無気力聖女は永眠したい

だましだまし

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エピローグ

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15年後――


ルーベン王国に一人の聖女が誕生した。

近隣の国の魔物の力すら抑える強力な力を持つ、破邪の結界が張れる聖女だ。


その力は先代の隣国にいた聖者の力よりも広く魔物を封じれる強力なものだった。

ただ、まだ13歳の伯爵令嬢である彼女には聖女に任命されると共に年の近い新たな護衛が任命されることになった。

「騎士隊長ラーウェイ・ルードの長女、ルイ・ルードです!」
緊張した面持ちは父親のラーウェイのような強面ではない。
全体的に父親に似て女性にしては凛々し過ぎるが優しい眼差しは母親に似たのだろう。

「リルノ伯爵家のレイシャですわ」

フワリと笑う笑顔はナーシャに、美しい青い髪はレバンスによく似ていた。

これから新聖女とルーベン王国初の聖騎士として二人は生きていくのだ。

任命式の貴族席で見守るのはレバンスとナーシャ、この会場の警護の責任者はラーウェイだった。




あのあと、ラノ村の隣町に当たるリルノ地域の領地を任された伯爵となったレバンスとナーシャはそのまま結婚した。

元々は魔物の地と嫌煙され、切り捨てられるように独立が認められたルーベン王国はこの15年で大きく発展した。
魔物の心配が無い商業国として少しづつ国力を上げている。




そうして月日は流れた。




「お母さま…」

消え入りそうな声にそっと微笑む。


私ももう80…そう、二度目の80だ。
周りをそっと見回すと可愛いひ孫たちも来てくれていた。

聖女となった娘だけでなく他の娘に息子にも恵まれた人生だった。
彼女の子や孫たちは聖女、聖者の素質持ちが多かった。
これからもルーベン王国を護りリルノ伯爵家は聖なる血筋と言われるのだろう。

「皆…ありがとう…」


そう声を発すると力が抜け落ちてしまった。
目を開けるのも辛い。


ナーシャはそのまま息を引き取った。




(前回は…ここで神様のところに行かされたのよね…)

そんな事を死の間際に思ったせいだろうか。

「特別ですからね」

いつぞやの軽い神様の声が響く。

「え!?もう巻き戻しは嫌なんだけど!?」





思わずそう言ってしまったナーシャに差し出された手は懐かしい人のものだった。

「レバンス!」

「ナーシャ、迎えに来たよ」

数年前、先に旅立ったレバンスがいる。


「で、巻き戻しって何のことだい?」
 
「なんでもないわ。ボケちゃってたの」

笑って誤魔化す。




幸せそうに旅立つ二人とその安らかで幸せそうな死に顔を神様だけが見守っていた。





end







途中更新が止まったり苦しい展開だったりですが最後まで読んで下さり本当にありがとうございました!
色々とすみません💦
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