15 / 32
第二章 無人島で処女を奪われる
第14話 無人島探索【リュドミラ視点】
しおりを挟む
「準備はいいですね?」
短剣を右手に持って、左手で台座に触れると、緊張しているアーニャに言った。
これから外に出て、道具部屋にあった無人島の地図を頼りに食糧の調達に行く。
ついでに男を見つけたら刺し殺して、ノーラを助け出す。
「はい……でも、リュドミラ様はここに残っていた方がいいです。食糧なら私一人で調達できますから」
「どうしたんですか? あなたがそんな勇敢なことを言うなんて……お気持ちは嬉しいですが、村長の私が休むわけにはいきません。むしろ、あなたが残った方がいいぐらいです」
「いえいえ、付いて行きます。自分の食べ物ぐらいは自分で手に入れたいです」
「そうですね。働かざる者は死にますからね。では、私から行きますね」
子供体型のアーニャ一人に、食糧調達という重要な仕事を任せるつもりはありません。
アーニャが捕まれば、この場所をすぐに喋るでしょう。
出来れば一生お留守番して欲しいぐらいです。
シュン!
「……誰もいないようですね」
合言葉を言って岩山の中から外に出ると、まずは周囲の安全を確認した。
男の姿は見えない。台座の前に待ち構えられていたら大変でした。
すぐに台座を目立ったないように、隠さないといけません。
「……リュドミラ様、大丈夫そうですか?」
「大丈夫みたいです。早く食糧を集めますよ」
「は、はい」
しばらく警戒して待っていると、アーニャが出て来たので出発しました。
地図にはリンゴの木が描かれているので、一番近くのリンゴの木を目指します。
「リンゴの種があれば、お風呂のお湯で洞窟の中で育てられますね」
「そんなに長く立て篭る必要ないです。あの男を殺せば全て解決します」
「だから危険ですって。50年ぐらいあの中で暮らせば、勝手に死んでくれますよぉ」
「嫌です。私は一日でも早く男を殺して、ノーラを助けたいのです」
アーニャがくだらない提案をしてきたので、素早く却下しました。
私は臆病者ではありません。あんな男に怯えて50年も無駄に出来ません。
「さあ、早く回収しますよ。食べる物が無ければ、男は飢え死にしますからね」
布袋に木に成っているリンゴをどんどん入れていく。島の食糧は限られています。
男に奪われる前に回収すれば、それだけ男を空腹で弱らせることが出来ます。
強いのなら弱らせればいいだけです。
「はぁ、はぁ、はぁっ……夜までには終わらせますよ」
持って運べる重さまでリンゴを詰め込むと、今度は岩山の中に戻ります。
岩山の中に回収したリンゴだけを置いて、また布袋にリンゴを詰め込みに行きます。
これを繰り返して、近場のリンゴの実を回収すれば、ひとまず休憩です。
食糧の回収が出来て、男を空腹で弱らせて、重たい物を持って強くなれます。
一度に三つの作戦が同時に進んでいきます。
あとは死にかけの男の寝込みを襲って、ノーラを救出すれば私達の勝利です。
「はぁ、はぁ、はぁっ……リュドミラ様、もう無理ですぅ!」
「はぁ……アーニャ、あなたは本当に役に立たないですね。だから、本ばかり読むのは駄目なんです。仕事しないから、すぐに疲れるんです。少しずつでもいいので、運んでもらいますからね!」
「そんなぁ……もう無理ですぅ~」
まだ三往復目なのに、岩山の中の芝生の絨毯にアーニャが座り込んでしまった。
この瞬間にも、ノーラがどんな目に遭っているか想像すれば、そんな弱音は吐けないはずです。
無理矢理立たせると外に連れて行きました。
「本当にリンゴばかりですね。リンゴ好きか、リンゴしか育たないのでしょうか?」
キノコや食草もあるので文句はないですが、果物がリンゴだけなのは困ります。
前に住んでいた人がリンゴ好きだったのかもしれません。
何とか村に戻って、ブドウやオレンジ、イチゴやモモの種を手に入れたいです。
一ヶ月も経てば、盗賊達も村には残っていないでしょう。
「……そうですね。私もリンゴは一個あれば十分です」
「確かに今日はもう十分集めましたね。あとは夜の為に体力を残しておきましょう」
「ふぅはぁぁぁ、やっと終わりです!」
今日のリンゴ回収はここまでです。
アーニャの体力がもう限界です。岩山の中に戻ると芝生の上に寝転んでしまいました。
夜には男の様子見、明日は同じ作業をします。
もう休憩させたないと、夜に使いものになりません。
「アーニャ、夜になりました。行きますよ」
「もうですか? あっ、はい」
夜まで休憩と準備を済ませると、私とアーニャは男を殺しに出発した。
丈夫な長い木の棒に短剣を布で巻き付けて、槍を作った。
男の強い腕に掴まれない距離から、二人掛かりで攻撃すれば勝てるはずです。
「あれは……何をしているんですか?」
台座のある橋の所に行くと男は起きていた。
岩橋の上に座って、剣を海に向かって振っている。これでは奇襲で殺せない。
「あれは多分、釣りだと思います。本で読んだことがあります。海に中に住んでいる魚という生き物を、ああやって捕まえているんです」
「うぐっ、生き物を食べるなんて野蛮ですね。それよりもノーラは何処にいるですか?」
私の疑問にアーニャが答えてくれた。
血の出る生き物を食べている姿を想像しただけで、気持ち悪くて吐きそうになる。
正直言って、教えないで欲しかった。
でも、そんなことはどうでもいい。男の近くにノーラの姿が見えない。
「もしかして、殺されて海に捨てられたんじゃ……」
「そんなはずないです! ノーラは生きてます! あの男は盗賊ですよ。売りものを売らずに殺して捨てるなんて考えられないです。きっとノーラに逃げられたんです!」
アーニャの馬鹿な考えに怒った。
ノーラがいないのなら、逃げ出したと考えるのが普通です。
「アーニャ、ノーラを探しに行きますよ。きっとあの男は、台座からやって来るお母様達を待っているんです。ノーラを見つけて、三人掛かりで男を殺しますよ」
男の考えを読むとアーニャを連れて、ノーラを探すことにした。
男が動けないなら今がチャンスです。そこまで広い島ではありません。
この海岸から反対側の海岸まで、歩いて一時間もあれば行けると思います。
「リュドミラ様、探すと言っても何処を探すんですか? 隠れている人を見つけるのは簡単じゃないですよ」
「それは分かっています。大声で名前を呼ぶわけにもいきません。でも、それでも島中を探すしかないんです。それしか方法はありません」
「うぅっ、分かりました。私は島の左側を探します。リュドミラ様は右側を探してみてください」
「確かに二手に分かれて探した方が良いですね。分かりました。そうしましょう。ノーラを見つけられなくても、朝には岩山に戻ってくださいね」
アーニャの意見を参考に二手に分かれると、ノーラの捜索を開始した。
私がノーラなら、男の近くには隠れない。
だとしたら、私達を探しながら、怖い思いで森の中を移動しているはずです。
早く見つけてあげないといけません。
「はぁ……駄目ですね。やっぱり簡単には見つかりません」
やっぱり隠れている人間を見つけるのは難しい。このままだと海岸に出てしまう。
まさか、本当に殺されて海に……いえいえ、そんな馬鹿なことを考えたら駄目です。
今日が駄目なら明日です。
「あれは……?」
リンゴの木の下に白い塊が見えた。短剣の槍を構えて警戒しながら近づいていく。
「ノーラ⁉︎ 嗚呼、良かった!」
槍を手から離すと、地面に倒れているノーラに駆け寄った。
近くに食べたリンゴの芯が落ちているので、ここで力尽きて寝てしまったようです。
「あぅっ……リュドミラ様……? 会いたかったです! ご無事ですか?」
「ぐっす、うぐっ、えぇ、あなたのお陰ですよ! 安全な場所を見つけました。そこには男は入って来れません。もう安全です」
嬉しさから自然と涙が流れてしまう。ノーラは動くのもキツそうです。
あの男から酷い乱暴を受けたのは間違いない。あの男への怒りが更に溢れていく。
でも、今はノーラの手当てが先です。
ノーラに肩を貸すと、岩山の隠し部屋に連れていった。
短剣を右手に持って、左手で台座に触れると、緊張しているアーニャに言った。
これから外に出て、道具部屋にあった無人島の地図を頼りに食糧の調達に行く。
ついでに男を見つけたら刺し殺して、ノーラを助け出す。
「はい……でも、リュドミラ様はここに残っていた方がいいです。食糧なら私一人で調達できますから」
「どうしたんですか? あなたがそんな勇敢なことを言うなんて……お気持ちは嬉しいですが、村長の私が休むわけにはいきません。むしろ、あなたが残った方がいいぐらいです」
「いえいえ、付いて行きます。自分の食べ物ぐらいは自分で手に入れたいです」
「そうですね。働かざる者は死にますからね。では、私から行きますね」
子供体型のアーニャ一人に、食糧調達という重要な仕事を任せるつもりはありません。
アーニャが捕まれば、この場所をすぐに喋るでしょう。
出来れば一生お留守番して欲しいぐらいです。
シュン!
