上 下
113 / 118
その後のお話編:彼女にまつわるエトセトラ

異世界お宅訪問編 エルフさんのお宅から ⑧ ※※

しおりを挟む
 この神殿で出される紅茶には、この国の特産品であるフレイバーポーションがついてくるので、その香り高さと仄かな甘味、それでいてどこか懐かしい洋酒の風味に、私はいつも飲みすぎてしまう。

 本来はブランデーの様にアルコール度数の高い物らしいので、この世界のお酒で酔いやすい私にはとても飲めたものじゃなかったはずだった。けれども、その事を説明したら、子供向けの酒精を飛ばしたものもあるから…と言われ、ここで紅茶を飲む時は専らそれを付けてもらっていたのだった。

 なので、当然今日もそのフレイバーポーションを出してもらっていると思っていたはずだったのに……。



 私達の体質の変化も何も知らない颯太は、まるで大学の飲み会で出されるチューハイの如くパカパカ煽って飲み下し―――挙げ句に酔っ払って、イケメンエルフさん達に運ばれていった。



 コンスタンさんがまるで騎士の様に、颯太をお姫様抱っこして行く姿に、思わず見ているこっちが恥ずかしくなって、デヘヘとおっさんみたいに笑ってしまった。

 その後、妙にザワザワと人の気配が移動していったような気がしたけど………颯太がフラリとバランスを崩した時に、私もハッと立ち上がり―――何故か私も目眩がして、そのまま後ろに倒れそうになった瞬間、どうでもよくなった。



「……マイ様。大丈夫ですか?」



 だって、大好きなヨナさんが直ぐに駆けつけて私の体を抱き留めてくれたから、そのまま目眩が治まるまでしっかり抱きついてないといけないじゃない?



「えへへ……いーにおい……ヨナさんのにおいがするぅ……」



 そう言って、私を抱えてソファに座り込むヨナさんにしがみつくと、その硬い胸元に顔を突っ込んでクンカクンカと匂いを吸い込んだ。



「え、あの……マイ様…? 酔ってらっしゃいます?」

「んー……まっさかぁ…。酔ってないよぉ。私、あの子と違って大人らもぉん」



 背もたれに体を預け、深くソファに腰掛けるヨナさんの膝上にお尻をおろし、ガッツリ対面で抱きついて胸に顔を埋めると、私は陽気な気分で答えた。



「………酔ってますね。 ……コンスタン……後で覚えてろ……」



 やけに気分が高揚し、分厚いカソックに包まれた胸元に頬ずりしていると、常より低い声が耳を震わせる。



「うふふぅ……耳に声が響いて…きもちぃ…」



 なんだろう、ものすごくふわふわするのに体が暑くて……心は妙に人恋しい気分がする。



 何だかやるせない様な、落ち着かない気持ちを持て余しながら座面に膝を立てて腰を浮かし、私は少し上に位置していたヨナとの視線を合わせ、伺うように覗き込んだ。

 まっすぐ伸ばした両腕をヨナの肩上に置き首を挟むように、後頭部の後ろの方で手を組みそっと胸元に額をくっつけてスリスリすると、ヨナは真っ赤になって『ゴクリ』と息を呑む音が響いた。べたりと体を密着していなくても、互いの吐息や体温の温かさをほんのり感じる程よい距離。



 ドキドキと互いの鼓動が脈打っているのを意識しながら、白い頬を赤く染め、潤んだ菫色の瞳で見下されると、自分に向けられた乞うような表情にゾクゾクとしたものが駆け上がる。

 期待と羞恥に赤く染まる長い耳がピルピルと震える様には胸がときめく。

 不安な気持ちを顕にしながらも、まるで魅入られた様に見返してくる夫の姿が可愛くて、私はにっこりと微笑みながら問いかけた。



「……ねぇ、なんで一緒に――隣に座ってくれなかったの? 

 一人で座るのはちょっと…少しだけ、寂しかったのに」



 実際はそこまで気にしていたわけではなかったのだが、あざとい無邪気を装ってそんな風に尋ねれば、相手が困ってしまうことなんて、承知の上で。

 シラフの時にはとてもそんな事言えたものじゃないけど、何故か開放的な気分になってる今なら平気だった。



「……そうたのこと、すきなの? 気に入っちゃったの?

 私より――…「そんなはずないでしょうっ!?」」



 相手が答えあぐねいているスキを突いて矢継ぎ早に言葉を続ければ、最後の言葉を遮るように『まるでそんなことあり得ない』とばかりに強く否定された。



「貴女の弟君は確かに我々にとっては得難い方ですが……貴女と比較するような存在ではありません。

 私にとって、貴女以上に大切な存在などおりません。例えそんな貴女の弟君だとしても…です」



 至近距離で私の瞳を見つめながら訴える言葉や眼差しの真摯さに、「そっか…」と安堵の声を漏らし、コツンと胸元に額をくっつけた。



 …昔から……みんなあの子に夢中だったから……。



 そういう意味の好意とは違うってわかっていても、不意にそんな言葉が頭に過ぎったのは、少しだけ苦かった過去の経験から。

 けれども、「不安にさせて、申し訳有りません」と泣きそうになって呟く声に安堵して、その思いはそのまま通り過ぎていった。



 別に、今更そこまで深く気にする程ではないのだ。そんなに気に病んでいたかといえば、そうでもなかったし。

 それに、思い悩んだ段階は小学生の頃にとっくに乗り越えている。

 ただ…ホントに、ふと思っただけ……それだけのはず。



 ……うん、やっぱり酔っているのかもしれない。

 酔ってると、仕舞いこんで忘れてたはずの気持ちとか、フッと表に出てくることがあって困っちゃうよね―――っていう程度の問題。

 だから、「貴女より大事な存在はいません」なんて、欲しい言葉を貰えれば、直ぐにそんなせつない気持ちは消えてしまう。



 ただ、その代わりというかなんと言うか……今度は焦って泣きそうな顔で謝罪するヨナが可愛くて、耳まで真っ赤にしながら震える姿が色っぽくて……まぁ、控えめに言ってグッときた。

 ぶっちゃけてしまえば……ムラムラする。



 こんな禁欲的な格好で艶っぽくて可愛い表情されたら、辛抱堪りませんなぁ―――なんて、エロオヤジのように思いつつ、



「へへぇ……じゃあ…………おしおき…しちゃってもいい?」



 そっと両手で頬を包み込みながら耳元で囁くと、思わず普段言わないような、不埒なセリフが口を飛び出した。

 対して、言われた側のヨナといえば、耳への刺激に一瞬ビクッと体を震わすと、へニャリと長い耳を横に倒し、



「あ、貴女が……望むなら……」



 恥ずかしそうに潤んだ菫色の瞳で見つめ返すと、顔を真っ赤にしてコクリと頷いた。



 …って、乙女か!? 

 180cm超え美形の恥じらい笑顔とか、もう、殺しに来てるよねっ!?

 いや、もう、ホントたまらん。心のチンコがおっ勃つ案件ですわっ!



 思わず目眩を覚えるほどの欲に脳が煮え滾り、常に無い心の昂りを納める術を失った私は、渾身の力で愛しい夫の頭を抱きしめた。



「よよよ……ヨナぁぁぁ――――っ!!」

「マイさまっ!」



 とは言え、そもそもの体格差があるため、小柄な私に突然しがみつかれても全くグラつくこと無く抱き留めたヨナの逞しさにも、胸がギュンギュンと高鳴ってしまう。



 おっしゃーっ!

 今日は可愛がってやんぜっ!



 ケダモノじみた荒々しい欲望に襲われながら、私はニヤリと邪悪な笑みを浮かべる。

 そしてガシッと小さな頭を抱き寄せると、ピコピコと動く耳を真っ赤に染め、彼の気持ちを代弁して忙しなく動く器官にむしゃぶりついた。









「あっ…あ……マイさま……も…やっ……ぃっ…ぁあっ」



 ソファの背もたれに引き締まった体を押し付け、その腕を頭の後ろで手首を束ね、縛り付けて拘束すると、それだけでヨナは興奮状態に陥った。

 禁欲的な程にカッチリと着こなしていたカソックコートの立て襟を外し、前面のボタンを弾け飛ばす勢いで裾まで開けさせれば、すっかり淫らな衣装に早変わりした。

 中に着ていた白いシャツを開けさせ、顕になった白い胸元には点々と赤い斑点を散りばめて、自分の痕跡をまるで斑点の様に刻みつけた。その上ズボンのベルトも外して寛げさせれば―――綺麗なものを汚したという背徳的なエロさがたまらない。



 この姿だけでご飯3杯余裕ですわ。



 そして、顕になった胸元に指を這わせ、焦らすように柔く肌先を撫で擦れば、指先の動きに合わせてビクビクと、体は敏感に反応した。



「ふふふ……ヨナの体は、綺麗ね…。…触ってるだけでドキドキしちゃう。

 ねぇ、ちょっと撫でてるだけなのに……そんな乳首立っちゃう位に気持ちいい?」



 思わずイヤラシイ笑みを浮かべ、チュッチュと気まぐれに素肌に口づけ、滑らかな肌の感触や程よい筋肉のついた胸の弾力を愉しみながら耳元で囁けば、



「ひぁっ……マイさまぁっ」



 ヨナの鼻にかかった声が、普段の涼し気な低音の美声より幾分高めに甘く鳴り響いて、私の煩悩を直撃してくる。

 おまけに着用している本人が清楚にして清廉な美貌をバラ色に染め、涙を浮かべながら淫らな目つきで頼りなげに見上げてくるとなると―――もう、興奮は天元突破の勢いでござる。



 いや、ホント鼻血出そう。



 ソファに膝立ちしたまま小さな頭を抱き寄せ、耳介に舌を這わせつつその長い先端を口に含むと、「ぁ…っ」と微かな吐息が漏れ、がっしりとした体がふるっと震えた。そして反対側の手で胸を弄っては指先で乳首を柔くつまみ、クリクリと転がしてはグリッと強く潰せば、「ひんっ」という悲鳴とともにビクッと全身が敏感に反応した。



「…ンあっ……マイさまっ……焦らさないでっ」

「…うふふ……だぁめ……。おしおきなんだから、もっと頑張って? 気持ちいいでしょ?」



 クツクツと笑いながら小さな尖りを弄び、首筋に滴る汗をレロリと舐め上げると、フルリと揺れる体の揺らぎを感じた。

 膝を跨いで浮かせたお尻に、ゴリゴリと熱り立った硬いものの先端が擦り付けられているのも感じていたが、私は小さな腰の動きで焦らすように先っぽだけをクイクイと擦る。

 ヨナは敏感な部分に与えられた刺激にヒッと息を飲み、天井を仰ぐ様に首を反らせるけれども健気に耐えた。



「うぁっ………ぃっ……」



 とは言え合間合間に腰を浮かし、スキを見ては私の蜜穴に強く擦り付けてくるので、思わず無意識にイイ所に当ててしまいそうになるけども、ひたすら自らの欲望にも耐えて焦らし続ける。

 10分20分と静かな攻防を続けていれば、どんどんお互いに頭が煮えてくるのを感じるが、自分が圧倒的に有利な立場であることは疑いなく―――それ故に長い責め苦となっていたわけで。



 元の世界の家から持ってきてもらったワンピースは、ヨナが「脱がないでほしい」と望んだ通りに着衣したままだったが、厚手のストッキングは既にヨナの手首を拘束するために使われているため、スカートの中は薄いレースのパンツ一枚である。そのせいもあって、



「本来のマイ様は…この様な可愛らしくも淫らなお姿で過ごされていたのですね……」

「…淫らって……ふふっ…。普段着なんだから、いちいちやらしい言い方しないでよ……」



 なんて妄想過多気味な囁きを余裕の微笑みで流し、全身を舐めるように眺める視線を意識するだけでも、大きな高ぶりに押し当てている下着がすっかりドロドロにヌメる程興奮した。



 真上を向いてそそり勃つモノは私の下着越しにも熱く、その剛直でもって愛液と精液に濡れた下着を突き抜かんばかりに容赦なく抉ってくる。

 しかし、ソファに広がるスカートの裾はそんな淫らな光景を私達の目から全て覆い隠してしまっているので、ただただグチュグチュと粘つく水音が、擦り合わせた下半身から響くだけだった。



 異世界の衣装を纏った私に責められたいなんて、なんとも通な意見である。

 向こうで言うところの着衣プレイであり、コスプレえっちに通づるものがあると思う。

 それならば、もう少し大人しく協力してほしいものだと思うけど、見えない所で淫らに責められるのが、思った以上にイイらしい。



 普段の営みはお互い攻守半々と言った所でも、時々無性に虐め倒したくなる時があったのは否定しない。

 私は私でかなり拗らせてるなぁとは思っていたが、同じ様にヨナ神官長様もお綺麗な顔して大概Mっ気の強い変態だったことも、これまでの付き合いの内でよくわかっていた。



「はぁっ…んぁっ……あっ…。マイ様ぁ……もっと擦って………」



 神経が集まって敏感な長い耳を責められ、イジられまくって固く感じやすくなった淡く色づく乳首を摘まれ、快楽にグズグズに溶けた表情になりながら、硬く滑らかな性器の先をグイグイと押しつけてくる貪欲さに、心の底から笑いが浮かぶ。

 互いの熱を混じり合わせ、すっかり濡れそぼった秘所から滴る蜜が何度も弾けた白濁と混じり合い、ビショビショに濡れた下着はすっかりその役割を無くしていた。



 外から見ればパッと見は、ただただ半裸に剥かれたヨナが襟元一つ崩さない私に責められ、無様に喘いでいるだけに見えるだろうけど、そんなシチュにお互い酔いしれ、ひたすら没頭していた。



 指先で、首元から長い耳の先まで擽って、ソフトタッチで撫で上げながら耳穴に指を差し込むと「ふぁっ」と吐息が鼻から抜けていく。

 薄く開いた唇を甘く啄み、迎え入れるように差し出された舌先をこすり合わせて絡めていけば、いつの間にか互いに求めるように深い口づけとなった。

 ヌチュヌチュと響く水音のいやらしさに、鼓膜の内側から犯し犯されている気分になる。



 顕になった脇から手を差し込み、胸元に向けて優しく確かめる様に指を滑らせると、その引き締まった体躯がフルフルと震えた。

 同時に、まるで無関係かのように視界から遮断されたスカートの中では、もっと淫らな責めでヨナを苛んだ。

 彼のお腹に押し付けるように屹立する高ぶりを、私の濡れた隘路で包んでグチュグチュと攻め立ててやれば、キスの合間合間に喘ぎが漏れ、全身を震わせながら上も下も涙を流す。



「あぁっ…あっあっ……マイ…っマイっ……もうだめっ、もう入れさせてくださいっ……耐えられないっ……」



 腕を拘束するストッキングなんて外せばいいのに、私のものだから傷つけられないと言って、黙って縛られたままでいる健気さには、頭が下がる勢いだ。

 …いや、このノリノリな感じを見ればそれは責められるための口実だったのかしれない―――どっちでも構わないけど。

 しかし、このまま責め続けてもいいかと思っていたけれども、泣きながら乞われては、これ以上いじめるのも可哀想かな…と思い始めた。



 なので、自分より大きな存在を蹂躙する淫らな喜びに浸りながら、ヌチュヌチュと音を立てて唇を貪り合い、首元から少しずつ下まで辿った指先をスカートに潜り込ませていく。

 焦らすように下っていった指先で、ガチガチに固くなった屹立を確かめそっと握れば、ヨナは期待に震えて微かに息を飲む。

 手の中にずっしりとした質量を感じるその熱い昂りを軽く握り、体液のヌメリを借りて上下に扱けば、ヨナの体が大きく揺れ傾いだ



「はぁっあっ……イイっ…もっと…」



 眉を寄せ、こちらが切なくなる程か細く喘ぎ、吐息を漏らしてクイクイと腰を上下させた。



「ふふふ……すっごくかたい。……さきっぽから、どんどん溢れてくるから、ヌルヌルするね」



 耳元をチロチロ舐めながら囁いて、更なる刺激を求めてヨダレを零す切っ先をグリグリと責めれば、「ひぁあっ!そこっ」と一際大きな嬌声を上げ、腰を高く突き上げた。



「マイ様…マイさまぁ……も……だめ…れす。……中に出したい…」



 欲望に染められて潤む瞳で見つめられ、息を切らせながら舌足らずに求められる姿に征服欲を満たされ、私の気持ちも最高潮に昂ぶった。

 可哀想という気持ち以上に、そろそろ私の方もヨナの痴態に当てられ続けていたため、欲しくて堪らなくなってきたというのもある。



「うふふ…可愛いヨナを見てたら、私も欲しくなってきちゃった…」



 そう言って、ソファの背面に投げ出されていた両手を、手首の拘束はそのままに前に戻して自分の体を囲わせると、ようやくといった力強さで抱きしめられる。

 しかし、本格的に締め付けられる前に、お尻をグイグイ押し上げるモノをキュッと握れば、「あぅっ」と体を硬直させて動きを止めた。



「……慣らしてないけど、きっと大丈夫……すごく濡れてるから……入れるね」



 そう言って、下着を横にズラして切っ先を蜜孔に押し当て、息を吐きながら……ズブズブ…とゆっくり腰を下ろしていった。



「くっ……あぁあっ……」



 ヌメリはこれ以上無いほど挿入を助けてくれているため痛みはないが……慣らしもしないで入れていくので、常よりも強い圧迫感に息が止まりそうになっても、構わず腰を落としていく。



「あっ…あっ……マイさまっ…マイっ」



 腕の力で私の体を抱き込む力の強さを感じ、ソロソロとゆっくり飲み込まれていく快感に思わず漏らしたヨナの声の色っぽさにゾクッとした。そしてヨナの膝に腰を下ろし、全てを収めきったことに安堵できたのもつかの間で…

 入れただけでゾワゾワと腰に蠢く快感を感じる間もなく、ふわっと軽く浮くほど下から突き上げられた。

 その浮遊感に思わず目の前の体にしがみつこうとする間もなく自重で落ちて、ズンッと膣孔全体をえぐられる衝撃に目の前がチカチカした。



「あぁんっ!」



 咄嗟に身動きできない程の衝撃を受け、その余韻を感じる間もなく大きな胸に抱きしめられ、グチュングチュンと何度も容赦なく下から穿たれると、今までの余裕はどこへやら…。



「あっあっあっ……やっ…はげしっ……ぃいっ」

「はっはっはっ………」



 忙しない吐息を耳に受け、ズンズンと忙しなく孔を穿たれれば、ただただ揺さぶられるまま頭を揺らし、腰の動きに合わせる余裕もなくしがみつく。

 単調に抉られる衝撃の合間に首元に吸い付き甘噛され、項を舐められながらグリグリとこすり合わせるように腰を回されるので、何がなんだか分からなくなるほど乱された。



「ひぁっあっやぁっ」



 気づけば、誰のものともしれない嬌声だけが口をつく。

 余裕の何もかなぐり捨てて、最早振り落とされないように目の前の存在に必死になってしがみつくしかなかった。



「マイ…マイ……っ。あぁっ…可愛いっ……」



 背中に回された両腕に引き寄せられ、食いつくように唇を喰まれれば、同じ様に抱き返して舌を差し出した。



 ズチュズチュと穿ち、こすり合わせるような水音が微かに部屋に響いていても、上の口で唾液を交換する音に聴覚は犯されていて、ふたりとも夢中になって溶け合った。



「やっあっあっ……もうダメッ!やっ!イクっイッちゃうぅっ!」

「んっ…あっ…あっ…わ、私もっ! 一緒にっ…いっしょにっ……」



 最後の瞬間が近づくにつれて、勢いを増す腰の動きに翻弄され、振り落とされまいと首元にかじりつくようにしがみつく。

 まるで獣のように只管腰を突き上げながら、大きく膨れ上がった性器はイイ所もなにもかも絶え間なく激しく責め続けるので、キュンキュンと自らの膣孔が、ヨナの性器を絞り上げるように収縮していくのがわかった。

 互いの動きがクライマックスに達し、同調した気持ちとともに激しく打擲音を響かせながら、感極まって嬌声を上げる。



「「イックぅー……」」



 その瞬間―――



『ドゴォォ―――ンッ!!!』





 ちょっとした教室程度に大きな部屋の――厚みも有る立派な壁から響いた爆音に、私達はそのままの体勢で同時にハッと音の方へ目を向けた。

 高まり切っていたヤル気は生命の危機を感じる程の衝撃の前に、一瞬にして霧散する。



 そして、神殿に響き渡る大きな爆音を起こすほど激しい攻撃を受け、無残に開けられた壁の穴からはパラパラと瓦礫がこぼれ落ち……徐々に広がる穴の向こう側から、仁王立ちで荒ぶっている人物と目があった。





「お前ら、俺をこんな地獄に放り込んでおいて、何乳繰り合ってんだ―――――っ!」







 酔っ払って運び込まれていったはずの弟の雄叫びを聞きながら……抜く間もなく胎内でビクビクと脈打つ熱いモノは、外の状況などおかまいなしに―――というよりも、何故か颯太の出現により一層大きくなって、「あぁっ」という小さく低い喘ぎとともに、私の中に大量の飛沫を放った。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

BL / 連載中 24h.ポイント:1,627pt お気に入り:302

殿下、それは私の妹です~間違えたと言われても困ります~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7,263pt お気に入り:5,288

あなたに愛や恋は求めません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:103,774pt お気に入り:8,833

転生お姫様の困ったお家事情

恋愛 / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:602

夜の帝王の一途な愛

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,457pt お気に入り:87

旦那様!単身赴任だけは勘弁して下さい!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,064pt お気に入り:182

処理中です...