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第7話ーシャルル視点ー
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「ふふふ、シャルル様。貴方がいけないんですよ?
子供のくせに、私のような大人をからかって…ホントは私にこうされたかったんでしょう?」
私の腕を片手で纏めて壁に縫い付けたように拘束する男は、ニヤリと下卑た笑いを浮かべながら、顔を間近に近づけて訳のわからないことを言う。
一体何の話だ?
私はこの男のことを、剣の講師として認めてはいたが、それ以上の気持ちなど全くなかったし、何故この男がこのような振る舞いをするのかも皆目見当がつかなかった。
いくら周囲からも信頼厚い護衛騎士であろうと、ノコノコとこんな男に着いてきてしまった自分のうかつさを恨みながら、拘束を外そうと藻掻いたものの、相手は精鋭の騎士。
その力も技も、8歳の自分では到底敵うわけがないことを、思い知らされただけだった。
しかも、ここは王宮の迷路とも言える、薔薇庭園。
我が国が誇るバラ園ではあるが、その構造の複雑さも一種の売りではあったが…それだけに、はぐれた侍従や女官たちが私達を見つけるまでは時間がかかるだろう。
この男が、少年…というか、男児を愛する性癖があるなど聞いたことはなかったし、その様な性癖を持つものだったら、最初から私の護衛騎士の役職に着くことなどなかったはずだ。
しかし、そんなことを言っても今更…後の祭りである。
私は出来る限りの拒絶でもって逃げようと試みたがブライアンは意に介さず、ハァハァと荒い息をつきながら、徐々に顔を近づけ…悍ましくも私の唇をその厚い唇で覆われ、嗚咽を飲み込む。
しかし、男の生暖かい唇が押し付けられ、避けることも叶わなかったが、せめてもの抵抗で、口を真一文字に引き結んで舌の侵入だけは許さなかった。
そうして、私にとっては長い悪夢の時間を何とかやり過ごしたのだが…男の暴挙は止まらず、更に私のシャツの胸元を乱暴に開き、じっとりと汗ばんだ手で私の胸元を弄り始めたので、私は火が着いたように泣いて叫んで暴れた。
全力で抵抗しながらも、心の中で助けを求めたのだが、カチャカチャとブライアンのベルトが外される音が耳に入り、訳のわからない恐慌状態に陥りかかっていた……その時だった。
「お前が受け取れ!!」
少女の高い声と同時に、肉を蹴り上げたような音が聞こえたのだ。
その時はまだ、その声が誰かということには思い至らず、助かったという意識もないまま、ブライアンが短い悲鳴を上げて崩れ落ちていく姿を呆然と見守っていた。
そして、口から泡を噴きながら倒れていくブライアンの後ろに佇む人間を目にして、私は思考が止まり…
心配そうに私を見るミランダ=クロイツェンの翠の瞳を見返しながら、自分が何故こんな所に来ていたのかを忘れる程、只管彼女と見つめ合い続けた。
「大丈夫……ですか? どこか、痛いところは…ありますか?」
何故彼女がこんな所にいたのだろうか?
母上たちとお茶会をしているはずなのに。
そう思ったのは一瞬で、気遣い、窺うように見上げるミランダの眼差しに自分が映っていると気づいた瞬間、私は壊れたように泣き出したのだった。
ミランダは、そんな私を困ったように見下ろしてしゃがみ込むと、気遣わしげにオズオズと両手を伸ばし…その華奢な腕で私を抱きしめながら、ヨシヨシと小さな幼児をあやすように頭を撫でてくる。
既に王太子として…男としての意識が確立し始めていたその頃の私であったら、他人にそのような振る舞いをされるなど、到底プライドが許さなかっただろうが、見知った男に襲われた直後だからと言うだけでなく、ミランダに抱きしめられた時の何とも言い難い高揚と安心感に、ドキドキと胸を高鳴らせながらも…その柔らかい胸に耳を押し付けて、静かな鼓動を聞いて心を落ちつかせていったのだった。
その後、何気なくブライアンのことを話そうとして、先程の恐怖や悔しさを思い出して思わず涙を溢れさせて口ごもってしまったのだが……静かに私の言葉を聞いていたミランダが、突然真顔で私の頬に口づけて、溢れる涙を啜ったので、ビックリした。
母上や父上のみならず、友人や親しい親類などなど、親しい間柄ならば頬にキスなどただの挨拶だと思っていたのに。
しかし、かなり動揺していたのだろう。自分でも頬が熱くなっていることが分かる位に動揺して、咄嗟に拒絶することも、うまく躱すこともできなかったのだから。
そんな私の醜態を、ミランダは「うふふ」と余裕の笑みで受け止めて、
「はちみつ色の瞳から流れる涙だったら、甘いのかと思いまして。……しょっぱかったので残念ですわ」
と、がっかりした風に振る舞ってきた可憐さと妖艶さに、ドクンと鼓動が大きく高鳴った。
その上、ドキドキと激しくなる鼓動を抑えようとしながら真っ赤になって口籠っていると、今度は「りんごのようだ」と言って、再び私の頬に唇を寄せようとして来るではないか。
……この女、私と2歳しか違わないはずなのに……何だ、この余裕は?
