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第1章 異世界でも俺はこき使われる
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その声が誰のものかなんて顔を見なくても分かった。
懇願を一蹴されて心の底からわき上がってきたのは絶望ではなく怒りだった。
俺は顔を上げて奴を睨み付けた。
「~~~っ! 人がこんなに必死で頼んでるのに、本当に最低な奴だな!」
この人間のクズ!
人でなし!
クソ野郎!
どんなに口汚い罵倒の言葉を並べても、奴の最低さには遠く及ばないほどだ。
俺の睨みなど全く意に介していないようで、クズ野郎は鼻で笑って俺の睨みを軽くあしらった。
「必死に頼めば何でも人が自分の望みを聞き入れてくれてると思ってるのか? それは随分とおめでたい頭をしてるな」
「そ、そんなんじゃねぇよ! ただ、人がこんなに頼み込んでいるのに少しくらい真面目に考えてくれたっていいだろう!」
「考える時間ももったいない。お前が無益な人間だということは見ただけで分かるからな」
「な……っ!」
こ、こいつ……!
こめかみに浮き上がった青筋が怒りで破裂寸前だ。
「どういう意味だよ!」
「どういう意味も何もそのままの意味だ。お前を連れて旅することに何らメリットを感じられないってことだ。ここまではっきり説明しないといけないのか。あー、時間の無駄。無駄にした時間を換金して返してほしいくらいだ。こうなると無益というよりもはや有害だな」
クズ野郎は大袈裟に溜め息を吐いた。
初対面のクズにここまでけなされるなんて心外だ!
俺は立ち上がり、息巻いて奴に詰め寄った。
「人が無益だとか勝手に決めつけんな!」
「じゃあ聞くが、剣は振れるか?」
「……っ」
俺は言葉に詰まった。
剣なんて持ったこともない。
チャンバラくらいならしたことがあるが、そんなもの剣を振った経験に入るはずがない。
「じゃあ弓は?」
「……使えない」
「魔法は?」
「……俺の世界に魔法なんてなかった」
どんどんと声が小さくなっていく俺の答えを聞き終えると奴はにっこりと笑った。
「はい、無益確定~!」
「ぐ……っ!」
く、悔しい……!
でも言い返す言葉もない。
息巻いて向かっていった分、恥ずかしさも情けなさも倍増だ。
奥歯を噛みしめて俯いていると、
「フン、ようやく自分の身の程ってもんが分かったようだな。だったら、さっさとこの道を引き返せ。今から歩けば夕方くらいまでには村に辿り着くはずだ」
そう言って、奴は木々の茂った薄暗い道を顎で指した。
不気味な獣の鳴き声がどこか遠くで響いた。
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
懇願を一蹴されて心の底からわき上がってきたのは絶望ではなく怒りだった。
俺は顔を上げて奴を睨み付けた。
「~~~っ! 人がこんなに必死で頼んでるのに、本当に最低な奴だな!」
この人間のクズ!
人でなし!
クソ野郎!
どんなに口汚い罵倒の言葉を並べても、奴の最低さには遠く及ばないほどだ。
俺の睨みなど全く意に介していないようで、クズ野郎は鼻で笑って俺の睨みを軽くあしらった。
「必死に頼めば何でも人が自分の望みを聞き入れてくれてると思ってるのか? それは随分とおめでたい頭をしてるな」
「そ、そんなんじゃねぇよ! ただ、人がこんなに頼み込んでいるのに少しくらい真面目に考えてくれたっていいだろう!」
「考える時間ももったいない。お前が無益な人間だということは見ただけで分かるからな」
「な……っ!」
こ、こいつ……!
こめかみに浮き上がった青筋が怒りで破裂寸前だ。
「どういう意味だよ!」
「どういう意味も何もそのままの意味だ。お前を連れて旅することに何らメリットを感じられないってことだ。ここまではっきり説明しないといけないのか。あー、時間の無駄。無駄にした時間を換金して返してほしいくらいだ。こうなると無益というよりもはや有害だな」
クズ野郎は大袈裟に溜め息を吐いた。
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俺は立ち上がり、息巻いて奴に詰め寄った。
「人が無益だとか勝手に決めつけんな!」
「じゃあ聞くが、剣は振れるか?」
「……っ」
俺は言葉に詰まった。
剣なんて持ったこともない。
チャンバラくらいならしたことがあるが、そんなもの剣を振った経験に入るはずがない。
「じゃあ弓は?」
「……使えない」
「魔法は?」
「……俺の世界に魔法なんてなかった」
どんどんと声が小さくなっていく俺の答えを聞き終えると奴はにっこりと笑った。
「はい、無益確定~!」
「ぐ……っ!」
く、悔しい……!
でも言い返す言葉もない。
息巻いて向かっていった分、恥ずかしさも情けなさも倍増だ。
奥歯を噛みしめて俯いていると、
「フン、ようやく自分の身の程ってもんが分かったようだな。だったら、さっさとこの道を引き返せ。今から歩けば夕方くらいまでには村に辿り着くはずだ」
そう言って、奴は木々の茂った薄暗い道を顎で指した。
不気味な獣の鳴き声がどこか遠くで響いた。
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
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