こじらせ魔術師は奴隷を買いたい

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② 奴隷を買いに行ったらなんか違った…な話

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「えーお客様…大変申し訳ないのですが…」

ドルージェおじさんに紹介された奴隷商人の言葉に、胸いっぱいの期待がしぼんでいく。
現在私は、王都に本店を構える大手の奴隷商館に来ている。
もちろん私が買い手であり、身元も王都で確固とした立場を築いているドルージェ商会のおかかえ魔術師であることをしっかりさせているし、身バレしないように隠匿のローブ【よそ行きバージョン】で身を包んで、私が『渡来人』であることは隠している。
そして、ここは本館の中の応接室で、一人一人前もって指定していた奴隷たちを紹介させてもらっていた…んだけど。
事態は思い通りに進まなかった。

「…どういう事ですか? お金は彼らを購入するには無理ない程度にあると思うんですけども…何がいけないんですか?」

大きな麦藁色の耳をピクピクさせ、狐獣人の青年―――ゼスさんは申し訳無さそうに私から目を反らす。
若いながらもこの商会の会長となったやり手の商人であると、ドルージェさんに教えてもらっていたけれども…その営業スマイルもどこか陰りが見られる。

「お客様がお求めの、この白兎族の少年ですが…
この者は、とある貴族の方に購入される事が決定致しておりますので」

一応対面だけはさせてもらった、白いフワフワした垂れ耳が可愛い15歳位の男の子である。
それなりの家柄出身であるため、それとなく品の良さを感じる彼のランクは上の下。お値段は大金貨78枚と中々にお高い。
どこかおどおどした気が弱そうな表情や頼りないボーイソプラノが、私のなけなしの母性本能を刺激して、守ってあげたくなる魅力があった。
『私がなんとかしてあげたい』…そういうのって、一緒に暮らす上でも大事なんじゃないかと思う。
だがしかし、どこぞのお貴族様の侍従として買われていくとのこと。
安定性抜群の貴族の侍従か―――その貴族の性癖まではわからないが―――割とまともな購入先に、これは彼の幸運に横槍を出すわけにはいかないなと、残念ながらも納得して諦めた。

「じゃ、じゃあ、この尻尾のフサフサした白貂のお兄さん…」

さっきとはちょっと趣向が変わって、小動物系のつぶらな瞳もパチパチの、賢そうな表情のおっとり好青年である。
整った容姿にツヤツヤした毛皮の尻尾や小さな耳がチャームポイント。
奴隷になる前にちゃんとした教育も受けていたため、頭脳労働もお手の物。ランクは上の中。お値段は大金貨85枚。
私が何か失敗しても、「しかたありませんね」と苦笑いながら窘めてくれそうな、憧れのお兄さん像がビビッときた。
こんなお兄さんに、夜食とか出してもらえたら、すっごく仕事が捗りそうだと……第2希望で申し込んだのだが……

「すみません、この者も、とある富豪の方に購入いただく予定がございます」

このお兄さん、経理関係のスペックが高く、富豪の財産管理の部門で雇われる予定であるとか。
なんだそれ。なんでそんな人が奴隷商館なんかで引き抜きじみた人身売買されてんだよ!?
しかも、カテゴリは『性奴隷』だとぉっ!?
性奴隷のランクが上の中って……そんな真面目そうな顔してどんなスペック隠し持ってるの!?

「どういうことなのよ?」 と、尋ねると、ゼスさんは何のこともないと、落ち着いた口調で説明する。

「いや、彼本人には問題はなかったのですが…彼の親がロクでなしな商人で、店の借金のカタに彼を売り飛ばしたのです。そして、この富豪の方は元々はその商店に関わりのある方だったので、彼の窮状を救いたいとの思いも…」

あ、はい。そういう理由ね。
それは……もう、仕方ないですよね。
私みたいな欲塗れの個人事業主がどうこうして良い案件じゃないですよね。
わかりました。またのご縁をお待ちしております。

