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その後のお話編:彼女にまつわるエトセトラ
異世界お宅訪問編 エルフさんのお宅から ②
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腕輪から転移魔法を発動させている姉に抱き締められ、寄り添うように抱き合ったまま転移を果たすと、そこには一人の男がいた。
男は、一見黒と見紛う程濃い緑色の生地に銀糸で刺繍を施した、如何にも仕立ての良さそうな衣装に身を包んでおり、転移先の荘厳な教会の様な雰囲気の室内に、溶け込む様に佇んでいた。
スラッとした細身の姿は、俺たち人間のものと何ら変わることはなく、まるでファンタジー映画か、中世か近代ヨーロッパを題材とした映画で見た―――カソックと言っただろうか―――厳格な聖職者の様な出で立ちに、目を奪われる。
日本の町中で出会っていたら舞台衣装の様に浮世離れして見えてしまっただろうけども―――むしろ、日本の普段着の様なラフなスタイルで出現した俺たちこそが異分子なんだと理解した。
そして、男の顔の横に付いたその耳が、それこそ俺たちの世界では『エルフ』と呼ばれるおとぎ話の住人のように長く先が尖っており、感情の動きに合わせてふるふると震えている事に気がついて目をみはる。
こちらではエルフとは言わず『全人種』と呼ぶのが正しいらしいが。
男は、突然現れた俺達の姿を認めて眩しいものを見るように顔を歪ませたかと思うと、俺の顔を見た瞬間驚いて目を見開き………それはそれは嬉しそうに、ゆっくりと艶めかしい微笑みを浮かべた。しかし、その笑顔を見た時、何故か俺の背筋にゾワッとしたものが駆け上がった。
「想像以上に綺麗な人だから、ビックリするよ」
姉から何と言われ、知らされていたのかは知らないが、俺の姿を認めるなり頬染め微笑む姿に―――何とも言えない不穏なものを感じて鳥肌が立ったけれども―――転移前に姉から言われた言葉を思い出し、自己紹介されるまでもなくこの美貌の男が夫と呼ばれる4番目だと瞬時に悟った。
「初めまして、ソータ様。私はヨナと申します。
マイカ様の夫の一人であり、このアムリア神殿で神官長を務めさせて頂いております。
女神とも呼ばれる方のご親族にお会いできて、光栄でございます」
外見通りの涼やかな美声でそう言うと、男―――ヨナ神官長は、俺に握手を求めるように手を差し伸べた。
昨日会ったクリスティアンという男も、普通にその辺を出歩くだけで、人目を集める程カッコいい美青年だったことは、認めざるを得ない。家で留守番中だという、犬猫二人の人間姿だって、年代やタイプは違えど彼らと比べても遜色ないほど整ったものであることも。
なので、そんな男たちを夫だと言う姉がそこまで言うのだから、ある程度以上のイケメンが出てくるのだろうと、心の準備はできていた。しかし、少々想定以上の美人が出てきて、思わずマジマジと見つめてしまう程度には驚いた。
マジモンの美エルフが出てくるなんて、聞いてない。
姉ちゃん、どうやってこの男落としたわけ?―――普通に疑問だわ。
とは言え、この世界で一般的だと言うケモミミも大概だけど、エルフ耳もまた違ったレア感あるな…とは思うし、ここが異世界であることを実感する要因ではあるが、俺にとってはその程度の問題でもある。
この男の美貌に対しては、目を奪われるに値するとは思うけども。
その芸術品の様な美貌に見惚れたのも一瞬だったが、そのスキに俺の手を強引に掴まれ、体格なりに大きな掌の温もりや、男にしては滑らかな指先の感触に我に返れば、いつも通りの調子に戻った。
しかし、男にしては華奢で嫋やかな見かけに反して、思った以上に素早く力強い動きのギャップに惑わされたのか、反発する間もなく
「あ、ど、どうも」
なんてキョドった返しをしてしまったことを、数秒後には恥ずかしく思う。
まるで緊張してる少年みたいな反応に見えたかもしれないと思うと、反射的に動揺してしまった自分にイラッとする。しかし、骨が軋む音も聞こえそうな位力強く握られた手は、部屋を移動した後も開放される兆しも見えずに握り込まれていった。
…華奢な体に見えて、結構鍛えてんな、こいつ。
その辺の美女なんかお呼びじゃない程綺麗な顔してるくせに意外と女々しさは感じさせず、しっかりと男らしく引き締まった筋肉ついてるし―――クッソ、全然引き剥がせねぇ。
身長は俺より少し高く、厳格で禁欲的なデザインの神官服に身を包んでいるため、如何にもなお固い聖職者スタイルである。
そのくせ、厚手の衣装に包まれているとはいえ、身近で感じる体格は、意外と胸板や背中の筋肉はしっかりついているし、腕や下半身もそれなりにバランス良く鍛えていそうではある。
こっちのやつらって、細身に見えてもやっぱ体格いいのな……悔しいことに。
こういうのも異世界デフォ……とは言わないだろうけども……不公平極まりない気がする。
引き攣るような営業スマイルの裏でこっそりと、俺は密かに歯噛みした。
てか、この人すっげー嬉しそうな笑顔で超笑ってるけど……絶対に何か腹黒いこと考えてる笑い方だよな。
なんか後ろに黒いもんが見えてる気がするし……姉ちゃん、気づいてないのかよ?
微笑みの裏側で背後から立ち上る、瘴気のような禍々しい負のオーラを。
姉ちゃんに寄り添おうとする度に、微妙に腕引っ張って必要以上の接触をガードされてる感じするんだけど。
……俺のこと、妻の弟って言うより、ライバル認定してるってことでいいんだよな。
そうでもないと、初対面の俺に対するこの行動が謎すぎるし。
超絶美形のエルフ青年が、花のような笑顔で微笑みながら、裏では物理でダメージを与えようとしてくる支離滅裂さには、流石の俺もドン引きである。
…にしても、痛ってーな、この野郎。気安く引っ張ってんじゃねぇよ。
姉ちゃんからは俺の顔が見えないからって、やりすぎなんだよ。
そう思いながら、負けじと微笑み力を込めれば、お互いに微妙な緊張感のある場が生まれつつあった。
恐らく、こいつもあのクリスティアンと同様に、出会った瞬間ビビッと来たのだろう。
弟と言えども、同じメスを取り合う敵に過ぎないと。
だがしかし―――年齢が安定しない俺の肉体を守るため、魔力を物理的な腕力に変換する方法を教わった俺に死角はない。
誰からって、そりゃ魔法使えない癖に魔力チート持ちになった家族(姉)からですよ。
昨日だって、その力を駆使した抵抗力を発揮して、どうにか自分以上の体格を誇るマッチョと互角に渡り合うことができたのだ。
そう思えば、このヒョロい美エルフ(イメージ補正@ブーメラン)相手に弱気になる要素はどこにもないのである。
それにしても、想いを受け取って欲しい姉は、肝心な所でこんなに鈍いというのに、流石獣人の世界の住民は、動物的な勘が鋭いと感心してしまうのだが―――体が密着しすぎている気もするので―――力負けて引いたと思われない程度に体の距離を離すことも忘れなかった。
そして、少し離れたところから、まるでコケて泣きわめく幼児を見守る親の様な表情で心配そうに俺たちを見守る姉に気づき、そっと目配せをする。
この人、綺麗な顔して見敵必殺系のヤバい人?
初対面からすっげー笑顔のくせに、瞳孔開いたサイコパスみたいな目つきで人の手握り潰そうとしてくるんだけど……。
ホントにあんたの夫で、超絶賢いクールな神官長様な訳?
実は夫とは名ばかりの外見詐欺のストーカーとかじゃないの?
妻帯者の余裕というものがまるで無いっていうか、完璧な微笑みの中で、微妙に焦点合ってない目つきされんの、結構キツいんですけど。
姉と合わせた視線で…目で、そう訴えたつもりだった。
もちろん、俺たち姉弟の間で通じるテレパシー能力なんてないので、通じるかどうかは微妙な所だ。
しかし、俺たちのやり取りを気にしながらも近づくこともできないといった風に見守っている姉に対して、取り敢えずそんな感じの思念をアイコンタクトで送ってみる。
姉弟なら…通じる奇跡があるかもしれないと信じて。
すると、姉は心得たと言わんばかりに大きく頷いて、その後苦笑いしながら諦めた様に首を横に振って返してきたので、
あ、これ通じてないやつ。
と一瞬で悟り、俺は笑顔のまま、しかし内心の諦め混じりの苛立ちをぶつけるように、力いっぱい男の手を握り返して揺さぶった。
「ふふふ……すみません、ボウッとして。
初めまして、弟のソータです」
握り合う手をプルプルと震わせ、下から睨みつけながら軽く頭を下げ、今更感漂う挨拶を始める白々しさよ。
しかし、そんな事はお構いなしに、口の端を吊り上げて笑いかければ、対するヨナ神官長もより一層笑みを深くして、
「ええ、マイカ様の弟君にお会いできる事は、何よりも僥倖でございます」
と、負けじと力を込めてきたので、二人して『ふふふ』と顔では笑いながらも、手元では一種の膠着状態が生まれていったのだった。
そのせいあってとか言いたくないが、この男が確かに姉を大層愛していることだけは、握り締める拳を通じて十分伝わってきた。
……俺にとっては不快な現実確認でしかなかったけれども。
何やら妄想に耽ってキラキラした目で俺たちを見つめる姉の傍らで、俺たちは静かに微笑みを浮かべながらも水面下では醜い小競り合いを行っていた。
そして、数秒とも数分ともとれる争いの間に現れた、やたら目力の強いマッチョイケメンエルフの武闘派神官という設定盛りすぎなイケメンに先導されて移動することとなったけれども―――姉がこちらから目を放したスキに手を引き剥がして姉の横に陣取ろうとするも阻まれ続けた。
その結果、男と手を繋いで別室に移動するという由々しき状況のまま移動し、何故かその流れでヨナ神官長の真横に座らされるという悍ましき事態となった。
ありえねぇ。
そこまで来ると、流石に俺もブチ切れる。
「おい、何で俺とあんたが隣り合って座ってんだ!?」
慇懃無礼な笑顔もかなぐり捨てて、怒りを押し殺して震えながら訴える俺の言葉に、誘導されるままに座っていた姉も「あ、やっぱりおかしかったんだ」という表情で安堵のため息をついていた。
違う、そうじゃない。
そこ、安心するとこちゃう。
姉のズレた反応に、反射的に頭の中でネタ的なツッコミを入れるが、それを察する様な女ではなかった。
だがしかし、思った以上に敏いと思われる、厚顔無恥にして顔面詐欺のエルフは、俺たち二人の反応を受けて、芝居がかった様に恥じらう風情で目を逸らす。
「申し訳ありません。
そうですね、そちらの習慣では、『お客様』はホストと隣り合って座られないのでしたね?
すみません、側近の者もいつもと同じ様に茶器を配置してしまい、私も気が付きませんでした」
などと、成年男子がするにはあざとくもしおらしい風情で謝罪してきた。
ピルピルと震える耳もわざとらしいが、この人外レベルの美形なら、何をやってもハマってしまうので感心しそうになるのが悔しい。
…確実に、姉の性癖を直撃するよう狙って行われた態度であると、俺は疑いもなく確信する。
だってこいつ、切ない表情で謝罪してる最中でも、未だに俺を姉ちゃんに近づけないよう、手を拘束したまま離さねーし。
てか、仮にも妻とか言う女の前で、ずっと弟の手を握ってるってアリなのか? 異世界。
「そうだね。社会的マナーって、国によって違ってたりするから、難しいよね」
なんて、何かを思い出しながらヨナに苦笑を返す姉の姿にもイラッとする。
やっぱりわかっていないらしい。
この糞エルフ。………どう見積もってもアラサーっぽいのに、何だその年季の入ったあざとさ。
マナーとか習慣とか、ぜってー嘘だろ。一秒でダウトとか、わかり易すぎるわ。
昨日のアレな男だって、口うるさい小姑みたいな家のペットどもだって、そんな事一言も言ったことねーんだよ。
姉ちゃんが鈍いからって………好き放題やり過ぎなんだよ。
同様に、今まで姉の弱点をピンポイントで狙い澄まして行ってきた自分の所業も何のその。
それだけに他人にされるとこんなに不愉快な気分になるのかと自覚しながら舌打ちし、俺はやけくそ気味に目の前に差し出されたまま、冷めゆく紅茶を一息で飲み干した。
そして、互いに何かをわかりあったように笑い合う声を遮って、おれは言葉を続けたのだった。
「てかさ、座席云々はいいよ。良くないけど、まぁいいとしよう。
ただ……いい加減その手、放してくれない?」
なんかこいつ、姉ちゃんと会話するだけで幸せですと言わんばかりに嬉しそうにする反面、会話すればする程手が汗ばんできて、気持ち悪い。
微妙に気持ちが高揚してるのか、時々親指で手の甲とか擦ってくるし。
自分より大きな手に包み込まれてキュンとか「あっ」とかしねーから、マジやめろ。
「あんたたちの習慣はよく知らないけど、流石に俺よりガタイのいい男にいつまでも握られてるの、ちょっと嫌なんだけど」
ちょっとどころか、しっとりしてきた手が更に汗ばんでヌルっとするの、もの凄く嫌なんですけど。
流石にそこまであからさまに罵る程、俺も尖っているわけではないが……それなりに言葉をオブラートに包みながらも抗議した瞬間、握る力が緩んだスキを突いて、その手を振り解いた。
「あ…」
と名残惜しそうな声が聞こえた様な気がしなくもないが、そこは無視。
脇目も振らずに、座らされた大きなソファの端までサッと移動して、ようやく距離を取ることに成功する。そして、開放感と安堵の吐息を漏らしながら、出されたお茶を再び一息に飲み干した。
イッキで飲むにはちょっと熱めだったが、飲めない温度でもなかったので。
出された紅茶は日本で飲み親しんでいる市販のものよりも、茶葉そのものの種類が違うせいか濃いめに感じたが、その分香り付けの洋酒との相性は抜群で、喉の乾きも相まってこの上なく美味かった。
「ソータ様、如何でしょうか?
この紅茶は我が国特産の茶葉を厳選した希少種であり、フレイバーポーションもこの地方で醸造している酒を精製して作っております。
お口に合ったようなら、よろしいのですが…。もう一杯、飲まれますか?」
そう言って、側に控えた騎士の様なイケメン神官―――コンスタンと言うらしい―――が、控えめな笑顔で、まるで年季の入ったベテラン執事のような手付きで再び空になったカップに紅茶を継ぎ足していく。
その話しかけるタイミングも絶妙で、思わず引き込まれる様に頷けば、優雅な手付きでカップにお茶が注がれた。
ゆっくり味わう事無く飲み干していく俺の様子を察してか、程よい加減に冷ましてある心遣いがまた憎いイケメンである。
しかし、鼻を擽るように香り立つ、お茶の香気とフレイバーの芳香に、ホウっと人心地がついた気がしたのも束の間で。
ふと、静かに壁際に佇む姿を目に入れると、この美丈夫系イケメンも、時折目がギラついてる様な熱い視線でチラチラとこちらを伺っているように見えて、そっと目を逸らした。
視線…というか、どこかの誰かに見られている様な気がするのは、実はこの部屋に入ってからずっと感じていたけども。
一体なんなんだ、こいつら。
そう思ってしまえば最早落ち着きを取り戻すことができないまま……姉とヨナとの馴れ初めとか、この世界――というか、この国の歴史とか習慣なんかを中心に会話が進んでいったのだが……
コンスタン個人の軍人的な厳しい目つきとか、そういうものとは明らかに別種の視線に晒されているような気配に……会話が耳に入ら無いほど、精神が擦り切れていくのを感じていた。
過ぎた緊張は人の心を疲弊させ、身体的な乾きに陥れる―――そんな自覚があるために、俺はお茶を飲んで気を紛らわせた。
香り付けに淹れられているらしい、仄かな甘みのある洋酒の匂いが俺好みだったので、紅茶というよりも酒に逃げている形になっているのかも知れない。
しかし、無様に飲み潰れたことはないけども、何度か行った飲み会で自分のアルコール限界量も大体の所は把握している。
そのため、紅茶に入れるフレイバー程度の酒量ならば問題ないだろうと、次から次へと継ぎ足されていく紅茶を遠慮なく飲み干していくのだが……。
紅茶を4~5杯程カップを重ねて飲んだ所で強烈な睡魔に襲われて、気分がフワフワと浮ついたように向上して、目が霞むのを感じた。
「ソータ…? ソータ、大丈夫? 眠いの?」
気遣わしそうに話しかける姉の声に返事をしようと口を開くものの、揺れる視界は定まらず、呂律が回らない程酩酊し……
「…ゃ…さまっ……」
何かよくわからない単語を言われたような気がしたが、ふわっと体が浮き上がるような浮遊感を最後に、意識がブラックアウトしていったのだった。
男は、一見黒と見紛う程濃い緑色の生地に銀糸で刺繍を施した、如何にも仕立ての良さそうな衣装に身を包んでおり、転移先の荘厳な教会の様な雰囲気の室内に、溶け込む様に佇んでいた。
スラッとした細身の姿は、俺たち人間のものと何ら変わることはなく、まるでファンタジー映画か、中世か近代ヨーロッパを題材とした映画で見た―――カソックと言っただろうか―――厳格な聖職者の様な出で立ちに、目を奪われる。
日本の町中で出会っていたら舞台衣装の様に浮世離れして見えてしまっただろうけども―――むしろ、日本の普段着の様なラフなスタイルで出現した俺たちこそが異分子なんだと理解した。
そして、男の顔の横に付いたその耳が、それこそ俺たちの世界では『エルフ』と呼ばれるおとぎ話の住人のように長く先が尖っており、感情の動きに合わせてふるふると震えている事に気がついて目をみはる。
こちらではエルフとは言わず『全人種』と呼ぶのが正しいらしいが。
男は、突然現れた俺達の姿を認めて眩しいものを見るように顔を歪ませたかと思うと、俺の顔を見た瞬間驚いて目を見開き………それはそれは嬉しそうに、ゆっくりと艶めかしい微笑みを浮かべた。しかし、その笑顔を見た時、何故か俺の背筋にゾワッとしたものが駆け上がった。
「想像以上に綺麗な人だから、ビックリするよ」
姉から何と言われ、知らされていたのかは知らないが、俺の姿を認めるなり頬染め微笑む姿に―――何とも言えない不穏なものを感じて鳥肌が立ったけれども―――転移前に姉から言われた言葉を思い出し、自己紹介されるまでもなくこの美貌の男が夫と呼ばれる4番目だと瞬時に悟った。
「初めまして、ソータ様。私はヨナと申します。
マイカ様の夫の一人であり、このアムリア神殿で神官長を務めさせて頂いております。
女神とも呼ばれる方のご親族にお会いできて、光栄でございます」
外見通りの涼やかな美声でそう言うと、男―――ヨナ神官長は、俺に握手を求めるように手を差し伸べた。
昨日会ったクリスティアンという男も、普通にその辺を出歩くだけで、人目を集める程カッコいい美青年だったことは、認めざるを得ない。家で留守番中だという、犬猫二人の人間姿だって、年代やタイプは違えど彼らと比べても遜色ないほど整ったものであることも。
なので、そんな男たちを夫だと言う姉がそこまで言うのだから、ある程度以上のイケメンが出てくるのだろうと、心の準備はできていた。しかし、少々想定以上の美人が出てきて、思わずマジマジと見つめてしまう程度には驚いた。
マジモンの美エルフが出てくるなんて、聞いてない。
姉ちゃん、どうやってこの男落としたわけ?―――普通に疑問だわ。
とは言え、この世界で一般的だと言うケモミミも大概だけど、エルフ耳もまた違ったレア感あるな…とは思うし、ここが異世界であることを実感する要因ではあるが、俺にとってはその程度の問題でもある。
この男の美貌に対しては、目を奪われるに値するとは思うけども。
その芸術品の様な美貌に見惚れたのも一瞬だったが、そのスキに俺の手を強引に掴まれ、体格なりに大きな掌の温もりや、男にしては滑らかな指先の感触に我に返れば、いつも通りの調子に戻った。
しかし、男にしては華奢で嫋やかな見かけに反して、思った以上に素早く力強い動きのギャップに惑わされたのか、反発する間もなく
「あ、ど、どうも」
なんてキョドった返しをしてしまったことを、数秒後には恥ずかしく思う。
まるで緊張してる少年みたいな反応に見えたかもしれないと思うと、反射的に動揺してしまった自分にイラッとする。しかし、骨が軋む音も聞こえそうな位力強く握られた手は、部屋を移動した後も開放される兆しも見えずに握り込まれていった。
…華奢な体に見えて、結構鍛えてんな、こいつ。
その辺の美女なんかお呼びじゃない程綺麗な顔してるくせに意外と女々しさは感じさせず、しっかりと男らしく引き締まった筋肉ついてるし―――クッソ、全然引き剥がせねぇ。
身長は俺より少し高く、厳格で禁欲的なデザインの神官服に身を包んでいるため、如何にもなお固い聖職者スタイルである。
そのくせ、厚手の衣装に包まれているとはいえ、身近で感じる体格は、意外と胸板や背中の筋肉はしっかりついているし、腕や下半身もそれなりにバランス良く鍛えていそうではある。
こっちのやつらって、細身に見えてもやっぱ体格いいのな……悔しいことに。
こういうのも異世界デフォ……とは言わないだろうけども……不公平極まりない気がする。
引き攣るような営業スマイルの裏でこっそりと、俺は密かに歯噛みした。
てか、この人すっげー嬉しそうな笑顔で超笑ってるけど……絶対に何か腹黒いこと考えてる笑い方だよな。
なんか後ろに黒いもんが見えてる気がするし……姉ちゃん、気づいてないのかよ?
微笑みの裏側で背後から立ち上る、瘴気のような禍々しい負のオーラを。
姉ちゃんに寄り添おうとする度に、微妙に腕引っ張って必要以上の接触をガードされてる感じするんだけど。
……俺のこと、妻の弟って言うより、ライバル認定してるってことでいいんだよな。
そうでもないと、初対面の俺に対するこの行動が謎すぎるし。
超絶美形のエルフ青年が、花のような笑顔で微笑みながら、裏では物理でダメージを与えようとしてくる支離滅裂さには、流石の俺もドン引きである。
…にしても、痛ってーな、この野郎。気安く引っ張ってんじゃねぇよ。
姉ちゃんからは俺の顔が見えないからって、やりすぎなんだよ。
そう思いながら、負けじと微笑み力を込めれば、お互いに微妙な緊張感のある場が生まれつつあった。
恐らく、こいつもあのクリスティアンと同様に、出会った瞬間ビビッと来たのだろう。
弟と言えども、同じメスを取り合う敵に過ぎないと。
だがしかし―――年齢が安定しない俺の肉体を守るため、魔力を物理的な腕力に変換する方法を教わった俺に死角はない。
誰からって、そりゃ魔法使えない癖に魔力チート持ちになった家族(姉)からですよ。
昨日だって、その力を駆使した抵抗力を発揮して、どうにか自分以上の体格を誇るマッチョと互角に渡り合うことができたのだ。
そう思えば、このヒョロい美エルフ(イメージ補正@ブーメラン)相手に弱気になる要素はどこにもないのである。
それにしても、想いを受け取って欲しい姉は、肝心な所でこんなに鈍いというのに、流石獣人の世界の住民は、動物的な勘が鋭いと感心してしまうのだが―――体が密着しすぎている気もするので―――力負けて引いたと思われない程度に体の距離を離すことも忘れなかった。
そして、少し離れたところから、まるでコケて泣きわめく幼児を見守る親の様な表情で心配そうに俺たちを見守る姉に気づき、そっと目配せをする。
この人、綺麗な顔して見敵必殺系のヤバい人?
初対面からすっげー笑顔のくせに、瞳孔開いたサイコパスみたいな目つきで人の手握り潰そうとしてくるんだけど……。
ホントにあんたの夫で、超絶賢いクールな神官長様な訳?
実は夫とは名ばかりの外見詐欺のストーカーとかじゃないの?
妻帯者の余裕というものがまるで無いっていうか、完璧な微笑みの中で、微妙に焦点合ってない目つきされんの、結構キツいんですけど。
姉と合わせた視線で…目で、そう訴えたつもりだった。
もちろん、俺たち姉弟の間で通じるテレパシー能力なんてないので、通じるかどうかは微妙な所だ。
しかし、俺たちのやり取りを気にしながらも近づくこともできないといった風に見守っている姉に対して、取り敢えずそんな感じの思念をアイコンタクトで送ってみる。
姉弟なら…通じる奇跡があるかもしれないと信じて。
すると、姉は心得たと言わんばかりに大きく頷いて、その後苦笑いしながら諦めた様に首を横に振って返してきたので、
あ、これ通じてないやつ。
と一瞬で悟り、俺は笑顔のまま、しかし内心の諦め混じりの苛立ちをぶつけるように、力いっぱい男の手を握り返して揺さぶった。
「ふふふ……すみません、ボウッとして。
初めまして、弟のソータです」
握り合う手をプルプルと震わせ、下から睨みつけながら軽く頭を下げ、今更感漂う挨拶を始める白々しさよ。
しかし、そんな事はお構いなしに、口の端を吊り上げて笑いかければ、対するヨナ神官長もより一層笑みを深くして、
「ええ、マイカ様の弟君にお会いできる事は、何よりも僥倖でございます」
と、負けじと力を込めてきたので、二人して『ふふふ』と顔では笑いながらも、手元では一種の膠着状態が生まれていったのだった。
そのせいあってとか言いたくないが、この男が確かに姉を大層愛していることだけは、握り締める拳を通じて十分伝わってきた。
……俺にとっては不快な現実確認でしかなかったけれども。
何やら妄想に耽ってキラキラした目で俺たちを見つめる姉の傍らで、俺たちは静かに微笑みを浮かべながらも水面下では醜い小競り合いを行っていた。
そして、数秒とも数分ともとれる争いの間に現れた、やたら目力の強いマッチョイケメンエルフの武闘派神官という設定盛りすぎなイケメンに先導されて移動することとなったけれども―――姉がこちらから目を放したスキに手を引き剥がして姉の横に陣取ろうとするも阻まれ続けた。
その結果、男と手を繋いで別室に移動するという由々しき状況のまま移動し、何故かその流れでヨナ神官長の真横に座らされるという悍ましき事態となった。
ありえねぇ。
そこまで来ると、流石に俺もブチ切れる。
「おい、何で俺とあんたが隣り合って座ってんだ!?」
慇懃無礼な笑顔もかなぐり捨てて、怒りを押し殺して震えながら訴える俺の言葉に、誘導されるままに座っていた姉も「あ、やっぱりおかしかったんだ」という表情で安堵のため息をついていた。
違う、そうじゃない。
そこ、安心するとこちゃう。
姉のズレた反応に、反射的に頭の中でネタ的なツッコミを入れるが、それを察する様な女ではなかった。
だがしかし、思った以上に敏いと思われる、厚顔無恥にして顔面詐欺のエルフは、俺たち二人の反応を受けて、芝居がかった様に恥じらう風情で目を逸らす。
「申し訳ありません。
そうですね、そちらの習慣では、『お客様』はホストと隣り合って座られないのでしたね?
すみません、側近の者もいつもと同じ様に茶器を配置してしまい、私も気が付きませんでした」
などと、成年男子がするにはあざとくもしおらしい風情で謝罪してきた。
ピルピルと震える耳もわざとらしいが、この人外レベルの美形なら、何をやってもハマってしまうので感心しそうになるのが悔しい。
…確実に、姉の性癖を直撃するよう狙って行われた態度であると、俺は疑いもなく確信する。
だってこいつ、切ない表情で謝罪してる最中でも、未だに俺を姉ちゃんに近づけないよう、手を拘束したまま離さねーし。
てか、仮にも妻とか言う女の前で、ずっと弟の手を握ってるってアリなのか? 異世界。
「そうだね。社会的マナーって、国によって違ってたりするから、難しいよね」
なんて、何かを思い出しながらヨナに苦笑を返す姉の姿にもイラッとする。
やっぱりわかっていないらしい。
この糞エルフ。………どう見積もってもアラサーっぽいのに、何だその年季の入ったあざとさ。
マナーとか習慣とか、ぜってー嘘だろ。一秒でダウトとか、わかり易すぎるわ。
昨日のアレな男だって、口うるさい小姑みたいな家のペットどもだって、そんな事一言も言ったことねーんだよ。
姉ちゃんが鈍いからって………好き放題やり過ぎなんだよ。
同様に、今まで姉の弱点をピンポイントで狙い澄まして行ってきた自分の所業も何のその。
それだけに他人にされるとこんなに不愉快な気分になるのかと自覚しながら舌打ちし、俺はやけくそ気味に目の前に差し出されたまま、冷めゆく紅茶を一息で飲み干した。
