きっと僕は幸せに

紫紫ヶ岳ぱぷる

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準備

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 すっかり眠ってしまったベスタを豚の屋敷から連れ帰っている。
 テントに着いたら何からしようか考えていたらあっという間に到着し、子供たちが出迎えてくれた。
「おかえりなさい!!」
 スライムのシュエナが最初に駆け寄ってきた。
「ただいま、帰ってきて早々に悪いんだがこの子を頼めるかい?」
「任せて!!」
 そう言うとシュエナは私の手からベスタを受け取り自身の体でベスタの全てを包んだ、あれで呼吸ができるんだから全く不思議な生態をしている。
「またお気に入りの子を連れて来たの?」
「可愛い泣き声が聞こえたからね」
 レトが拗ねた顔で尋ねてきた、なんて可愛らしい。
「今度はどんな子?」
 ムスッとしながら尋ねられる。
「黒曜石の妖精みたいな子だよ」
「でも手足がないから黒い芋虫だね」
 意地悪そうに微笑みながら返事をされる、私に独占欲を出したってどうにもならぬというのに…嗚呼、愛おしい。
「あっはっはっは、確かにそうだね、この子には蝶の羽でも付けてしまおうかな」
 ベスタの蝶の羽が付いた姿を想像するとニヤけが止まらなくなる。
「この子は何歳なの」
「十三歳だよ」
「僕より年下じゃないか…」
 目を見開きがっくしとした様子だ。
「何か不都合でも?」
「僕が甘やかして貰えなくなる」
 “あんなにも”甘やかしていると言うのにか?…もっと甘やかしたくなるじゃないか。
「シュエナというお前の六つ年下の子が既にいるのに何を言っているんだ」
「あいつとは同期だから同い年みたいなもんさ」
「レト、君はまだまだ赤ちゃんで可愛いね」
「赤ちゃんじゃ無い!!」
「十六歳はまだまだ私にとっては赤ちゃんだよ」
「アンタが歳とりすぎなんだよ!!」
 人型になってからは262年程しか立ってないというのに、全く手厳しいな。
 可愛い、やはり私が集めた子達は可愛さで出来ている、そう再認識した。
「リドベラママ!!おかえり!!!」
 カラフルな痣を持つアウィーが抱きついてきた。
「アウィー!ただいま」
 抱き着いてくれるのは嬉しいが毎回私の陶器の肌に勢いよく飛び込んでくるから痛くないんだろうかと心配になる。
 「あ、この間私があげた香水の匂い、付けてくれたんだな」
 抱きしめ返すと私が出かける前にプレゼントしたシトラスの香水の匂いがふわっと香ってくる。
「えへへ、ママが今日帰ってくる気がして付けて待ってたの!今度はどんな子連れてきたの??」
「シュエナが今洗ってるから見てくるといい」
「そっかあ…あ、多分まだしばらく起きないよね?」
「夕食まで起きないと思うよ」
 そう私が答えるとアウィーは何かいい事でも思いついたかのような表情を見せた。
「何をするつもりなんだい?」
「あのね、今日ちょっと冷えるからさあいつがシュエナから上がったら新しいベッドで寝るだろ?その時にゴルチも入れてやろうと思って」
 なるほど、全く可愛い事考えるじゃないか。
「私はいいと思うけどゴルチとレトに許可をとるんだよ?」
「はーい」
 そう言うと横にいるレトには気付かずゴルチのいる檻車に走っていった。
「…ねえ、僕に構ってよ」
 割り込まれても待っててくれたレトがまた話始めた。
「ああ、すまない…やっぱりまだまだ赤ん坊だね」
 両手でレトの頭をわしゃわしゃと撫でてやると。
「だから違うってば!!」
 ニヤけを抑えようとしながら否定してきてやはり揶揄い甲斐がある。
「うふふ、まあ可愛がってあげてよ、新しい兄弟になるんだから」
「…わかったよ」
 ムスッとしてしまったかと思えばハッとした表情をし何も言わずに自分より先にゴルチの元へ走っていったアウィーの事を追いかけて行った。
「忙しないなあ」
 私も自分のテントに戻って色々準備しよう。
 今日の夕食はどんなメニューにしようか…あ、シュエナから上がったらチョコを一切れ追加しようそうしよう。
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