…なんて、わかったつもりで無理やり自分を納得させつつ、申し訳無さそうに去りゆくお兄さんの後ろ姿を見送った。

その後、出されたお茶を一口飲んで気を取り直すと、普通に歩いて入ってきただけで、むせ返るような色気を振りまく超絶美青年に目をやり……ちらりと妖艶に微笑まれて、ボッと顔面に熱が集中するのがわかったが……隠遁のローブで顔まで隠れてて良かった。
この魔法衣のお陰で私の醜態は、きっと二人には気づかれていないだろう。多分。

「え、えーっと、じゃあ、このヤギみたいな立派な角の美人系のお兄さん……ダメ元で」

「お客様…この者は希少な夢魔術の使い手であり、母親から夢魔の血を引いていることからも、卓越した技巧を誇る性奴隷でございます。
もちろん何処の貴族のお屋敷に仕えても恥ずかしくない教育も受けておりますし、没落したとは言え、父方は由緒正しい貴族の血筋でもあります。
どの様な性別の方であっても、一晩お過ごしになるだけで虜になるほどの快楽をお約束させていただける逸品でございます。
ただ…お客様のご予算では……少々…桁が……」

「あ、はい。皆まで仰られるまでもなく、わかりました。
はい、例え買えても私がどうこうできそうな感じじゃないのも、見るだけでわかりました」

流石にこれは高望みしすぎだと言うことは、理解できた。
こんな目線だけで孕まされそうな程エロいお兄さん、処女の私には手に余る。
私は別に、人格失うほどの快楽を求めているわけではない。
ただ単に、私の好みのタイプ―――優しげな細マッチョをリクエストしたら、こちらの世界では華奢なタイプに分類される…所謂性的な奴隷ばかりを勧められてしまっただけなのだ。
あくまで、求めているのは癒やしである。いやらしいものはちょっとだけでいい。
……そりゃ、私も健康な成人女性だから、全く皆無って言っちゃうと嘘になるけども。
まあ、一緒に過ごしている内に…ゴニョゴニョあったとしても、吝かではないというかなんというか…
そこはまぁ、やっぱり異世界逆チーレム展開も前向きに検討していく所存ではあった。
…うん、やっぱそういうのも一つのロマンだと思うの。
現実に出来るかどうかは置いておいて。
すみません、余計なことですね。はい。


でもですね、それにしてもですね。
その後も若干ムキになって男女問わず幾人かこちらが指名して対面させてもらった子たちはいたのだけれども…
…何故かいずれも買い手が決まっているか商談中であると言って断られていくってどういうことなんでしょうかね…。
私、実はこの店に嫌がられているんでしょうかね? 金もコネもあるのに?
あ、補足すると、女性は純然たるメイドさんもしくはお手伝いさんを求めてです。
頼れるお姉さんに面倒見てもらいたいとか、ちょっと考えたりもしましたけれども、性的なものは求めてませんので。はい。
当然、これだけ断られ続けた上に男女構わずそっち方面を期待するほど、私もそこまで性欲もメンタルも強くないので。いや、ホントに。

……だけれども、ホント、『それにしても』ですよ……?
何か思ってたのと違う。違いすぎる。
奴隷ビジネスがこんなに大繁盛しているなんて、ドルージェおじさんにも仲介人のお姉さん(商会職員のエリザベスさん28歳)にも聞いていない。
そんなだったら、商機に敏いおじさんたちが奴隷業に本腰入れて手を出していないハズがないジャマイカ。

大体、私が持っていた大金貨100枚だって、結構な大金なんだぞ?
それとなく聞いた相場でも、それだけあれば―――さっきのお兄さんみたいなレアな最高級品でなければ―――大体の奴隷を選べると聞いていたというのに。他の誰を選んでも先客があると言って断られるとか、おかしくね?
ここって品揃えが自慢の、優良な奴隷商館だって聞いていたのに、尽く売り切れとか…どんだけ繁盛してんだよ?って話。

ていうか私も、次から次へとムキになって指名してる、めっちゃガッついてる欲求不満な客みたいじゃね?
でも、そういう客の欲をいなして適当なモノを買わせるのも、商人の腕だと思うんだけど。
やっぱ私、嫌がられてるの? 異世界人の気配でも出てる? 嫌われてるの?
それとも、売れないと言われるとなんとしても買いたくなる気にさせる、デキる商人のテクニックなのだろうか?

