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第三章:巻き込まれるのはテンプレですか? ふざけんな
10-1.森の姫君(笑)、とりあえず目標達成か?
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………なんでこう、うまくいかないんでしょうかね?
私たちは自宅に戻り、誰も口を開かないままいつものリビングテーブルを囲んで再度作戦の見直しを検討しあう。
誰もが眉をしかめ、そこにはただただ静寂があった。
王都に着く
→周辺を見回って、庭園へ至る最先端のルートを探る
→『揺らぎ』確認
→電話チャレンジ
→転移石にて撤収
ただそれだけの計画だったはずなのに、『電話チャレンジ←イマココ』からが全く進まない。
場所も特定できたし、電波の強度も大丈夫そうなので、後は自宅の番号を入力して電話をかけるだけだというのに……
2度も計画が頓挫させられた原因は…あの第二王子サマ。 名前からしてもクリスティアンなんて、如何にも“王子様”という感じのイケメン王子サマである。 ちっ…リア充爆発しろ。
もちろん、不法侵入しているのは私の方なので、彼に罪がないことは承知の上であるが、しかし、そうとはいえ、度々計画を頓挫させられているため、彼に対する印象はハッキリ言ってよろしくない。 勝手な言い分で申し訳ないが。
あんなハーレムやら陰謀やら不特定多数のフラグが連立していそうな危険地帯に何度も何度も行きたくないというのに、常に彼がいることによって何かしらのトラブルが起こっている。そのため、巻き込まれまいと状況回避することによって、計画が足止めされ、悔しい思いをさせられてきた。
まあ、トラブルの中心にされている彼の生活環境に同情する気持ちが無いわけでもないのだが。
そして、我々は話し合った。昼間に行くと、彼が昼寝にやってくる率が高いのかもしれないと。そして…
昼がダメなら、夜に行けばいいんじゃね?
そう結論が導き出された翌日、現在時刻は22時。月が煌々と輝く夜に、我々は三度ロイヤルガーデンへと降り立った。
そして、夜であるため私にとっての視界は暗いが、建物から洩れる微かな光を頼りに見回しても、猫よりも夜目の利くマーリンが見回しても不審なものは見当たらず、周囲に人の気配は皆無である。もちろん、クリスティアン王子も、タロウの弟くんも寝転がってはいない。
人気のないロイヤルガーデンは、静まり返ってシンとした夜の気配があたりを支配しており、開けた芝生の丘の端っこで、微風が頬をなでるのを感じていた。手を伸ばせば届く位置にまで近づいた『揺らぎ』地点の周囲は、微かに輝いている様に見えつつも、それ自体は前回の時と同じ大きさ・同じ状態でただただ玉虫色に色を変えていた。
「これなら、大丈夫そう。うん、電波も前回と変わりなくしっかりアンテナ立ってる」
私は、コートの上着からスマホを取り出してアンテナ強度を確認する。…ちなみに、今の季節はもう春先になっているのだが、北方の島国であるこの地方は、日本育ちで自前の毛皮もない私には寒さが厳しく、ファッションというよりもガチな防寒の意味でこの薄手でありながらもゴージャスな毛皮のコートが大活躍である。 何せ夜になると本当に寒いので、やっぱ、ファッションとか言わないで、こんな太もも丸出しになるような体型カバー力の低いエロいドレスじゃなく、地味でもあの魔法衣のローブ着てこれば良かったと、心底後悔している次第である。
「じゃあマーリン、悪いけど電話が終わったら知らせるから、ちょっとタロウと一緒に影に控えていてね」
『了解ニャ』
……音信不通だった家族とのやり取りをするのに、それを人に聞いていられるのはなんだか嫌なので、ひとまずタロウの種族スキルを使ってその場を離れてもらうのだ。 そうしてタロウに声を掛け、私の足元にある薄い影が広がったと思ったら、マーリンはスルリとそこに飛び込み、後ろ足から潜り込んで姿を消していく。彼らは私の影に控えているため、すぐそこにいる気配は感じているが、念話の合図があるまで音声を聞くのは遮断してもらった。
そして…私は何度も辺りを見回して誰もいないことを確認した後、ゴクリと唾を飲み込みながら、スマホのプッシュホン画面を見つめる。
どうかつながりますように…
そう、願いを込めながら、自宅の電話番号を入力し、コールボタンをタップした。すると『トゥルルルル……』と、ちゃんと呼び出し音がかかるではないか。
よしっ!