自分でも、蒸気が出そうな位頭に血が上っていたのではないかと思うが、まるで社交界を気ままに渡る歴戦の未亡人に翻弄されている気がして、少し悔しくもあった。
しかし、これだけ気持ちを乱されて、動揺させられているせいだろうか…今、この時はブライアンのことを考えないでいることができていて、実は少しホッとしていたのだったが…
急に私を包むミランダの様子が変わったことに気づいた時、徐に私を抱きしめる腕に力を込められ、チュッと鼻にキスを落とされて、思わず反射的にビクッと体が震えた。そして…
「信頼する、大事な方でもあったのでしょう…。
もっと落ち着いて、私などにでも話せるようになってから説明してくださればよろしいですわ」
言葉にならない言葉を無理に紡がなくても良いと言われて、私はホッとした。
まだ、自分でも気持ちを持て余してしまって、どうすれば良いのかわからないのだ。
そして、そっとその耳元に唇を寄せられて…いい匂いがするな…何の香水をつけているのだろう……なんて思っていたら、
「ですけども、この男は王太子である貴方を害しようとした罪人であることを忘れてはなりません。どんなに大事だった方であろうとも、彼は貴方の信頼を裏切りました。……陛下に訴えた後、決して情に溺れて沙汰を下す事がないよう、望みますわ」
…と言われ……この女が、実は私が思っていた以上に優しい娘であったことにホッとした。何故なら…
私は、私に害を成した者がどの様な者であろうとも、一欠片の温情も与えるつもりなどなかったからだ。
持て余している感情は……怒り。
どうすれば良いかわからないのは……ミランダにはどの辺りまでなら言ってもいいだろうか、引かれない線引きの位置のこと。
私にあの様な狼藉を働いておいて、よもや平穏に生きていけるとは思っていないだろうと思う。
…思っていなくてもこれからの沙汰には関係ないが。
しかし、ミランダは私の繊細で線の細い見かけや、ちょっとしたことで動揺する様子を見て、随分優しい子供だと思っているようで……それでも、王の子としてその様に振る舞えと叱咤し、私の未来を心配してくれているのだ。
なんて、厳しくも優しい女なのだ。
私は、思わずミランダの肩に顔を押し付けて、嬉しくてニヤニヤと笑ってしまう表情を抑えることに苦労したが…日頃の感情を抑える教育のおかげか、真顔で彼女の瞳を見つめることに成功すると、
「うん…」
と、言葉少なに、躊躇っているように言葉を返したのだった。
その後、遠くから複数の人間が近寄る足音と声が聞こえ、そろそろこの時間が終わってしまうことに気づいて、少しがっかりした。
すでにこの時には、この女と離れがたいと思うほど、私は囚われてしまっていたのだと思う。
なので、何とかミランダの心に爪痕を残してやりたいと思って、別れ際に無理やり口づけをしてやったのだが…、
目を細めて少し上に向いた顎に手を当て、触れた唇を親指でなぞるという、妙に男臭い色気のある仕草でやり過ごされ…艶めく唇の艶めかしさと相まって、目が離せなくなった。
そして、グイッと頭を引き寄せられ―――侍従や女官たちが見守る中―――極めて濃厚なキスによる反撃を食らって、腰砕けにされるというオマケまでついてしまった。
……ていうか、なんであの女はあの年でそんなテクニックまで持っていたのか!?