元々インドアで猜疑心の強い私が一旦ネガティブ思考に支配されると、そんな考えがグルグルと頭を巡りだしたりして、止められなかった。

…ただ、この狐耳の商人に嫌がられてるっていう様子は見えず、ホントに売れないって言ってる時なんかマジで困っているようにも見えたんだけども。

そう思いながら…何の感情も垣間見えない営業スマイルの茶色い瞳に映る自分の姿に、思わずジワジワと冷静さを取り戻して素に戻る。
ゼスさんは完璧な微笑みの表情を形作っていたが、その笑っていない…なんとも疲れた様な困った様な目をしていて…
そこに映るあまりに余裕のない自分の姿がとても情けないもののように思え…自分の姿にドン引いた。

何してんだ、自分…。

あくまでも、最初に欲しかったのは独居生活の彩り・心の癒やしであって、決して性的な癒やしを求めているわけではなかったはずなのに…。
おじいちゃんがいなくなったあの家に、一人で住むのが段々辛くなってきて…でも、誰にも自分の素性を打ち明けられなくて、それで絶対に自分を裏切らない存在が欲しかっただけなのに。

小金持ちが金に物言わせて都合のいい性奴隷買いに来たみたいな構図になってんじゃんよ…。
一体どこからこうなった?
自分のアイデアが金になると気づき、積もる金貨の小山にウハウハし出した頃からか?
夜中に一人で妄想に浸って、逆ハーとかできちゃうかもw…とか、現実化は到底無理だとわかっていながら、誰にも邪魔されない一人っきりの空間で妄想し出した頃からか?

過去の記憶を思い出せば出すほど、自分の至らなさが心を貫き……急激に羞恥心が襲ってきて、私のヤル気をへし折った。

………男女構わず性奴隷を物色するとか、乙女としておかしいだろう。何してんだよ。
…ここ数年…童貞こじらせた男みたいな言動ばっかしてたなぁ……

そう気づくと、ここに来るまでノリにノッてたテンションが急激に冷める。
これまでの自分の醜態に一度気がついてしまえば、もうこの店にはいられないと自覚する。

そして、急に黙り込んだ私を、焦ったような困ったような表情で見守るゼスさんを一瞥すると、

「すみません…私なんかが、こんな立派なお店で奴隷を買おうなんて…ご迷惑おかけしました。
もういいです。ご縁がなさそうなので諦めます」

そう言って謝罪してから店を出ようと思った時だった。

「おおお、お客様!」

深く被ったフードの下で、名残惜しげに帰り支度をしながら、「やっぱり人身売買良くない」なんて考え込んでいると、急に後ろから大きな声で呼ばれ、ビクッとなって振り返る。

「え、何? 急に大きな声で…」

完璧な営業スマイルを誇るやり手の奴隷商人が、私が去っていこうとするのを見て、細目の鉄壁の営業スマイルを崩さないまでも、やけに焦っているように見えた。

「先日のご挨拶時に魔力登録をしていただいた際、お客様に是非ご紹介したい方…ではなく、ご紹介したい商品の準備が整いましたので、もう少しこちらでお待ち下さい」

そう言って、緊張しているのか落ち着かない様子で手元の呼び鈴を「チリンチリン」と忙しなく鳴らす。
何処かに控えているスタッフに合図をおくっているのだろうと察せられたが…何をそんなに慌てているのだろうか。

もう、奴隷なんていいのに……とは言えなかったけれども、何となくその振る舞いを見守った。

そして待つこと数十秒すると、私達が待つ商談室に、一人の大柄な青年が現れた。

「悪かったな、ちょっとゴタゴタして遅れちまった」

その青年は、白地に黒い虎柄の毛皮に包まれた丸い耳を、やや長めに整えられた艶のある黒縞混じりの白髪の頭部に生やし、足音を立てない肉食獣のような、靭やかな動きで入室して…私の存在を目にすると、ニヤッと笑う。瞳は綺麗な青灰色だった。
その顔は男らしくも整っており、鍛え上げられた靭やかな体躯も相まって、まるでハリウッドスターの様な美丈夫だったのだが、私は何故かその笑顔にゾクリとしたものを感じて、不意に両手で自分の体を抱きしめた。



「あんたが俺のご主人さまになるって人か。
…そんな魔法衣に包まれてるんじゃ、種族や見かけはよくわかんねぇが……やっぱ隠してても堪んねえ程いい匂いすんな。
俺はリカルド。あんたには、是非呼び捨てで呼んでもらいたい」

男は、少々乱暴な言葉使いと共に遠慮なく私の間近まで歩いて来ると、ニカッと満面の笑みを浮かべ、手の届きそうな距離でクンクンと鼻を鳴らして私の周囲を嗅ぎ回った。

「ちょ…何、この人?」

突然の事に驚いた私は、やたらと距離を詰めてくる男から少しずつ体を引く。
いくらイケメンとは言え、いきなり見知らぬ男にパーソナルスペースを縮められるなんて、やっぱり抵抗感がある。
そして、斜め後ろから心配そうな雰囲気で私達のやり取りを見守る狐商人に、事態の説明を求める様に振り返った。

ゼスさんは、そんな私の助けを求める視線を受け、しょうがないなという風情で男に視線を移すと、私をその背に庇うように間に入った。

「……リカルドさ…ん。突然ズカズカと近寄るなんて無礼ですよ。
もう少し離れてください。
お客様が怯えていらっしゃいますので」

ゼスさんの背に隠れながら、私は小さくウンウンと頷く。
身長160cm程度の私より、30cm以上は高くて横幅も倍近くありそうなマッチョに近寄られると、圧迫感が半端ない。
師匠も背は高かったし、ゼスさんもそれなりに高身長ではあるが、全体的にほっそりと長い印象しかないので、それ程威圧的な感じがしなかったので、普通に接することはできていた。
しかし、正直……いくらイケメンとは言え、こんなにフェロモンムンムンの男らしいタイプの男性に近寄られると、あんまりこういう存在が周囲にいたことがなかったためか、ちょっと怖い感じがしてしまう。
師匠はアメリカンショートヘアーみたいな可愛い猫耳だったから、百歩譲ってネコ科の白と黒のコントラストは共通点があるなと思うけど、やっぱりアメショーとホワイトタイガーじゃ全く違うし。
裏表もない輝くばかりの笑顔なんだと思うけど、そのギラついた表情や強い目力が獰猛な肉食獣めいているため、本能的な警戒からなのか。
小動物が捕食者から目を離さずに警戒態勢に入るように、さっきから彼―――リカルドの存在が妙に気になって、視線を外すことができずにいた。

「なんだよ、それ。仕方ないだろ。 
待ちに待った相手なんだから、ちょっと位興奮して当たり前だろ」

そんな私の様子はローブに隠されているため、リカルドは私の様子を気にした感じでもなく、ふてくされた態度で商人に反論しているが…その大きな態度が、これまで紹介された奴隷たちとは違うと思った。

彼は、本当に奴隷なんだろうか……?
買い手どころか他人の目を全く気にしない様子は、主人の顔色を伺って生きることを余儀なくされる、奴隷の態度ではないと感じるのだが。
それに、一見粗野な態度に見えるけれども、どこかしら丁寧な物腰や振る舞いに、品の様な物も感じる。

