魔王が最弱でスライムが最強の世界!?

クソニート

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第1章最弱魔王は魔界で頑張ると決めたそうです

第23話 メール①

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「頑張って! ラエルさん・・・!」
「くっ・・・あ・・・ああああ・・・!」
「見えました! もう少しです頑張って、はい、ひいひいふう、ひいひいふう・・・」

 私は家で赤ちゃんを出産していた。看護婦が私に少しでもリラックスさせようとする。

「お父さん、奥さんの手を握ってあげてください!」
「はい!」

 エメが私の手を強く握る。

(早く、早く出ておいで・・・! 僕達と家族になろう!)

「あっ・・・ああ・・・くぅ・・・はっ!」

 私は体中に力を込めた。


「オギャアオギャアオギャア!」
「無事に産まれましたよ、お母さん! 元気な女の子です!」

 看護婦が赤ちゃんを優しく抱き上げて体を洗う。

「お母さん、どうぞ、抱いて顔を見てあげてください」
「はぁはぁはぁ・・・はい・・・!」

 看護婦は私に赤ちゃんを優しく渡した。

「オギャアオギャアオギャァ・・・」
「この子が私とエメの子・・・なんて可愛いのかしら・・・! ほら、見て、エメ・・・」

 私は看護婦に赤ちゃんを優しく預けた。

「どうぞ・・・お父さん・・・!」

 看護婦は私から赤ちゃんを預かると今度はエメへと優しく渡した。

「は、はい!」

 エメは優しく赤ちゃんを抱く。

「もしもし・・・パパですよ~・・・早く大きくなるんですよ~!」

 エメは赤ちゃんを抱きながら耳元で優しく言う。エメが赤ちゃんにメロメロなのが見てとれた。赤ちゃんは既に眠っている。

「はい・・・ラエルさん・・・」

 エメは私の隣に赤ちゃんを寝かせた。

「ありがとう・・・! ふふ・・・本当に可愛い・・・ほっぺたもプニプニ・・・」

 私は赤ちゃんのほっぺたをプニプニと指で軽くつついた。


「じゃ、私はこれで失礼します・・・」

 看護婦が勇者屋を出ていこうと扉へ向かう。結婚して私はエメの勇者屋に移り住んだのだ。これからは奥さんとしてエメを支えていくために。

「先生、本当にありがとうございました!」
「いえいえ、これが私の仕事ですから。それよりも――これから、しっかりと奥さんと娘さんを支えてあげてくださいね」
「・・・っ、はい! 一生懸命頑張ります!」
「では、私はこれで」

 看護婦はエメに軽く会釈をすると勇者屋の扉を閉めた。


「ラエルさん、看護婦さん帰りました」
「そう・・・あの人には感謝の気持ちでいっぱいだわ・・・どうしたらいいのか全然分からない私に色々と教えてくれたり、支えてくれたりして・・・本当に助かったわ・・・」
「いつか、お礼に行きましょう・・・! 三人で」
「そうね・・・! ねぇ、見て・・・――」

 私は赤ちゃんを見た。赤ちゃんは気持ち良さそうにスースーと眠っている。

「ぐっすり眠ってる・・・気持ち良さそうに・・・」
「そうですね・・・」

 私は赤ちゃんの頬を撫でた。エメも私の横に寝転び、腕を伸ばして赤ちゃんの頭を撫でる。

「本当に・・・本当にお疲れ様でした、ラエルさん・・・! そして、この子を産んでくれてありがとう・・・!」

 エメはいきなり私に抱きついてきた。

「キャ・・・! もう・・・いきなりどうしたの・・・?」
「だって・・・だって――」

 だんだんエメの目がうるうるとしてくる。

「ちょっと・・・どうして泣くの・・・?」
「僕、感動して・・・今、最高に幸せなんです! だから――」

 エメは私の胸に顔を埋めて泣く。

「もう・・・勇者なのに・・・甘えん坊なんだから・・・!」
「今は勇者ということはなしです・・・甘えさせてください・・・!」
「仕方ないわね・・・!」

 私はエメの頭を撫でてあげた。

「僕たち、これからはもっと幸せになりますね」
「そうね・・・!」
「この子の名前はどうするか決めていますか?」
「それはもう考えているわ」
「本当ですか?」
「この子の名前はメルよ!」
「メル・・・いい名前ですね!」 
「ええ・・・この子はメル・・・ユウキ・メル!」


 三年後、私たち家族は幸せな日常を送っていた。

 エメの勇者屋はだんだんと有名になり、依頼が多くなっていた。私も育児や家事におわれて毎日があっという間に過ぎていた。だけど、家族三人でいられる事が皆幸せだった。

「パパ~遊んで~!」

 メルがエメの足元に抱きついた。

「よ~し、おいで~おいで~」

 エメがメルの体を高く持ち上げる。

「キャ~アハハハ! タカーい!」

 メルは高く持ち上げられてとても喜んでいる。メルはエメの能力を受け継いで小さい頃から力が強く怖いものなし、という風に元気に育っていた。

「怪我しないでよ~」
「分かってますよ~そ~れ~!」

 私はエメに怪我させないように言うがエメはメルにメロメロだ。私はちょっと妬いた。

「もう・・・メロメロなんだから・・・私にもたまにはかまってほしい・・・」

 私は小さく呟いただけだったがエメはしっかりと聞いていた。

「ラエルさん・・・ラエルさんもほら、こっちで一緒に遊びましょう」

 エメが私を呼ぶ。

「ママも一緒に遊ぼー!」
「うん・・・!」

 メルにも呼ばれて私は二人の元へいった。

(こんなにも幸せな時間が永遠に続きますように――)
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