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第2章 異世界でももふもふは正義!?
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「あれ~、アーロン買い物終わったの~?」
「いや、まだ買い物の途中だけどこっちに人の流れができてたからなんか儲け話でもあるかと思って来ただけ」
「残念だったな、ここに儲け話はないからな」
「――いや、ある!」
キラリと目を光らせてそう言うと、アーロンは俺を押し退けてザッと人だかりの中心、クロの前に立った。
「おさわり無料キャンペーンはここまで! ここからは有料だ!」
「はぁ!?」
思いも寄らない宣言にクロの周りにいた人たちはもちろん、俺も目を見開いた。
「おさわり三十秒で百ピーロ。背中に乗せて街を一周で、五千ピーロだ!」
「なに勝手にクロで商売始めてんだよ!」
肩を掴んで守銭奴の口上を遮ると、アーロンは鬱陶しそうに舌打ちをした。
「いいだろ、このくらい。餌代くらい自分で稼いでもらわねぇと」
「いや、クロは普通に俺らの食材をとってきてくれんだろ!」
この間大きな魚を獲ってきてもらったことを忘れたのか!? むしろお前がクロに飯代払え!
「いいじゃねぇか。こいつだってお前の役に立つなら喜んで何だってするさ。な?」
「グルルルル……ッ」
「ほら、こいつも喜んでやらせてもらいますってよ」
「ほらじゃねぇよ! めっちゃ唸ってるじゃねぇか!」
この唸り声のどこに快諾を感じたんだ!?
「ちげぇよ、これは気合いの唸りだ」
「無理がありすぎるだろ!」
アーロンのアコギな商売を阻止するため、ギャアギャアと言い合っていると、
「そこの旅のお方」
よぼよぼとした足取りで杖をつきながら老婆が俺の方へやってきた。
老婆は腰がすっかり曲がっていることもあって体が小さく見えたが、どこか長老のような威厳のある佇まいでもあった。
「そこの獣は貴方様のものですか?」
「は、はい、そうですけど……」
そう答えた瞬間、老婆は目をカッと見開き、今まで自分の重心を預けていた杖を振り上げて俺の太腿にクリーンヒットさせた。
「あだぁっ!」
突然の攻撃に俺は濁った悲鳴をあげた。老婆の力なのでケガを負うほどのものではないが、地味に痛い。
「なっ、なにするんですか!」
理不尽な暴力に抗議の声を上げる。
クズ勇者のせいであらゆる理不尽には慣れていたつもりだったが、まさか見知らぬ老婆にまでこんな目に遭わされるなんて思ってもいなかった。太腿の痛みも相まってちょっと涙目になった。
けれど老婆は険しい顔つきを少しも崩さず、俺をキッと睨み据えた。
「お主こそ何てことをしてるんじゃ! 黒の使いをこの街に連れてくるとは……さっさと出て行け!」
「うわっ、ちょ、杖はやめてくださいっ」
怒りを剥き出しにした老婆が杖を再び振り上げた。
俺は慌てて手で顔をガードしながらストップをかけたが、俺の制止も虚しく杖は振り下ろされた。
や、やばい……っ!
反射的に目をつむったと同時に、人の気配と風が前髪をかすめた。
――ガシッ
予想していた衝撃が来なかったので恐る恐る目を開けると、アーロンが俺の前に立って老婆の杖を手で受け止めていた。
「いや、まだ買い物の途中だけどこっちに人の流れができてたからなんか儲け話でもあるかと思って来ただけ」
「残念だったな、ここに儲け話はないからな」
「――いや、ある!」
キラリと目を光らせてそう言うと、アーロンは俺を押し退けてザッと人だかりの中心、クロの前に立った。
「おさわり無料キャンペーンはここまで! ここからは有料だ!」
「はぁ!?」
思いも寄らない宣言にクロの周りにいた人たちはもちろん、俺も目を見開いた。
「おさわり三十秒で百ピーロ。背中に乗せて街を一周で、五千ピーロだ!」
「なに勝手にクロで商売始めてんだよ!」
肩を掴んで守銭奴の口上を遮ると、アーロンは鬱陶しそうに舌打ちをした。
「いいだろ、このくらい。餌代くらい自分で稼いでもらわねぇと」
「いや、クロは普通に俺らの食材をとってきてくれんだろ!」
この間大きな魚を獲ってきてもらったことを忘れたのか!? むしろお前がクロに飯代払え!
「いいじゃねぇか。こいつだってお前の役に立つなら喜んで何だってするさ。な?」
「グルルルル……ッ」
「ほら、こいつも喜んでやらせてもらいますってよ」
「ほらじゃねぇよ! めっちゃ唸ってるじゃねぇか!」
この唸り声のどこに快諾を感じたんだ!?
「ちげぇよ、これは気合いの唸りだ」
「無理がありすぎるだろ!」
アーロンのアコギな商売を阻止するため、ギャアギャアと言い合っていると、
「そこの旅のお方」
よぼよぼとした足取りで杖をつきながら老婆が俺の方へやってきた。
老婆は腰がすっかり曲がっていることもあって体が小さく見えたが、どこか長老のような威厳のある佇まいでもあった。
「そこの獣は貴方様のものですか?」
「は、はい、そうですけど……」
そう答えた瞬間、老婆は目をカッと見開き、今まで自分の重心を預けていた杖を振り上げて俺の太腿にクリーンヒットさせた。
「あだぁっ!」
突然の攻撃に俺は濁った悲鳴をあげた。老婆の力なのでケガを負うほどのものではないが、地味に痛い。
「なっ、なにするんですか!」
理不尽な暴力に抗議の声を上げる。
クズ勇者のせいであらゆる理不尽には慣れていたつもりだったが、まさか見知らぬ老婆にまでこんな目に遭わされるなんて思ってもいなかった。太腿の痛みも相まってちょっと涙目になった。
けれど老婆は険しい顔つきを少しも崩さず、俺をキッと睨み据えた。
「お主こそ何てことをしてるんじゃ! 黒の使いをこの街に連れてくるとは……さっさと出て行け!」
「うわっ、ちょ、杖はやめてくださいっ」
怒りを剥き出しにした老婆が杖を再び振り上げた。
俺は慌てて手で顔をガードしながらストップをかけたが、俺の制止も虚しく杖は振り下ろされた。
や、やばい……っ!
反射的に目をつむったと同時に、人の気配と風が前髪をかすめた。
――ガシッ
予想していた衝撃が来なかったので恐る恐る目を開けると、アーロンが俺の前に立って老婆の杖を手で受け止めていた。
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