きっと僕は幸せに

どんな味がしたんだい？

「どんな味がしたんだい？」
「え？」
　そう聞くとベスタは困った表情をして固まってしまった。
　困った表情もまた非常に可愛らしい。
「ええっと、なんて言うんだろう…甘い感じの味がします」
「そうかい、好みの味だったかい？？」
「はい！とっても！飲ませて貰えて良かったです」
　恐らくそんなにまだチョコレートが効いて無いんだろう、引きつった笑顔でそう言った。
　なんて可愛いんだ、閉じ込めてしまいたい。
「そうかなら良かった、この調子でお肉も食べてみないかい？」
「え？あぁお肉…一口…」
　私は肉をベスタの口に運んだ。
　少し間が空いた後、小さな口で少し大きめに切ってしまった肉を頬を膨らませながら食べている。
　まるで小動物のようで愛くるしい。
「あの、あんまりに見つめられるとなんだか照れるので余り見ないで欲しいです」
「ああっすまない、あんまりにも頬張る姿が可愛らしくて」
「でも、一瞬苦しそうな顔してたよね」
　極彩色の斑点が美しいアウィーが言い出した。
「そうかい？」
「俺にはそう見えたけど」
「そうなのかいベスタ？」
　チョコレートがまだ効いて無いんだろうか、だとしたら味を感じないものを食べさせたことになってしまうな。
「そ、そんなことないよ！ただ舌を少し噛んでしまったんです」
「なんだ、そっか」
「舌は大丈夫かい？」
「痛いですが食事をする上ではそんなに問題ない痛さです」
「そうかい」
　可愛い、嗚呼、可愛い。
「じゃあ今度はスープでも飲もうか、そしたら噛むことも無いだろうし温かくて栄養満点だよ」
「スープならなんだか全部飲める気がします！！」
　チョコレートが効いていないかも知れないのにちゃんと私の料理を食べようとしてくれてる、なんて健気なんだ、連れてきてよかった。