……それは未だに謎であるが…あの時の口吻の快感を思い出すと、今でも局所が熱くなってしまって困ってしまう。
その後私は父上の間諜に、ミランダの噂も積極的に集めるよう言付けて、ミランダが登城する際は必ず私に会いに来るよう命令した。
しかし、そもそも侯爵夫人も侯爵も、本来は王都の邸宅か領地に引っ込んでいて、それ程頻回に登城する方ではなかった。
だが、私は時に父上や母上と結託して彼らを召喚するという涙ぐましい努力を重ね、せっせと逢瀬のチャンスを作ることに余念がなかった。
そんな私の努力を見ていた父上と母上は、あまりの執着のしように不憫に思ったのか、便乗しようとしたのか、ミランダを私の婚約者としてはどうかと提案してくれ…私は即座にその提案に飛びついて感謝した。
そもそも、縁組としては何の傷もない二人なのだ。
あの日、母上が私に出席しろと命じたお茶会も、そのような意図もあったと仰っていたし。
…だがしかし、肝心のミランダや侯爵夫妻はあまり乗り気ではないらしいとも言われたが…それも自分で薄々気づいてはいたが、考えないようにした。
私は8歳…いや、正確には5歳の頃から…未だに彼女に片思いを続けているとわかっていたが…拒絶されているわけでもない。
勝手に思い込んでいるイタイ奴だと思われているかも知れないが、拒絶はされていない!(2回目)
そうして思い続けてはいたものの、あの時の口づけ以上に関係性が深まるわけでもなく2年経ち、私は10歳、ミランダは12歳になっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蛇足>>>騎士ブライアンの行く末
幼い王太子を手篭めにしようとした罪により、当然解雇され罪人となります。
その後、王太子の提言により奴隷に落とされ、奴隷市場でオン・ザ・ステージ。
その鍛え上げられた肉体美の甲斐あってか嗜虐趣味のあるドSなご主人さまに見初められ、数年後には立派なドM豚になって全ての苦難を受け入れます。
そして、物語に出てくることはないと思いますが、その後某商人の所でAV男優バリにモブおじさんとして活躍する未来があったかもしれませんwww
そもそもがBLゲームの世界なので、こういったことにはそれ系のシビアな結末が待っております。
子供のくせに、私のような大人をからかって…ホントは私にこうされたかったんでしょう?」
私の腕を片手で纏めて壁に縫い付けたように拘束する男は、ニヤリと下卑た笑いを浮かべながら、顔を間近に近づけて訳のわからないことを言う。
一体何の話だ?
私はこの男のことを、剣の講師として認めてはいたが、それ以上の気持ちなど全くなかったし、何故この男がこのような振る舞いをするのかも皆目見当がつかなかった。
いくら周囲からも信頼厚い護衛騎士であろうと、ノコノコとこんな男に着いてきてしまった自分のうかつさを恨みながら、拘束を外そうと藻掻いたものの、相手は精鋭の騎士。
その力も技も、8歳の自分では到底敵うわけがないことを、思い知らされただけだった。
しかも、ここは王宮の迷路とも言える、薔薇庭園。
我が国が誇るバラ園ではあるが、その構造の複雑さも一種の売りではあったが…それだけに、はぐれた侍従や女官たちが私達を見つけるまでは時間がかかるだろう。
この男が、少年…というか、男児を愛する性癖があるなど聞いたことはなかったし、その様な性癖を持つものだったら、最初から私の護衛騎士の役職に着くことなどなかったはずだ。
しかし、そんなことを言っても今更…後の祭りである。
私は出来る限りの拒絶でもって逃げようと試みたがブライアンは意に介さず、ハァハァと荒い息をつきながら、徐々に顔を近づけ…悍ましくも私の唇をその厚い唇で覆われ、嗚咽を飲み込む。
しかし、男の生暖かい唇が押し付けられ、避けることも叶わなかったが、せめてもの抵抗で、口を真一文字に引き結んで舌の侵入だけは許さなかった。
そうして、私にとっては長い悪夢の時間を何とかやり過ごしたのだが…男の暴挙は止まらず、更に私のシャツの胸元を乱暴に開き、じっとりと汗ばんだ手で私の胸元を弄り始めたので、私は火が着いたように泣いて叫んで暴れた。
全力で抵抗しながらも、心の中で助けを求めたのだが、カチャカチャとブライアンのベルトが外される音が耳に入り、訳のわからない恐慌状態に陥りかかっていた……その時だった。
「お前が受け取れ!!」
少女の高い声と同時に、肉を蹴り上げたような音が聞こえたのだ。
その時はまだ、その声が誰かということには思い至らず、助かったという意識もないまま、ブライアンが短い悲鳴を上げて崩れ落ちていく姿を呆然と見守っていた。
そして、口から泡を噴きながら倒れていくブライアンの後ろに佇む人間を目にして、私は思考が止まり…
心配そうに私を見るミランダ=クロイツェンの翠の瞳を見返しながら、自分が何故こんな所に来ていたのかを忘れる程、只管彼女と見つめ合い続けた。
「大丈夫……ですか? どこか、痛いところは…ありますか?」
何故彼女がこんな所にいたのだろうか?
母上たちとお茶会をしているはずなのに。
そう思ったのは一瞬で、気遣い、窺うように見上げるミランダの眼差しに自分が映っていると気づいた瞬間、私は壊れたように泣き出したのだった。
ミランダは、そんな私を困ったように見下ろしてしゃがみ込むと、気遣わしげにオズオズと両手を伸ばし…その華奢な腕で私を抱きしめながら、ヨシヨシと小さな幼児をあやすように頭を撫でてくる。
既に王太子として…男としての意識が確立し始めていたその頃の私であったら、他人にそのような振る舞いをされるなど、到底プライドが許さなかっただろうが、見知った男に襲われた直後だからと言うだけでなく、ミランダに抱きしめられた時の何とも言い難い高揚と安心感に、ドキドキと胸を高鳴らせながらも…その柔らかい胸に耳を押し付けて、静かな鼓動を聞いて心を落ちつかせていったのだった。
その後、何気なくブライアンのことを話そうとして、先程の恐怖や悔しさを思い出して思わず涙を溢れさせて口ごもってしまったのだが……静かに私の言葉を聞いていたミランダが、突然真顔で私の頬に口づけて、溢れる涙を啜ったので、ビックリした。
母上や父上のみならず、友人や親しい親類などなど、親しい間柄ならば頬にキスなどただの挨拶だと思っていたのに。
しかし、かなり動揺していたのだろう。自分でも頬が熱くなっていることが分かる位に動揺して、咄嗟に拒絶することも、うまく躱すこともできなかったのだから。
そんな私の醜態を、ミランダは「うふふ」と余裕の笑みで受け止めて、
「はちみつ色の瞳から流れる涙だったら、甘いのかと思いまして。……しょっぱかったので残念ですわ」
と、がっかりした風に振る舞ってきた可憐さと妖艶さに、ドクンと鼓動が大きく高鳴った。
その上、ドキドキと激しくなる鼓動を抑えようとしながら真っ赤になって口籠っていると、今度は「りんごのようだ」と言って、再び私の頬に唇を寄せようとして来るではないか。
……この女、私と2歳しか違わないはずなのに……何だ、この余裕は?
自分でも、蒸気が出そうな位頭に血が上っていたのではないかと思うが、まるで社交界を気ままに渡る歴戦の未亡人に翻弄されている気がして、少し悔しくもあった。
しかし、これだけ気持ちを乱されて、動揺させられているせいだろうか…今、この時はブライアンのことを考えないでいることができていて、実は少しホッとしていたのだったが…
急に私を包むミランダの様子が変わったことに気づいた時、徐に私を抱きしめる腕に力を込められ、チュッと鼻にキスを落とされて、思わず反射的にビクッと体が震えた。そして…
「信頼する、大事な方でもあったのでしょう…。
もっと落ち着いて、私などにでも話せるようになってから説明してくださればよろしいですわ」
言葉にならない言葉を無理に紡がなくても良いと言われて、私はホッとした。
まだ、自分でも気持ちを持て余してしまって、どうすれば良いのかわからないのだ。
そして、そっとその耳元に唇を寄せられて…いい匂いがするな…何の香水をつけているのだろう……なんて思っていたら、
「ですけども、この男は王太子である貴方を害しようとした罪人であることを忘れてはなりません。どんなに大事だった方であろうとも、彼は貴方の信頼を裏切りました。……陛下に訴えた後、決して情に溺れて沙汰を下す事がないよう、望みますわ」
…と言われ……この女が、実は私が思っていた以上に優しい娘であったことにホッとした。何故なら…
私は、私に害を成した者がどの様な者であろうとも、一欠片の温情も与えるつもりなどなかったからだ。
持て余している感情は……怒り。
どうすれば良いかわからないのは……ミランダにはどの辺りまでなら言ってもいいだろうか、引かれない線引きの位置のこと。
私にあの様な狼藉を働いておいて、よもや平穏に生きていけるとは思っていないだろうと思う。
…思っていなくてもこれからの沙汰には関係ないが。
しかし、ミランダは私の繊細で線の細い見かけや、ちょっとしたことで動揺する様子を見て、随分優しい子供だと思っているようで……それでも、王の子としてその様に振る舞えと叱咤し、私の未来を心配してくれているのだ。
なんて、厳しくも優しい女なのだ。
私は、思わずミランダの肩に顔を押し付けて、嬉しくてニヤニヤと笑ってしまう表情を抑えることに苦労したが…日頃の感情を抑える教育のおかげか、真顔で彼女の瞳を見つめることに成功すると、
「うん…」
と、言葉少なに、躊躇っているように言葉を返したのだった。
その後、遠くから複数の人間が近寄る足音と声が聞こえ、そろそろこの時間が終わってしまうことに気づいて、少しがっかりした。
すでにこの時には、この女と離れがたいと思うほど、私は囚われてしまっていたのだと思う。
なので、何とかミランダの心に爪痕を残してやりたいと思って、別れ際に無理やり口づけをしてやったのだが…、
目を細めて少し上に向いた顎に手を当て、触れた唇を親指でなぞるという、妙に男臭い色気のある仕草でやり過ごされ…艶めく唇の艶めかしさと相まって、目が離せなくなった。
そして、グイッと頭を引き寄せられ―――侍従や女官たちが見守る中―――極めて濃厚なキスによる反撃を食らって、腰砕けにされるというオマケまでついてしまった。
……ていうか、なんであの女はあの年でそんなテクニックまで持っていたのか!?
……それは未だに謎であるが…あの時の口吻の快感を思い出すと、今でも局所が熱くなってしまって困ってしまう。
その後私は父上の間諜に、ミランダの噂も積極的に集めるよう言付けて、ミランダが登城する際は必ず私に会いに来るよう命令した。
しかし、そもそも侯爵夫人も侯爵も、本来は王都の邸宅か領地に引っ込んでいて、それ程頻回に登城する方ではなかった。
だが、私は時に父上や母上と結託して彼らを召喚するという涙ぐましい努力を重ね、せっせと逢瀬のチャンスを作ることに余念がなかった。
そんな私の努力を見ていた父上と母上は、あまりの執着のしように不憫に思ったのか、便乗しようとしたのか、ミランダを私の婚約者としてはどうかと提案してくれ…私は即座にその提案に飛びついて感謝した。
そもそも、縁組としては何の傷もない二人なのだ。
あの日、母上が私に出席しろと命じたお茶会も、そのような意図もあったと仰っていたし。
…だがしかし、肝心のミランダや侯爵夫妻はあまり乗り気ではないらしいとも言われたが…それも自分で薄々気づいてはいたが、考えないようにした。
私は8歳…いや、正確には5歳の頃から…未だに彼女に片思いを続けているとわかっていたが…拒絶されているわけでもない。
勝手に思い込んでいるイタイ奴だと思われているかも知れないが、拒絶はされていない!(2回目)
そうして思い続けてはいたものの、あの時の口づけ以上に関係性が深まるわけでもなく2年経ち、私は10歳、ミランダは12歳になっていた。
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蛇足>>>騎士ブライアンの行く末
幼い王太子を手篭めにしようとした罪により、当然解雇され罪人となります。
その後、王太子の提言により奴隷に落とされ、奴隷市場でオン・ザ・ステージ。
その鍛え上げられた肉体美の甲斐あってか嗜虐趣味のあるドSなご主人さまに見初められ、数年後には立派なドM豚になって全ての苦難を受け入れます。
そして、物語に出てくることはないと思いますが、その後某商人の所でAV男優バリにモブおじさんとして活躍する未来があったかもしれませんwww
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