他の何よりアイが欲しい。R15

勇崎シュー

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十九話 手紙の内に秘めるもの

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「ふぅ」
 庭理が一つ息を吐いた。
 どうやら、手紙を読む決心をしたらしい。
 俺は見守ることしか出来ないが、だからこそ、庭理に何があっても、助けよう。
 庭理は、じっくりしっかり、目を走らせ手紙を読む。
 その内容はわからないが、庭理が読み進める度に険しい表情になってくるのを見ると、あまり良い内容ではないのかもしれない。
 暫くして、もう読み終えたのか、庭理が手紙を降ろす。
 すると、庭理の目からぽろぽろと涙が溢れる。
「庭理っ、だいじょっ......」
 大丈夫か、と言おうとして、気づく。
 庭理は、涙を流す程の何かがあったのだ。大丈夫な筈ない。
 ならば、俺がすることはただ一つ。
 俺は庭理をぎゅっと包み込む。
 すると、庭理がわんわん泣きじゃくる。
 庭理がこんな大声で泣くのを見るのは、初めてだ。
 俺は、庭理の頭を撫でてやった。
 何度も、何度も撫でた。

 どれくらいの時が経っただろう。
 庭理は目を真っ赤に腫らしながらも、泣き止んでいた。
 今は、俺のあぐらの上に、庭理がちょこんと座っているかたちだ。
「海斗、覚えてる?ボク達が初めて会った日のこと」
「プールの時のことか?」
 初めて会った時と言えば、俺にはそれしか浮かばなかった。その日は正しく言うと初めてちゃんと話せた日、といった感じだが。
「やっぱり覚えてないか」
 顔は見えないが、庭理がうっすらと笑いを浮かべた気がした。
「中学に入学して二ヶ月くらいたった時さ、ボク虐められてたんだよね。クラスの何人かの男子に」
 俺は顔をしかめる。
「でね、ある日さ、ボクが下駄箱の所でオカマってバカにされてた時にさ、海斗が、いつまでもガキみたいなことしてんなよっていじめっこ達に言ってくれてさ」
 中学一年の時、か。
 あの時、俺はなんと言うか、気が病んでいて、誰にでもすぐ噛みつく感じだったから、その時の俺は、誰でもいいから沈鬱した気持ちを晴らす道具にしたかったのだろう。
 そんなことを考えていると、庭理がその身を俺に預けた。
「中二の時、同じクラスになった時は、運命を感じたよ」
 出会いが出会いなので、俺はちょっと申し訳ない感じがした。
「それでさ、海斗と友達にもなれたし、本当、楽しかったなぁ」
 庭理が染々とそう言う。
 しかし、それは俺も同じだ。
 庭理のおかげで、俺は自分を取り戻すことができた。
 あの、気が病んでいた自分を棄てることが出来たのだ。
「俺は今も楽しいよ」
「いやっ、ボクも楽しいけどさ、でも、今は楽しいというより、幸せだなぁって思うんだ」
「そっか、そうだな」
 俺はその言葉を肯定し、再び庭理を抱きしめた。
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