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連載
65.アレキサンドライト視点
「……」
かさっと、布の擦れるような音がしたが、返事や反応はない。きっと、窓から外を見ていて俺が来た事をわかっているのだろう。
無反応は逆に反応だと思う事にして、扉の向こうに届くように少し大きな声で話しかける。
「スイ、ごめん。俺が悪かった。スイに合わせる顔がなくて…嫌われた事を確認するのが怖くて会いに行けなかった。ごめん。」
シン、と空気が張り詰めた。耳が痛いくらいの静かさだ。というか、トラティリア邸の人たちはどこへ行ったのだろうか。生活音が全くしない。
『それで終わりか?!根性見せろ!』
『貴方の想いはその程度だったのですか?!情けない!』
『もう手遅れね。』
あの3人のコソコソ話す声が大きく聞こえる気がする。周りが静かすぎて。
というか、スイにも聞こえてないか?聞こえてる気がする。
「その…今更だけど話がしたい。会いにきてくれて本当は嬉しかった。勇気を出してきてくれたのにすまない。」
「スイ、会いたいんだ。俺は…俺は君に嫌われたくなくて…最低な事をしてしまった。ごめん」
少しずつ、ゆっくりと自分の思いを伝える。一つ一つの言葉の間には何秒か、何十秒か間が空いてしまう。
そうでないと、いい歳して涙が溢れてしまいそうだ。
扉に手を当てているのを忘れて、つい、ギュッと手を握ってしまう。ガリっと爪で扉を引っ掻いてしまうような音がした。
「顔を見せて。スイ。もう、君から離れようとなんてしない。だから…」
「わがままな人ね。」
こつんと扉に額をつけながら懇願すると、部屋の中から小さな声で返事が返ってきた。
「わ…わがままでごめん!」
「わたくしのこと、一人ぼっちにしておいて自分は捨てないでと懇願するの?」
怒こ…ってる?なんだか、穏やかな声に聞こえる。
とにかく、返事をしてくれたこの機会にスイと会話を続けられるようにすぐに返事をする。
「ごめん。本当に、もう絶対に一人にしない。逃げない!」
「口だけではなんとでも言えるわ。わたくしをその気にさせておいて、都合が悪くなったら、ぽい、されてはたまらないのよ。」
「その通りだ。本当に、俺が悪かった。どうしていいかわからなかった。」
…え?その気にさせておいて?
ハッとして顔を上げると同時に部屋の扉が静かに開いた。中からのぞいたスイの顔はほんのりと赤く色付いていて、微笑んでいた。
「手のかかる子だこと。お膳立てしてあげなければ殻から出てくることもできないなんて。でも、その情けなさがまた、可愛いと思ってしまったのですから仕方ないですわね。」
え?よくわからなくて三人の方をちらっと見ると廊下の奥にはトラティリア公爵夫妻や使用人達がほんわかと優しい笑みを浮かべてみんなで並んで見ていた。
さっきまで俺の悪口を言っていた三人は、「やれやれ」とでも言いたげななんとも言えないような顔をしていた。
スイが優しく俺の頬に手を当てる。一瞬だけ、泣き出しそうな、せつない表情を浮かべたがすぐにまた元の穏やかな笑顔に戻った。
そして、小さな声で俺の耳元でささやく。
「本当に悲しかったのよ。わたくしが、貴方を受け入れなさ過ぎてもう、飽きられたのかと思ったのよ。もう二度と勝手に手を離さないでくださる?わたくし、意外と寂しがりやでしてよ?ちゃんと構ってくれなくては怒りますわ。」
「あぁ、わかった。絶対に、スイの手を離さない。だから俺と結婚して欲しい。いますぐにでも。」
「約束を破ったら、ブライトン家総出で貴方を潰しますから。」
「ああ!!もちろんだ。スイ!大好きだ!!!」
なんだかものすごく恐ろしい事を言われた気がするが、スイが受け入れてくれた事が嬉しくてがばっと抱きついてそのまま高い高いをするようにスイを持ち上げる。
スイがきゃあ!と可愛らしい悲鳴を上げながら俺の腕を強くギュッと握りしめる。
俺はその痛みさえも嬉しくてしばらく感じられなかった。
やっと、スイを下ろして振り向くと、シーラが微笑みながら俺のすぐそばに立っていた。
シリルもとても嬉しそうだ。
セイだけが、なんだか怖い顔をしていたが「次にスイを泣かせたら国ごと潰しますわよ。」と恐ろしい笑顔と共に祝って?くれた。
スイは受け入れてくれたが、俺が越えなければいけない壁はまだまだ高い。(辺境伯とか、夫人とか。)セイにそっくりな夫人をうまく説得できるだろうか。
前途多難であるが、俺の隣で穏やかに微笑むスイとの未来のために頑張らないといけないなと
