7 / 12
呼び出し
しおりを挟む
ダンス講習の前日の放課後。
リドーからの呼び出しがあった。
アネリアは正直会うのが不安だった。
しかし顔を見て、それは杞憂だと思った。
「コナル様、どうされましたか?」
2ヶ月前はあんなにも悲しかったのに今や顔を見ても平然と要件を聞ける。
余裕は微笑みとして表情に出た。
「リドー、とはもう呼ばないのかい?」
「? 婚約は破棄になりましたから…」
あんな不躾な事を言ってきておいて友人だとでも言うつもりなのかと少しイラッとする。
しかしリドーはこれまた意味の分からない事を言うではないか。
「またまた、たった2ヶ月ほどだよ?まだ手紙、出せてないんだろう?未練、あるんだよね」
そんなことをキメ顔で言ってくる。
「婚約の確認ならきっちりしっかり破談になっているので安心して下さい」
意味が分からない上、少し面倒に感じてくる。
「では」と去ろうとするとガッと手を掴まれた。
「未練があるなら破棄まではしなくていいよ!なかったことにするよ!」
「離して下さい。大丈夫です」
怪訝な顔でそう答えると「そうだよね」と上機嫌で離してくれた。
「じゃあ、明日ね!」
「え?はぁ…」
明日と言われ更に訳が分からなくなったがダンス講習は全学年が集まる。
変だなぁと思いつつ図書室に向かった。
「コレ、好きそうだと思う」
返却の本と入れ替えにハリスに一冊の本を渡された。
「冒険物語だけど女性向けなんだ」
小声で補足するハリス。
アネリアはニッコリと微笑んで受け取った。
「読んでく、よね?」
淡々としているようで違う。
少し期待に満ちた声。
「帰りにガゼボで感想話させてね」
アネリアの返しに無表情でコクリと頷いているが、アネリアには微笑んでいるように見えた。
実際は僅かに唇が動いただけで彼のファンすら気付かない小さな変化なのだが。
「君と友人になって2ヶ月ほどだがこの時間が楽しみになってしまった」
端からは淡々とした声でそんなことを言う。
夕暮れのガゼボで二人はよくおしゃべりをしていた。
それこそ、ここ1ヶ月は毎日のように会って話している。
どちらかが、またはどちらもがお菓子を二人分用意していることもあり、ティーセットがあればお茶会状態になることもしばしば。
話すのは学園でのことや本の感想など他愛も無い事だがアネリアもこの時間がとても好きだった。
それこそリドーといる時よりも楽しかった。
「そうそう、そう言えば今日コナル様がおかしかったの」
アネリアはハリスに今日図書室に行く前にあった出来事を話した。
「たしかに妙だな…。コナル殿といえば初学年のレシャット伯爵令嬢と交際しているはずだ…いや、婚約している…?」
ハリスとリドーは同じ学年だ。
噂は聞いていた。
(念願叶ってたのか)
そう思ったがやはり悔しくも辛くもない。
「明日のダンス講習、早めに迎えに行く。そのつもりでいてくれ」
ハリスは真剣にそう言ってくれた。
「なんとなく嫌な予感がするのでお願いします」
そう約束してこの日二人は帰宅した。
リドーからの呼び出しがあった。
アネリアは正直会うのが不安だった。
しかし顔を見て、それは杞憂だと思った。
「コナル様、どうされましたか?」
2ヶ月前はあんなにも悲しかったのに今や顔を見ても平然と要件を聞ける。
余裕は微笑みとして表情に出た。
「リドー、とはもう呼ばないのかい?」
「? 婚約は破棄になりましたから…」
あんな不躾な事を言ってきておいて友人だとでも言うつもりなのかと少しイラッとする。
しかしリドーはこれまた意味の分からない事を言うではないか。
「またまた、たった2ヶ月ほどだよ?まだ手紙、出せてないんだろう?未練、あるんだよね」
そんなことをキメ顔で言ってくる。
「婚約の確認ならきっちりしっかり破談になっているので安心して下さい」
意味が分からない上、少し面倒に感じてくる。
「では」と去ろうとするとガッと手を掴まれた。
「未練があるなら破棄まではしなくていいよ!なかったことにするよ!」
「離して下さい。大丈夫です」
怪訝な顔でそう答えると「そうだよね」と上機嫌で離してくれた。
「じゃあ、明日ね!」
「え?はぁ…」
明日と言われ更に訳が分からなくなったがダンス講習は全学年が集まる。
変だなぁと思いつつ図書室に向かった。
「コレ、好きそうだと思う」
返却の本と入れ替えにハリスに一冊の本を渡された。
「冒険物語だけど女性向けなんだ」
小声で補足するハリス。
アネリアはニッコリと微笑んで受け取った。
「読んでく、よね?」
淡々としているようで違う。
少し期待に満ちた声。
「帰りにガゼボで感想話させてね」
アネリアの返しに無表情でコクリと頷いているが、アネリアには微笑んでいるように見えた。
実際は僅かに唇が動いただけで彼のファンすら気付かない小さな変化なのだが。
「君と友人になって2ヶ月ほどだがこの時間が楽しみになってしまった」
端からは淡々とした声でそんなことを言う。
夕暮れのガゼボで二人はよくおしゃべりをしていた。
それこそ、ここ1ヶ月は毎日のように会って話している。
どちらかが、またはどちらもがお菓子を二人分用意していることもあり、ティーセットがあればお茶会状態になることもしばしば。
話すのは学園でのことや本の感想など他愛も無い事だがアネリアもこの時間がとても好きだった。
それこそリドーといる時よりも楽しかった。
「そうそう、そう言えば今日コナル様がおかしかったの」
アネリアはハリスに今日図書室に行く前にあった出来事を話した。
「たしかに妙だな…。コナル殿といえば初学年のレシャット伯爵令嬢と交際しているはずだ…いや、婚約している…?」
ハリスとリドーは同じ学年だ。
噂は聞いていた。
(念願叶ってたのか)
そう思ったがやはり悔しくも辛くもない。
「明日のダンス講習、早めに迎えに行く。そのつもりでいてくれ」
ハリスは真剣にそう言ってくれた。
「なんとなく嫌な予感がするのでお願いします」
そう約束してこの日二人は帰宅した。
314
あなたにおすすめの小説
婚約破棄?結構ですわ。公爵令嬢は今日も優雅に生きております
鍛高譚
恋愛
婚約破棄された直後、階段から転げ落ちて前世の記憶が蘇った公爵令嬢レイラ・フォン・アーデルハイド。
彼女の前世は、ブラック企業で心身をすり減らして働いていたOLだった。――けれど、今は違う!
