バツイチアラフォー女とUMA (未確認生物)の同居生活

京川夏女

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#4-2【友】

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「ま!ま、まぁねぇ~……」

泳ぐ目で彼女から視線を外しながら曖昧に応える。

「もうっ、やるじゃん!早いな~さすがだわっ!あんた普通に可愛いし、見た目も全然若いしね!」

きゃっきゃっと喜び出す彼女…いつも辛口の彼女に思いのほか見た目を褒められ、驚きで私は瞳を大きくする。

嬉しいっ!!

私の外見に対する彼女の評価が意外に高かったという喜びと、彼女に[彼氏アリ]と思われているこの状況……

良いっ!久しぶりの多幸感!!

私の目は輝く。上機嫌にワインをもう一本開け、グラスに注ぐ。

「だって、ほら、離婚したばっかりなのに流石に早すぎるかな?って、えへへへ」
『おい、お前勝手なことを』

抗議の声をあげようとしたUMAだったが、恋愛テンションの上がったアラフォーにかき消される。

「全然良いでしょっ!被ってない(不倫でない)なら離婚したその日でも全然アリっ!むしろあっち(元旦那)は被りまくり(不倫しまくり)だったんだから!誠実なくらい!」
「そうかな、そうだよね!」
『………』

ジロリと反論の機会を失ったUMAが私を睨む……無言の抵抗を感じる……それにしても、壮絶な美形に睨まれるというのはかなりの圧力を感じるものだ。

「ってか、そこに居るの~?まさかっ!もう一緒に住んでるの?!」
「うっ、っと、まぁ、そんな感じかな~?はははっ」
『………』
「やったねっ!おめでとう!!苦労してたもんねぇ~」
「えへへ~ありがとう~」

視線は痛いがとりあえずUMAは完全無視して[彼氏]という事で話を進める。

「乾杯っ!」

本日何度目かの乾杯の音頭。彼女はビール缶を開け、上機嫌にグビグビ飲み出した。既に彼女は数え切れないほどのビール缶を空けている。私は先程ワインを注いだグラスを掲げ、彼女の音頭に合わせて呑む。

許せ、UMAよ。この多幸感にもうしばらく浸らせてくれ。

男運はないけど、友人運は最高だなぁ~

何度も「良かった良かった」と嬉しそうに言ってくれる彼女の姿に感動して鼻の奥がツンとする。

ありもしない惚気話を語りなが彼女との熱い友情と偽装彼氏話で幸福感に浸る。UMAはそんな私をこれまでに無い程、怪訝な顔で見ている……視線は痛いが、私はこのひと時の幸せを味わうことを選択した。

しかし、この[仮初の幸福時間]があまりに脆く、拙いものであることをすぐに痛感することなる。

「紹介してよーモニターに出て来てくれませんかー?」

私の捏造話をきゃっきゃと聞いてくれていた彼女だったが、UMAに直接話しかけ出して来た。これはヤバい…調子に乗り過ぎたようだ。

『自分の首を自分で締めたな』

ふっと目を細めUMAが『自業自得だな』と嘲笑う。

「ごめんね~UMAすっごく人見知りなんだよ」

私は咄嗟に言う。絶対零度のUMAの視線が痛い…

「シャイなの?!可愛いー!!声だけ参加で全然OKですよー」

しくじった…さすが恋愛脳肉食アラフォー…アグレッシブルだ。彼女が[人見知り]程度で引くずがない。逆に萌えるくらいだろう。失言に後悔する…私の酔いが一気に冷めていく。

仕方がないので[シャイな彼氏]に変わって私が答えることにする。

「おいくつですかー?」
「うっ、と、(見た目は小学生くらい?大きさは虫だけど)結構若い…かな」
「年下っ!!いやー!いいな~!」

彼女のテンションが上がる。

「何処で知り合ったのー?」
「(この部屋だ、突如目の前に現れた)今住んでるとこで」
「えっ!何それっ!いいじゃん!同じマンション?!エレベーターとかで?傷心で引越した先での出会い!?きゅんポイト高っ!」

彼女のテンションが更に上昇する。

「仕事は何してるんですかー?」
「うっ、と、(何もしてないな…これは難題だ…)」

私が答えられずにいると

「まさかっ、(仕事)してないの!?」

彼女のテンションが一気に急降下した… 彼女は不信そうに私をジロリと睨みだす。少し前まで彼女との友情に感謝しつつ、(架空の)彼氏の惚気話しで盛り上がっていたのに…あの温かな空気が遠い昔のように…今は戦慄が走っている。

「あんた、また紐みたいな男とっ!!」
「あ、いやっ、違う…(生活費かからないから)紐ではない!(よね?)」

ヤバいヤバいヤバい…前科(元旦那=限りなくクズな紐男)あるから完全に怪しまれてるっ!

焦る私を尻目にUMAが『調子に乗るからだ』と、冷たい視線を送ってくる。ん?いや、何処か楽しそうだ。私はそんなUMAに恨めしそうに視線を返す。

「あんたはいっつも!人の表面しか見ないで変な男に引っかかるんだから!」
「ちょっ、UMAはそう言うの(彼氏)じゃないよっ」
「本当にいい加減にしなさいよっ!クズ男とようやく別れたと思ったら…新たなクズ男とか洒落にならないから!」
「…はい」
「あんたはねぇ、他人の表面しか見ようとしないから変なのばっかり寄せ付けるのっ!見る目を養う以前に、他人の深いところを見ようとしてないのっ!」
「…はい」
『こいつ、なかなか分かっているな』

少し驚いたようにUMAの瞳が開かれる。本当に、本当に彼女は良い友人だ。元旦那の時も散々叱られ続けたが、彼女が私を見離すことはなかった。私の事を想って叱ってくれる。

ありがとう、大好きだよ。本当に貴方は得難い友だよ。

彼女に感謝しながらも、私はあの秘術を使う決意をする。彼女の叱責を受けとめながら私は重い口を開いた。

「アレ?何か通信障害かも……Wi-Fiの調子が…悪い…かも……?」

と言って[退席]をクリックする。伝家の宝刀[通信障害(偽装)]だ。

すまん、友よ。今は上手い言い訳が浮かばない……これ以上の失言は即死に繋がるのっ!許してっ!

『最低だな』
「……存じております」
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