私は確かな手ごたえを感じて、グッと右手を握り込みながら、左手でスマホを耳にあてた。そして………
『はい、支倉です』
スマホ越しに、1年と少し前を最後に聞くことができなくなった母の声が聞こえ、気持ち的にはもっと長いこと離れていた様な気がしていたのか、懐かしさに涙が出そうになる。
「も、もしもし…、お母さん? わ・私、麻衣だけど…」
少し声が震え、言葉が詰まって思うように話せない。一人暮らしを始めてから、そんなに密に連絡を取り合っていたわけではなかったけれど、1か月以上も電話もしなかったことなんてなかったのに、1年以上も音信不通で、どんなに心配かけただろうかと思うと、何て言ったらいいのかわからなくなってしまったのだ。 あれだけ、電話で伝えようと思っていたことを頭の中ではシミュレーションしていたのに。
『麻衣? 麻衣なの!? あんた、全然電話もつながらなくて、どうしたのかと思って心配してたのよ?』
当然、母は急に連絡が途絶えていた娘からの突然の電話に驚いている。私は、申し訳ないと思いつつ母の変わらぬ様子に安堵し、目元に浮かんだ涙を拭った。
『突然、発信者不明の電話がかかってくるからビックリするじゃない。 最近あなたに電話してもつながらないし……電話番号変えたなら、ちゃんと家に連絡しなさいよ』
どうやら、こちらからの着信番号はあちらには表記されないらしい。そして、私がいなくなった後からの通話はもちろんできなかったので、私がスマホの解約か乗り換えをして番号を変えてしまったために、電話がつながらなくなったとの解釈をしていたようだ。
「うん、急に変えないといけなくなっちゃって…連絡してなくって…ごめんね。 お父さんや颯太は元気?」
懐かしい母の声を聞いていると、いつもの電話連絡では話題に出すこともなかった二人のことなのに、長い間離れていたため会いたくなって尋ねてみると、何故か母は訝し気な様子になった。
『あの二人は変わりないけど……、どうしたの? もちろん変わりはないんだけど、あの二人のこと気にするなんて…?』
?? 1年以上も音信不通だった娘が、父や弟の近況を気にするなんて、そんなに不思議になることでもなくない……?
「え。 私、変なこと言った? ……颯太は大学受験どうなったかとか、お父さんが元気にしてるかとか、気になるんだけど…。 そうそう、大学卒業してからも住んでた私のアパートのこととか……」
変なこと言ったかな? とは思いつつ、気になっていたことを尋ねたのだが、母は余計に戸惑ったようだった。
『あんた、何言ってるのよ。自分の弟のことなんだから、もう少し興味もちなさいよ。 いくら自分の就職で手一杯だからって。アパートって何? バイト生活でカツカツなのはわかるけど…家賃払えないの? こないだ帰ってきたときに、就職決まったら給料で返すっていうから、お金振り込んでおいたけど……本当に足りてるの? 生活大丈夫?』
…やっぱり、何かおかしい? 話が微妙に噛み合っていないような違和感を感じる…。
『あと、颯太は今、予備校の夏期講習に行ってるわよ。志望校の模試判定がDだったって言って、ヒーヒー言いながら勉強頑張ってるんだから。 そういえば、あんた、今年のお盆休みは帰ってくるの?』
え? お盆? あと、颯太って、私がこっちに移動した時、高校3年生だったよね? あれ? やっぱりおかしくない?
話せば話す程、何か時系列がおかしいような気がしてきて、私はスマホを耳の当てたまま戸惑っていた。
こないだ帰った時って、いつだった……? それに…
「予備校の夏期講習って……颯太……浪人でもしたの?」
仕送りのお願いをしたのも、颯太の受験のことも移動してくるちょっと前の出来事だったような気がする……あれから1年以上も前のはずなのに。
…自分の記憶と母の言葉の食い違った情報に思考が追いつかず、思わずつぶやいてしまう。すると、
『やだ、そんなこと颯太に聞かれたら、「不吉なこと言ってんじゃねえよ!」って、あの子怒っちゃうわよ? まだ現役合格目指して頑張ってるのに』
明るく笑いながら言う母の言葉に、その違和感の正体を悟った。
時間が……あまり進んでない?