心を奮い立たせた。
かさっと、布の擦れるような音がしたが、返事や反応はない。きっと、窓から外を見ていて俺が来た事をわかっているのだろう。
無反応は逆に反応だと思う事にして、扉の向こうに届くように少し大きな声で話しかける。
「スイ、ごめん。俺が悪かった。スイに合わせる顔がなくて…嫌われた事を確認するのが怖くて会いに行けなかった。ごめん。」
シン、と空気が張り詰めた。耳が痛いくらいの静かさだ。というか、トラティリア邸の人たちはどこへ行ったのだろうか。生活音が全くしない。
『それで終わりか?!根性見せろ!』
『貴方の想いはその程度だったのですか?!情けない!』
『もう手遅れね。』
あの3人のコソコソ話す声が大きく聞こえる気がする。周りが静かすぎて。
というか、スイにも聞こえてないか?聞こえてる気がする。
「その…今更だけど話がしたい。会いにきてくれて本当は嬉しかった。勇気を出してきてくれたのにすまない。」
「スイ、会いたいんだ。俺は…俺は君に嫌われたくなくて…最低な事をしてしまった。ごめん」
少しずつ、ゆっくりと自分の思いを伝える。一つ一つの言葉の間には何秒か、何十秒か間が空いてしまう。
そうでないと、いい歳して涙が溢れてしまいそうだ。
扉に手を当てているのを忘れて、つい、ギュッと手を握ってしまう。ガリっと爪で扉を引っ掻いてしまうような音がした。
「顔を見せて。スイ。もう、君から離れようとなんてしない。だから…」
「わがままな人ね。」
こつんと扉に額をつけながら懇願すると、部屋の中から小さな声で返事が返ってきた。
「わ…わがままでごめん!」
「わたくしのこと、一人ぼっちにしておいて自分は捨てないでと懇願するの?」
怒こ…ってる?なんだか、穏やかな声に聞こえる。
とにかく、返事をしてくれたこの機会にスイと会話を続けられるようにすぐに返事をする。
「ごめん。本当に、もう絶対に一人にしない。逃げない!」
「口だけではなんとでも言えるわ。わたくしをその気にさせておいて、都合が悪くなったら、ぽい、されてはたまらないのよ。」
「その通りだ。本当に、俺が悪かった。どうしていいかわからなかった。」
…え?その気にさせておいて?
ハッとして顔を上げると同時に部屋の扉が静かに開いた。中からのぞいたスイの顔はほんのりと赤く色付いていて、微笑んでいた。
「手のかかる子だこと。お膳立てしてあげなければ殻から出てくることもできないなんて。でも、その情けなさがまた、可愛いと思ってしまったのですから仕方ないですわね。」
え?よくわからなくて三人の方をちらっと見ると廊下の奥にはトラティリア公爵夫妻や使用人達がほんわかと優しい笑みを浮かべてみんなで並んで見ていた。
さっきまで俺の悪口を言っていた三人は、「やれやれ」とでも言いたげななんとも言えないような顔をしていた。
スイが優しく俺の頬に手を当てる。一瞬だけ、泣き出しそうな、せつない表情を浮かべたがすぐにまた元の穏やかな笑顔に戻った。
そして、小さな声で俺の耳元でささやく。
「本当に悲しかったのよ。わたくしが、貴方を受け入れなさ過ぎてもう、飽きられたのかと思ったのよ。もう二度と勝手に手を離さないでくださる?わたくし、意外と寂しがりやでしてよ?ちゃんと構ってくれなくては怒りますわ。」
「あぁ、わかった。絶対に、スイの手を離さない。だから俺と結婚して欲しい。いますぐにでも。」
「約束を破ったら、ブライトン家総出で貴方を潰しますから。」
「ああ!!もちろんだ。スイ!大好きだ!!!」
なんだかものすごく恐ろしい事を言われた気がするが、スイが受け入れてくれた事が嬉しくてがばっと抱きついてそのまま高い高いをするようにスイを持ち上げる。
スイがきゃあ!と可愛らしい悲鳴を上げながら俺の腕を強くギュッと握りしめる。
俺はその痛みさえも嬉しくてしばらく感じられなかった。
やっと、スイを下ろして振り向くと、シーラが微笑みながら俺のすぐそばに立っていた。
シリルもとても嬉しそうだ。
セイだけが、なんだか怖い顔をしていたが「次にスイを泣かせたら国ごと潰しますわよ。」と恐ろしい笑顔と共に祝って?くれた。
スイは受け入れてくれたが、俺が越えなければいけない壁はまだまだ高い。(辺境伯とか、夫人とか。)セイにそっくりな夫人をうまく説得できるだろうか。
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心を奮い立たせた。
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