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ウキウキとこちらへと弾んでくるお母様が握りしめていたのは先程ニードルディアが飛ばした針だった。
先端が尖っていて、反対の端は平坦かと思いきや筒状になっている。
少し長めのお箸みたいだけど、お箸にするには太いな、なんて考えが頭をよぎった。
だがシェリー自身は箸を使ったことがない。
(私ってマサオみたいにお箸を使えるのかしら?)
そんな事を考えていたらお母様が細いロープを解いて太い糸にし、それをニードルディアの針の真ん中に結び出した。
宙にぶら下げられた針がくるりと回り、止まる。
「この尖ってる方が南なのよ♪」
「え?これ、磁石なの!?」
「磁石…かは分からないけど方位磁針の針って大体ニードルディアの針で出来てるらしいわよ。短くしても同じ向きを向くらしいわ。お母様、これでも昔は旅してたから知ってるの!」
エッヘンと胸を張るお母様。
どうやら旅人の間では常識らしい。
「あと串焼きにも便利だから見つけたの全部拾ってきたわ♪角からも採れたら楽なのにねぇ」
「角からは採れないの?」
そんな事を言いながらニードルディアの死骸の方を見るとヘビ型の魔物が2匹、残った肉を屠っていた。
血の臭いに寄ってきていたらしい。
「角からは採れないわ。アックスベアが来たら怖いし早く行きましょうか」
解体に小一時間ほど使ってしまったので足早に立ち去る。
途中、食べられる野草を見つけては袋に入れてカゴに詰めていく。
「ね?カゴ、持ってきて良かったでしょ?」
得意げな顔で言われると素直に認めたくなくなるのは何故なのかと自問自答しつつお母様がカゴに入れようとしたものにストップをかけた。
「それ、毒キノコじゃないの!?」
見るからに毒々しい赤に黄色の斑点をしたキノコに、細すぎる軸まで真っ青な薄いカサのキノコ、それに怪し過ぎる紫なキノコ…どう見ても変なキノコを沢山持っている。
なんで全部変なのなの?
一個くらい普通のもあっても良くない?
「毒があっても浄化魔法かけちゃえば消えるから大丈夫よー?味はどーしよーも無いけどすぐ見つかるキノコって大体美味しいから!」
いや…そういう問題じゃ…いや、キノコで怖いのは毒だけどっ!
てか「すぐ見つかるキノコ」って…今までもこういう見た目の毒キノコ、食べたことあるのね…。
一応「いくら魔法で消えても毒キノコって分かってるキノコを食べるのは嫌」という私の主張が通り、なんとか食べずに済んでホッとする。
それも束の間、お母様が私をクイクイと引っ張って北の方角を指さした。
「あの魔物、倒して欲しいの。火魔法なら簡単に倒せるから」
指差す先には明るい茶色やオレンジの沢山の木の実…の近くにいる大きな蜘蛛。
「あれはね~実に寄せられた動物を食べる蜘蛛なの。まぁ実ってゆーかクモが出した物なんだけど…。毛に覆われてるでしょ?風と水には強いけど、なんなら防御力も高めだけどよく燃えるし鈍臭いから火を付けたら簡単に倒せるわ。火属性さんのラッキーモンスターね♪」
そう言われても大きな蜘蛛を見てラッキーな気持ちは何もない。
だが、たしかに幸運らしく向こうはこちらに気付いてないらしい。
そっと確実に当てられる距離まで近付き、火の玉弾を当てる。
「ギュギギギギ……」
驚いたような小さな叫びをあげ、呆気なく蜘蛛の魔物は倒すことが出来た。
リュックから小刀を取り出しひょいひょいと実を回収するお母様。
握りこぶしより大きいくらいの実が7個もあった。
よく見ると実は糸で蜘蛛と繋がっていたらしい。
「これね、冒険者の間ではよく食べられるのよ~。茹でたら少し甘いおイモみたいになるし、焼いたらパンっぽくなるの。そのままだと少し固くて粉っぽいけど。しかも日持ちもそこそこするんだから♪」
うーん…蜘蛛の体から出された物を食べるのか…。
美味しいのは嬉しいけどマサオは虫は食べない系サバイバーだったから抵抗が無いわけではない。
むしろお母様…なんで全く抵抗ないの?
マサオの記憶が戻る前だったら卒倒しそうなお母様の採取スキルに食べ物チョイス。
まともな食用野草、頑張って探そう。
そう改めて強く思った。
先端が尖っていて、反対の端は平坦かと思いきや筒状になっている。
少し長めのお箸みたいだけど、お箸にするには太いな、なんて考えが頭をよぎった。
だがシェリー自身は箸を使ったことがない。
(私ってマサオみたいにお箸を使えるのかしら?)
そんな事を考えていたらお母様が細いロープを解いて太い糸にし、それをニードルディアの針の真ん中に結び出した。
宙にぶら下げられた針がくるりと回り、止まる。
「この尖ってる方が南なのよ♪」
「え?これ、磁石なの!?」
「磁石…かは分からないけど方位磁針の針って大体ニードルディアの針で出来てるらしいわよ。短くしても同じ向きを向くらしいわ。お母様、これでも昔は旅してたから知ってるの!」
エッヘンと胸を張るお母様。
どうやら旅人の間では常識らしい。
「あと串焼きにも便利だから見つけたの全部拾ってきたわ♪角からも採れたら楽なのにねぇ」
「角からは採れないの?」
そんな事を言いながらニードルディアの死骸の方を見るとヘビ型の魔物が2匹、残った肉を屠っていた。
血の臭いに寄ってきていたらしい。
「角からは採れないわ。アックスベアが来たら怖いし早く行きましょうか」
解体に小一時間ほど使ってしまったので足早に立ち去る。
途中、食べられる野草を見つけては袋に入れてカゴに詰めていく。
「ね?カゴ、持ってきて良かったでしょ?」
得意げな顔で言われると素直に認めたくなくなるのは何故なのかと自問自答しつつお母様がカゴに入れようとしたものにストップをかけた。
「それ、毒キノコじゃないの!?」
見るからに毒々しい赤に黄色の斑点をしたキノコに、細すぎる軸まで真っ青な薄いカサのキノコ、それに怪し過ぎる紫なキノコ…どう見ても変なキノコを沢山持っている。
なんで全部変なのなの?
一個くらい普通のもあっても良くない?
「毒があっても浄化魔法かけちゃえば消えるから大丈夫よー?味はどーしよーも無いけどすぐ見つかるキノコって大体美味しいから!」
いや…そういう問題じゃ…いや、キノコで怖いのは毒だけどっ!
てか「すぐ見つかるキノコ」って…今までもこういう見た目の毒キノコ、食べたことあるのね…。
一応「いくら魔法で消えても毒キノコって分かってるキノコを食べるのは嫌」という私の主張が通り、なんとか食べずに済んでホッとする。
それも束の間、お母様が私をクイクイと引っ張って北の方角を指さした。
「あの魔物、倒して欲しいの。火魔法なら簡単に倒せるから」
指差す先には明るい茶色やオレンジの沢山の木の実…の近くにいる大きな蜘蛛。
「あれはね~実に寄せられた動物を食べる蜘蛛なの。まぁ実ってゆーかクモが出した物なんだけど…。毛に覆われてるでしょ?風と水には強いけど、なんなら防御力も高めだけどよく燃えるし鈍臭いから火を付けたら簡単に倒せるわ。火属性さんのラッキーモンスターね♪」
そう言われても大きな蜘蛛を見てラッキーな気持ちは何もない。
だが、たしかに幸運らしく向こうはこちらに気付いてないらしい。
そっと確実に当てられる距離まで近付き、火の玉弾を当てる。
「ギュギギギギ……」
驚いたような小さな叫びをあげ、呆気なく蜘蛛の魔物は倒すことが出来た。
リュックから小刀を取り出しひょいひょいと実を回収するお母様。
握りこぶしより大きいくらいの実が7個もあった。
よく見ると実は糸で蜘蛛と繋がっていたらしい。
「これね、冒険者の間ではよく食べられるのよ~。茹でたら少し甘いおイモみたいになるし、焼いたらパンっぽくなるの。そのままだと少し固くて粉っぽいけど。しかも日持ちもそこそこするんだから♪」
うーん…蜘蛛の体から出された物を食べるのか…。
美味しいのは嬉しいけどマサオは虫は食べない系サバイバーだったから抵抗が無いわけではない。
むしろお母様…なんで全く抵抗ないの?
マサオの記憶が戻る前だったら卒倒しそうなお母様の採取スキルに食べ物チョイス。
まともな食用野草、頑張って探そう。
そう改めて強く思った。
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