他の何よりアイが欲しい。R15

勇崎シュー

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九話 今はその日常を

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 耳障りな音が俺の耳をつんざく。
 いつもの目覚ましの音だ。
「ふぁ......」
 昨夜はお楽しみだった俺は、倦怠感を感じつつもひとつあくびをし、目覚ましを止めた。
 そこで俺は、庭理がいないことに気づく。まぁ、いつも俺より早起きして弁当と朝飯を作ってくれてるからなんだけど。
 俺は素早く着替え、隣の台所へ向かう。
 扉を開けると、やはり庭理が料理をしていた。
「おー、庭理おは......っ!!?」
 庭理に挨拶しようとした俺は、一瞬身が固まった。
 庭理は肌に直接エプロンを着けていたのだ。
「あ、おはよう海斗」
「おはようじゃねぇよ!おまっ、なんちゅう格好しとんだ!」
 これでふりふりのピンクのエプロンだったら、朝から襲っていたかも知れないが、幸か不幸か、藍色の地味なエプロンだったのでなんとか正気を保てた。
「あ、海斗ー、それ運んどいてー」
 俺は焼いてあった鮭をなるべく庭理を直視しないように、机に運んだ。
 後から残りの朝食を運んできた庭理は、なに食わぬ顔で食卓に置き、その場で正座する。
「じゃ、食べよっか」
「え?着替えないの?」
「だって着替えてる間に冷めちゃうじゃん」
 その姿勢は飯食う前にめっちゃ料理の写真撮って冷ましちゃう同級生に見直させたいが、流石に裸エプロンは刺激が強すぎる。
 でも、ま、しょうがないか。しょうがないよな。うん。別にこのまま庭理の裸エプロン見たい訳じゃないけど、飯が冷めちゃうからしょうがないもんな!
 と、言うわけで、このまま食事することにした。
「「いただきます」」
 今日も庭理の飯は最高だ。
「あっ」
「どうしたの海斗?」
「今週の木曜、中間テストじゃん。全く勉強してないのだが」
「あっ」

 と、言うわけで木曜日、テスト当日。
「ま、庭理が分かりやすく教えてくれるから全然問題ないんだけどねー!」
 校門前でわざとらしくそう言う。
「海斗、なんか不審者みたいだよ」
「えっ」
 話を戻すと、俺はいつもテスト前に庭理にテスト勉強を見てもらう。そうするとテストのヤマとかめっちゃ当たるし、重要なポイントも分かりやすく教えてくれるからからいい点がとれるのだ。
 正直修学旅行から帰って来たばっかりでテストはテンション下がるが、庭理がいるから問題ない!そう、庭理がいればね!

 と、言うわけで月曜日、テスト返却日。
「美園ー、テストどうだった」
 修学旅行以来、喋ることが多くなった百合木が、俺に点数の開示を求めてきた。
 俺は黙って三枚のテストを見せる。
「えっ、全部70点前後!?おい美園!お前は俺と同類だと思ってたのに!」
「俺もびっくりだよ。あんなにフラグってやつをたてたのに、なんで逆にいつもより点数が良いんだよ」
 百合木は一瞬何言ってんだこいつ、と言いたげな表情をしたが、すぐ話題を戻してきた。
「一体どんなマジック使ったんだよ美園」
「あぁ、多分庭理のおかげだろうな。いつもテスト前は勉強教えてもらってるから」
 なに、と驚いた百合木は、そのまま庭理の席へ向かう。まぁ、俺の隣なんだけど。
「どれどれ、ちょっとテストを拝見...ファッ!?全部90点以上......!?」
 百合木はわなわなと震えだし、庭理に迫りあることを頼み込んだ。
「なぁ!期末は俺にも勉強教えてくれ!いや、教えて下さいお願いします!俺いつも赤点ぎりぎりなんだ!」
 拝みながら庭理にそう頼む。
「あ、ボクで良ければ......」
 百合木は勝ったとばかりにガッツポーズをした。
「いいのかよ庭理、そんな約束して」
 俺がひっそりと庭理に耳打ちする。
「多分そのうち忘れるだろうから大丈夫でしょ」
 俺は庭理の言葉に納得した。
 ってか教える気なんか無かったのかよ。
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