【R18】「いのちだいじに」隠遁生活ー私は家に帰りたいー

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その後のお話編:彼女にまつわるエトセトラ

颯太くんの成長日記 ⑧ ※<おわり>

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 姉から魔力を吸い上げて、体の奥のほうがじわじわと満たされていく感覚を覚えて眠りに落ちた。
 まるで赤ん坊が腹いっぱい母乳を吸って、眠くなるように、それは唐突に俺の意識を奪っていった。

 そして、体の熱が全身に行き渡ったと無意識に理解しながら、その暑さで目を覚ますと…俺は男の腕枕で目覚めるという最低な状況の中で覚醒した。

「ぉうわっ!?」

 おかしな声を上げながら飛び起きて、周りを見渡すと、俺に腕枕をしていたのはタロウという、犬のような狼が人化した少年だと理解する。

「こいつ……天然か?」

 主人である姉の弟であっても、自分も人型になって男を腕枕って……もう少しその異常性を気にしてほしかったぜ……

 そうやって、内心でブツクサと苦情をこぼしているものの、やたらと自分の体をスムーズに動かすことができることに気がついて、首を捻って、自分の体を見下ろした。

 あれ? ちょっと成長してね?

 グーパーと握ったり開いたりする掌は、赤ん坊というより幼児のものの様で…

 横でクーカクーカと呑気な寝息を立てる犬耳美少年をチラリと見下ろした後…ふと、姉の姿がない事に気がついて、何の気無しに、気配を探ってみる。

 気配…というよりも、きっと姉の魔力の波動を探していただろうことは、何となく気がついた。

 この世界に移動してから、魔力というモノの概念を徐々に理解していき、この小さな体に蓄えていくにつれ、それをどう使えばいいのかということが、何故かいつの間にか感覚として身についていたから。

「姉ちゃん…あっちか…」

 俺は瞬時に姉の魔力を辿って、成長した自分の脚で歩き出すよりも早く、姉のもとへ転移する。
 自分の脚で歩くよりも容易く、それが「できる事」かどうかなんて、疑うことは有り得なかった。



 そして、姉の気配が…魔力が色濃い部屋……

 多分元いた部屋と同じ敷地内の離れの―――内緒にされていた―――部屋だと思いながら扉の前に立つと、何やら中から姉のすすり泣く様な声が聞こえて立ちすくむ。

 ……姉に限らず、女のこういう声に心当たりがありすぎて、嫌な予感しかしない……

 俺はそぉっと扉を少しだけ開けて中を覗きこんで、

「ふぁっ…ンぁあぁっ…イク…っ」

 枕に顔を押し当てながら、マーリンという猫耳美少年に後ろから穿たれている姉の嬌声が響いてビクッとした。

 パンパンと最後のスパートをかけるように激しく肉がぶつかる音が部屋の中で反響し、驚きのあまり身動きも出来ずに、食い入るように部屋の中の二人が同時にベッドへ倒れ込む姿を見守っていた。

 姉ちゃん……何してるんだ?

 これほど明らかな状況を目にしていながら、自分の心は理解を拒んで、意味のない問を頭の中で呟いた。
 しかし、裸で寝転んでいる猫耳少年の髪を漉きながら微笑んでいる姿を目の当たりにして、ようやく頭が…感情が動き出す。

 その女は、俺のモノだ。

 かつて俺が閉じ込めようとした本音が、体に蓄えた魔力の放出と共に首をもたげたのを感じ…その異様な気配を無意識に感じて、こちらを向く姉と視線が合った。

「ひぃいっ!座敷わらし!?」

 …ちょっと天然入っている姉らしい、とぼけた驚き方だと思ったが、気持ちは全く和まない。

「姉ちゃん………そいつ、姉ちゃんの何?」

 怒りや嫉妬と少しの寂しさを押し殺し、如何にも『事後』な二人の姿を見ないよう、穏やかに問いかけたつもりだったが、俺のただならない様子に怯えた姉は、引きつった表情のまま黙り込んだ。

 その後、俺の剣幕に焦った姉が、この猫のみならず犬の方とも関係しているとバラされて……ブツッと心の何かが千切れた音が頭に響いた。

 …なぁんだ……
 姉ちゃんだって、俺と同じじゃん…

 快楽に弱くて、貞操観念が薄くて……いつまでも血の繋がった姉を諦めきれない自分とは違って、キレイな存在だと思っていた。
 思い込んでいたかった。
 だが…俺と同じ様に、欲望に忠実な生き物だったというのなら……あんなに我慢する必要はなかったのかもしれない。

 容易く俺以外の男に抱かれるような姉に、自分勝手な怒りを覚えながら、「それなら自分だって許されるだろう」と思うと、これまで封印してきた欲望を叩きつける理由を見出すことができた。

 そして俺は、体の中で渦巻く力―――魔力と呼ばれるモノ―――を無意識に操って、音もなく邪魔な二人を排除すると、夢にまで見た女を自分のモノにできるチャンスに歓喜する。

 最初は抵抗されるかもしれないが、体から堕とせば、きっとすぐに姉も喜んで俺のモノになるだろう。

 …その時、転移してからずっと俺に優しくて、まるで昔にもどったかのように甘かった姉の対応に浮かれすぎて、俺は本来の姉との関係や、姉の思いを完全に見誤っていたとしか思えないほど、都合の良い考えに没頭していた。

 俺の考えが自分勝手極まりない思い込みだったとしても、俺たちを姉弟と知るものは誰もいない世界である。
 姉が俺を受け入れるなら、俺たちを阻むものなど存在しない。

 まるで楽園にでも来たような気持ちで、油断して避けることもできない姉の唇に吸い付いた。
 そして、徐々にしつこく愛撫を繰り返す舌に馴染みだし、その動きに応じられると、次第にその考えが正しいものだと思い込み…

「こんな子供の俺でも、姉ちゃんは、良いんだ…」

 そう言って、トロンとした表情で見上げてくる姉の目に、欲情の色を見つけると、執着はより一層深いものとなっていく。
 そして、互いに唾液を貪りあっていく内に徐々に成長していく体を感じながら、それに比例して大きくなる欲望が俺の心を支配していった。




「…しばらく見ない内に…おっぱいおっきくなって、腰つきもなんだか色っぽくなっちゃったし…
 随分感じやすくてエロい体になっちゃったよね…。
 ねえ、これもあいつらの仕込み?
 それとも、もっと他の男ともヤッたの?」

 最後に見た姉の体は、まだ高校生だった。
 その頃と同じ様に若い肌を保っていながら、微妙に男慣れしたような体つきになっていたことに興奮するも、同時に他の男の影が見え隠れすると、胸がキュッと締め付けられるような気持ちに襲われた。

 そのため、『番』とか『伴侶』とか言ってたあの二人によるものか、他の男もいたのかわからないが、感じやすい体を楽しみつつ、ひりつくような嫉妬に苛立ちを感じて、姉がどんなに嫌だと言っても、責める手がより一層容赦のないものになっていく。

 そうして、姉はあられもない嬌声を上げながら、姉が家を出ていった年―――12歳程度まで体が大きくなって、身長も姉と同じがそれ以上に伸びた俺に容易く組み敷かれた。

 抵抗は、最早口ほどにもされておらず、自分の思い通りに事が進んでることを感じてほくそ笑みながら、ヌラリと淫靡に濡れる隘路を舌でなめ上げ、滴る蜜を啜って姉の性感をただただ刺激していくと……まるで強請るように腰を跳ね上げて、更なる愛撫を求められることによって、満たされる心が確かにあることを感じていた。

「だめっ、だめぇっ!」

 しとどに濡れて後から後から蜜を滴らせる膣孔を解すように指を挿入すると、先程までの情事の名残か、解すことは容易かったことにも、胸の中に黒い思いが湧き出す。
 しかし、陰核を刺激するたびに指に絡みつくように蠢くナカの動きと狭さにゴクリと息を飲み、期待で昂ぶる性器が熱を持って痛いほど張り詰め、舌での愛撫も更に激しさを増していく。

 ていうか…毛がねぇと舐めやすくていいよな。
 普段から下の毛処理する女も居たけど、あの体毛薄めだったとは言え自然派だった姉ちゃんがパイパンとか、マジ滾る。

「だめっ、クリだめぇっ!! イっちゃう…すぐイッちゃうからぁぁっ!!」

 想像以上の意外性に思わず舐め転がす勢いが増してしまったものの、グチュグチュと水音を立てて責め立てて間もなく、姉は大きな嬌声と共に腰を何度も跳ね上げて、全身をこわばらせるように力を込めながら絶頂を迎えた。
 そして、力を失ってベッドに沈み込んで、しどけない寝姿で息を切らして横たわる。


 そろそろ、もういいだろ…


 ぐったりと寝転んでいたはずの姉の目が不意に俺の姿を捉え、驚愕していることに気づくと、自分の体が元の年齢まで戻っていたことを感じてニヤリと笑い返した。
 18歳の俺の体は、姉の小さな体を容易く抱え込み、すっかり大きくなった掌で滑らかな肌を愉しむように滑らせると、ビクリと敏感な反応を返される。

 そんなウブな反応に応える様に、俺は腰を覆っていた布を取り払った。

 何年も経って、それなりに使ってきた性器は子供の頃のあどけなさを消し去って、色味の増した少々エグい仕様になっているかもしれないが、俺のモノを凝視して息を飲む姉の蒼白な顔に、むしろ愛しさすら感じていた。

 いつまでも子供のままじゃないのは、お互い様だ。

 そして、腰に巻いていた布もなくなり、目の前に露わにそそり立つ性器の存在に釘付けになっていたが…ハッと我に返ると

「ひぃっ!…ちょちょちょっと! 姉弟でヤるとか、マジでやめてよ!」

 なんて、この期に及んで見せる悪あがきには笑いがこみ上げた。

「今更何言ってんだよ。 すっかりエロい汁ダラダラ垂らして出来上がってるくせに
 弟の愛撫も気持ちよかったんだろ?」

 クククと嗤いながら見下ろすと、上気した肌がスゥッと冷めるように白くなった。

 引いたか? 
 …これからもっと体温上がることするから、まぁイイけど。

 獲物の下処理は済んで、後は貪るだけ。 そんな気持ちで姉を見下ろすと

「私の弟は…颯太はそんな子じゃなかった…」

 と、小さく呟く声が聞こえてくる。
 俺に聞かせようとした…というよりは、思わずと言ったセリフだった。しかし、

「……姉ちゃんが、家をでなければ、可愛い弟のままだったかもな。
 でも、姉ちゃんは俺を置いて出ていった…。
 だから、離れていかないように、俺のモノにしないといけないんだよ」

 そう言いながら、どこか何かが違うような不安や焦りが過り、それでいて、望み通りに願いが叶う瞬間のような期待感も渦巻いてグチャグチャな感情を持て余す。しかし、

「やだ…やだ…いや…。 やめて……」

 激しい抵抗をするほどの体力もなく、うっうっとベッドに顔を擦り寄せて、堪えきれない嗚咽を漏らす姉の下半身をグイッと持ち上げると、

「あっ…っ…」

 という、姉の艶声に耳を奪われ―――――最早何も考えないように思考を閉ざし、目的を遂げることだけに集中した。

「大丈夫、キモチイイことしかしないから…」

 今は心が伴わない行為であっても、せめて体だけでも悦ばせてやりたい…

 そう思いながら固くなった性器でヌルヌルと隘路をなぞり、蜜孔の窪みに固定してグッと腰を推し進めようとした時だった。

「この、ドアホウ!!!」

 脱力して腰砕けになっていたというのに、どこにそんな力を残していたのか?

 突然姉が俺の手を振り払いながら罵声とともに飛び起きて、反応出来ずに驚愕したまま固まっている俺の顔面を拳で殴り飛ばす。

 ボクシング漫画でしか見ないような、腰の捻りも完璧な、見事な右フックだった。
 唐突に横っ面を殴られて、一瞬フワッと体が浮いた気がするほどのハードパンチに、目の前がチカチカする。

 えっ?……えぇっ!?

 しかし、殴り倒された先もベッドの上なので、俺はマットレスのスプリングを弾ませながら転倒したものの、全身には大した衝撃もなく『ドサッ』と倒れ込んでいく。


「シスコンこじらせるのもいい加減にしろ!!
 あんた、私とそんな事になった後、どうするつもりなのよ!
 子供なんて望めないし、出来ちゃっても二人で乗り越えていけばいいなんて無責任は許さないわよ!
 生まれてくる子供が一番可哀想でしょうが!
 そんなことになったら、たった二人の姉弟だっていうのに、お父さんやお母さんのことはどうするつもりなの!
 ていうか、そもそもがヤリチンのくせに人のことを非難するとか、図々しいんだよ!!
 受験生は勉強に勤しめ!!」


 殴られた頬を抑えながら起き上がり、かと言って怒りに打ち震えている姉を見ることも出来ずに横座りになって黙っていると、怒り心頭といった様子の姉が、俺に言い聞かせる様にまくし立て…。

 てか、『子供』って…………………真面目かっ!?

 取り敢えずテンション上がりきった若い男女が初めてヤるって時に、そこまで考える!?
 そこは、この作品のコンセプト的に流されちゃってもいい所じゃねーの!?
 中坊とか、獣人とか、そういうのはオッケーなのに、そういうとこだけシビアなのってどうなんだ!?

 言われた瞬間、そんなことも頭に浮かんだが………姉弟二人で転移した後、あちらに残されている父さんや母さんのことを出されると、急に現実に戻され、スッと心が萎えた。

 そして、『ヤリチン』…『ヤリチン』……
 …実家に帰って来ない姉ちゃんが、俺の何を知っているというんだろう………
 母さんか……?
 実は母さんにはバレてたのか?

 俺を蔑むように見下ろす姉の視線が突き刺さり、ヤリチンの弟が、欲求不満のあげく肉欲のままに襲ったと誤解されていると思うと、いたたまれなくなって……涙が後から後から流れてくる。

「そんな…そんなこと言ったって…姉ちゃんが悪いんだ…。
 俺はずっと一緒にいたかったのに…姉ちゃんがいればそれでよかったのに、いなくなるから…
 だから、体から離れられないようにすればいいと思って…だから…」

 焦ってやり過ぎた……

 そう実感して「ウッ」と涙を溜めながらも目を逸らすことも出来ない。

「…どこのヤンデレ様ですか、あんたは。体からって発想がもう…」

 全裸で仁王立ちという、なんともワイルドな姿の姉は、首を左右に振って深いため息を吐きながら呟いた。

 呆れた眼差しを隠しもせずに見下ろされ、

「ごめんなさい…ごめんなさい…嫌いにならないで…」

 なんて、年齢一桁の子供の頃の様にウッウッと嗚咽を漏らしながら許しを請う。

 ―――――どんなに姉が怒り狂っていたとしても………いつもなら、このパターンで許されるはずだ。

 姉の言葉に、その呆れられた態度に打ちのめされていようとも、どうしてもどこかで姉の怒りの深さを推し量り、許されることを考えてしまう自分のズルさを自覚する。

 そんな内心はおくびも出さず、涙を拭いもせずに視線を彷徨わせながら見つめていると、そっとシーツに包まれて抱きしめられ、頭をなでられた。

 ああ…よかった。…まだ大丈夫だ。

 姉に優しく頭を抱きしめられると、その優しい手の動きに心の底からホッとした。

 止まらない嗚咽を漏らしながら頭を擦り付け、しきりに「ごめんなさい」と繰り返していたが、拒絶されていないことを実感してホッとしたと同時に虚脱感を自覚し…………少しずつ意識が無くなっていくのを感じていた。




 そして、再び目覚めると、昨夜のことが夢だったのだろうかと思う程、とても爽やかに目覚めることができたが…。

「………何で子供のままなんだろね……」

 自分の手を見つめて呟いた。年齢は3歳位…といったところか。

 目の前には、あんなことがあったと言うのに無防備に寝息を立てる姉の寝顔があり、その足元には犬と猫が丸まって眠っている。

「………何なの、コイツら。
 俺ってマジで眼中ないってこと?」

 …いや、拒絶されていないだけ、感謝すべきなんだろうけど。
 何もなかったことにされるのも、なんだかな――――。

「ふふふ…」

 何の夢を見ているのか、ニヘラと口を綻ばせてニヤつく姉の笑い顔を見ていると、何だか一人でムキになっていた自分がバカバカしくなってきた。

「………もっかい寝るか……」

 モゾモゾと横向きに寝る姉の腕の中に潜り込んで、その胸の谷間に顔を押し付けるように密着しながら、俺は姉に抱きついて再び眠りに入る。


 …………姉の意識がある時に、ネットリしっかり合法的に姉の体液を啜るに限る。
 今は体力を温存して、姉ちゃんに俺の良さを自覚させていくには、心も体も持久戦に持ち込んだほうが良さそうだ。


『押してダメなら引いてみな』

 昔からある古典的な戦法ではあるが、それこそが王道だったりするのだ。

『押してダメならもっと押せ』

 この戦法は……ダメだったから。

 弟の身であんまり強引に事を進めると、家から離れた分だけ長女としての責任感みたいなものが出てくるのかもしれない。
 一度は地球に帰って父さん母さんや家のことを何とかしてこないと、多分納得してもらえないんじゃないだろうか?
 いい加減な所もあったけど、根は真面目な優等生だったし、年の離れた弟を持つと長女としての心構えみたいなものが、強いのだろう。
 ならば、姉の代わりに両親の面倒を見る弟を無碍にすることはなく…それどころか、感謝されるだろう。

 やっぱり、心から陥落するには、外堀って大事だよなぁ…

 …それに、姉ちゃんは帰れなくなったって言ってるけど、何となく俺、帰れるような気がする…
 この家の近くで転がってたって言われたけど、あの時空の穴? 
 あそこから何か呼ばれてるような気配がいつもあるし……
「帰りたくても帰れない」って言ってる姉ちゃんには、何か悪くてまだ言ってないけど。
 それに、俺のスマホに取り付いてるっていう精霊が、<あそこの穴は、まおうの穴>とか言ってるし…
 ユーザー登録でもされてるっていうのだろうか? 
 どういうシステムなんだ、この世界。

<まおう>っていうのも…………なんだかなーーー…
 厨二的な二つ名ついてるみたいで恥ずかしいわ…。
 ファンタジーな存在の考えることは、よくわからん。
 まあ、姿も見えない人外どもが何言ってても、どうでもいいけど。

 とりあえず、この足元にいるペットみたいな犬猫もいずれ排除するとして………
 とは言え、こんなわけわからん世界で肉壁として姉の身を守る役目をする存在も必要だし……

 俺が姉ちゃんを物理的にも守れるようになるまで――――本当に嫌だけど――――俺がこの世界で、姉ちゃんを守る存在としての立場を確立するまでは、2匹のペットの存在位は許してやるしかないんだろうな。


 ―――――そんなとりとめのないことを考え、来る明るい未来設計を組み立てつつ、ウトウトとし始め……俺は姉の温もりに包まれながら…眠りに落ちていったのだった。




 その後、再び姉から真面目に魔力を摂取することに励みつつ、素知らぬ顔でそれ以上の快楽を与えた結果、数日で元の大きさに成長を遂げると、家庭教師スタイルの姉が、デスク横の椅子に腰掛けた状態で、俺の模試結果片手に待ち構えていた。

「今、夏休み終盤だって言ってたよね。 
 それでこの模試の判定はちょっと厳しいと思うから……今日からしばらくの間、帰れる算段がつくまで、私がカテキョします。
 実力については、安心してもらっていいと思うよ。
 私、大学生の頃は何人も第一志望に合格させてきた実績もあって、口コミで指名される程度にはカリスマ家庭教師として有名だったんだから」

 なんて、若干ドヤな顔で脚を組み替えながら、チラリと横目に俺を見て、顎を反らして宣った。
 これがスーツスタイルのタイトスカートならよかったのだが、生憎パンツスーツだったので、エロさを期待する気持ちはピクリとも動かない。

 …確かに、姉ちゃんに教わると勉強も分かりやすかったけど……そんな特技がありながら、就職浪人してたってのが納得いかないんだけども……

 姉の隠れた才能に心強く思いつつも、俺は賢明にも、余計なことは言わないように口をつぐんだ。

 姉は、転移時に着ていたスーツをこの時のために引っ張り出してきて、女教師風の雰囲気を醸し出しながら、書斎兼寝室のデスクにテキストを並べて、デスク前の椅子に座るよう促す。
 そして、どこから取り出したのか、使いみちの不明なムチのような指示棒をパシパシと手に打ち付けて嬉しそうだが―――――まさか、その棒で俺を叩いたりしないだろうな?

 そんな倒錯的なことされたら………なんか、いらん所に力が入って勉強に集中できなくなってしまいそうで困るのだが……
 いや、したかったらしてもいいんだけど。
 ホント、別にいいんだけど…………。
 あ、しないの?
 そうですか。
 ちっ。

 …それにしても、やたらと形から入るクセは変わっておらず、久しぶりに俺に勉強を教えることが楽しそうだったので、まあいいかと諦めて大人しく勉強を教わったのだった。

 ちなみにその間、犬猫どもは後ろのベッドで寝転んでいたり、どちらかが片方ずつどこかに出掛けていったりと、自由に行動していたので、俺達の勉強タイムを邪魔されることはなかった。




 その後、有名予備校の勉強合宿の様相を伴い出した生活も、異世界時間的に1ヶ月ほどで終わりを告げ、涙ながらに俺を送り出す姉との別れを惜しみながら、しつこくねちっこい口づけをカマして腰砕けにするのだが……欲情して潤んだ瞳を見下ろしながら、自分も結構局部がヤバいことになっていたのは気づかないフリをした。

 ………後ろに控えていた2匹が、そんな姉の様子を見て、発情期の獣のようにソワソワとしていたので、これから組んず解れつの営みがおっぱじまることだろう。
 俺がいる間は、俺の居ない所で勤しんでいたようだったし……。

 考えるだけで腹が立つ。
 貞操観念は緩い方だが、本気の女を誰かと共有するとか、やっぱないよな。

 クッソ。
 またすぐに帰って来て、アイツらを蹴散らし、俺の存在を忘れられないようにしてやらないと。

 そう思いながら、俺は後ろ髪を引かれる思いで森の空間にポッカリ空いた穴に足から入り込む。
 穴の大きさは、肩掛けカバンを持った大人の俺が余裕を持ってくぐれる輪っか程度だったので、姉達も通ることができるんじゃないかと思ったが、何故か穴の表面に見えない膜でも張っているかのように、俺以外では手も通らなかった。

 それでも、ここにいる間に俺のスマホと姉のスマホが直通になったので、電話はいつでもできるだろう。
 この穴を通じて、日本とこの世界で電波がつながるようでもあるし。

 俺が毎晩掛けた所で、あっちにはどういう周期でつながるかは、まだわからないが…できる限り頻回にかけてやる。
 幸い、分刻みに掛けてみたところで、あちらには程よく離れた間隔で掛かるだろうし……。

 父さんや母さんとも連絡させてやって…離れていても家族のことを思い出させてやりたいし、忘れさせたくない。

 そして、なるべく頻繁に通って……あくまでも、姉ちゃんは……麻衣は俺の家族であり、いずれ俺のものになるってことを思い知らせてやる。


 そう決意し、俺は元の世界の家の近所で拳を握りしめながら、ちょっと旅行にでも行ってきたような体で帰宅した。
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