私は、「まさか?」と思いながら、おずおずと電話越しの母に問いかける。
「ね、ねえ、お母さん……」
『何?』
「最後に電話したのって何か月前だったっけ?」
『何か月って……えーっと、5月の連休の後で、今8月だから、2~3か月前位かしら?』
………やっぱりか。
話しながら、薄々そうじゃないかと思ってはいたけれど……。
時間の流れが違うのか、そういう時間帯に電話がつながっているのか、他に何があるのかわからないけど……あっちとこっちの時間間隔が…同じじゃない。 …みたい?
「……………」
それに気づいた私は、咄嗟に何を言えばいいのか分からなくなり、耳に当たったスマホが熱を持っているのを感じながら、一瞬呆然となっていた。
『…麻衣? どうしたの黙っちゃって? 何かあったの?』
急に黙り込んでしまった私の様子に、何か異変を感じたのか、母はスマホ越しで何度も私の名前を呼んでいる。
…返事しなきゃ。
言うことを決めたわけではなかったが、とりあえず返事をしようと口を開いたその時、
ヌッと、後ろから誰かの手が差し出され、私の手ごとスマホに触れてきたので、思わず「ひっ!」と小さな声を上げてでビクッとしてしまった。
『麻衣? 返事をして?』
母が呼んでいる声はするが私はそれに応えることもできず、後ろから手を出してきた存在を確認するためにドキドキと鼓動を促迫させながら肩越しに後ろを窺うと……ここ数日我々の心を捉えて離さなかった存在の、まさかのご登場であった。
ク・クリスティアン王子ぃっ!?
月明かりとスマホから洩れる微かな光に照らされたのは、私の真後ろに迫っていたクリスティアン王子の姿だった。
な、なななんでこんな時間にこんな所にっ!?
私は声も出せずに硬直し、肩越しに振り向いた状態から体勢を変えることができない。そして、ゴクリと唾を飲み込みながら息をひそめて王子の動向を窺っていたが…しかし、どうも下方から窺い見る私と視線が合っているようには見えない。
あれ?
「こんな時間に精霊たちが落ち着かないから来てみれば、先ほど何かの光が点滅していたように見えたのだが……光が消えた…? しかし、何だろう…確かに何かに触れているようではあるし……」
王子は、何かを確認するようにつぶやきながら、手の中にある私の手とスマホを両手で包み込んでいるため、私は固まったまま動けず、刺激するのを恐れてその手を振り離すことができないでいる。 すると、
『麻衣? 本当にどうしたの? 具合でも悪くて連絡してきたの?』
私の様子がおかしいと思った母が、心配している声が届いた。
こちらの様子など全く予想もしていない母は、ただただ私の心配をしてくれているのだが、この状況では返しようもないため、私はゴクリと唾液を飲んで、恐る恐る王子の動向を見守っていた。
「…っ!? やっぱり光っている!? …というか、何の現象なのかがわからない…」
母の声が届くと、クリスティアン王子にはスマホが光を発しているように見えているようだが、母の声は届いていないらしい……
マジっすか!? 何それ!?
私が身に着けた物を使用するのであれば、隠密のブレスレットの影響範囲内にあり、周囲にその存在が洩れるようなことは起きないはずなのは、家でも確認してきたはずだったのだが………なぜ、王子にはわかったのだろうか?
私はこっそり首をかしげて考え……ようとしたのだが、王子の手が徐々に私のスマホを持った手から腕にかけて移動してきたので、思考が中断されてしまう。
『麻衣? ちょっと、本当にどうしたの? 返事をして?』
母が何度も私を呼ぶ声に、段々切迫したものが混じってきているのだが…ダメだ、しっかり腕を掴まれて確認されているので、下手に動けない…。
私は、とりあえず今は電話を中断して、不法侵入しているこの場から逃げようと思ったのだが、クリスティアン王子にしっかり確保されてしまっているので、それもできないでいた。
「…光が忙しなく点滅している……しかしこの感触……誰かの腕か?」
そう言いながら、私の背後からスマホを持った腕はそのままに、空いた右手でサワサワと私の体表を撫で始めたではないか。
ちょ、ちょっとっ!?
「……これは、人間か? 全く存在を感じないのに、確かに柔らかい感触が……」
私の首筋や顔をサワサワと撫でながら驚愕しているのを、密着寸前まで近づいている背中に感じる。
「……すごいな、こんなに近くに接しているだろうに、全く存在を感じない。…おい、お前。何者か知らないが、何故こんなところにいる? 姿を現せ」
すでに、私という存在をその手の感触で確信した言葉だった。隠密のブレスレットも、その存在を確信され、確保されると効果も半減してしまうらしいが、それでもまだ視覚などの誤認効果は継続してくれているのだから大したものだ。
母は、急に黙ってしまった私を心配して、ずっと声を掛け続けているし、かと言って振り払って逃げることもできない程ガッチリ捕まって、今は首も動かせなくなっているし………王子の右手が、さっきから私の頭や耳や鼻を確認して動いているので、きっと種族確認でもしているのだろう…。
「しかし、この感触…顔には毛皮の特徴も感じられないし、頭にも耳がない。随分長く真っ直ぐで、手入れの行き届いた髪が生えているようだが……獣人ではない? まさか、全人族か? 中央大陸に住まう一族が何故?……にしても、何か変だな……。この顔の横についているのは耳…なのか? あそこの一族の特徴とは違っているようだし…こう暗くては色も確認できないか…」
そうぶつぶつと呟きつつ自分の世界に入り込みながら、頻りに私の鼻やら耳やら項やらをサワサワサワサワと無遠慮に撫でてくるのはやめてほしい……。
そういう意図がないのはわかってるんだけど、敏感な所にソフトタッチされると、ビクビク反応してしまうので、本当にやめてほしいです。
そっと項を撫でられて、思わず「ひっ…」と洩れそうになる声を堪えながら、スマホごと左手を確保されていることもあるため、私は抵抗らしい抵抗もできず、されるがままになっていた。しかし、不審者の謎を探る王子の捜索は熱を帯び、一向に止める気配はなく、一頻り顔周囲を撫でまわして、耳をつまんだり引っ張ったり、耳の孔に指を入れたり耳の付け根を確認してみたりと忙しなく確認作業を行うと、徐々にその手は下降していくではないか。
そうなると私は、散々弱い所を撫でられて、もどかしく感じながらも徐々に息が上がってきているのを感じていた。
ヤバい、すっかり快感を拾う仕様になってるじゃん……
そして、私の背中に王子の広い胸が密着し――衣服越しではあるが――触れ合っている体温や感触を感じながら、王子の右手が首筋や鎖骨、胸元などを辿ってくると落ち着かなくて顔を俯けた。
「この滑らかな手触り…。上質な毛皮を纏っているが……これは衣服だな…。 そして首元には、やけにたくさんの装飾品……というか、これ全部魔道具か? よくわからないものも混じっているが……。 って…おいおい、どんな魔力総量があればこんなに扱えると……」
そう独り言ちるとも私に話しかけるともしれない囁きを続けながら、徐々に下方を探りだしてくるため、私の頭上にあった声が耳元まで下り、そのテノールの低い声に鼓膜を刺激されてまたもや体がビクンっと跳ねた。
「……お前、華奢だと思ってたら、やっぱり女か…」
そう確信し、王子は私の左手をつかむその手にグッと力を込めた。
そして、耳元の刺激で脱力しかけてしまっていたが、首元を飾っていた魔道具に触れて確認していた手が、コート越しに私の胸元をさすり出したので、またもや体がビクリと跳ねた。 しかし、せめてもの抵抗とばかりに、後頭部を胸板にぶつけて攻撃しようとしたのだが……それより早くその手をコートの中に差し込まれ、薄手のドレス越しに乳房を確認されると、思わず「ふぁ…」と、声を漏らしてしまった。
『ちょっと、麻衣? 麻衣? 変な声が聞こえたけど、大丈夫なの!?』
思わず漏らした私の声に反応して、母の問いが段々シャレにならない位切迫しだしている。これは、ヤバい。このままでは救急車とか呼ばれてしまうではないか。
というか、親への電話中に何してくれとんねんっ!?
どうも王子の探求心が先立っているためか、今すぐ確保して牢屋にぶち込むとか、殺されるとかいう雰囲気でもなさそうなのだが…………それにしたって、この羞恥プレイはあんまりではないですか!?