「……誰もいないようですね」
合言葉を言って岩山の中から外に出ると、まずは周囲の安全を確認した。
男の姿は見えない。台座の前に待ち構えられていたら大変でした。
すぐに台座を目立ったないように、隠さないといけません。
「……リュドミラ様、大丈夫そうですか?」
「大丈夫みたいです。早く食糧を集めますよ」
「は、はい」
しばらく警戒して待っていると、アーニャが出て来たので出発しました。
地図にはリンゴの木が描かれているので、一番近くのリンゴの木を目指します。
「リンゴの種があれば、お風呂のお湯で洞窟の中で育てられますね」
「そんなに長く立て篭る必要ないです。あの男を殺せば全て解決します」
「だから危険ですって。50年ぐらいあの中で暮らせば、勝手に死んでくれますよぉ」
「嫌です。私は一日でも早く男を殺して、ノーラを助けたいのです」
アーニャがくだらない提案をしてきたので、素早く却下しました。
私は臆病者ではありません。あんな男に怯えて50年も無駄に出来ません。
「さあ、早く回収しますよ。食べる物が無ければ、男は飢え死にしますからね」
布袋に木に成っているリンゴをどんどん入れていく。島の食糧は限られています。
男に奪われる前に回収すれば、それだけ男を空腹で弱らせることが出来ます。
強いのなら弱らせればいいだけです。
「はぁ、はぁ、はぁっ……夜までには終わらせますよ」
持って運べる重さまでリンゴを詰め込むと、今度は岩山の中に戻ります。
岩山の中に回収したリンゴだけを置いて、また布袋にリンゴを詰め込みに行きます。
これを繰り返して、近場のリンゴの実を回収すれば、ひとまず休憩です。
食糧の回収が出来て、男を空腹で弱らせて、重たい物を持って強くなれます。
一度に三つの作戦が同時に進んでいきます。
あとは死にかけの男の寝込みを襲って、ノーラを救出すれば私達の勝利です。
「はぁ、はぁ、はぁっ……リュドミラ様、もう無理ですぅ!」
「はぁ……アーニャ、あなたは本当に役に立たないですね。だから、本ばかり読むのは駄目なんです。仕事しないから、すぐに疲れるんです。少しずつでもいいので、運んでもらいますからね!」
「そんなぁ……もう無理ですぅ~」
まだ三往復目なのに、岩山の中の芝生の絨毯にアーニャが座り込んでしまった。
この瞬間にも、ノーラがどんな目に遭っているか想像すれば、そんな弱音は吐けないはずです。
無理矢理立たせると外に連れて行きました。
「本当にリンゴばかりですね。リンゴ好きか、リンゴしか育たないのでしょうか?」
キノコや食草もあるので文句はないですが、果物がリンゴだけなのは困ります。
前に住んでいた人がリンゴ好きだったのかもしれません。
何とか村に戻って、ブドウやオレンジ、イチゴやモモの種を手に入れたいです。
一ヶ月も経てば、盗賊達も村には残っていないでしょう。
「……そうですね。私もリンゴは一個あれば十分です」
「確かに今日はもう十分集めましたね。あとは夜の為に体力を残しておきましょう」
「ふぅはぁぁぁ、やっと終わりです!」
今日のリンゴ回収はここまでです。
アーニャの体力がもう限界です。岩山の中に戻ると芝生の上に寝転んでしまいました。
夜には男の様子見、明日は同じ作業をします。
もう休憩させたないと、夜に使いものになりません。
「アーニャ、夜になりました。行きますよ」
「もうですか? あっ、はい」
夜まで休憩と準備を済ませると、私とアーニャは男を殺しに出発した。
丈夫な長い木の棒に短剣を布で巻き付けて、槍を作った。
男の強い腕に掴まれない距離から、二人掛かりで攻撃すれば勝てるはずです。
