21 / 25
二十一話 恋の味
しおりを挟む
バレンタインデー。
女性が男性にチョコを贈る日として有名だが、その実態は、チョコを貰えた数によりその人の価値が決まるという残酷な日なのだ。
「ってことで美園。チョコ何個貰った?」
朝のホームルーム前、百合木がそう聞いてくる。
「まだゼロ。でもま、これから一個は確実に貰えるよ」
「えっ?誰から?」
「秘密だよ」
「おまっ、まさか彼女か?彼女ができたのか!?」
俺はさあなと会話をながした。
「てか、そういう百合木はどうなんだよ」
百合木は待ってましたと言わんばかりにふふんと鼻を鳴らした。
「九つ」
「......」
やはりクラスの人気者は違うな。
そんなこんなで放課後。
庭理に先に帰るよう促されたので、一人下駄箱で靴を取り出す。
「ん?」
すると、そこに包みが置いてあることに気がついた。
そうか庭理め。自分の目の前で俺がチョコを手にするとこ見るのが恥ずかしかったんだな。
俺はチョコをリュックに入れ、上機嫌で帰宅した。
「よっと」
おんぼろアパートに帰り、おもむろにリュックを降ろす。
チョコ、どうしよう。
先に食べといて、庭理が帰ってきたら感想を言うか、帰ってくるのを待ってから食うか。
本音を言えば、今すぐ食べたい。
けど、なんか一人で食うのもあっさりしてるというか、ともかく、勿体無い気がしてならないのだ。
「あれ?そういや今日、バイトじゃん」
ヤバい。チョコもらって調子のってた。
バレンタインデー、恐るべし。
俺は急いでバイト先へ向かった。
気づくのが早かったため、遅刻することはないだろう。
「ただいまー」
夜の七時過ぎ、俺は帰宅した。
「お帰り海斗。ご飯もうすぐできるよ」
「あーい」
バイト帰り程気だるい時間はないが、庭理の声を聞くとある程度疲れが回復する......気がする。
「そういや、庭理はチョコとか貰ったりしたのか?」
庭理は学校では男なのだから、貰っていてもおかしくない筈だ。
「ははっ、今年もゼロだよ」
「そうか」
「それより、ご飯出来たよ。運ぶの手伝って」
俺は庭理に言われた通り、二人分のアジフライと白飯を運ぶ。
庭理が味噌汁を運び、いつものところで座る。
「「いただきます」」
「ふー、食った食った」
俺が腹をぱんぱんと叩きながらそう言う。
「あっ、そうだ海斗」
庭理が近くに置いてある自分のリュックから、一つの包みを取り出した。
「はい、バレンタインのチョコ」
庭理がそういい、チョコの入った可愛らしい包みを渡してくる。
うん。なんかおかしいね。
「庭理、俺もう貰ったっつーか......あれ?」
俺は自身のリュックから、下駄箱に入っていたチョコを取り出す。
「これ、庭理のじゃないの?」
庭理に聞くが、きょとんとしている辺り、知らないようだ。
「えっ、じゃあこれ誰のだ?」
俺がチョコをまじまじと見る。
「開けてみれば分かるんじゃない」
そう言われ、そうだなと庭理を向くと......。
「............」
庭理は腕組みをしながら頬を膨らませていた。
「......すみません」
「ん?なんで謝ってんの?」
「いや、なんか、あの、すみません」
俺はなんとなく謝った。
「ま、いいや、とりあえずこれ、はい」
俺は庭理のチョコを受けとる。
一旦庭理のチョコを机に置き、謎のチョコを開けた。
メッセージカードとかもなく、本当に誰が送ったかわからないチョコだ。
「どうしよう。なんか怖い。てかこれ送ったの本当誰?」
「日比野さんとかじゃない?」
庭理が皮肉混じりでそう言う。
まぁ、俺もそう考えてたけど。
てか、他に知ってる女子で送りそうなのは......。
「あ、あのばばあじゃね?」
「え?誰?」
「あのー、保険室の」
「あ、根津先生ね」
「そうそう」
あの先生ならしかねない。
「あ、でもそれなら庭理にも渡すような気がする」
「うーん」
俺と庭理で考えるが、答えは出ない。
「ま、いっか、食おう」
チョコの箱を開けると、6つのチョコが部屋ごとに仕切られた、高級そうなのが出てきた。
「......庭理も食う?」
「いらない」
俺はアーモンドのチョコから食べる。
「っ!?」
旨っ!?
何これ?甘味だけじゃなく苦味もあってアーモンドの旨味とかもひきだされているまさしく高級な味!
