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王家の秘密
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「さて、今回の作戦についてだ。」
すっかり町の青年と化したアーサーがみんなに向けて真面目な顔で話を始める。
今回は金軍から十名ほどの猛者も参加する。皆、私服を着込んで監査役をする事になっている。
シリルとスイは元々輝いている美しい瞳をさらに輝かせて、アーサーが広げる地図や作戦図を見つめる。
「まず、シリル、スイ、カイルはこの飲み屋の店員として潜入してもらう。俺とシーラは経営者側だ。そして他の者達はそれぞれ、客として紛れ込んでもらう。ただし、三人には近づかないこと。それと、シーラは料理はしない事。」
皆が真剣な顔をしてコクコクと首を縦に振る。
皆が理解したのを確認してアーサーが話を続ける。
「そして、三人は誰かれかまわず、“国から出たい、もっと都会に行きたい!”と話をしろ。相手が引っ掛かるまでとにかく、“私はこんな小さな国で終わる美女じゃない!”と主張するんだ。誰か一人でも敵を引っ掛けたら、一緒に行きたいと言っている者がいるとか何とか言ってうまく三人でその者についていけば良い。抵抗せず、大人しくな。」
金髪に黄色いカラーガラスを瞳に嵌め込まれ、町娘のワンピースを着せられた可憐な乙女がスッと手を上げた。
カイルだ。
シリルに似たシルエットを持つカイルは輪郭が細く女装していても飛び抜けた違和感はない。
よく見れば腕や足に逞しい筋が浮かんでしまっているので長袖に長めのスカート、ブーツを着用している。
「もし、断られたら」
「断らないさ。相手はこちらに気がついてもらいたいんだ。だから、あちらに渡る人数は多い方がいいんだ。」
アーサーとカイルは共に訓練をする中で、気の合う部分が出てきたようだ。アーサーからカイルに気軽に接してほしい、と言ってきたらしい。
カイルに相談されアーサーがいいと言うなら良いんだろう。と返事をした覚えがある。
「あと一番は、命を大事に。どんな事があっても自分の命を一番に考えてくれ。」
アーサーのその一言を合図に、作戦会議は終了した。
私とアーサーは夕刻になるまで情報収集をする。まずは奴らの元へ行かねばならない。
念の為に護身用の剣を持って、地下牢へ向かおうと準備をしていると、スイとシリルが小走りでこちらへ寄ってきた。
「シーラ!やっぱりシーラは何をしてもかっこいいね。」
「お姉様のオーラはどうしても漏れ出してしまうのですね。アレクはあんなにも馴染んでいるというのに。流石ですわ。」
二人は私を頭の先から足の先までジーと見つめて嬉しそうにしている。たまに二人で見つめあってニコッと笑い合ったり、私の髪の結び方を見て真剣な顔をしたりしてとても嬉しそうだ。
「ふふ、二人はそうしていると姉妹のように見えるな。」
「本当?それは嬉しいな!スイさんは服のことやアクセサリーのことにすごく詳しくて、話を聞いていて楽しいんだ!」
シリルが嬉しそうに答える。シリルは衣服の装飾や美しいデザインなどに興味がある分、専門家であるセイの側でいつもモデルをしたり、アシスタントをしているスイの話を聞くのが嬉しいようだ。
スイがオホン、と控えめに咳払いをする。
「お姉様、わたくしがこの妹分をお守りいたしますから信じてくださいませね。わたくしとてブライトンの一族、容易にやられませんわ。なんなら、お姉様の弟子も、守って差し上げますわ。」
カイルはスイの一言にギョッとした顔をする。スイは「うふふ」とまるで子猫のようにイタズラな笑みを見せた。
「必ず助けに行く、それまで待っていて…」
と伝えようとしたところで、慌ててアーサーがこちらにやってきて、「必ず助けに行くからな!!」と半分涙目になってスイに抱きついていた。
「シリルもだ、決して無理はしないこと。スイとカイルから離れないこと…」
「うん!シーラが助けに来てくれるのを待っているから大丈夫。僕のこと、守ってね!」
「わかった。約束だ。」
そうして三人は例の飲み屋へ監視の兵士たちと共に向かった。私とアーサーも、地下の牢へと足を向ける。
木の重い扉を開くと、シンと静かな空気が建物の方に向かって流れ込んでくる。この地下牢は重罪を犯した者が捕らえられている。外界との接触を完全に遮断する為、それぞれの個室に窓はなく石と鉄に囲まれている。
オレンジ色の小さな電球が風もないのに何故かゆらゆらと揺らいでいる。
見張りの兵士が胸に手を当て私たちを通す。
一番奥の牢屋の手前で、ジャラリと重い鎖の音が響いた。
すっかり町の青年と化したアーサーがみんなに向けて真面目な顔で話を始める。
今回は金軍から十名ほどの猛者も参加する。皆、私服を着込んで監査役をする事になっている。
シリルとスイは元々輝いている美しい瞳をさらに輝かせて、アーサーが広げる地図や作戦図を見つめる。
「まず、シリル、スイ、カイルはこの飲み屋の店員として潜入してもらう。俺とシーラは経営者側だ。そして他の者達はそれぞれ、客として紛れ込んでもらう。ただし、三人には近づかないこと。それと、シーラは料理はしない事。」
皆が真剣な顔をしてコクコクと首を縦に振る。
皆が理解したのを確認してアーサーが話を続ける。
「そして、三人は誰かれかまわず、“国から出たい、もっと都会に行きたい!”と話をしろ。相手が引っ掛かるまでとにかく、“私はこんな小さな国で終わる美女じゃない!”と主張するんだ。誰か一人でも敵を引っ掛けたら、一緒に行きたいと言っている者がいるとか何とか言ってうまく三人でその者についていけば良い。抵抗せず、大人しくな。」
金髪に黄色いカラーガラスを瞳に嵌め込まれ、町娘のワンピースを着せられた可憐な乙女がスッと手を上げた。
カイルだ。
シリルに似たシルエットを持つカイルは輪郭が細く女装していても飛び抜けた違和感はない。
よく見れば腕や足に逞しい筋が浮かんでしまっているので長袖に長めのスカート、ブーツを着用している。
「もし、断られたら」
「断らないさ。相手はこちらに気がついてもらいたいんだ。だから、あちらに渡る人数は多い方がいいんだ。」
アーサーとカイルは共に訓練をする中で、気の合う部分が出てきたようだ。アーサーからカイルに気軽に接してほしい、と言ってきたらしい。
カイルに相談されアーサーがいいと言うなら良いんだろう。と返事をした覚えがある。
「あと一番は、命を大事に。どんな事があっても自分の命を一番に考えてくれ。」
アーサーのその一言を合図に、作戦会議は終了した。
私とアーサーは夕刻になるまで情報収集をする。まずは奴らの元へ行かねばならない。
念の為に護身用の剣を持って、地下牢へ向かおうと準備をしていると、スイとシリルが小走りでこちらへ寄ってきた。
「シーラ!やっぱりシーラは何をしてもかっこいいね。」
「お姉様のオーラはどうしても漏れ出してしまうのですね。アレクはあんなにも馴染んでいるというのに。流石ですわ。」
二人は私を頭の先から足の先までジーと見つめて嬉しそうにしている。たまに二人で見つめあってニコッと笑い合ったり、私の髪の結び方を見て真剣な顔をしたりしてとても嬉しそうだ。
「ふふ、二人はそうしていると姉妹のように見えるな。」
「本当?それは嬉しいな!スイさんは服のことやアクセサリーのことにすごく詳しくて、話を聞いていて楽しいんだ!」
シリルが嬉しそうに答える。シリルは衣服の装飾や美しいデザインなどに興味がある分、専門家であるセイの側でいつもモデルをしたり、アシスタントをしているスイの話を聞くのが嬉しいようだ。
スイがオホン、と控えめに咳払いをする。
「お姉様、わたくしがこの妹分をお守りいたしますから信じてくださいませね。わたくしとてブライトンの一族、容易にやられませんわ。なんなら、お姉様の弟子も、守って差し上げますわ。」
カイルはスイの一言にギョッとした顔をする。スイは「うふふ」とまるで子猫のようにイタズラな笑みを見せた。
「必ず助けに行く、それまで待っていて…」
と伝えようとしたところで、慌ててアーサーがこちらにやってきて、「必ず助けに行くからな!!」と半分涙目になってスイに抱きついていた。
「シリルもだ、決して無理はしないこと。スイとカイルから離れないこと…」
「うん!シーラが助けに来てくれるのを待っているから大丈夫。僕のこと、守ってね!」
「わかった。約束だ。」
そうして三人は例の飲み屋へ監視の兵士たちと共に向かった。私とアーサーも、地下の牢へと足を向ける。
木の重い扉を開くと、シンと静かな空気が建物の方に向かって流れ込んでくる。この地下牢は重罪を犯した者が捕らえられている。外界との接触を完全に遮断する為、それぞれの個室に窓はなく石と鉄に囲まれている。
オレンジ色の小さな電球が風もないのに何故かゆらゆらと揺らいでいる。
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一番奥の牢屋の手前で、ジャラリと重い鎖の音が響いた。
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⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。