そして、互いに何かをわかりあったように笑い合う声を遮って、おれは言葉を続けたのだった。
「てかさ、座席云々はいいよ。良くないけど、まぁいいとしよう。
ただ……いい加減その手、放してくれない?」
なんかこいつ、姉ちゃんと会話するだけで幸せですと言わんばかりに嬉しそうにする反面、会話すればする程手が汗ばんできて、気持ち悪い。
微妙に気持ちが高揚してるのか、時々親指で手の甲とか擦ってくるし。
自分より大きな手に包み込まれてキュンとか「あっ」とかしねーから、マジやめろ。
「あんたたちの習慣はよく知らないけど、流石に俺よりガタイのいい男にいつまでも握られてるの、ちょっと嫌なんだけど」
ちょっとどころか、しっとりしてきた手が更に汗ばんでヌルっとするの、もの凄く嫌なんですけど。
流石にそこまであからさまに罵る程、俺も尖っているわけではないが……それなりに言葉をオブラートに包みながらも抗議した瞬間、握る力が緩んだスキを突いて、その手を振り解いた。
「あ…」
と名残惜しそうな声が聞こえた様な気がしなくもないが、そこは無視。
脇目も振らずに、座らされた大きなソファの端までサッと移動して、ようやく距離を取ることに成功する。そして、開放感と安堵の吐息を漏らしながら、出されたお茶を再び一息に飲み干した。
イッキで飲むにはちょっと熱めだったが、飲めない温度でもなかったので。
出された紅茶は日本で飲み親しんでいる市販のものよりも、茶葉そのものの種類が違うせいか濃いめに感じたが、その分香り付けの洋酒との相性は抜群で、喉の乾きも相まってこの上なく美味かった。
「ソータ様、如何でしょうか?
この紅茶は我が国特産の茶葉を厳選した希少種であり、フレイバーポーションもこの地方で醸造している酒を精製して作っております。
お口に合ったようなら、よろしいのですが…。もう一杯、飲まれますか?」
そう言って、側に控えた騎士の様なイケメン神官―――コンスタンと言うらしい―――が、控えめな笑顔で、まるで年季の入ったベテラン執事のような手付きで再び空になったカップに紅茶を継ぎ足していく。
その話しかけるタイミングも絶妙で、思わず引き込まれる様に頷けば、優雅な手付きでカップにお茶が注がれた。
ゆっくり味わう事無く飲み干していく俺の様子を察してか、程よい加減に冷ましてある心遣いがまた憎いイケメンである。
しかし、鼻を擽るように香り立つ、お茶の香気とフレイバーの芳香に、ホウっと人心地がついた気がしたのも束の間で。
ふと、静かに壁際に佇む姿を目に入れると、この美丈夫系イケメンも、時折目がギラついてる様な熱い視線でチラチラとこちらを伺っているように見えて、そっと目を逸らした。
視線…というか、どこかの誰かに見られている様な気がするのは、実はこの部屋に入ってからずっと感じていたけども。
一体なんなんだ、こいつら。
そう思ってしまえば最早落ち着きを取り戻すことができないまま……姉とヨナとの馴れ初めとか、この世界――というか、この国の歴史とか習慣なんかを中心に会話が進んでいったのだが……
コンスタン個人の軍人的な厳しい目つきとか、そういうものとは明らかに別種の視線に晒されているような気配に……会話が耳に入ら無いほど、精神が擦り切れていくのを感じていた。
過ぎた緊張は人の心を疲弊させ、身体的な乾きに陥れる―――そんな自覚があるために、俺はお茶を飲んで気を紛らわせた。
香り付けに淹れられているらしい、仄かな甘みのある洋酒の匂いが俺好みだったので、紅茶というよりも酒に逃げている形になっているのかも知れない。
しかし、無様に飲み潰れたことはないけども、何度か行った飲み会で自分のアルコール限界量も大体の所は把握している。
そのため、紅茶に入れるフレイバー程度の酒量ならば問題ないだろうと、次から次へと継ぎ足されていく紅茶を遠慮なく飲み干していくのだが……。
紅茶を4~5杯程カップを重ねて飲んだ所で強烈な睡魔に襲われて、気分がフワフワと浮ついたように向上して、目が霞むのを感じた。
「ソータ…? ソータ、大丈夫? 眠いの?」
気遣わしそうに話しかける姉の声に返事をしようと口を開くものの、揺れる視界は定まらず、呂律が回らない程酩酊し……
「…ゃ…さまっ……」
何かよくわからない単語を言われたような気がしたが、ふわっと体が浮き上がるような浮遊感を最後に、意識がブラックアウトしていったのだった。
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