35歳からの楽しいホストクラブ

第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶！？

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「もし嫌でなければもっと青葉さんとお話ししたいです。会社でのお兄様のお話、ぜひ聞かせてください」

　屈託のない笑顔でそう請われて僕は戸惑った。
　というのも、僕がボロを出さないようにここで立ち去るのが蓮さんの指示なのだ。
　しかしキラキラと目を輝かせて迫られては無碍に断れない。
　判断を仰ぐように蓮さんをちらりと見遣る。
　蓮さんが小さく溜め息を吐いた。

「こら、蘭香。わがままを言うな。青葉さんも休みなんだから用事があるに決まってるだろう」

　さり気なく出された助け船に、内心ほっと息を吐いた。
　よし、このまま話を合わせて用事があることにしよう、と思って口を開きかけると、

「大丈夫ですよ。さっきお話した時に今日はＤＶＤ借りて帰るだけって言ってましたもの」

　蘭香ちゃんの言葉にハッとした。
　そういえば蓮さんとの待ち合わせ場所に向かう途中で休日の過ごし方の話になって「今日もＤＶＤ借りて帰るだけ」と言ったのだった。
　自分の失言に顔を覆いたくなった。

「へぇ……、そうなのか」

　笑っていない蓮さんの目が「なにお前余計なことを言ってくれてんだ」と言っている気がしてその目を直視できない……。

「お土産で地元特産のお饅頭を持って来たのでぜひそれを食べながらお話しましょう！」

　僕の両手をとってにっこりと微笑む蘭香ちゃん。
　自分の失言のせいで逃げ場はない。ちらりと再び蓮さんに視線を向ける。蓮さんは不承不承といった苦い表情でゆっくりと頷いた。
　つまりお誘いに乗れということだ。

「……そ、それは嬉しいなぁ。じゃあお言葉に甘えてお邪魔させてもらおうかな～」
「ふふふ！　こちらこそ嬉しいです！　いっぱいお兄様のお話、きかせてくださいね」
「あ、はは、喜んで～……」

　嬉しそうに瞳を輝かせる蘭香ちゃんに、果たして蘭香ちゃんと蓮さん両者の期待に添った話が出来るのか、プレッシャーと不安で胃が捩れそうだった……。