俺は残りのもばくばくとほおばる。
「旨かったー」
「じー」
庭理がなにやら俺を見つめるので、次は庭理のチョコを開けた。
すると、そこには大きなハートのチョコが出てきた。
「おおっ」
俺は庭理を見る。
「ありがとうございます」
そして深々と頭を下げた。
「召し上がれ」
俺は庭理のチョコをひとかじりする。
素朴な味で、さっきのよりは安っぽい。
でも、こっちの方が旨かった。
俺は、このチョコを食べながらにこやかに微笑んでいた。
それを見ていた庭理も、微笑んだ。
女性が男性にチョコを贈る日として有名だが、その実態は、チョコを貰えた数によりその人の価値が決まるという残酷な日なのだ。
「ってことで美園。チョコ何個貰った?」
朝のホームルーム前、百合木がそう聞いてくる。
「まだゼロ。でもま、これから一個は確実に貰えるよ」
「えっ?誰から?」
「秘密だよ」
「おまっ、まさか彼女か?彼女ができたのか!?」
俺はさあなと会話をながした。
「てか、そういう百合木はどうなんだよ」
百合木は待ってましたと言わんばかりにふふんと鼻を鳴らした。
「九つ」
「......」
やはりクラスの人気者は違うな。
そんなこんなで放課後。
庭理に先に帰るよう促されたので、一人下駄箱で靴を取り出す。
「ん?」
すると、そこに包みが置いてあることに気がついた。
そうか庭理め。自分の目の前で俺がチョコを手にするとこ見るのが恥ずかしかったんだな。
俺はチョコをリュックに入れ、上機嫌で帰宅した。
「よっと」
おんぼろアパートに帰り、おもむろにリュックを降ろす。
チョコ、どうしよう。
先に食べといて、庭理が帰ってきたら感想を言うか、帰ってくるのを待ってから食うか。
本音を言えば、今すぐ食べたい。
けど、なんか一人で食うのもあっさりしてるというか、ともかく、勿体無い気がしてならないのだ。
「あれ?そういや今日、バイトじゃん」
ヤバい。チョコもらって調子のってた。
バレンタインデー、恐るべし。
俺は急いでバイト先へ向かった。
気づくのが早かったため、遅刻することはないだろう。
「ただいまー」
夜の七時過ぎ、俺は帰宅した。
「お帰り海斗。ご飯もうすぐできるよ」
「あーい」
バイト帰り程気だるい時間はないが、庭理の声を聞くとある程度疲れが回復する......気がする。
「そういや、庭理はチョコとか貰ったりしたのか?」
庭理は学校では男なのだから、貰っていてもおかしくない筈だ。
「ははっ、今年もゼロだよ」
「そうか」
「それより、ご飯出来たよ。運ぶの手伝って」
俺は庭理に言われた通り、二人分のアジフライと白飯を運ぶ。
庭理が味噌汁を運び、いつものところで座る。
「「いただきます」」
「ふー、食った食った」
俺が腹をぱんぱんと叩きながらそう言う。
「あっ、そうだ海斗」
庭理が近くに置いてある自分のリュックから、一つの包みを取り出した。
「はい、バレンタインのチョコ」
庭理がそういい、チョコの入った可愛らしい包みを渡してくる。
うん。なんかおかしいね。
「庭理、俺もう貰ったっつーか......あれ?」
俺は自身のリュックから、下駄箱に入っていたチョコを取り出す。
「これ、庭理のじゃないの?」
庭理に聞くが、きょとんとしている辺り、知らないようだ。
「えっ、じゃあこれ誰のだ?」
俺がチョコをまじまじと見る。
「開けてみれば分かるんじゃない」
そう言われ、そうだなと庭理を向くと......。
「............」
庭理は腕組みをしながら頬を膨らませていた。
「......すみません」
「ん?なんで謝ってんの?」
「いや、なんか、あの、すみません」
俺はなんとなく謝った。
「ま、いいや、とりあえずこれ、はい」
俺は庭理のチョコを受けとる。
一旦庭理のチョコを机に置き、謎のチョコを開けた。
メッセージカードとかもなく、本当に誰が送ったかわからないチョコだ。
「どうしよう。なんか怖い。てかこれ送ったの本当誰?」
「日比野さんとかじゃない?」
庭理が皮肉混じりでそう言う。
まぁ、俺もそう考えてたけど。
てか、他に知ってる女子で送りそうなのは......。
「あ、あのばばあじゃね?」
「え?誰?」
「あのー、保険室の」
「あ、根津先生ね」
「そうそう」
あの先生ならしかねない。
「あ、でもそれなら庭理にも渡すような気がする」
「うーん」
俺と庭理で考えるが、答えは出ない。
「ま、いっか、食おう」
チョコの箱を開けると、6つのチョコが部屋ごとに仕切られた、高級そうなのが出てきた。
「......庭理も食う?」
「いらない」
俺はアーモンドのチョコから食べる。
「っ!?」
旨っ!?
何これ?甘味だけじゃなく苦味もあってアーモンドの旨味とかもひきだされているまさしく高級な味!
俺は残りのもばくばくとほおばる。
「旨かったー」
「じー」
庭理がなにやら俺を見つめるので、次は庭理のチョコを開けた。
すると、そこには大きなハートのチョコが出てきた。
「おおっ」
俺は庭理を見る。
「ありがとうございます」
そして深々と頭を下げた。
「召し上がれ」
俺は庭理のチョコをひとかじりする。
素朴な味で、さっきのよりは安っぽい。
でも、こっちの方が旨かった。
俺は、このチョコを食べながらにこやかに微笑んでいた。
それを見ていた庭理も、微笑んだ。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる