春の女神の再転移――気づいたらマッパで双子の狼神獣のお姉ちゃんになっていました――

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第一章

12.ファーストキスがいつかなんて、自分で決めたい

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「カエデさま、かえでさま、かえでさまぁっ!もうだめですっ」



「ちょっ…エイリーク、おちつい…んぐっ」



 身動きの取れなくなった私を押さえつけ、食いつくように唇を奪われると、発しかけていた言葉の続きは吸い込まれるように消えていった。



 んちゅっぐちゅっ…



 覆いかぶさるように吸い付かれ、性急な動きで唇をこじ開けられると、息苦しさに思わず口を開いた。

 その隙間に舌を差し込まれて、唾液ごと音立てて吸い上げては舌を擦り合わされると、思わずビクッと体が震えて力が抜ける。



 やっばい……なんかキモチイイ。 



 流石に、20歳にもなるとファーストキスが云々言うのもちょっと躊躇われるけれども、それ程気合を入れて守り抜いてきたというわけでもない。

それに、よくよく考えてみれば、物心ついた時には近所で飼われていたサルやら、野良猫やら、大型犬やらなんやかんや…その後は弟たちもカウントに入れると、数え切れないほどのオスたちに、ベロンベロンと舐め回されてたなぁ…と思い出す。

 動物のオスばかりとの経験か…とか考えるとなんか泣きそうになるので、少なくとも人と思える存在に奪われたなら、今後があるかどうかわからないので、これはこれで良いのだと思い直すことにした。



そして、キスのカウントに入れても良いと思える人間的イケメンに、



「はぁ…はぁ…かえでさま……おいしい……」



 などと忙しなく合わせた唇の角度を変えながら唾液を啜られるので、思わずその熱にあてられ背中に手を回して縋るように抱きついた。

 そして、欲にギラついた眼差しで見つめられ、舌で口腔内を舐め回されて歯列をなぞられると、思わずこちらも応えるように舌を擦りあわせる。

 呼吸の合間に唇を放しては見つめ合っているのを繰り返していると、互いの温もりが心地よく、徐々に離れがたいものになって来るので不思議だった。



「んっ…んっ……ふぁっ…」



 それが長い時間だったのか、短いひとときだったのかはわからないが、気づけば背中に回された手が背中を擦り、首筋をなで上げながら耳裏を擦るので、ビクッと体が跳ねた。



「ふふ……カエデ様も、耳が感じる? きもちい?」



 耳裏から耳介を擦られながらキスをされると、こんなに気持ちいいなんて…彼氏いない歴が年齢の私が知る由もないんだけど。



「ん…ふっ……し、しらない……やっ…離れてっ」



 何もまともな思考にならないけれど、やっぱりこれは何かが違うと思って声を上げるが、当の相手は何も答えない。

 そして急に私の体をギュッと抱きしめて、耳元で吐息を漏らす。



「……あぁぁ……かわいい……」



 その刺激で体がビクビクと揺れて、背筋がゾワゾワすると共に、何だか猛烈にヤバい予感がビンビンする。

 そうして私が無抵抗なのを良しと思ったのか、ピチャピチャと水音を立てながら首筋から耳朶まで舐めあげられるため、



「やぁっ…やだっ。それだめぇっ!」



 と悲鳴を上げながら、目の前の逞しい体にすがりついた。



 エイリーク王は、ククッと喉で笑いながらしつこく耳介に舌を這わせては耳裏に吸い付いて口づけるので、体が弓なりに仰け反るも、最早声も出ない。



 その上、背中に回した手でお尻を揉まれて、割れ目を撫で擦られながら際どい辺りまで指を差し込まれると、腰から背中にかけてゾワゾワと悪寒が走る。



「やぁっ、はぁんっ! も、やだっ! やめてっ…」



 今まで感じたことない感覚の奔流についていけず、されるがままに声を上げ、体を揺らしてやり過ごすも、一向に責めは収まる気配もない。



「かえでさま……かえでさま……もっと名前を呼んでください…私を見てください…」



 その大きな両手で私の胸の膨らみを確かめるようになぞりながら、耳元でうっとりと囁く声が直接鼓膜に響くほど近く感じると、その低音の色気に、脳が蕩けそうな錯覚に陥る。



「ふぁっ…エイリークぅ……やぁん……」



 請われるままに名を呼んで、伺うように見下ろすその目に気づくと、切れ長の形の良い目を細めながら、嬉しそうに無邪気な笑みを浮かべた。

 そうして薄手のワンピース越しに、彼の手にちょうど収まるサイズの私の胸を揉みしだき、尖って存在を主張する胸の先を引っ掻いては摘んで転がすので、その度にビクビクと腰が跳ね上がる。

 胸を覆っていた下着は薄手のビキニのようなもので、日本で着けていたカップやワイヤーが入ったしっかりしたものとは比べ物にならない位頼りない存在だった。



「ちくび。きもちい?」



 固くなった乳首を摘まれながら拙い言葉で聞かれると、余計にイケナイ気分になって、目の端から涙が滲んだ。



 あぁ、ほんっとにヤバい。このままじゃダメなのに、力が入らない…



「カエデさま…ふふ……かわい…」



 しかし、焦らすような意地悪もせず、私の期待通りに左右の胸を下から上へ揉み上げながら親指で捏ねては弾いてくるので、その都度私の意に反して…というか素直すぎる体に反応するようにビクビクと腰が揺れる。



「……カエデさまの下半身から、……いい匂いがしてきました。

 気持ちいいんですね………濡れてるでしょう?

 …ふふ…私も匂いに酔っておかしくなる……」



「や…変なこと…言わない…でぇ…」



 きっと、私の股間はひどいことになっているのだろう。

 それなりに年齢を重ねていれば経験のない私でも、気持ちいいことしていると、股間が濡れるって知っているけど、そんなの言われたら恥ずかしいじゃないか。



「やだ……もう…だめぇ………」



 すっかり力も抜けきって、されるがままに狭いソファに仰向けになって膝を立てられたけれども、最早言葉程抵抗することは出来なかった。



 そして………顔の横に両手をつかれ、仰向けに転がる私の上で四つん這いになりながら、覆いかぶさる様に見下されると、その欲情した獣の様な視線に息を飲む。

 ブンブンと振り回されている尻尾の存在が猛烈に獣臭さを演出していて、自分が非捕食者であることを自覚する。



「はぁはぁ…カエデ様……もう、ダメです……」



 見つめられたまま視線を反らすことも出来ず、されるがままに開いた足の間に、ヌルリと熱くて固いモノを押し付けられた感触がして、「ひぃ」っと悲鳴を飲み込んだ。



「あぁ……カエデ様……もう、良いですよね? 最初はちょっと痛いかもしれませんが……絶対に気持ちよくしますから……」



 エイリークは頬を紅潮させ、熱い吐息をハァハァと弾ませながらカチャカチャとズボンのベルトを外し始め…嬉しそうに微笑んだ。

 こんな展開、そんな経験が全く無い私には処理しきれる訳もなく…朦朧としながらエイリークの行為を見守っていたのだが……

性急な動きで下衣をズリ下ろした拍子に現れたイチモツ…いや、そそり勃つモノを目にした瞬間、生命の危機を感じてカッと目を見開いて覚醒した。



「ぎゃぁああっ!!! やめてっ! そんなの無理だからっ!!」



 そのモノのあまりの質量と想像以上にグロテスクなビジュアルに、全く経験のない私は恐怖の悲鳴を上げ……眼の前の存在を殴り飛ばした。



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