私は、自分の存在を消すように息を潜め、その真意を探るように二人のやり取りを黙って見守った。

「それでも…です。
貴方だって、唯一無二の相手に最初っから嫌われたくはないでしょう?
それに…どうも彼女は貴方ほど反応されていらっしゃらない様ですが……本当に、この方なのですか?
なんか、噂に聞く関係性とは異なっている様に見えますが…?」

「チッ……疑われるのもムカつくな。
本当にも何も、こんなにいい匂いプンプンさせてる相手が違うわけないだろう。
しかもそれだけじゃねぇ、さっきから妙に気が急いて、あいつから目が離れねえんだ。 
この絶対的な存在感…間違えようもねぇよ」

ほぅ…と深い溜息をつきながら見つめられ、何故か背中がゾクゾクとする。
リカルドの視線が完璧に私にロックオンされていることには気づいていたのだが…何となく腰が落ち着かない様な居心地の悪さを感じて、その視線を受けないようにササッとゼスさんの背後に隠れた。

「…おい、なんでそんなヤツの後ろに隠れるんだよ。
俺以外の男の影に隠れるなんて…その構図は面白くねえな」

そんな私の態度を見て、リカルドはやけに低い声で私に問いかけた。
言っている内容もよくわからない。
何でそんなに不機嫌そうな態度でこちらを見るのかもわからないけど、あんまりこっちをガン見しないで欲しいと思った。

「当のお相手である彼女は、随分怯えていらっしゃるようですし…。
貴方ほどの感動があるようには見受けられませんが…」

ゼスさんは、呆れた様な、戸惑った様な態度で曖昧に笑いながら肩を竦めた。
その言葉を受けて、リカルドはふんっと鼻を鳴らすと、

「…匂いにはあんまり敏感じゃない種族かもしれないだろ。いいから、離れろ」

そう言ってグイッとゼスさんの体を押しのけると、再び私の顔を覗き込む様に背を屈め、

「あんた……マリアって言ったか。 俺のことをどう思う?」

ゼスさんとの軽いやり取りとは異なった―――真剣な様子で、私に問いかけた。

その眼差しが余りにも強くて真摯だったため、一瞬何て答えたものだろうかと息を呑んだが、そんな目で見つめられる覚えはまるでない。
私は戸惑いながら、強い視線を遮るように手を振って、距離を稼ぐように背を反らして返答する。
黙りっぱなしも、限界のようだと思ったから。

「どう…っと言われましても……貴方、奴隷なの? そんな態度で?」

しかし、その言葉に反応したのは当の本人ではなくゼスさんの方で…

「あの、この方…いえ、この者は…」

言い淀みながら、リカルドの方をチラ見するのだが、彼はゼスさんの発した言葉に返す様に

「ああ、普段はそうでもないし、他の者の支配を受け入れたことなんざ一度もねぇ。
俺のことは…あんたのためだけの奴隷だと思ってくれていいぜ?
だから…俺をあんたのモノにして連れて行け」

と、ニコッと人好きのする笑顔を浮かべて、優しい口調で私の言葉に答えてくれたけれども…最後は押し売りか?
やっぱり何を言っているのかは、ちょっとよくわからない。
きっと、どんな肉感的な美女だって、こんなに男性的魅力に溢れた彼に、そんなに邪気のない素敵な微笑みを向けられたら、ポッと頬を赤らめて、言われていることなど何も考えずに頷いてしまうことだろう。
好みのイケメンではないが、偏った趣味の持ち主である私だってそれ位は理解できた。しかし……

「だが断る」

私は一言のもとに拒絶して、二人の「えっ!?」と、驚愕する表情を小首を傾げて見上げた。

いや、だって、やけに推してくるのが、逆に何か怪しいしぃ~~?
もう奴隷とか、しばらくいいかなって思った所だったし?

それにこの二人、何で私がすんなり受け入れると思ってるんだろうか。

「なんかよくわからないけど、今日はたくさんの人に会って疲れたから、帰ります」

そう言い捨てて、私は出口へ歩いて行ったのだった。

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