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フィオナ編

第36話 闇の狩人

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 3人の女達が一度に逃げだした事で、組織の人間や関係者は右往左往の対応をせざるを得ませんでした。とくに関係者の多くは港を閉鎖するべきか、顔写真を載せた手配書を配布するか、その決断を決める事が出来ませんでした。逃げ出した1人は1年前に捜査を打ち切った少女であり、あとの1人も余所の大陸から誘拐した少女でした。金と女に懐柔されない人間は何処にでもいるもので、この大陸でも不審な連続誘拐事件を裏で捜査しようとする者もいましたが、ほとんどが事故死として処理されました。

 ラット「ペッペッ(>_>)蜘蛛の巣が口に入っちまったよ~⁈こんな森の中にいると思うのかよ?」

 トーラス「うるせぇなぁ(`∇´)分かんねぇから探すんだよ(怒)!マリアの奴は自由に外出できたんだ、この辺の森の中に隠れ家を作っていても不思議じゃないだろう?」と3人の女達に逃げ出された、あの日の門番2人が建物近くの森の中を朝から探索しています。誰かが見つけるか、自分達が見つけるまでは帰れません。夜になっても手提げランプの灯りを頼りに探し続けます。

 ラット「それよりも(・・?)なんで逃げたんだろうな?貴重な盗賊のソウル(魂)持ちで、女達を誘拐して連れて来た実績もあるし、このまま行けば幹部になれたかもしれんないのに?」

 トーラス「ハァッ(ಠ_ಠ)突然、罪の意識にでも目覚めたんじゃねぇのか!女の考えることは分からん。とりあえず捕まえれば分かる事だろう?たっぷりと身体で楽しんだ後に、拷問してやるさ(笑)!死ぬ前にちょっとは気持ち良くしてやらねぇと恨まれるかもしれないだろう?」とラットもニタニタとその考えには賛成のようです。そんな彼らの前に1つのランプの灯りが見えてきました。どうやら、誰かがランプを点けて、木にぶら下げているようです。

 トーラス「ラット(*゚∀゚*)見つけたぞぉ~(小声)!木の下に誰かが座っている。生け捕りだからな(笑)!」と2人は短剣を腰の鞘から抜いて、近づいて行きます。自分達も手提げランプを点けているので、気づかれているでしょうが、この暗い森の中を女3人で逃げ続けられない事は容易に想像出来ます。もう逃げる体力もないのでしょう。

 ラット「おい、マリア(*゚∀゚*)こんなところで休憩か?疲れたんならアジトに一緒に戻ろうぜ(笑)!」と木の下で休んでいる金色の髪の女に、いつも通りに気さくに話しかけます。

 マリア「はっはぁ(;´д`)あなた達2人だけなの(笑)?他に探している人はいないの?だったら見逃してくれないかしら。私とあなた達の仲でしょう?」と逃げるのに疲れ切ったように、まったくその場から動こうとしません。トーラスとラットは短剣を鞘にしまって、ニタニタとどうしようかと、互いの表情を見て決めています。けれども、ここにはマリア以外の伏兵が8人潜んでいました。

 ?「(ಠ_ಠ)💬(殺るぞ!)」とランプの灯りに集まって来た、トーラスとラットの後頭部を背後から忍び寄って、両手で握った剣の腹で思い切りぶっ叩きました。

 ?『(ಠ_ಠ)オゥリャー(鉄の剣・殴打)』『ドォフゥ(直撃)!』

 トーラス『_:(´ཀ`)グゥッ(頭部・強打)!』『(;´д`)うぐぅ、誰だ(仲間か)⁉︎』

 ラット『_:(´ཀ`)がぁっ(頭部・強打)!』『(>_>)うっうっ(痛い)!』

 マリア「あらあら(*⁰▿⁰*)紹介が遅れたわね(笑)!あなた達に誘拐された子供達の父親や兄弟達、あと知り合いの方も居るわね!夜は長いから、たっぷりと皆んなでお話ししましょうね?」と地面に蹲って、殴られた頭を押さえていた2人の男は、8人の男達に手足をロープで木にキツく縛りつけられました。マリアはトーラスの腰のポーチの中から、逃亡者を見つけた時に合図として空に打ち上げる照明弾を奪うと、この2人の男は用済みです。あとの処理は娘や姉、妹を奪われた彼らに任せる事にしました。
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