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第2章 異世界でももふもふは正義!?
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クロがいて助かるのは背中に乗せてくれるからだけではない。
日が傾きはじめたので野宿をするため、木を集めて焚き火の準備をしていると、
「……ソウシ、旨そうな果物を採ってきた」
ドゥーガルドが両手いっぱいに赤みがかった黄色の果実を抱えてやってきた。
「うわ、めっちゃうまそう!」
集めた木の枝を地面に置いてドゥーガルドのもとへ駆けて行った。
「ドゥーガルドって果物を見つけてくるのうまいよな。それにしてもこんなにいっぱい持って帰るの大変だっただろ」
「……ソウシの喜ぶ顔が見れれば何も苦ではない」
俺に褒められドゥーガルドが嬉しそうに頬を緩ませる。
すると、
「わふっ!」
後ろからクロに弾んだ声で呼ばれ振り向くと、クロの足元で大きな魚がビチビチと跳ねていた。
「ええ! すごい! うまそうな魚じゃん! これクロが獲ってきたのか?」
「わふっ」
得意げに吠えて、頭を撫でられるのを心待ちにした表情でブンブンと尻尾を振るクロは天使以外の何ものでもない。
「クロよくやったな! えらいぞー! さすがクロだ! 俺、魚大好きなんだ! 嬉しいよ! ありがとうな」
頭から耳の裏に掛けてわしゃわしゃと撫で回してありったけの感謝と賞賛を伝える。クロは一層尻尾を大きく振った。
あー、可愛い、可愛すぎるぞ……!
親バカ全開でデレデレとにやけながらクロと戯れていると、つんつん、と控えめに服の裾を引っ張られた。
「ん?」
振り返ると、何か物言いたげな表情でドゥーガルドがじっと俺の方を見ていた。
……あ、もしかして、果物と魚でテンションが違いすぎて怒ってるのか?
悪気はないとは言え、確かにこうもあからさまに差があるのは採ってきた方としたら気分は良くないだろう。
もちろん果物も好きだし、採ってきてもらえてすごく嬉しい。
ただ、俺達は先を急ぐ身で釣りをする余裕などなく、滅多に魚を口にする機会がないのだ。久しぶりの魚となれば喜びもひとしおで、反応に差が生まれるのも仕方ない。
けれどそんな言い訳は相手をますます不愉快にさせるだけだ。
俺は慌ててドゥーガルドにお礼と労りの言葉を追加しようとしたが、ドゥーガルドはなぜか俺の手を引き、自分の頭へ持って行った。
「へ?」
行動の意図がさっぱり分からず首を傾げていると、
「……俺も褒めてくれ」
「は?」
思いも寄らない要望に、思わず素っ頓狂な声が出る。
「……俺も果物を採ってきた。だからソウシに褒められながら頭を撫でられたい」
「いやいやいや! お前自分をいくつだと思ってんだ。子どもじゃあるまいし」
「……クロは成犬だが頭を撫でて貰ってる」
「犬と同じ立ち位置でものを言うなっ」
むしろ人間相手に犬のように頭を撫でて褒めた方が失礼じゃないか?
しかしドゥーガルドは期待がこもった瞳でじっとこちらを見詰めて動かない。さながらご褒美を心待ちにしている犬のようだ。
ドゥーガルドは基本的には俺の意見を尊重する姿勢ではいるが、結構頑固で自分の要望あるいは欲望を押し通すまで一歩も引かないところがある。
これはそのパターンだ。終わりの見えない押し問答より、ドゥーガルドの要望に従った方が面倒はなさそうだ。
今まで寄越されてきた数多のエロい要望に比べれば、頭を撫でるなんて可愛いものだ。
日が傾きはじめたので野宿をするため、木を集めて焚き火の準備をしていると、
「……ソウシ、旨そうな果物を採ってきた」
ドゥーガルドが両手いっぱいに赤みがかった黄色の果実を抱えてやってきた。
「うわ、めっちゃうまそう!」
集めた木の枝を地面に置いてドゥーガルドのもとへ駆けて行った。
「ドゥーガルドって果物を見つけてくるのうまいよな。それにしてもこんなにいっぱい持って帰るの大変だっただろ」
「……ソウシの喜ぶ顔が見れれば何も苦ではない」
俺に褒められドゥーガルドが嬉しそうに頬を緩ませる。
すると、
「わふっ!」
後ろからクロに弾んだ声で呼ばれ振り向くと、クロの足元で大きな魚がビチビチと跳ねていた。
「ええ! すごい! うまそうな魚じゃん! これクロが獲ってきたのか?」
「わふっ」
得意げに吠えて、頭を撫でられるのを心待ちにした表情でブンブンと尻尾を振るクロは天使以外の何ものでもない。
「クロよくやったな! えらいぞー! さすがクロだ! 俺、魚大好きなんだ! 嬉しいよ! ありがとうな」
頭から耳の裏に掛けてわしゃわしゃと撫で回してありったけの感謝と賞賛を伝える。クロは一層尻尾を大きく振った。
あー、可愛い、可愛すぎるぞ……!
親バカ全開でデレデレとにやけながらクロと戯れていると、つんつん、と控えめに服の裾を引っ張られた。
「ん?」
振り返ると、何か物言いたげな表情でドゥーガルドがじっと俺の方を見ていた。
……あ、もしかして、果物と魚でテンションが違いすぎて怒ってるのか?
悪気はないとは言え、確かにこうもあからさまに差があるのは採ってきた方としたら気分は良くないだろう。
もちろん果物も好きだし、採ってきてもらえてすごく嬉しい。
ただ、俺達は先を急ぐ身で釣りをする余裕などなく、滅多に魚を口にする機会がないのだ。久しぶりの魚となれば喜びもひとしおで、反応に差が生まれるのも仕方ない。
けれどそんな言い訳は相手をますます不愉快にさせるだけだ。
俺は慌ててドゥーガルドにお礼と労りの言葉を追加しようとしたが、ドゥーガルドはなぜか俺の手を引き、自分の頭へ持って行った。
「へ?」
行動の意図がさっぱり分からず首を傾げていると、
「……俺も褒めてくれ」
「は?」
思いも寄らない要望に、思わず素っ頓狂な声が出る。
「……俺も果物を採ってきた。だからソウシに褒められながら頭を撫でられたい」
「いやいやいや! お前自分をいくつだと思ってんだ。子どもじゃあるまいし」
「……クロは成犬だが頭を撫でて貰ってる」
「犬と同じ立ち位置でものを言うなっ」
むしろ人間相手に犬のように頭を撫でて褒めた方が失礼じゃないか?
しかしドゥーガルドは期待がこもった瞳でじっとこちらを見詰めて動かない。さながらご褒美を心待ちにしている犬のようだ。
ドゥーガルドは基本的には俺の意見を尊重する姿勢ではいるが、結構頑固で自分の要望あるいは欲望を押し通すまで一歩も引かないところがある。
これはそのパターンだ。終わりの見えない押し問答より、ドゥーガルドの要望に従った方が面倒はなさそうだ。
今まで寄越されてきた数多のエロい要望に比べれば、頭を撫でるなんて可愛いものだ。
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