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第2章 異世界でももふもふは正義!?
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「おいっ、なに剣を仕舞ってんだ!」
「……ソウシに口をきいてもらえなくなったら俺は死ぬ。それでは意味がない」
「はぁ?」
「……やるならお前ひとりでやってくれ。そうすれば汚されたソウシの仇をとることができる。なおかつお前はソウシに嫌われる。まさに一石二鳥だ」
「なに勝手なこと言ってんだ、この陰険根暗野郎……ッ」
ピキピキとこめかみに青筋を浮かべるアーロンだったが、自分に利がないと思ったのか渋々といった様子で剣を降ろした。
俺はほっと胸を撫で下ろした。
続いてクロの方にくるりと向き直った。
「クロも、襲ったらダメだからな。こいつらは俺の仲間だから。というか基本的に人は襲ったらだめだ、分かったか?」
「クゥン……」
少し強めの口調で言い聞かせると、クロは腰を下ろし項垂れるように頭を下げた。しゅん、と反省の意を示すかのようなその姿に、俺は笑って頭を撫でた。
「分かればいいって。もう怒ってないから大丈夫だ」
クロは確認するように俺の顔をちらりと上目遣いで窺う。そしてもう怒っていないことが分かると「わふっ!」と嬉しそうに吠えて、頬に顔をすり寄せてきた。
「ははっ、くすぐったいって」
「わふっ」
「もー、お前は本当に可愛いなぁ」
あまりの天使っぷりににやけながらクロとたわむれていると、
「ラブラブなところおじゃまして悪いけどさぁ、せめてズボンだけでも履いた方がいいと思うよ~」
チェルノに言われて俺はハッとした。
そうだ、俺、今全裸だった……!
そう思うと、途端に恥ずかしくなりとりあえず股間を手で隠した。
「し、仕方ないだろ! ズボンは川に流される前に、ちょっと諸事情で脱いでたし、シャツは風に飛ばされたし……」
「……大丈夫だ、ズボンならちゃんと俺が持ってきている」
少し得意げに言って、ドゥーガルドは腰に巻いていた布を解いて俺に差し出した。
……ん? 腰に巻いていた?
「ちょ、ちょっと! なんで人のズボンを腰に巻いてんだよ!」
今までの緊迫した空気で気付かなかったが、なに人のズボンを勝手にファッションの一部にしてくれてんだ!
「……ソウシの忘れ形見と思って肌身離さず持っていた」
まるでそれが俺の分身かのように愛おしげにぎゅ……、とズボンを抱き締めるドゥーガルドに全身がぞわりと粟立った。
「わ、忘れ形見って大袈裟だな。というか死んでねぇし!」
「……もちろん、生きていることを信じてた。だがこの笛が指し示す光が弱くてな。なかなか見つからないからもしもの可能性も考えた」
「あー……、これ川に流れた時にだいぶひびが入ったみたいだからそのせいかもな」
首に下げた笛を見せながら言った。
「……本当に見つかって良かった。あと三日見つからなかったら、俺はこのズボンを抱いてソウシが流された場所から身を投げようと思っていた」
「こわっ!」
重い! 愛が重すぎる! 重すぎてもはや狂気だ。
俺の無事にほっと目元を綻ばせるドゥーガルドだが、言っている内容は禍々しいほどの執着に満ちていて思わず身震いした。
「……ソウシに口をきいてもらえなくなったら俺は死ぬ。それでは意味がない」
「はぁ?」
「……やるならお前ひとりでやってくれ。そうすれば汚されたソウシの仇をとることができる。なおかつお前はソウシに嫌われる。まさに一石二鳥だ」
「なに勝手なこと言ってんだ、この陰険根暗野郎……ッ」
ピキピキとこめかみに青筋を浮かべるアーロンだったが、自分に利がないと思ったのか渋々といった様子で剣を降ろした。
俺はほっと胸を撫で下ろした。
続いてクロの方にくるりと向き直った。
「クロも、襲ったらダメだからな。こいつらは俺の仲間だから。というか基本的に人は襲ったらだめだ、分かったか?」
「クゥン……」
少し強めの口調で言い聞かせると、クロは腰を下ろし項垂れるように頭を下げた。しゅん、と反省の意を示すかのようなその姿に、俺は笑って頭を撫でた。
「分かればいいって。もう怒ってないから大丈夫だ」
クロは確認するように俺の顔をちらりと上目遣いで窺う。そしてもう怒っていないことが分かると「わふっ!」と嬉しそうに吠えて、頬に顔をすり寄せてきた。
「ははっ、くすぐったいって」
「わふっ」
「もー、お前は本当に可愛いなぁ」
あまりの天使っぷりににやけながらクロとたわむれていると、
「ラブラブなところおじゃまして悪いけどさぁ、せめてズボンだけでも履いた方がいいと思うよ~」
チェルノに言われて俺はハッとした。
そうだ、俺、今全裸だった……!
そう思うと、途端に恥ずかしくなりとりあえず股間を手で隠した。
「し、仕方ないだろ! ズボンは川に流される前に、ちょっと諸事情で脱いでたし、シャツは風に飛ばされたし……」
「……大丈夫だ、ズボンならちゃんと俺が持ってきている」
少し得意げに言って、ドゥーガルドは腰に巻いていた布を解いて俺に差し出した。
……ん? 腰に巻いていた?
「ちょ、ちょっと! なんで人のズボンを腰に巻いてんだよ!」
今までの緊迫した空気で気付かなかったが、なに人のズボンを勝手にファッションの一部にしてくれてんだ!
「……ソウシの忘れ形見と思って肌身離さず持っていた」
まるでそれが俺の分身かのように愛おしげにぎゅ……、とズボンを抱き締めるドゥーガルドに全身がぞわりと粟立った。
「わ、忘れ形見って大袈裟だな。というか死んでねぇし!」
「……もちろん、生きていることを信じてた。だがこの笛が指し示す光が弱くてな。なかなか見つからないからもしもの可能性も考えた」
「あー……、これ川に流れた時にだいぶひびが入ったみたいだからそのせいかもな」
首に下げた笛を見せながら言った。
「……本当に見つかって良かった。あと三日見つからなかったら、俺はこのズボンを抱いてソウシが流された場所から身を投げようと思っていた」
「こわっ!」
重い! 愛が重すぎる! 重すぎてもはや狂気だ。
俺の無事にほっと目元を綻ばせるドゥーガルドだが、言っている内容は禍々しいほどの執着に満ちていて思わず身震いした。
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