「あれは……何をしているんですか?」
台座のある橋の所に行くと男は起きていた。
岩橋の上に座って、剣を海に向かって振っている。これでは奇襲で殺せない。
「あれは多分、釣りだと思います。本で読んだことがあります。海に中に住んでいる魚という生き物を、ああやって捕まえているんです」
「うぐっ、生き物を食べるなんて野蛮ですね。それよりもノーラは何処にいるですか?」
私の疑問にアーニャが答えてくれた。
血の出る生き物を食べている姿を想像しただけで、気持ち悪くて吐きそうになる。
正直言って、教えないで欲しかった。
でも、そんなことはどうでもいい。男の近くにノーラの姿が見えない。
「もしかして、殺されて海に捨てられたんじゃ……」
「そんなはずないです! ノーラは生きてます! あの男は盗賊ですよ。売りものを売らずに殺して捨てるなんて考えられないです。きっとノーラに逃げられたんです!」
アーニャの馬鹿な考えに怒った。
ノーラがいないのなら、逃げ出したと考えるのが普通です。
「アーニャ、ノーラを探しに行きますよ。きっとあの男は、台座からやって来るお母様達を待っているんです。ノーラを見つけて、三人掛かりで男を殺しますよ」
男の考えを読むとアーニャを連れて、ノーラを探すことにした。
男が動けないなら今がチャンスです。そこまで広い島ではありません。
この海岸から反対側の海岸まで、歩いて一時間もあれば行けると思います。
「リュドミラ様、探すと言っても何処を探すんですか? 隠れている人を見つけるのは簡単じゃないですよ」
「それは分かっています。大声で名前を呼ぶわけにもいきません。でも、それでも島中を探すしかないんです。それしか方法はありません」
「うぅっ、分かりました。私は島の左側を探します。リュドミラ様は右側を探してみてください」
「確かに二手に分かれて探した方が良いですね。分かりました。そうしましょう。ノーラを見つけられなくても、朝には岩山に戻ってくださいね」
アーニャの意見を参考に二手に分かれると、ノーラの捜索を開始した。
私がノーラなら、男の近くには隠れない。
だとしたら、私達を探しながら、怖い思いで森の中を移動しているはずです。
早く見つけてあげないといけません。
「はぁ……駄目ですね。やっぱり簡単には見つかりません」
やっぱり隠れている人間を見つけるのは難しい。このままだと海岸に出てしまう。
まさか、本当に殺されて海に……いえいえ、そんな馬鹿なことを考えたら駄目です。
今日が駄目なら明日です。
「あれは……?」
リンゴの木の下に白い塊が見えた。短剣の槍を構えて警戒しながら近づいていく。
「ノーラ⁉︎ 嗚呼、良かった!」
槍を手から離すと、地面に倒れているノーラに駆け寄った。
近くに食べたリンゴの芯が落ちているので、ここで力尽きて寝てしまったようです。
「あぅっ……リュドミラ様……? 会いたかったです! ご無事ですか?」
「ぐっす、うぐっ、えぇ、あなたのお陰ですよ! 安全な場所を見つけました。そこには男は入って来れません。もう安全です」
嬉しさから自然と涙が流れてしまう。ノーラは動くのもキツそうです。
あの男から酷い乱暴を受けたのは間違いない。あの男への怒りが更に溢れていく。
でも、今はノーラの手当てが先です。
ノーラに肩を貸すと、岩山の隠し部屋に連れていった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
94
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる