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25・姉弟子のスキル
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続けてアンさんとホーミンさんに見せに行った。
二人はこの時間は台所と決まっている。
ケーキを食べていたので服の感想を聞いてみた。
「うわぁー、もう修業着卒業なんて早すぎるでしょ。才能の塊じゃん!」
「《氣》の強化スキル持っているハンナでも四ヶ月もかかったらしいのに」
「えっ、そうなんですか!」
可愛いと言われたくて来たのに、服の感想は感想でも前の服だった。
でも、神弟子のハンナさんが師匠と同じスキルと設定だったのには驚いた。
「あれ、知らなかったの? ハンナは本気で一等星を狙っているのよ。スキルは《強化》、設定は《氣》。師匠と条件は同じだから可能性大よ」
「じゃあ二人も同じなんですか?」
「残念。私のスキルは《足》よ」
「足?」
ホーミンさんのスキルは《足》だそうだ。
だとしたら設定は《蹴る》とか《走る》かな。
僕ならそんな感じの設定にすると思う。
「そう、足。設定は《調べる》よ」
「えっ、調べる?」
自信満々に応えてくれるホーミンさんに対して、僕は意味が分からない。
足で調べるって、一体何の為に。
「ふふ~ん。意味不明って顔してるわね」
「当たり前でしょ。ルモ、スキルと設定の組み合わせは自由なんだよ。欲しい能力があるのなら、設定で何とかそれに近づけるのが正解よ。ホーミンは《探知》と《鑑定》が欲しかったから、その二つを足限定で出来るように《調べる》にしたのよ」
「そうそう。今では歩きながら、地面に何が埋まっているか、魔物の位置まで分かるんだから」
「へぇーそうなんだ」
地面に埋まっている死体でも探しているのだろうか。
便利そうな気もするけど、僕ならやっぱり《走る》かな。
「アンさんはどんなスキルと設定なんですか?」
この流れなら教えてくれると思い聞いてみた。
「ちっちっちー。そう簡単には教えられないよ。スキルと設定がバレると対策を練られやすいからね。人によっては嘘のスキルと設定を教えるぐらいなんだから」
でも、駄目だった。人差し指を意地悪く振って断られた。
だけど、簡単には諦めない。アンさんにしがみつくと身体を揺すってお願いした。
「えぇーそんなこと言わずに教えてくださいよぉー」
「そんなことしても無駄だよ。教えないから」
「……《捕る》だよ」
「ちょっ⁉︎」
アンさんの代わりにホーミンさんが教えてくれた。
「何で教えちゃうのよ! 凄いスキル持っているって思われたかったのに!」
「設定は《罠》だよ」
「何でそっちまで言っちゃうの⁉︎」
このアンさんの慌てようは本当みたいだ。スキル《捕る》で、設定は《罠》だ。
何となくスキルを使って、鳥とか魚とか捕まえている姿が容易に想像できる。
「だって私だけなんて不公平じゃない。それに言っといた方がいいでしょ」
「まあ、それもそうだけど……ルモ、あんたそんな服で行くつもり?」
「まさか、こんな服で行きませんよ」
こんな可愛い服で組み手に参加するほど馬鹿じゃない。
ボロボロに破かれて、「大事に着ろよ!」と理不尽に師匠にキレられる。
でも、それだと修業着を着ないといけない。
やっぱり修業着からは逃げられない運命みたいだ。
「そりゃーそうだよ。そんな服で《ダンジョン》なんか行かないよ」
「えっ?」
組み手じゃないの? ホーミンさんの口から予想外の言葉が出てきた。
「えっ、じゃないよ。生活費を稼がないと食べていけないよ。修業着卒業したんだから、これからは自分で稼がないと」
「んっ、えっ、何のことを言ってんですか?」
今度はアンさんだ。ダンジョンとか生活費とか意味が分からない。
「あれ? 師匠から聞いてないの? 今日はルモもダンジョンに行くんだよ。私とアンとセラとハンナとルモの五人で」
いえ、全然聞いてないです。
師匠には服貰って来いと言われただけです。
「ルモには悪いけど、私達も生活がかかっているから、ダンジョンは下から二番目のEランクに行くよ。ちょっと強いけど、師匠よりは弱いから大丈夫だよ」
当たり前だよ。あんな化け物と一緒にされたら魔物の方が可哀想だよ。
魔物なんて一度も見たことないから知らんけど。
「ちょっと待ってください! 僕、一番下のダンジョンでいいですから!」
「えー、Fは超雑魚で全然お金にならないよ。戦わなくていいんだよ。セラとルモの担当は運ぶだけだから」
「本当本当。まぁ、魔物の数が多いとやらせるけど……」
「ッ!」
ほら、やっぱりだ。ボソッとホーミンさんが口を滑らせた。
この二人も師匠と同じで適当なところがある。
戦闘はほとんどハンナさんに任せて、二人はその補助でもしてるんだろう。
確実に魔物との一対一の組み手が始まる予感しかしない。
「僕、やっぱり一番下でいいです。場所だけ教えてください。一人で行けば全部僕のですよね?」
戦うなら超雑魚の方がいい。少しでもお金が手に入るなら、僕はそれで充分だ。
それにお金になる魔物を一人で倒せるなら、夢の一人暮らしが出来るかもしれない。
そうなれば師匠からも卒業だ。
「おっ、ソロ(一人)ダンジョンなんて調子に乗ってるなぁ~。まあ、いいけどね。私達も人数増えるとお金にならないし。それに一度痛い目に遭わないと、ダンジョンの怖さは分かんないだろうからね」
やっぱり適当だ。まあ、そのお陰で助かった。
ホーミンさんがそう言うとFランクダンジョンまでの地図を書いてくれた。
ダンジョンは森の中にあって、危険を知らせる看板があるので分かるそうだ。
二人はこの時間は台所と決まっている。
ケーキを食べていたので服の感想を聞いてみた。
「うわぁー、もう修業着卒業なんて早すぎるでしょ。才能の塊じゃん!」
「《氣》の強化スキル持っているハンナでも四ヶ月もかかったらしいのに」
「えっ、そうなんですか!」
可愛いと言われたくて来たのに、服の感想は感想でも前の服だった。
でも、神弟子のハンナさんが師匠と同じスキルと設定だったのには驚いた。
「あれ、知らなかったの? ハンナは本気で一等星を狙っているのよ。スキルは《強化》、設定は《氣》。師匠と条件は同じだから可能性大よ」
「じゃあ二人も同じなんですか?」
「残念。私のスキルは《足》よ」
「足?」
ホーミンさんのスキルは《足》だそうだ。
だとしたら設定は《蹴る》とか《走る》かな。
僕ならそんな感じの設定にすると思う。
「そう、足。設定は《調べる》よ」
「えっ、調べる?」
自信満々に応えてくれるホーミンさんに対して、僕は意味が分からない。
足で調べるって、一体何の為に。
「ふふ~ん。意味不明って顔してるわね」
「当たり前でしょ。ルモ、スキルと設定の組み合わせは自由なんだよ。欲しい能力があるのなら、設定で何とかそれに近づけるのが正解よ。ホーミンは《探知》と《鑑定》が欲しかったから、その二つを足限定で出来るように《調べる》にしたのよ」
「そうそう。今では歩きながら、地面に何が埋まっているか、魔物の位置まで分かるんだから」
「へぇーそうなんだ」
地面に埋まっている死体でも探しているのだろうか。
便利そうな気もするけど、僕ならやっぱり《走る》かな。
「アンさんはどんなスキルと設定なんですか?」
この流れなら教えてくれると思い聞いてみた。
「ちっちっちー。そう簡単には教えられないよ。スキルと設定がバレると対策を練られやすいからね。人によっては嘘のスキルと設定を教えるぐらいなんだから」
でも、駄目だった。人差し指を意地悪く振って断られた。
だけど、簡単には諦めない。アンさんにしがみつくと身体を揺すってお願いした。
「えぇーそんなこと言わずに教えてくださいよぉー」
「そんなことしても無駄だよ。教えないから」
「……《捕る》だよ」
「ちょっ⁉︎」
アンさんの代わりにホーミンさんが教えてくれた。
「何で教えちゃうのよ! 凄いスキル持っているって思われたかったのに!」
「設定は《罠》だよ」
「何でそっちまで言っちゃうの⁉︎」
このアンさんの慌てようは本当みたいだ。スキル《捕る》で、設定は《罠》だ。
何となくスキルを使って、鳥とか魚とか捕まえている姿が容易に想像できる。
「だって私だけなんて不公平じゃない。それに言っといた方がいいでしょ」
「まあ、それもそうだけど……ルモ、あんたそんな服で行くつもり?」
「まさか、こんな服で行きませんよ」
こんな可愛い服で組み手に参加するほど馬鹿じゃない。
ボロボロに破かれて、「大事に着ろよ!」と理不尽に師匠にキレられる。
でも、それだと修業着を着ないといけない。
やっぱり修業着からは逃げられない運命みたいだ。
「そりゃーそうだよ。そんな服で《ダンジョン》なんか行かないよ」
「えっ?」
組み手じゃないの? ホーミンさんの口から予想外の言葉が出てきた。
「えっ、じゃないよ。生活費を稼がないと食べていけないよ。修業着卒業したんだから、これからは自分で稼がないと」
「んっ、えっ、何のことを言ってんですか?」
今度はアンさんだ。ダンジョンとか生活費とか意味が分からない。
「あれ? 師匠から聞いてないの? 今日はルモもダンジョンに行くんだよ。私とアンとセラとハンナとルモの五人で」
いえ、全然聞いてないです。
師匠には服貰って来いと言われただけです。
「ルモには悪いけど、私達も生活がかかっているから、ダンジョンは下から二番目のEランクに行くよ。ちょっと強いけど、師匠よりは弱いから大丈夫だよ」
当たり前だよ。あんな化け物と一緒にされたら魔物の方が可哀想だよ。
魔物なんて一度も見たことないから知らんけど。
「ちょっと待ってください! 僕、一番下のダンジョンでいいですから!」
「えー、Fは超雑魚で全然お金にならないよ。戦わなくていいんだよ。セラとルモの担当は運ぶだけだから」
「本当本当。まぁ、魔物の数が多いとやらせるけど……」
「ッ!」
ほら、やっぱりだ。ボソッとホーミンさんが口を滑らせた。
この二人も師匠と同じで適当なところがある。
戦闘はほとんどハンナさんに任せて、二人はその補助でもしてるんだろう。
確実に魔物との一対一の組み手が始まる予感しかしない。
「僕、やっぱり一番下でいいです。場所だけ教えてください。一人で行けば全部僕のですよね?」
戦うなら超雑魚の方がいい。少しでもお金が手に入るなら、僕はそれで充分だ。
それにお金になる魔物を一人で倒せるなら、夢の一人暮らしが出来るかもしれない。
そうなれば師匠からも卒業だ。
「おっ、ソロ(一人)ダンジョンなんて調子に乗ってるなぁ~。まあ、いいけどね。私達も人数増えるとお金にならないし。それに一度痛い目に遭わないと、ダンジョンの怖さは分かんないだろうからね」
やっぱり適当だ。まあ、そのお陰で助かった。
ホーミンさんがそう言うとFランクダンジョンまでの地図を書いてくれた。
ダンジョンは森の中にあって、危険を知らせる看板があるので分かるそうだ。
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