婚約解消を無かったことにしたい?しませんけど

だましだまし

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八年後の…

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「随分と待たせた」

そう言うとリドーは跪いた。
「レミア、結婚して下さい」



結局学園でレミアとは付き合い続けたものの、あの日のダンス講習の時のような美しさをレミアに感じる事は無かった。
そして、見目麗しい令嬢が入学するたびにあわよくばという気持ちがあった。

レミアは束縛をしてこない。
ただ、恋人としてのエスコートなどをサボりがちになると怒るラミアを止めつつだがやんわりと頼まれた。

周りの目もあり別れられず、新しい婚約者を得られぬまま卒業を迎えた。
卒業すれば会うことも少なくなり関係が曖昧になる。

次男で準貴族になってしまったので平民から自分のステータスになるような美しい女性を見つけよう。
そんな邪な気持ちも交えつつ女性向けの小物を取り扱う商会を立てた。
立てたがすぐに行き詰まってしまった。
思うように商品が売れない上に目玉となる物もオリジナルの物も無い。
頓挫するかと頭を抱えていたとき、卒業したばかりのレミアが訪ねてきた。

若干、未だ恋人と思われているのかと鬱陶しく感じながらも状態を話してもてなせない事を伝えるとレミアは予想外の事を言い始めた。
「この商品はこうした方が可愛らしく見えるかと…」
尻窄みになりながら今ひとつだった商品のデザインを紙に描き、加筆していく。
「職人さんにこうして貰うのはいかがでしょうか…?」

それが売れた。
こうしてレミアに相談する機会が増え、レミアのアイデアを取り入れていくことで商会は大きくなっていった。

そうしてある日、海外の商人が持ってきた化粧品を仕入れた。
それは肌のシミや赤みを消す下地なのだそうだ。

「これ…モニターとして使ってみてくれ」
渡し方はツンケンドンになってしまったがレミアは喜んでモニターを引き受けた。

レミアは気付いていたのだ。
今まで化粧品など扱っていなかったのに自分のために仕入れてくれたのだと。

その品はとても質の良い物だった。
おかげでレミアは赤鼻を気にしなくて済むようになったのだ。
人の目を気にしなくなったレミアは商品の展示会でバイオリンを披露した。

特別珍しいものは無いが他には無いほど繊細なデザインだったり、痒いところに手が届くような使い勝手の良い物だったり、日用品なのにとても可愛らしかったり、そんな商品が並ぶ展示会で美しいバイオリン演奏が流れたのだ。
これがまた話題となり、商会は少しづつ大きくなった。

大きくなるにつれてリドーとレミアは自然と話せるようになっていった。
恋人らしいことは全くない。
時々自分はリドーにとってどんな存在なのか不安にはなった。
それでもリドーが頼ってくれる、支えになれている、そう思うとレミアは幸せだった。


そうしてついにリドーは子爵位を叙爵されることになったのだ。

知らせを受けた日、リドーはレミアに尋ねた。
「どうして私をここまで助けて支えてくれるんだ?」
レミアは微笑んで素直に答えた。
「支えになれているならとても嬉しいから、しかないです」

その答えを聞き、リドーの心は固まった。


そして子爵位を得た日の夕方、レミアの前に跪いてプロポーズをしたのだ。

「正直にいうと私は美しい女性にずっとこだわってきていた。それでもいつの間にか君がいなくなるのが恐ろしくなっていた。私に心の美しさを教えてくれた君を愛していきたい」


喜びの涙を流すレミアはお化粧をしていても分かるほど鼻が赤くなっていた。

それでも、リドーはもう容姿で引くことはなかった。
いつの間にかそれすら愛しく思えるほどレミアが大切となっていたのだ。
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