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ダンス講習のパートナー
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放課後、図書室に赴いた。
図書委員なのだから図書室にいる可能性は高い。
案の定彼は図書委員の席で本を読んでいる。
「先日はありがとうございました」
そう言ってブックマーカーの入った小さな紙袋を差し出した。
「気持ちだけ受け取っておく。ありがとう」
チラリと一瞥してスッと視線を本に戻しつつそう断られてしまった。
断られたからと自分でアメジストのブックマーカーを使うのは変な誤解を招きそうで少し困る。
「では利用者用の貸し出しにでも使って下さい」
そう言い再度差し出すとようやく手に取ってくれた。
「これは…アメジストのブックマーカー?…君の色じゃ無いようだが?」
ガサリと袋を開けて意外そうな声を出す。
「お礼に私の色を渡すのもおかしいかな、と」
そう答え微笑むと視線が優しくなった気がした。
「…ちょうど栞を無くしてしまっていたんだ。ブックマーカー、使わせてもらうよ。ありがとう」
受け取ってくれたことに安堵し帰ろうとすると今度はハリスに呼び止められた。
「君、今度のダンス講習のパートナーはいるかい?」
ダンス講習というのは2ヶ月に一度ある社交の練習のような授業だ。
色々な相手とダンスをするので出会いのきっかけともなる授業である。
絶対では無いがエスコートする相手を授業の日までに決めると加点がある。
婚約者がいなくなったアネリアには今回多数の申し込みがあった。
「? まだ決めかねています」
申し込みが多数あれど決め手が無かったので保留にしているがそろそろ決めなければ、そう思っていた矢先だった。
「良ければ君をエスコートする栄誉をもらいたい」
「私ですか!?」
このお誘いは想像すらしていなかった。
「実は…誘いを期待してくれている女性の誰を誘っても角が立つから誰も誘えなくて…。昨年姉が卒業してから私のダンスの成績はB+なんだ。公爵家令息としてあまり胸を張れる成績では無い…」
「はぁ…」
「君は私へ特別な興味が無いのでは?」
特別な興味とは本棚の陰でこの会話を盗み聞きしている令嬢たちの持つ気持ちのことだろうか。
それなら確かに持ち合わせていない。
「特別には…すみません…」
若干気まずいが肯定を口にし頷いた。
「良かった。実は以前あまりそういう気持ちを気にせずに誘ってしまって期待させた事があるから私に興味がない令嬢をエスコートしたいんだ。かといって何の接点もない令嬢を誘うのもおかしいだろう?」
誘う側の男性はそういう配慮も必要なのかと初めて気付いた。
アネリアも成績のためにエスコート相手を見繕うつもりだった。
ハリスも成績のために相手は欲しいのだろう。
「だから私に興味がなく接点が出来た君を誘わせて欲しい」
エスコート加点は大きい。
ゆえにハリスも困っていたのだろう。
聞き耳を立てている令嬢たちのことを思うと申し訳なさはあるがハリスの気持ちも分かる。
「では先日のお礼の一つとしてお受けしますわ」
どのみち相手に迷っていたのだ。
ハリス相手ならば誘ってきた人達に断りも入れやすい。
「助かるよ。希望のドレスコードは?」
パートナーとなれば色を互いの色にするか二人で揃えるかするのが一般的だ。
「特にないですが本物のパートナーではありませんからワンポイントくらいで良いのでは?」
あまり揃えても嫉妬されそうなので最低限を提案する。
「では…落ち着いた色で揃えて相手の色のワンポイントを入れる、でいいかい?もし紫や銀の物を持っていないなら贈らせてもらうよ」
ガタッ!
本棚で聞き耳を立てている誰かが反応したらしい。
これは余計なトラブルを招きかねない。
「銀の髪飾りは幾つかありますしアメジストのブローチも手持ちであるから大丈夫ですわ」
少し大きな声でプレゼントは断ったアピールをする。
この男…モテる癖に鈍いのかもしれない。
表情が余り変わらないので分からないが…。
「じゃあダンス講習の日、教室まで迎えに行くからよろしく頼む」
パートナーが決まったのが嬉しかったのかフッと微笑み図書委員の席に戻っていった。
当たりをそっと見回すと隠れてみていた令嬢は三人もいた。
その三人が三人ともホウッと夢見がちな顔になっている。
アネリアは、自分でも驚いたがその気持ちが痛く分かってしまった。
普段無表情イケメンのあの微笑みは語彙力を奪う。
(惚れるかと思った…!)
急な微笑みに驚いたからだと自分に言い聞かせるほど胸はときめき高鳴りは中々治まらなかった。
図書委員なのだから図書室にいる可能性は高い。
案の定彼は図書委員の席で本を読んでいる。
「先日はありがとうございました」
そう言ってブックマーカーの入った小さな紙袋を差し出した。
「気持ちだけ受け取っておく。ありがとう」
チラリと一瞥してスッと視線を本に戻しつつそう断られてしまった。
断られたからと自分でアメジストのブックマーカーを使うのは変な誤解を招きそうで少し困る。
「では利用者用の貸し出しにでも使って下さい」
そう言い再度差し出すとようやく手に取ってくれた。
「これは…アメジストのブックマーカー?…君の色じゃ無いようだが?」
ガサリと袋を開けて意外そうな声を出す。
「お礼に私の色を渡すのもおかしいかな、と」
そう答え微笑むと視線が優しくなった気がした。
「…ちょうど栞を無くしてしまっていたんだ。ブックマーカー、使わせてもらうよ。ありがとう」
受け取ってくれたことに安堵し帰ろうとすると今度はハリスに呼び止められた。
「君、今度のダンス講習のパートナーはいるかい?」
ダンス講習というのは2ヶ月に一度ある社交の練習のような授業だ。
色々な相手とダンスをするので出会いのきっかけともなる授業である。
絶対では無いがエスコートする相手を授業の日までに決めると加点がある。
婚約者がいなくなったアネリアには今回多数の申し込みがあった。
「? まだ決めかねています」
申し込みが多数あれど決め手が無かったので保留にしているがそろそろ決めなければ、そう思っていた矢先だった。
「良ければ君をエスコートする栄誉をもらいたい」
「私ですか!?」
このお誘いは想像すらしていなかった。
「実は…誘いを期待してくれている女性の誰を誘っても角が立つから誰も誘えなくて…。昨年姉が卒業してから私のダンスの成績はB+なんだ。公爵家令息としてあまり胸を張れる成績では無い…」
「はぁ…」
「君は私へ特別な興味が無いのでは?」
特別な興味とは本棚の陰でこの会話を盗み聞きしている令嬢たちの持つ気持ちのことだろうか。
それなら確かに持ち合わせていない。
「特別には…すみません…」
若干気まずいが肯定を口にし頷いた。
「良かった。実は以前あまりそういう気持ちを気にせずに誘ってしまって期待させた事があるから私に興味がない令嬢をエスコートしたいんだ。かといって何の接点もない令嬢を誘うのもおかしいだろう?」
誘う側の男性はそういう配慮も必要なのかと初めて気付いた。
アネリアも成績のためにエスコート相手を見繕うつもりだった。
ハリスも成績のために相手は欲しいのだろう。
「だから私に興味がなく接点が出来た君を誘わせて欲しい」
エスコート加点は大きい。
ゆえにハリスも困っていたのだろう。
聞き耳を立てている令嬢たちのことを思うと申し訳なさはあるがハリスの気持ちも分かる。
「では先日のお礼の一つとしてお受けしますわ」
どのみち相手に迷っていたのだ。
ハリス相手ならば誘ってきた人達に断りも入れやすい。
「助かるよ。希望のドレスコードは?」
パートナーとなれば色を互いの色にするか二人で揃えるかするのが一般的だ。
「特にないですが本物のパートナーではありませんからワンポイントくらいで良いのでは?」
あまり揃えても嫉妬されそうなので最低限を提案する。
「では…落ち着いた色で揃えて相手の色のワンポイントを入れる、でいいかい?もし紫や銀の物を持っていないなら贈らせてもらうよ」
ガタッ!
本棚で聞き耳を立てている誰かが反応したらしい。
これは余計なトラブルを招きかねない。
「銀の髪飾りは幾つかありますしアメジストのブローチも手持ちであるから大丈夫ですわ」
少し大きな声でプレゼントは断ったアピールをする。
この男…モテる癖に鈍いのかもしれない。
表情が余り変わらないので分からないが…。
「じゃあダンス講習の日、教室まで迎えに行くからよろしく頼む」
パートナーが決まったのが嬉しかったのかフッと微笑み図書委員の席に戻っていった。
当たりをそっと見回すと隠れてみていた令嬢は三人もいた。
その三人が三人ともホウッと夢見がちな顔になっている。
アネリアは、自分でも驚いたがその気持ちが痛く分かってしまった。
普段無表情イケメンのあの微笑みは語彙力を奪う。
(惚れるかと思った…!)
急な微笑みに驚いたからだと自分に言い聞かせるほど胸はときめき高鳴りは中々治まらなかった。
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