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反撃の狼煙…はまだたかない
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「私は何もしてないんだから、もう私に近づかないで。新しい彼女にもそう伝えてください。」
くるっと向きを変えるとさっさと経理課を後にする。
課長が追いかけてきて
「もっとギャフンと言わせりゃ良いのに」
と言ってくれたが、これがその時できる精一杯の反撃だった。好きだった人だしあまり不幸になってほしくないな。なんて甘い考えで「良いんです。本当に好きだったんです」とだけ答えた。
その後は特に何もなく、仕事も順調にこなし、1週間何のトラブルもなく過ごせた。
課の仲間達とも打ち解けられて、飲みにいったりカフェに行ったりと世界が広かった気がした。
「玲子さんって美人でシャキッとしてるから冷たい人だと思ってましたー」
「だよね。私も、こんなに優しくて柔らかい人と思わなかったよ!私なら浮気なんてしたらボコボコにするのに」
と仲間たちは皆驚いていた。
金曜日になり、昴のBARに顔を出す。
「やっときたか!避けられてんのかと思った。」
玲子がカウンターに座ると、机の向こう側で寂しそうな表情で昴が呟く。
「ごめん。課の人たちと飲みに行ったり、残業結構あって…」
「いいよ。その代わり今日は泊まっていってね絶対」
いつものカクテルを机に置いて、スッと接客に戻っていった。きゃぁきゃぁと女の子達が昴を見つめながら騒いでいた。モテるんだから、女の子には困らないだろうに、なぜ私なんだろう?
しかもずっと彼氏がいた私。ふと疑問が浮かんだが、考えすぎるのが悪い癖だと思い直し目の前のカクテルを煽る。
「あの、一人ですか?」
と声をかけてきたのは、かわいい女の子だった。
「え?はい。」
と答えると、玲子の隣の空いていた椅子に腰掛ける
「スバルさんとどういう関係なんですか?」
いきなり直球の問いにどきっとしてしまう。
「どうって…昴に聞いてください」
あまり余計な事を言ってもいけないかと思い、にごすことにした。
「付き合ってるとか…もしかしてもう結婚してる?!」
「いや、結婚はしてない…です」
女の子の勢いに押されて椅子からお尻が半分ずり落ちる。ほぼ立ってる状態でさらにグイグイと距離を詰められ、慌てて逃げようとする。
ドンっと硬いものにあたる。「すみません」と顔を上げると昴がもう少し大人になったらこんな感じ?って言う感じの男の人だった。
ヒョイっと手を差し出され、うっかり手を取るとまた椅子に戻される。
「昴とはどう言う関係なの?」
なんなの?!ロボットなの?!2人に挟まれて同じ質問をされる。
「どうもこうも!」といよいよ言い返そうとしたところに、慌てて昴が助けに来た。
「おい!お前ら何やってんだ」
「昴。良い報告ができそうなときはすぐにしろと…お兄ちゃんそう言っただろう!!!」
おにいちゃん?
「妹の目は誤魔化されないのよ!今まで髪の毛一本落ちてなかった部屋に、新品じゃない女性物の服があるなんて!!絶対に何かあると思って張り込んでたのよ!」
いもうと?
2人は昴にそれだけ言うと、くるっとこちらに向きを変えると、妹と名乗る方の可愛らしい女性が両手を掴んで持ち上げる。
「あのアホ、女なんてっていいながらろくに彼女も作らなかったの。貴方、あのアホの彼女よね?!お願い!!そうだと言って!!!」
「18まではよく遊んでいたのに、それからパタリ。BAR始めたかと思ったら、仕事ばかりになって、初めは喜んでいたんだけど、仕事以外に出かけないからどうしたのかと家族で心配してたんですよ。」
妹と兄と名乗る二人はとても、とても真剣な顔で玲子に迫っていた。
くるっと向きを変えるとさっさと経理課を後にする。
課長が追いかけてきて
「もっとギャフンと言わせりゃ良いのに」
と言ってくれたが、これがその時できる精一杯の反撃だった。好きだった人だしあまり不幸になってほしくないな。なんて甘い考えで「良いんです。本当に好きだったんです」とだけ答えた。
その後は特に何もなく、仕事も順調にこなし、1週間何のトラブルもなく過ごせた。
課の仲間達とも打ち解けられて、飲みにいったりカフェに行ったりと世界が広かった気がした。
「玲子さんって美人でシャキッとしてるから冷たい人だと思ってましたー」
「だよね。私も、こんなに優しくて柔らかい人と思わなかったよ!私なら浮気なんてしたらボコボコにするのに」
と仲間たちは皆驚いていた。
金曜日になり、昴のBARに顔を出す。
「やっときたか!避けられてんのかと思った。」
玲子がカウンターに座ると、机の向こう側で寂しそうな表情で昴が呟く。
「ごめん。課の人たちと飲みに行ったり、残業結構あって…」
「いいよ。その代わり今日は泊まっていってね絶対」
いつものカクテルを机に置いて、スッと接客に戻っていった。きゃぁきゃぁと女の子達が昴を見つめながら騒いでいた。モテるんだから、女の子には困らないだろうに、なぜ私なんだろう?
しかもずっと彼氏がいた私。ふと疑問が浮かんだが、考えすぎるのが悪い癖だと思い直し目の前のカクテルを煽る。
「あの、一人ですか?」
と声をかけてきたのは、かわいい女の子だった。
「え?はい。」
と答えると、玲子の隣の空いていた椅子に腰掛ける
「スバルさんとどういう関係なんですか?」
いきなり直球の問いにどきっとしてしまう。
「どうって…昴に聞いてください」
あまり余計な事を言ってもいけないかと思い、にごすことにした。
「付き合ってるとか…もしかしてもう結婚してる?!」
「いや、結婚はしてない…です」
女の子の勢いに押されて椅子からお尻が半分ずり落ちる。ほぼ立ってる状態でさらにグイグイと距離を詰められ、慌てて逃げようとする。
ドンっと硬いものにあたる。「すみません」と顔を上げると昴がもう少し大人になったらこんな感じ?って言う感じの男の人だった。
ヒョイっと手を差し出され、うっかり手を取るとまた椅子に戻される。
「昴とはどう言う関係なの?」
なんなの?!ロボットなの?!2人に挟まれて同じ質問をされる。
「どうもこうも!」といよいよ言い返そうとしたところに、慌てて昴が助けに来た。
「おい!お前ら何やってんだ」
「昴。良い報告ができそうなときはすぐにしろと…お兄ちゃんそう言っただろう!!!」
おにいちゃん?
「妹の目は誤魔化されないのよ!今まで髪の毛一本落ちてなかった部屋に、新品じゃない女性物の服があるなんて!!絶対に何かあると思って張り込んでたのよ!」
いもうと?
2人は昴にそれだけ言うと、くるっとこちらに向きを変えると、妹と名乗る方の可愛らしい女性が両手を掴んで持ち上げる。
「あのアホ、女なんてっていいながらろくに彼女も作らなかったの。貴方、あのアホの彼女よね?!お願い!!そうだと言って!!!」
「18まではよく遊んでいたのに、それからパタリ。BAR始めたかと思ったら、仕事ばかりになって、初めは喜んでいたんだけど、仕事以外に出かけないからどうしたのかと家族で心配してたんですよ。」
妹と兄と名乗る二人はとても、とても真剣な顔で玲子に迫っていた。
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