私は、電話越しに母親の我が子を心配する声を聞きながら、不法に侵入しているという自分の立場も忘れて、好き勝手に人の体をまさぐってくる王子に対して、沸々と怒りが湧いてくるのを感じていた。
私たちは自宅に戻り、誰も口を開かないままいつものリビングテーブルを囲んで再度作戦の見直しを検討しあう。
誰もが眉をしかめ、そこにはただただ静寂があった。
王都に着く
→周辺を見回って、庭園へ至る最先端のルートを探る
→『揺らぎ』確認
→電話チャレンジ
→転移石にて撤収
ただそれだけの計画だったはずなのに、『電話チャレンジ←イマココ』からが全く進まない。
場所も特定できたし、電波の強度も大丈夫そうなので、後は自宅の番号を入力して電話をかけるだけだというのに……
2度も計画が頓挫させられた原因は…あの第二王子サマ。 名前からしてもクリスティアンなんて、如何にも“王子様”という感じのイケメン王子サマである。 ちっ…リア充爆発しろ。
もちろん、不法侵入しているのは私の方なので、彼に罪がないことは承知の上であるが、しかし、そうとはいえ、度々計画を頓挫させられているため、彼に対する印象はハッキリ言ってよろしくない。 勝手な言い分で申し訳ないが。
あんなハーレムやら陰謀やら不特定多数のフラグが連立していそうな危険地帯に何度も何度も行きたくないというのに、常に彼がいることによって何かしらのトラブルが起こっている。そのため、巻き込まれまいと状況回避することによって、計画が足止めされ、悔しい思いをさせられてきた。
まあ、トラブルの中心にされている彼の生活環境に同情する気持ちが無いわけでもないのだが。
そして、我々は話し合った。昼間に行くと、彼が昼寝にやってくる率が高いのかもしれないと。そして…
昼がダメなら、夜に行けばいいんじゃね?
そう結論が導き出された翌日、現在時刻は22時。月が煌々と輝く夜に、我々は三度ロイヤルガーデンへと降り立った。
そして、夜であるため私にとっての視界は暗いが、建物から洩れる微かな光を頼りに見回しても、猫よりも夜目の利くマーリンが見回しても不審なものは見当たらず、周囲に人の気配は皆無である。もちろん、クリスティアン王子も、タロウの弟くんも寝転がってはいない。
人気のないロイヤルガーデンは、静まり返ってシンとした夜の気配があたりを支配しており、開けた芝生の丘の端っこで、微風が頬をなでるのを感じていた。手を伸ばせば届く位置にまで近づいた『揺らぎ』地点の周囲は、微かに輝いている様に見えつつも、それ自体は前回の時と同じ大きさ・同じ状態でただただ玉虫色に色を変えていた。
「これなら、大丈夫そう。うん、電波も前回と変わりなくしっかりアンテナ立ってる」
私は、コートの上着からスマホを取り出してアンテナ強度を確認する。…ちなみに、今の季節はもう春先になっているのだが、北方の島国であるこの地方は、日本育ちで自前の毛皮もない私には寒さが厳しく、ファッションというよりもガチな防寒の意味でこの薄手でありながらもゴージャスな毛皮のコートが大活躍である。 何せ夜になると本当に寒いので、やっぱ、ファッションとか言わないで、こんな太もも丸出しになるような体型カバー力の低いエロいドレスじゃなく、地味でもあの魔法衣のローブ着てこれば良かったと、心底後悔している次第である。
「じゃあマーリン、悪いけど電話が終わったら知らせるから、ちょっとタロウと一緒に影に控えていてね」
『了解ニャ』
……音信不通だった家族とのやり取りをするのに、それを人に聞いていられるのはなんだか嫌なので、ひとまずタロウの種族スキルを使ってその場を離れてもらうのだ。 そうしてタロウに声を掛け、私の足元にある薄い影が広がったと思ったら、マーリンはスルリとそこに飛び込み、後ろ足から潜り込んで姿を消していく。彼らは私の影に控えているため、すぐそこにいる気配は感じているが、念話の合図があるまで音声を聞くのは遮断してもらった。
そして…私は何度も辺りを見回して誰もいないことを確認した後、ゴクリと唾を飲み込みながら、スマホのプッシュホン画面を見つめる。
どうかつながりますように…
そう、願いを込めながら、自宅の電話番号を入力し、コールボタンをタップした。すると『トゥルルルル……』と、ちゃんと呼び出し音がかかるではないか。
よしっ!
私は確かな手ごたえを感じて、グッと右手を握り込みながら、左手でスマホを耳にあてた。そして………
『はい、支倉です』
スマホ越しに、1年と少し前を最後に聞くことができなくなった母の声が聞こえ、気持ち的にはもっと長いこと離れていた様な気がしていたのか、懐かしさに涙が出そうになる。
「も、もしもし…、お母さん? わ・私、麻衣だけど…」
少し声が震え、言葉が詰まって思うように話せない。一人暮らしを始めてから、そんなに密に連絡を取り合っていたわけではなかったけれど、1か月以上も電話もしなかったことなんてなかったのに、1年以上も音信不通で、どんなに心配かけただろうかと思うと、何て言ったらいいのかわからなくなってしまったのだ。 あれだけ、電話で伝えようと思っていたことを頭の中ではシミュレーションしていたのに。
『麻衣? 麻衣なの!? あんた、全然電話もつながらなくて、どうしたのかと思って心配してたのよ?』
当然、母は急に連絡が途絶えていた娘からの突然の電話に驚いている。私は、申し訳ないと思いつつ母の変わらぬ様子に安堵し、目元に浮かんだ涙を拭った。
『突然、発信者不明の電話がかかってくるからビックリするじゃない。 最近あなたに電話してもつながらないし……電話番号変えたなら、ちゃんと家に連絡しなさいよ』
どうやら、こちらからの着信番号はあちらには表記されないらしい。そして、私がいなくなった後からの通話はもちろんできなかったので、私がスマホの解約か乗り換えをして番号を変えてしまったために、電話がつながらなくなったとの解釈をしていたようだ。
「うん、急に変えないといけなくなっちゃって…連絡してなくって…ごめんね。 お父さんや颯太は元気?」
懐かしい母の声を聞いていると、いつもの電話連絡では話題に出すこともなかった二人のことなのに、長い間離れていたため会いたくなって尋ねてみると、何故か母は訝し気な様子になった。
『あの二人は変わりないけど……、どうしたの? もちろん変わりはないんだけど、あの二人のこと気にするなんて…?』
?? 1年以上も音信不通だった娘が、父や弟の近況を気にするなんて、そんなに不思議になることでもなくない……?
「え。 私、変なこと言った? ……颯太は大学受験どうなったかとか、お父さんが元気にしてるかとか、気になるんだけど…。 そうそう、大学卒業してからも住んでた私のアパートのこととか……」
変なこと言ったかな? とは思いつつ、気になっていたことを尋ねたのだが、母は余計に戸惑ったようだった。
『あんた、何言ってるのよ。自分の弟のことなんだから、もう少し興味もちなさいよ。 いくら自分の就職で手一杯だからって。アパートって何? バイト生活でカツカツなのはわかるけど…家賃払えないの? こないだ帰ってきたときに、就職決まったら給料で返すっていうから、お金振り込んでおいたけど……本当に足りてるの? 生活大丈夫?』
…やっぱり、何かおかしい? 話が微妙に噛み合っていないような違和感を感じる…。
『あと、颯太は今、予備校の夏期講習に行ってるわよ。志望校の模試判定がDだったって言って、ヒーヒー言いながら勉強頑張ってるんだから。 そういえば、あんた、今年のお盆休みは帰ってくるの?』
え? お盆? あと、颯太って、私がこっちに移動した時、高校3年生だったよね? あれ? やっぱりおかしくない?
話せば話す程、何か時系列がおかしいような気がしてきて、私はスマホを耳の当てたまま戸惑っていた。
こないだ帰った時って、いつだった……? それに…
「予備校の夏期講習って……颯太……浪人でもしたの?」
仕送りのお願いをしたのも、颯太の受験のことも移動してくるちょっと前の出来事だったような気がする……あれから1年以上も前のはずなのに。
…自分の記憶と母の言葉の食い違った情報に思考が追いつかず、思わずつぶやいてしまう。すると、
『やだ、そんなこと颯太に聞かれたら、「不吉なこと言ってんじゃねえよ!」って、あの子怒っちゃうわよ? まだ現役合格目指して頑張ってるのに』
明るく笑いながら言う母の言葉に、その違和感の正体を悟った。
時間が……あまり進んでない?
私は、「まさか?」と思いながら、おずおずと電話越しの母に問いかける。
「ね、ねえ、お母さん……」
『何?』
「最後に電話したのって何か月前だったっけ?」
『何か月って……えーっと、5月の連休の後で、今8月だから、2~3か月前位かしら?』
………やっぱりか。
話しながら、薄々そうじゃないかと思ってはいたけれど……。
時間の流れが違うのか、そういう時間帯に電話がつながっているのか、他に何があるのかわからないけど……あっちとこっちの時間間隔が…同じじゃない。 …みたい?
「……………」
それに気づいた私は、咄嗟に何を言えばいいのか分からなくなり、耳に当たったスマホが熱を持っているのを感じながら、一瞬呆然となっていた。
『…麻衣? どうしたの黙っちゃって? 何かあったの?』
急に黙り込んでしまった私の様子に、何か異変を感じたのか、母はスマホ越しで何度も私の名前を呼んでいる。
…返事しなきゃ。
言うことを決めたわけではなかったが、とりあえず返事をしようと口を開いたその時、
ヌッと、後ろから誰かの手が差し出され、私の手ごとスマホに触れてきたので、思わず「ひっ!」と小さな声を上げてでビクッとしてしまった。
『麻衣? 返事をして?』
母が呼んでいる声はするが私はそれに応えることもできず、後ろから手を出してきた存在を確認するためにドキドキと鼓動を促迫させながら肩越しに後ろを窺うと……ここ数日我々の心を捉えて離さなかった存在の、まさかのご登場であった。
ク・クリスティアン王子ぃっ!?
月明かりとスマホから洩れる微かな光に照らされたのは、私の真後ろに迫っていたクリスティアン王子の姿だった。
な、なななんでこんな時間にこんな所にっ!?
私は声も出せずに硬直し、肩越しに振り向いた状態から体勢を変えることができない。そして、ゴクリと唾を飲み込みながら息をひそめて王子の動向を窺っていたが…しかし、どうも下方から窺い見る私と視線が合っているようには見えない。
あれ?
「こんな時間に精霊たちが落ち着かないから来てみれば、先ほど何かの光が点滅していたように見えたのだが……光が消えた…? しかし、何だろう…確かに何かに触れているようではあるし……」
王子は、何かを確認するようにつぶやきながら、手の中にある私の手とスマホを両手で包み込んでいるため、私は固まったまま動けず、刺激するのを恐れてその手を振り離すことができないでいる。 すると、
『麻衣? 本当にどうしたの? 具合でも悪くて連絡してきたの?』
私の様子がおかしいと思った母が、心配している声が届いた。
こちらの様子など全く予想もしていない母は、ただただ私の心配をしてくれているのだが、この状況では返しようもないため、私はゴクリと唾液を飲んで、恐る恐る王子の動向を見守っていた。
「…っ!? やっぱり光っている!? …というか、何の現象なのかがわからない…」
母の声が届くと、クリスティアン王子にはスマホが光を発しているように見えているようだが、母の声は届いていないらしい……
マジっすか!? 何それ!?
私が身に着けた物を使用するのであれば、隠密のブレスレットの影響範囲内にあり、周囲にその存在が洩れるようなことは起きないはずなのは、家でも確認してきたはずだったのだが………なぜ、王子にはわかったのだろうか?
私はこっそり首をかしげて考え……ようとしたのだが、王子の手が徐々に私のスマホを持った手から腕にかけて移動してきたので、思考が中断されてしまう。
『麻衣? ちょっと、本当にどうしたの? 返事をして?』
母が何度も私を呼ぶ声に、段々切迫したものが混じってきているのだが…ダメだ、しっかり腕を掴まれて確認されているので、下手に動けない…。
私は、とりあえず今は電話を中断して、不法侵入しているこの場から逃げようと思ったのだが、クリスティアン王子にしっかり確保されてしまっているので、それもできないでいた。
「…光が忙しなく点滅している……しかしこの感触……誰かの腕か?」
そう言いながら、私の背後からスマホを持った腕はそのままに、空いた右手でサワサワと私の体表を撫で始めたではないか。
ちょ、ちょっとっ!?
「……これは、人間か? 全く存在を感じないのに、確かに柔らかい感触が……」
私の首筋や顔をサワサワと撫でながら驚愕しているのを、密着寸前まで近づいている背中に感じる。
「……すごいな、こんなに近くに接しているだろうに、全く存在を感じない。…おい、お前。何者か知らないが、何故こんなところにいる? 姿を現せ」
すでに、私という存在をその手の感触で確信した言葉だった。隠密のブレスレットも、その存在を確信され、確保されると効果も半減してしまうらしいが、それでもまだ視覚などの誤認効果は継続してくれているのだから大したものだ。
母は、急に黙ってしまった私を心配して、ずっと声を掛け続けているし、かと言って振り払って逃げることもできない程ガッチリ捕まって、今は首も動かせなくなっているし………王子の右手が、さっきから私の頭や耳や鼻を確認して動いているので、きっと種族確認でもしているのだろう…。
「しかし、この感触…顔には毛皮の特徴も感じられないし、頭にも耳がない。随分長く真っ直ぐで、手入れの行き届いた髪が生えているようだが……獣人ではない? まさか、全人族か? 中央大陸に住まう一族が何故?……にしても、何か変だな……。この顔の横についているのは耳…なのか? あそこの一族の特徴とは違っているようだし…こう暗くては色も確認できないか…」
そうぶつぶつと呟きつつ自分の世界に入り込みながら、頻りに私の鼻やら耳やら項やらをサワサワサワサワと無遠慮に撫でてくるのはやめてほしい……。
そういう意図がないのはわかってるんだけど、敏感な所にソフトタッチされると、ビクビク反応してしまうので、本当にやめてほしいです。
そっと項を撫でられて、思わず「ひっ…」と洩れそうになる声を堪えながら、スマホごと左手を確保されていることもあるため、私は抵抗らしい抵抗もできず、されるがままになっていた。しかし、不審者の謎を探る王子の捜索は熱を帯び、一向に止める気配はなく、一頻り顔周囲を撫でまわして、耳をつまんだり引っ張ったり、耳の孔に指を入れたり耳の付け根を確認してみたりと忙しなく確認作業を行うと、徐々にその手は下降していくではないか。
そうなると私は、散々弱い所を撫でられて、もどかしく感じながらも徐々に息が上がってきているのを感じていた。
ヤバい、すっかり快感を拾う仕様になってるじゃん……
そして、私の背中に王子の広い胸が密着し――衣服越しではあるが――触れ合っている体温や感触を感じながら、王子の右手が首筋や鎖骨、胸元などを辿ってくると落ち着かなくて顔を俯けた。
「この滑らかな手触り…。上質な毛皮を纏っているが……これは衣服だな…。 そして首元には、やけにたくさんの装飾品……というか、これ全部魔道具か? よくわからないものも混じっているが……。 って…おいおい、どんな魔力総量があればこんなに扱えると……」
そう独り言ちるとも私に話しかけるともしれない囁きを続けながら、徐々に下方を探りだしてくるため、私の頭上にあった声が耳元まで下り、そのテノールの低い声に鼓膜を刺激されてまたもや体がビクンっと跳ねた。
「……お前、華奢だと思ってたら、やっぱり女か…」
そう確信し、王子は私の左手をつかむその手にグッと力を込めた。
そして、耳元の刺激で脱力しかけてしまっていたが、首元を飾っていた魔道具に触れて確認していた手が、コート越しに私の胸元をさすり出したので、またもや体がビクリと跳ねた。 しかし、せめてもの抵抗とばかりに、後頭部を胸板にぶつけて攻撃しようとしたのだが……それより早くその手をコートの中に差し込まれ、薄手のドレス越しに乳房を確認されると、思わず「ふぁ…」と、声を漏らしてしまった。
『ちょっと、麻衣? 麻衣? 変な声が聞こえたけど、大丈夫なの!?』
思わず漏らした私の声に反応して、母の問いが段々シャレにならない位切迫しだしている。これは、ヤバい。このままでは救急車とか呼ばれてしまうではないか。
というか、親への電話中に何してくれとんねんっ!?
どうも王子の探求心が先立っているためか、今すぐ確保して牢屋にぶち込むとか、殺されるとかいう雰囲気でもなさそうなのだが…………それにしたって、この羞恥プレイはあんまりではないですか!?
私は、電話越しに母親の我が子を心配する声を聞きながら、不法に侵入しているという自分の立場も忘れて、好き勝手に人の体をまさぐってくる王子に対して、沸々と怒りが湧いてくるのを感じていた。
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