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その後のお話編:彼女にまつわるエトセトラ
エ□フ編その 11:種族的習性なんだろうか…いいや、カルマですー序ー
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『夫にしてください』
テレビ電話越しで顔を見ながらとは言え、初対面の男性からそんなことを言われたら、とりあえず 「は?」 と聞きなおすことが多いと思う。
しかも相手が、これまで見たこともないほど綺麗で、銀緑の髪に頭の側面に30㎝物差しが立ってるような長い耳してるなんて、地球上ではありえない容姿のエルフ男性だったとしたら、 「……気のせいか?」 と、空耳だと思うんじゃないだろうか。
最初に言葉を交わした時、当然私はそう思っていた。…のだが、それだけ言って消え去った姿と、あまりにも真摯な眼差しが心に残っていた。
その後、クリスティアン王子にそんな通信が来たことを伝えると、
「…多分その相手は、俺とジェロームとのやり取りを覗いていた奴だろうな。あの時、誰かに見られている気配がして、面白がって煽ってやったんだが…。
それでもなお、あなたを求めるか………煽り過ぎたかな?」
なんて、ちょっと聞き捨てならないことを言われて、 「なんですと!?」 と、思わず顔が引きつった。
「とは言え、銀緑の髪に薄い紫の瞳の全人種か……一般的過ぎる容姿なので、ちょっと絞り込むのに時間がかかるかもしれないが、どこの誰なのか、すぐに調べよう」
しかし、そうやってすぐに人物を調べてくれるそうなので、ありがたくお願いしたのだが…その翌日の夜、クリスティアン王子の報告を待たずして、その正体が判明してしまったのだった。
全人種の…多分、すごく大きな神殿の神官長なんて人が、私の夫になりたいなんて……
しかも、自分でも重婚ってちょっとどうかと思って認め切れていないというのに、 『夫の一人でいい』 …とか。
どんだけ私に甘いのよ、この世界!?
なんて、身も蓋もない言葉が口をつきそうだったので、グッと飲み込む。
―――そういう事を言い出したら、この話の根幹が終わってしまうので考えないようにした―――
そして、スマホの画面越しであっても、見れば見る程現実離れした美しさを持つ存在が、嬉しそうに耳をパタパタさせながら私を見つめて、言葉を待っている。
こんな、上品で賢そうで、綺麗なエルフさんが、私の…? 嘘だろ。
いや、クリスティアン王子とか、ロビンとかも十分カッコいいし、可愛いし、それこそ人化したマーリンやタロウだって、外国モデルか俳優並みに整ってはいるのだが……この人は、ちょっと絵画的な美しさというか…まあ、現実味のないレベルの美しさと言えばいいのだろうか……語彙が乏しくてすみませんが。
見れば見る程違和感しか感じないので、やはり聞き間違いだろうと思い、自意識過剰な聞き間違いをしていたのではないかと、赤面しながら確認したのだが……彼は本気だった。
本気で私なんかの夫(の内の一人)になろうとしていたのだ。
いくら善五郎さんの伝説が人気でも、それはないだろう。
そう思ったものの、世の中、フェチというものは、案外どこにでもいたりするので、それも確認してみたら……なんだか熱い告白をされてしまい……思わずクラクラと眩暈がするほどトキメイてしまったではないか。
やだ…この美形の微笑の破壊力、ヤバすぎない?
時折パタパタ動く、長い耳とか……ペロペロしたい…(*´Д`)ハァハァ
本気で私と結婚するつもりなんですか? コンチクショー!?
………なんてこと考えながら悶えてるなんて、おくびにも出さずに赤面していたりするのだが、
最近、肉欲に溺れがちな生活しているせいか、内なる自分が荒ぶってきている気がするなぁ……
と、鉄格子から飛び出しそうな己のケダモノを理性でふん縛りながら、考える。
それでも、電話でのやり取りしかしていない、ほぼ初対面の相手と結婚するとかはあり得ないので、まずはお友達から……のつもりで返答し、その日から1か月程、遠距離恋愛のような微笑ましい電話での逢瀬が続いていたのだった。
その間、流石に各者に内緒で電話なんて、こっそり浮気してるみたいな気がしてしまうので、一応の成り行きは伝えたのだが、
<あちらの神官長か……山の大精霊たちが、かなりテコ入れをして進めてきている相手だ。そなたにとって悪いこともないだろう。好きにすれば良い>
と、保護者とも言える精霊さんたちからは押し上げ気味に了承される。
一緒に住んでるマーリンやタロウからは
『うひゃひゃ…今度はアレフハイムからニャ? さすがご主人、あそこの神官長とは、また大物引っこ抜いたニャ』
『主の好きにすればいい。主の家は結局ここなのだ』
と、なんだか愉しんでるマーリンに不穏なものを感じつつ了承を得て、王子からは
『へえ……アムリア神殿の神官長……。…姫の好きにするといい。…ククッ…全人種か…面白いことになりそうだ…』
などという、何やら悪役のような暗い嗤いをいただいたので、それ以上踏み込まないように、そっとその場を後にした。
…まあ、あれだ。
一妻多夫が世間の常識となっている世界で、浮気とか重婚とか多情とか…そういう感情って湧き難いものなのかもしれない。
夫同士の交流とか、コミュニティとか、序列みたいなものはあるみたいだけど、お互い不可侵っていうのが基本スタンスらしいので。
ちょっと私にはよくわかんないけど、そういうものだと割り切って、己を納得させていったのだった。
そんなこんなで、拍子抜けするほど何の障壁もなく、お互いの人となりも分かる程度には交流してきた1か月後、
私はヨナ神官長に思いを告げて、初めての逢瀬を果たしたのだった………が。
私たちは、何故か初対面で一緒にお風呂に入っていたのだった。
あれ?
テレビ電話越しで顔を見ながらとは言え、初対面の男性からそんなことを言われたら、とりあえず 「は?」 と聞きなおすことが多いと思う。
しかも相手が、これまで見たこともないほど綺麗で、銀緑の髪に頭の側面に30㎝物差しが立ってるような長い耳してるなんて、地球上ではありえない容姿のエルフ男性だったとしたら、 「……気のせいか?」 と、空耳だと思うんじゃないだろうか。
最初に言葉を交わした時、当然私はそう思っていた。…のだが、それだけ言って消え去った姿と、あまりにも真摯な眼差しが心に残っていた。
その後、クリスティアン王子にそんな通信が来たことを伝えると、
「…多分その相手は、俺とジェロームとのやり取りを覗いていた奴だろうな。あの時、誰かに見られている気配がして、面白がって煽ってやったんだが…。
それでもなお、あなたを求めるか………煽り過ぎたかな?」
なんて、ちょっと聞き捨てならないことを言われて、 「なんですと!?」 と、思わず顔が引きつった。
「とは言え、銀緑の髪に薄い紫の瞳の全人種か……一般的過ぎる容姿なので、ちょっと絞り込むのに時間がかかるかもしれないが、どこの誰なのか、すぐに調べよう」
しかし、そうやってすぐに人物を調べてくれるそうなので、ありがたくお願いしたのだが…その翌日の夜、クリスティアン王子の報告を待たずして、その正体が判明してしまったのだった。
全人種の…多分、すごく大きな神殿の神官長なんて人が、私の夫になりたいなんて……
しかも、自分でも重婚ってちょっとどうかと思って認め切れていないというのに、 『夫の一人でいい』 …とか。
どんだけ私に甘いのよ、この世界!?
なんて、身も蓋もない言葉が口をつきそうだったので、グッと飲み込む。
―――そういう事を言い出したら、この話の根幹が終わってしまうので考えないようにした―――
そして、スマホの画面越しであっても、見れば見る程現実離れした美しさを持つ存在が、嬉しそうに耳をパタパタさせながら私を見つめて、言葉を待っている。
こんな、上品で賢そうで、綺麗なエルフさんが、私の…? 嘘だろ。
いや、クリスティアン王子とか、ロビンとかも十分カッコいいし、可愛いし、それこそ人化したマーリンやタロウだって、外国モデルか俳優並みに整ってはいるのだが……この人は、ちょっと絵画的な美しさというか…まあ、現実味のないレベルの美しさと言えばいいのだろうか……語彙が乏しくてすみませんが。
見れば見る程違和感しか感じないので、やはり聞き間違いだろうと思い、自意識過剰な聞き間違いをしていたのではないかと、赤面しながら確認したのだが……彼は本気だった。
本気で私なんかの夫(の内の一人)になろうとしていたのだ。
いくら善五郎さんの伝説が人気でも、それはないだろう。
そう思ったものの、世の中、フェチというものは、案外どこにでもいたりするので、それも確認してみたら……なんだか熱い告白をされてしまい……思わずクラクラと眩暈がするほどトキメイてしまったではないか。
やだ…この美形の微笑の破壊力、ヤバすぎない?
時折パタパタ動く、長い耳とか……ペロペロしたい…(*´Д`)ハァハァ
本気で私と結婚するつもりなんですか? コンチクショー!?
………なんてこと考えながら悶えてるなんて、おくびにも出さずに赤面していたりするのだが、
最近、肉欲に溺れがちな生活しているせいか、内なる自分が荒ぶってきている気がするなぁ……
と、鉄格子から飛び出しそうな己のケダモノを理性でふん縛りながら、考える。
それでも、電話でのやり取りしかしていない、ほぼ初対面の相手と結婚するとかはあり得ないので、まずはお友達から……のつもりで返答し、その日から1か月程、遠距離恋愛のような微笑ましい電話での逢瀬が続いていたのだった。
その間、流石に各者に内緒で電話なんて、こっそり浮気してるみたいな気がしてしまうので、一応の成り行きは伝えたのだが、
<あちらの神官長か……山の大精霊たちが、かなりテコ入れをして進めてきている相手だ。そなたにとって悪いこともないだろう。好きにすれば良い>
と、保護者とも言える精霊さんたちからは押し上げ気味に了承される。
一緒に住んでるマーリンやタロウからは
『うひゃひゃ…今度はアレフハイムからニャ? さすがご主人、あそこの神官長とは、また大物引っこ抜いたニャ』
『主の好きにすればいい。主の家は結局ここなのだ』
と、なんだか愉しんでるマーリンに不穏なものを感じつつ了承を得て、王子からは
『へえ……アムリア神殿の神官長……。…姫の好きにするといい。…ククッ…全人種か…面白いことになりそうだ…』
などという、何やら悪役のような暗い嗤いをいただいたので、それ以上踏み込まないように、そっとその場を後にした。
…まあ、あれだ。
一妻多夫が世間の常識となっている世界で、浮気とか重婚とか多情とか…そういう感情って湧き難いものなのかもしれない。
夫同士の交流とか、コミュニティとか、序列みたいなものはあるみたいだけど、お互い不可侵っていうのが基本スタンスらしいので。
ちょっと私にはよくわかんないけど、そういうものだと割り切って、己を納得させていったのだった。
そんなこんなで、拍子抜けするほど何の障壁もなく、お互いの人となりも分かる程度には交流してきた1か月後、
私はヨナ神官長に思いを告げて、初めての逢瀬を果たしたのだった………が。
私たちは、何故か初対面で一緒にお風呂に入っていたのだった。
あれ?
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