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第17話 大型恐竜ティラノサウルス
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「よっ、よっ、よっ」
瓦礫を掴んでポイポイ放り投げて、発掘作業は順調だ。
上着と剣を置いた場所は大体分かっている。
トンネル掘り進めて、お宝目指して一直線に進んでいく。
崩落、酸欠、危険は沢山あるけれど、そんな心配をする時間はない。
ケイト達が廃都にいつまでいるか分からないからだ。
冷蔵庫の中の残りの食糧なら、四日は余裕で探索できる。
でも、車に積み込める骨董品の量には限度がある。
ケイト達の今日の収穫量次第では、のんびりと一晩休んで、明日の朝には廃都を出発するかもしれない。
もしかすると、すぐに廃都を離れて、安全な場所で一晩休むかもしれない。
むしろ私なら、恐竜が襲って来るかもしれない駐車場からは、いち早く退散したい。
「そろそろ、こいつの出番だな」
トンネル掘り進めて、十五メートル。流石に薄暗くなってきた。
ズボンのポケットから長方形の薄い携帯電話を取り出すと、備え付けの懐中電灯を付けた。
パァーとトンネル内部が明るくなる。
電話は料金未払いと圏外なので使えないが、ちょっとした機能はまだまだ使えそうだ。
「んっ? これは……」
人一人が中腰で通れる程度のトンネルを掘り進めていると、瓦礫の中から灰色の物体が現れた。
先端が鋭く尖った槍のようなものだが、非常に見覚えあるのものだ。
「もしかして、トリケラの角じゃないのか?」
角のある位置としては低過ぎる。長さ的にも鼻の上の短い角の方じゃない。
なので、確かめる為に右手で灰色の先端を曲げてみた。
グググググッとビクともしない。
間違いなく、旧時代の軟弱な物質じゃない、ミスリルだ。
それも中型のトリケラトプスの物なら質が良いから、ハイミスリルになるな。
まあ、今はハイとかローとか、どうでもいい。
この位置に角があるなら、予定通りにペシャンコになったという事だ。
角が折れたのか、頭が潰れたのか、どっちでもいい。この先に頭部があるはずだ。
魔石までの距離は残り六メートルぐらい。
瓦礫を掴んで持って、入り口まで運んで、作業ペースは落ちたが何とかなるだろう。
「ゼェハァ、ゼェハァ……もうここから入ろう」
私は肩で激しく息している。
疲れたし、暗いし、蒸し暑いし、やっぱり崩れそうで怖い。
目の前にはトリケラトプスの大きな口がある。
口をこじ開けて、ここから体内に入って、魔石を取り出せばいい。
この巨体を掘り出すのは手作業だけじゃ、まず無理だ。
今回は折れた長い角と魔石を持ち帰るだけで満足しよう。
大体、恐竜をビルに埋めたら取り出せない。
女が三人もいるんだから、問題点があったら指摘するべきだ。
「どうりで誰もやらないはずだ」
ひと通り女達の文句を言って落ち着くと、私は口の中に飛び込んだ。
グググッと口を持ち上げて、適当に瓦礫を突っ込んで、口が閉じないようにした。
口の中を這って進んでいくが、当然、喉の辺りは狭くなる。
それでも、最近下っ腹が出て来た私の我儘ボディをギュウギュウにねじ込んで進んでいく。
この先に広い空間が待っているはずだ。
ヴェロキラプトルの解体で、恐竜の体内に臓器がない事は分かっている。
取り込んだミスリルや魔石を、自身の魔石に直接吸収させるスペースが必要なのだろう。
「おお! 壊れてないじゃないか!」
やはり今日は運が良い日のようだ。
喉を抜けた先で、深さ十センチ程の丸い窪みの中に、無傷の魔石を発見した。
場所はトリケラトプスの胸の辺りだろう。
携帯電話の灯りに照らされて、三個の灰色魔石が三角形にくっ付いて輝いている。
今はプラスドライバーがないから、足蹴りで解体しないとな。
「オラッ! この野朗! さっさと外れろ!」
ガンガンガン! 中腰で立つ私は足蹴りで、三本ある青白い棒をへし折ろうとしている。
一個三センチ程の灰色魔石は、三角形のハイミスリルの輪っかに嵌め込まれている。
その輪っかは太さ三センチ程の三本のシャフトによって、丸い穴の宙に浮いているような状態だ。
シャフトが一本でも折れれば、あとは次々に折れてくれるはずだ。
バキィン! よし、一本目終了だ。次行ってみよう!
「ふっふっふ。ふっふっふ」
作業は順調に進み、三個の灰色魔石が入った三角形のリングを手に入れた。
喉をギュウギュウしながら通り、口から脱出した私は笑いが止まらない。
早くキャンピングカーに戻って、ケイト達に土下座させたい。
折れた二メートル程の角を右手に持って引き摺りながら、瓦礫トンネルの出口を目指す。
光が見えてきた。あれは太陽光ではない。栄光の光だ。
これから始まる私の栄光と繁栄を天が讃え祝福しているのだ。
「ふぅ~~~~、良い空気だ」
暗く埃っぽいトンネルから出ると、大きく深呼吸した。
冷たい空気が私の火照った身体を冷やしていく。
汗と汚れた白いワイシャツは着ているだけで、通常ならば不快指数マックスだろう。
だが、今の私は幸福指数マックスだ。
さっさとシャワーを浴びて街に戻って、キンキンに冷えたビールが飲みたい。
ドォスン……ドォスン……。
「んっ? 何だ?」
地面に何かが叩きつけられるような大きな音が聞こえた。
地面の小石が震えている。それにこっちに近づいて来ている気がする。
「ちっ……トリケラトプスの群れでもやって来たのか」
私は急いで近くにあった十七階建てのビルの中に隠れた。
逃げるにしても、近づいて来る音の正体を確かめた後だ。
相手が単独なのか、群れなのか分からない。
そんな状況で馬鹿みたいに逃げて、挟み撃ちにされたら最悪だ。
ドォスン! ドォスン!
「あ、あれは……もしかすると」
ゴクリと喉を鳴らして、現れた二足歩行の大型恐竜を見た。
道路に生えた樹木や廃車を踏み潰しながら、こっちに向かって来ている。
濃い緑の皮の所々に、黒い縞々が見え、その見た目は凶悪な顔を持つ筋肉質なトカゲだ。
全長十三メートル、体高六メートル、トリケラトプスよりも大きい。
前脚に比べて、長い後ろ脚が異常に発達していて、筋肉が盛り上がっている。
ワニのような大きな口には、長さ三十センチ程の鋭い牙が並んでいる。
「間違いない。【ティラノサウルス】だ」
ケイトは遭遇する確率は低いと言っていたが、めちゃくちゃ遭遇している。
私が高層ビルを倒して、大きな音を出したのが原因だとしても、低いと言ったのなら責任を取る必要がある。
今すぐに助けに来るべきだと思う。
♢
瓦礫を掴んでポイポイ放り投げて、発掘作業は順調だ。
上着と剣を置いた場所は大体分かっている。
トンネル掘り進めて、お宝目指して一直線に進んでいく。
崩落、酸欠、危険は沢山あるけれど、そんな心配をする時間はない。
ケイト達が廃都にいつまでいるか分からないからだ。
冷蔵庫の中の残りの食糧なら、四日は余裕で探索できる。
でも、車に積み込める骨董品の量には限度がある。
ケイト達の今日の収穫量次第では、のんびりと一晩休んで、明日の朝には廃都を出発するかもしれない。
もしかすると、すぐに廃都を離れて、安全な場所で一晩休むかもしれない。
むしろ私なら、恐竜が襲って来るかもしれない駐車場からは、いち早く退散したい。
「そろそろ、こいつの出番だな」
トンネル掘り進めて、十五メートル。流石に薄暗くなってきた。
ズボンのポケットから長方形の薄い携帯電話を取り出すと、備え付けの懐中電灯を付けた。
パァーとトンネル内部が明るくなる。
電話は料金未払いと圏外なので使えないが、ちょっとした機能はまだまだ使えそうだ。
「んっ? これは……」
人一人が中腰で通れる程度のトンネルを掘り進めていると、瓦礫の中から灰色の物体が現れた。
先端が鋭く尖った槍のようなものだが、非常に見覚えあるのものだ。
「もしかして、トリケラの角じゃないのか?」
角のある位置としては低過ぎる。長さ的にも鼻の上の短い角の方じゃない。
なので、確かめる為に右手で灰色の先端を曲げてみた。
グググググッとビクともしない。
間違いなく、旧時代の軟弱な物質じゃない、ミスリルだ。
それも中型のトリケラトプスの物なら質が良いから、ハイミスリルになるな。
まあ、今はハイとかローとか、どうでもいい。
この位置に角があるなら、予定通りにペシャンコになったという事だ。
角が折れたのか、頭が潰れたのか、どっちでもいい。この先に頭部があるはずだ。
魔石までの距離は残り六メートルぐらい。
瓦礫を掴んで持って、入り口まで運んで、作業ペースは落ちたが何とかなるだろう。
「ゼェハァ、ゼェハァ……もうここから入ろう」
私は肩で激しく息している。
疲れたし、暗いし、蒸し暑いし、やっぱり崩れそうで怖い。
目の前にはトリケラトプスの大きな口がある。
口をこじ開けて、ここから体内に入って、魔石を取り出せばいい。
この巨体を掘り出すのは手作業だけじゃ、まず無理だ。
今回は折れた長い角と魔石を持ち帰るだけで満足しよう。
大体、恐竜をビルに埋めたら取り出せない。
女が三人もいるんだから、問題点があったら指摘するべきだ。
「どうりで誰もやらないはずだ」
ひと通り女達の文句を言って落ち着くと、私は口の中に飛び込んだ。
グググッと口を持ち上げて、適当に瓦礫を突っ込んで、口が閉じないようにした。
口の中を這って進んでいくが、当然、喉の辺りは狭くなる。
それでも、最近下っ腹が出て来た私の我儘ボディをギュウギュウにねじ込んで進んでいく。
この先に広い空間が待っているはずだ。
ヴェロキラプトルの解体で、恐竜の体内に臓器がない事は分かっている。
取り込んだミスリルや魔石を、自身の魔石に直接吸収させるスペースが必要なのだろう。
「おお! 壊れてないじゃないか!」
やはり今日は運が良い日のようだ。
喉を抜けた先で、深さ十センチ程の丸い窪みの中に、無傷の魔石を発見した。
場所はトリケラトプスの胸の辺りだろう。
携帯電話の灯りに照らされて、三個の灰色魔石が三角形にくっ付いて輝いている。
今はプラスドライバーがないから、足蹴りで解体しないとな。
「オラッ! この野朗! さっさと外れろ!」
ガンガンガン! 中腰で立つ私は足蹴りで、三本ある青白い棒をへし折ろうとしている。
一個三センチ程の灰色魔石は、三角形のハイミスリルの輪っかに嵌め込まれている。
その輪っかは太さ三センチ程の三本のシャフトによって、丸い穴の宙に浮いているような状態だ。
シャフトが一本でも折れれば、あとは次々に折れてくれるはずだ。
バキィン! よし、一本目終了だ。次行ってみよう!
「ふっふっふ。ふっふっふ」
作業は順調に進み、三個の灰色魔石が入った三角形のリングを手に入れた。
喉をギュウギュウしながら通り、口から脱出した私は笑いが止まらない。
早くキャンピングカーに戻って、ケイト達に土下座させたい。
折れた二メートル程の角を右手に持って引き摺りながら、瓦礫トンネルの出口を目指す。
光が見えてきた。あれは太陽光ではない。栄光の光だ。
これから始まる私の栄光と繁栄を天が讃え祝福しているのだ。
「ふぅ~~~~、良い空気だ」
暗く埃っぽいトンネルから出ると、大きく深呼吸した。
冷たい空気が私の火照った身体を冷やしていく。
汗と汚れた白いワイシャツは着ているだけで、通常ならば不快指数マックスだろう。
だが、今の私は幸福指数マックスだ。
さっさとシャワーを浴びて街に戻って、キンキンに冷えたビールが飲みたい。
ドォスン……ドォスン……。
「んっ? 何だ?」
地面に何かが叩きつけられるような大きな音が聞こえた。
地面の小石が震えている。それにこっちに近づいて来ている気がする。
「ちっ……トリケラトプスの群れでもやって来たのか」
私は急いで近くにあった十七階建てのビルの中に隠れた。
逃げるにしても、近づいて来る音の正体を確かめた後だ。
相手が単独なのか、群れなのか分からない。
そんな状況で馬鹿みたいに逃げて、挟み撃ちにされたら最悪だ。
ドォスン! ドォスン!
「あ、あれは……もしかすると」
ゴクリと喉を鳴らして、現れた二足歩行の大型恐竜を見た。
道路に生えた樹木や廃車を踏み潰しながら、こっちに向かって来ている。
濃い緑の皮の所々に、黒い縞々が見え、その見た目は凶悪な顔を持つ筋肉質なトカゲだ。
全長十三メートル、体高六メートル、トリケラトプスよりも大きい。
前脚に比べて、長い後ろ脚が異常に発達していて、筋肉が盛り上がっている。
ワニのような大きな口には、長さ三十センチ程の鋭い牙が並んでいる。
「間違いない。【ティラノサウルス】だ」
ケイトは遭遇する確率は低いと言っていたが、めちゃくちゃ遭遇している。
私が高層ビルを倒して、大きな音を出したのが原因だとしても、低いと言ったのなら責任を取る必要がある。
今すぐに助けに来るべきだと思う。
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