「復讐? 見返す? そんな面倒くさいこと、やってられませんわ」
「婚約破棄? そんなの大したことじゃありません。むしろ、自由になって最高ですわ!」
貴族の婚姻は家同士の結びつき――つまりビジネス。恋愛感情など二の次なのだから、破談になったところで何のダメージもなし。
それよりも、レイラにはやりたいことがたくさんある。ぶどう園の品種改良、ワインの販路拡大、新商品の開発、そして優雅なティータイム!
そう、彼女はただ「貴族令嬢としての特権をフル活用して、人生を楽しむ」ことを決めたのだ。
ところが、彼女の自由気ままな行動が、なぜか周囲をざわつかせていく。
婚約破棄した王太子はなぜか複雑な顔をし、貴族たちは彼女の事業に注目し始める。
そして、彼女が手がけた最高級ワインはプレミア化し、ついには王室から直々に取引の申し出が……!?
「はぁ……復讐しないのに、勝手に“ざまぁ”になってしまいましたわ」
復讐も愛憎劇も不要!
ただひたすらに自分の幸せを追求するだけの公爵令嬢が、気づけば最強の貴族になっていた!?
優雅で自由気ままな貴族ライフ、ここに開幕!
ジルの身の丈
ひづき
恋愛
ジルは貴族の屋敷で働く下女だ。
身の程、相応、身の丈といった言葉を常に考えている真面目なジル。
ある日同僚が旦那様と不倫して、奥様が突然死。
同僚が後妻に収まった途端、突然解雇され、ジルは途方に暮れた。
そこに現れたのは亡くなった奥様の弟君で───
※悩んだ末取り敢えず恋愛カテゴリに入れましたが、恋愛色は薄めです。
『婚約破棄された公爵令嬢は、王と交わらない道を選ぶ』
ふわふわ
恋愛
婚約者である王太子アルベルトから、一方的に婚約破棄を告げられた公爵令嬢エレノア。
だが彼女は、涙も復讐も選ばなかった。
「婚約は、役目でしたもの。終わったのなら、それで結構ですわ」
王宮を去ったエレノアは、領地に戻り、
干渉しない・依存しない・無理をしない
ただそれだけを軸に、静かに領地運営を始める。
一方、王となったアルベルトもまた、
彼女に頼らないことを選び、
「一人の判断に依存しない国」を作るための統治に身を投じていた。
復縁もしない。
恋にすがらない。
それでも、二人の選択は確かに国を安定へと導いていく。
これは、
交わらないことを選んだ二人が、
それぞれの場所で“続けられる世界”を完成させる物語。
派手なざまぁも、甘い溺愛もない。
けれど、静かに積み重なる判断と選択が、
やがて「誰にも壊せない秩序」へと変わっていく――。
婚約破棄から始まる、
大人のための静かなざまぁ恋愛ファンタジー
ゲーム世界といえど、現実は厳しい
饕餮
恋愛
結婚間近に病を得て、その病気で亡くなった主人公。
家族が嘆くだろうなあ……と心配しながらも、好きだった人とも結ばれることもなく、この世を去った。
そして転生した先は、友人に勧められてはまったとあるゲーム。いわゆる〝乙女ゲーム〟の世界観を持つところだった。
ゲームの名前は憶えていないが、登場人物や世界観を覚えていたのが運の尽き。
主人公は悪役令嬢ポジションだったのだ。
「あら……?名前は悪役令嬢ですけれど、いろいろと違いますわね……」
ふとした拍子と高熱に魘されて見た夢で思い出した、自分の前世。それと当時に思い出した、乙女ゲームの内容。
だが、その内容は現実とはかなりゲームとかけ離れていて……。
悪役令嬢の名前を持つ主人公が悪役にならず、山も谷もオチもなく、幸せに暮らす話。
侯爵令嬢の置き土産
ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。
「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。
あなたを忘れる魔法があれば
美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。
ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。
私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――?
これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような??
R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
死んで初めて分かったこと
ルーシャオ
恋愛
ヴィリジアの王女ロザリアは、大国アルデラ王国のエアル王子の婚約者として王城で暮らしていたが、エアル王子には罵倒され遠ざけられ続け、次第に周辺の人々も近づかなくなっていた。
しかし、エアル王子が故郷ヴィリジアを滅ぼしたことをきっかけに、ロザリアは何もかもを諦める。「殿下。あなた様との婚約は、破棄いたします」、そう宣言して、ロザリアは——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる