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22・討伐の準備をしよう!

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「お兄様、お姉様、私も参加します!!」

何の挨拶もなしに家の広間に飛び込むと、既に出発の準備を整えて“豪炎の夜明け”のメンバーとお父様、お母様が作戦会議を開いていた。

「ああ!!帰ってきてくれたのかい?でも、リヴィはあちらで召集をされていたはずでは?」

お父様がウルウルと瞳を潤ませながら抱きついてきた。

「私がいると足手纏いだから、来るなと言われたの。アリーナという女性が私のフリをして出陣したわ」

「はあ?!なによそれ!!オリヴィアが足手纏いって!!つくづく腐った男だな!!」

イヴお姉様が怒りのあまり隣にいたリアお兄様の背中をバチーンと叩く。お兄様はゲホゲホとむせながらもそうだな、クズだ。と同意しているり

「いや、良かった。先にオリヴィアをこちらに攫ってこなければと思っていたから。俺がそばに居れば守れる。いつもみたいに、オリヴィアは俺たちを守ってくれ。」

コンラッドの優しく逞しい一言に嬉しくなり、つい抱きついてしまう。
ふと、頬にプニプニの感触を感じ顔を上げると、肩にシュバルツがいた。

「俺様はそうなると思ってオリヴィアの討伐登録もしてあるぞ!褒めてくれ!」

「シュバルツ、ありがとう。?なんか…羽根生えてない?!」

「俺様ガンナーに頼んで強くしてもらったんだ。完全に魔獣になっちまったけど。いいか?」

「いいわ!かっこいい!素敵よ、シュバルツ」

帰ってこないと思っていたら、どうやらガンナー(調教師)のところに行って身体強化をしてもらったらしい。背中にはカラスの様なツヤッとした焦茶色の羽根が生えていた。自在にしまえるらしく、出したりしまったりしながら自慢してくれた。

「オリヴィアならそう言うと思ってたぜ!」

と少し照れくさそうにしていた。
お父様とお兄様、お姉様、コンラッドが作戦やルートの確認をしている間に私はお母様に装備を整えてもらうことにした。

白いシャツにワイバーンの皮でできた、胴回りまで覆えるレースアップ の胸当てに、膝まで覆う皮の手袋。
アーミーブーツに伸縮性のあるパンツを合わせて、身軽だけど防御に特化した服に着替える。
素手でアンデットを殴るのは気が引けるので、今回は細身の槍を武器に選ぶ。
髪を一つにまとめながら母が、「手入れしてもらえてないのね。髪が傷んでいるわ」と呟く。

「でもね、アルフに、ベティ、ノウンという友達ができたのよ。悪いことばかりじゃないわ」

「コンラッドが今、貴方を取り返すために頑張っているのよ。もう少しだからね」

最後に念のため、と鼻から口元を綺麗な濃紺の布で覆う。耳元で止めてあるだけなのでヒラヒラと風にたなびいてくれる。息をするのも苦しくないし、顔が半分隠れてくれるので少し安心感がある。

胸当てに手袋、ブーツも青系でまとめられている。
これではまるでコンラッドの色を見に纏っている様だとチラッと思ってしまったらもうダメだった。
嬉しくて恥ずかしくて、顔に熱が集まってくるのがわかる。

「あら、気がついた?コンラッドからの贈り物よ」

彼に包まれていると思うと、なぜだか安心したし、胸が熱く燃える様に嬉しかった。
身支度を整えて広間に行くと、会議も終わりみな、装備の点検をしていた。庭に何組かの冒険者も集まってきていよいよ出発の時が来たようだ。

「おーい!!豪炎の皆さん!それに、イフ…えーっと…姐さん!!」

正門の方から見知ったパーティーが声をかけてきた。
洞窟で助けた“荒野の狼”達だ。

「俺たちも微力ながら手を出させていただきます!足手纏いにならない様に頑張ります!」

『あら、そうなの?頑張りなさいよ』

「はい!まだまだ姐さんに貢物しないとなんで!」

どうやら、ルビィと和解したと言うより師弟関係みたいになっている様で、仲良さそうに話していた。
狼の女性メンバーの一人がこちらはかけてきて、涙ながらに私を抱きしめた。

「英雄様に無理やり嫁がされたと聞きました。心配していたんです。私たちが、オリヴィア様に助けられたと証言してしまったばかりに。ごめんなさい」

「あなた達のせいじゃないのよ!私なんて何の力にもなれなかったのに、助けられただなんて…そんなふうに思ってくれてたのね。ありがとう。今日こそはちゃんと守るから、思い切り戦ってね!」

「天使よ!オリヴィア様は、やっぱり天使なのよ!」

そう言って荒野の狼一行は私とルビィを拝んで出発して行った。先頭はお父様率いるベテラン冒険者に任せ、後ろは我々豪炎の夜明けが守ることになる。
怪我をした者は後方に下がり、私や救護班が治療に当たりながら目標地点まで行くことになった様だ。

お母様はお留守番だが、実はお父様より強いお母様は一手に屋敷の守備を任されている。

コンラッドにお兄様、お姉様とルビィ、と戦力が集中し過ぎているので、お父様のところへシュバルツがついていき、連絡係をしてくれることになっている。
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