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学園街
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週末――
今日は学園の敷地内にある街でフュリーとショッピングの約束がある。
高位貴族学園と下位貴族の学園である貴族学園の学園生たちが護衛無しで安心して歩ける唯一の街だ。
さすがにオペラや劇場は外の街にしかないが、カフェやレストラン、色々なショッピングが楽しめる。
かなり小さな街だが気楽に出掛けられる貴重な場所だ。
「まだここには無いかぁ」
フュリーがメニューを見ながら少し残念そうに声を上げた。
今二人がいるのは人気カフェの学園街店である。
フュリーがオペラを観に行った日に新発売のパフェが美味しそうだったというので、同じ店のこの街にある店舗にきたのだ。
「学園街のお店って新発売入るの遅いよね。あと限定メニューも」
許可の問題なのか、他の街の店舗で人気があった物だけ入るのか、理由は分からないが外出先で見かけたはずの物が無いことが度々ある。
「なんで行った日に食べなかったの?」
「だって…大きそうなパフェだったから恥ずかしくて…」
なんとフュリー、オペラ鑑賞の後で食事に誘われたのだそう。
その時にパフェが気になったらしい。
「それで進展はあったの?」
報告したい話があると言っていたのだ。
きっと進展があったのだろうと確信があった。
「実は…ついに交際を申し込まれたの!」
真っ赤になりながら幸せそうにそう報告してくれた。
オペラを観に行ったあと、告白を受けてからの食事だったらしい。
「おめでとう!でもたしかにそれだと大きなパフェは頼みにくいわね」
「ありがとう!そうでしょ?」
二人してクスクスと笑い合う。
友人の嬉しい報告にとても幸せな気持ちだ。
「あの日、おめかししろって言ってくれてありがとう。その…課題は大丈夫だった?」
「えぇ、それに意外な人が優しかったの」
そうして本を取ってもらった話をしてフュリーにこの後の行き先を相談することにした。
「本を取ってくれたことと、しまうのを手伝ってくれたお礼…かぁ」
「お菓子とかも考えたけど甘い物が好きか分からなくて…」
二人で少し考える。
「文房具とかはどうかしら?値段もお手頃だしお礼にはちょうど良いんじゃない?」
確かに文房具なら持っている物でもそう迷惑にならないだろう。
フュリーの発案で二人は食後文房具店へと場所を移した。
学園街の文房具店で取り扱う物は実用的な物より装飾品にこだわった物が多い。
それもあって見ていても楽しいのだが目的以外に目移りもしてしまう。
「このペン…彼と私の色があるわ。お揃いにしようかしら」
フュリーの彼は深い青の目をしているらしい。
濃い青とフュリーの目の色をした明るい緑のペンを嬉しそうに見ている。
美しいツタの装飾が入ったキレイなペンだ。
色々見ていると小さいが美しい宝石の飾りが付いたブックマーカーが並んでいた。
ふと、彼が本を片付けに来てくれたとき、読んでいた本が机に伏せられていたのを思い出す。
ブックマーカーなら複数あっても邪魔にはならないだろう。
色々な色の宝石の中からアメジストを選んだ。
「アネリアの瞳の青じゃなくていいの?」
不思議そうにフュリーに問われた。
何かを送るときは自分の色を送ることが多いからだ。
「お礼だから彼の色の物が良いと思って」
女性に人気な彼に『他意は無くお礼だ』と伝わって欲しい気持ちも強かった。
彼の不器用な優しさを思い出すと心が温かくなる。
「アネリア…本当に元気になって良かった」
嬉しそうにフュリーが微笑む。
「なんか、完全に吹っ切れたみたいなの」
ニッコリと笑顔で返す。
自分でも不思議なほどリドー・コナルのことが頭に浮かぶ事は無くなり、思い出しても全く辛くなくなっていた。
もう、心からどうでもいい。
「心配かけてごめんね、ありがとう」
「じゃあ復活祝いにアイスでも食べに行く?」
「また食べるの?太っちゃうよぉ」
そう笑いながらも二人の足はお気に入りのアイスクリーム屋へと向かっているのだった。
今日は学園の敷地内にある街でフュリーとショッピングの約束がある。
高位貴族学園と下位貴族の学園である貴族学園の学園生たちが護衛無しで安心して歩ける唯一の街だ。
さすがにオペラや劇場は外の街にしかないが、カフェやレストラン、色々なショッピングが楽しめる。
かなり小さな街だが気楽に出掛けられる貴重な場所だ。
「まだここには無いかぁ」
フュリーがメニューを見ながら少し残念そうに声を上げた。
今二人がいるのは人気カフェの学園街店である。
フュリーがオペラを観に行った日に新発売のパフェが美味しそうだったというので、同じ店のこの街にある店舗にきたのだ。
「学園街のお店って新発売入るの遅いよね。あと限定メニューも」
許可の問題なのか、他の街の店舗で人気があった物だけ入るのか、理由は分からないが外出先で見かけたはずの物が無いことが度々ある。
「なんで行った日に食べなかったの?」
「だって…大きそうなパフェだったから恥ずかしくて…」
なんとフュリー、オペラ鑑賞の後で食事に誘われたのだそう。
その時にパフェが気になったらしい。
「それで進展はあったの?」
報告したい話があると言っていたのだ。
きっと進展があったのだろうと確信があった。
「実は…ついに交際を申し込まれたの!」
真っ赤になりながら幸せそうにそう報告してくれた。
オペラを観に行ったあと、告白を受けてからの食事だったらしい。
「おめでとう!でもたしかにそれだと大きなパフェは頼みにくいわね」
「ありがとう!そうでしょ?」
二人してクスクスと笑い合う。
友人の嬉しい報告にとても幸せな気持ちだ。
「あの日、おめかししろって言ってくれてありがとう。その…課題は大丈夫だった?」
「えぇ、それに意外な人が優しかったの」
そうして本を取ってもらった話をしてフュリーにこの後の行き先を相談することにした。
「本を取ってくれたことと、しまうのを手伝ってくれたお礼…かぁ」
「お菓子とかも考えたけど甘い物が好きか分からなくて…」
二人で少し考える。
「文房具とかはどうかしら?値段もお手頃だしお礼にはちょうど良いんじゃない?」
確かに文房具なら持っている物でもそう迷惑にならないだろう。
フュリーの発案で二人は食後文房具店へと場所を移した。
学園街の文房具店で取り扱う物は実用的な物より装飾品にこだわった物が多い。
それもあって見ていても楽しいのだが目的以外に目移りもしてしまう。
「このペン…彼と私の色があるわ。お揃いにしようかしら」
フュリーの彼は深い青の目をしているらしい。
濃い青とフュリーの目の色をした明るい緑のペンを嬉しそうに見ている。
美しいツタの装飾が入ったキレイなペンだ。
色々見ていると小さいが美しい宝石の飾りが付いたブックマーカーが並んでいた。
ふと、彼が本を片付けに来てくれたとき、読んでいた本が机に伏せられていたのを思い出す。
ブックマーカーなら複数あっても邪魔にはならないだろう。
色々な色の宝石の中からアメジストを選んだ。
「アネリアの瞳の青じゃなくていいの?」
不思議そうにフュリーに問われた。
何かを送るときは自分の色を送ることが多いからだ。
「お礼だから彼の色の物が良いと思って」
女性に人気な彼に『他意は無くお礼だ』と伝わって欲しい気持ちも強かった。
彼の不器用な優しさを思い出すと心が温かくなる。
「アネリア…本当に元気になって良かった」
嬉しそうにフュリーが微笑む。
「なんか、完全に吹っ切れたみたいなの」
ニッコリと笑顔で返す。
自分でも不思議なほどリドー・コナルのことが頭に浮かぶ事は無くなり、思い出しても全く辛くなくなっていた。
もう、心からどうでもいい。
「心配かけてごめんね、ありがとう」
「じゃあ復活祝いにアイスでも食べに行く?」
「また食べるの?太っちゃうよぉ」
そう笑いながらも二人の足はお気に入りのアイスクリーム屋へと向かっているのだった。
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