴れるだろうか。
「なんかあったの?なんか相手焦ってたけど。」
そう問いかける彼は碧の2つ下の弟だ。
絶賛売り出し中の若手俳優で顔のつくりは碧に少し似ている。
ただ碧よりも少し吊り目で短髪の黒髪なのでだいぶ男らしい印象になる。
「…うん。それよりも早く家に帰ろ。」
「だな。今日は久々に家族全員揃うし。」
その言葉に少し気持ちが軽くなる。
今日は久々にみんな早くお家に帰る事ができみんなでご飯を食べる予定なのだ。
家に帰ると母がご飯を準備していて、テーブルにたくさんのご馳走が置いてあった。
「わぁ~母さん、はりきってる~」紫貴がそう言うと「当たり前でしょ?」と母が言う。
「あら。あおちゃんも一緒だったのね。」
「うん。紫貴の撮影場が近かったから迎えに来てくれたんだ。」
そうして紅や父も帰ってきてみんなで食卓を囲む。
みんなの近況や他愛もない話をして自然と笑顔になってくる。
先程までの憂鬱な気持ちが晴れていく。
食事も終わり母と父はテーブルで晩酌をしていて姉弟3人はアイスを食べながらリビングのソファーに座っていた。
「あら、本当仲良いいわね。」と後ろから母と父が話すのが聞こえる。
「ねぇ?あおちゃんなんかあった?」
紅に聞かれる。
(やっぱ姉にはわかるのか。)
「この前の人のこと。俺勘違いしてたかも」
「なになにー?あお彼女いるの?」
紫貴は興味津々だ。
「恋人ではないけど…。まあいろいろ」
「ちゃんと話はしたの?」
「ううん、してない。怖くて連絡するのやめちゃった。」
落ち込む碧に2人は優しく微笑んで「あおちゃんはさ、こんなに素敵なのに自分の気持ち素直に言えないとこがあるじゃん?確かに怖いのはわかるけどそんなんじゃいつになっても何も変わらないよ。」
「そうだよ。あおは自信持って。変なやつなら俺が怒ってやる」
「はは、なにそれ。怒るって。」優しい2人に笑顔が溢れる。
「ありがとう。明日ちゃんと話す。2人とも自慢の姉弟だよ。」
「うまくいってもいかなくてもいつだって応援してるよ、あおちゃんだって自慢の弟だもん」
紅は碧の事をぎゅっと抱擁する。
正直いい歳して恥ずかしいけど2人の気持ちが嬉しかった。
「あー俺も混ぜて」と紫貴も抱きついてくる。
「あーアイスたれるよ~もう。ふふふ」
そうやってその後は3人で話しながらたくさん笑った。
(そうだ。俺だってちゃんと伝えてない。それなのに逃げて俺は傷つかないようにしてたんだ。)
あんなに胸が高鳴ったりもっと触れたいと思ったのは初めての経験だった。
まだ知り合ってそんなに経ってないけど、朝也の仕事に向かう姿勢や素直で優しく丁寧なところ。意外にも少し子どもっぽいところ。どんどんいろんな朝也さんを知ってもっと近づきたいと思ってたんだ。
碧の心はもう決まっていた。
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