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第39話 地中から現れた骸骨
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ケイトに命じられて、私はバイアスの夜営地を偵察する事になった。
女達が交代で仮眠しているうちに、敵の人数を調べなければならない。
残念ながら、車の中は外から見る事は出来ない。
外にいる人数だけしか調べる事は出来なかった。
ちなみに私の仮眠は三日間治療用ベッドで寝ていたから必要ないそうだ。
それを決めるのは、多分、他人じゃなくて私だと思う。
このまま夜営地に駆け込んで、バイアスに密告してもいいけど、バイアスの仲間を殺している。
どっちの味方をしても、私を人間として扱ってくれる保証はない。
「増員は無理だ。昼頃までには終わらせる」
「仕方ない。負傷した者はトレーラーに運べ」
「暇なら本部の近くで待機していろ。仕事が来たら送ってやる」
バイアスは車の中で寝ているようだ。
外にいる五人が無線機からの連絡に答えている。
その一人の声が、パーカーが無線機で話していた男と似ていた。
おそらく、ここが指令基地みたいなものだと考えてよさそうだ。
「おい、メタルスライムが現れたぞ」
んっ? ランプを揺らしながら、指令基地に向かって一人の男が走って来た。
あれだけ派手に家を燃やしていたら、そりゃー現れるに決まっている。
「分かった。カーソンの班が仕事させろと煩い。ここから南西七百五十メートル地点に待機させている。誰か誘導してくれ」
「俺達が行く。無線機は聞き飽きた。行くぞ、ドンテ!」
「ああ! 眠気覚ましに夜中のドライブを楽しもうぜ!」
男二人が無線機とランプを持って、バイクの所まで移動している。
それぞれがバイクに跨ると、メタルスライムが現れたと知らせに来た男もやって来た。
そして、片方のバイクの後方に一緒に跨った。
「こっちだ。案内する」
三人の男達が指令基地からバイク二台で離れて行く。
今度は黒いキャンピングカーから三人の男達が降りてきた。
二人が指令基地に行って、予備の無線機を手に取った。
もう一人がランプを持って、こっちに向かって来ている。
ヤバイ!
早く逃げないと見つかってしまう。
私は気づかれないように、急いで茂みの奥に隠れた。
男とランプの光が遠去かっていくのを息を殺して見送った。
「ふぅ……」
良かった。気づかれなかったようだ。それに奴らの作戦が大体分かった。
家を燃やして誘き寄せたメタルスライムを、待機させている数十組の班の所にバイクで連れて行っている。
やがて痺れを切らした本体が、やって来るのを狙っているんだろう。
でも、相手が分身を送って来なければ、効果はなさそうな作戦だな。
とりあえず、偵察はこの辺でいいだろう。見つかったら意味がない。
私は姿勢を低くして茂みの中を進んで、ケイト達の所に報告に戻った。
「——という訳だ。昼前には終わらせると言っていたから、本体が現れなければ、自分達から襲撃するんだろう」
起きていたケイトとパトリに偵察結果を報告した。
明らかにケイトは眠そうな顔をしている。
ふん、お子ちゃまだな。私も眠いから偵察任務は終わりでいいな。
「ふぅーん、つまりは本体の居場所は分かっているって事ね。パトリは上空から見て、怪しそうな場所はなかったの?」
「この辺はどれも同じ大きさの家ばかりだったよ。たまに豪邸があったけど、豪華な家に好んで住むとは思えないかも」
そこは同意見だな。
髭モジャに変身したメタルスライムが、豪邸のソファーで寝転んでいる姿は想像できない。
でも、分身が作れるなら、髭モジャと美女に変身したメタルスライムが戯れている可能性もあるな。
う~ん、あまり見たくはない光景だな。
「確かにそうね。じゃあ、全部の家を燃やすのが一番手っ取り早い方法なんじゃないの?」
「どこかに液体可燃物があれば、私が空から降らせて、家ごと全員丸焼きに出来るかも」
「うーん、それは時間的に無理ね。わざわざ探す時間はないと思う。やっぱり、今のところは様子見をするしかないみたいね」
「そっか……じゃあ、丸焼きは今度だね」
そんなに丸焼きがしたいなら、見回りしている男を上空から連れ去って、燃えている家に落とせばいいぞ。
もちろん、教えたらやりそうだから、絶対に教えないけど。
「そういう事ね。ジジイは偵察に戻って何か起こったら、無線機で報告しなさい。無線機からイビキが聞こえてきたら、叩き起こしに行くから気をつけなさいよ」
「へぇーい」
ケイト達に報告を終えて、私は偵察任務に戻って行った。
やっぱり、偵察任務は継続のようだ。
わざとイビキを出すという嫌がらせも考えたが、その場合は起きていても殴られるだろう。
娘には冗談はまったく通じないからな。
「それにしても、何故、ここにいると思ったんだ?」
背の高い茂みの中に戻った私は続きを考えていた。
本体の居場所が分かっているなら、さっさと攻撃すればいい。
明るくなる朝まで待つつもりなら、わざわざ夜営する必要はない。
朝にやって来て、攻撃を開始すればいいだけだ。
つまり居場所は分かっているけど、攻撃が出来ない場所にいるという事になる。
もしかして、これは釣りや罠なのか? それに調査するともバイアスは言っていた。
となると、メタルスライムの本体が出現しない可能性もある。
昼頃までに終わるというのは、調査を昼までに終了させるという意味なんじゃないのか?
だとしたら、ケイトが計画していた三つ巴の戦いは実現しない。
昼前までに撤退するのを見送るか、襲撃するか決めないとな。
「フッ、やっぱり穴だらけの作戦だったな」
私としては、このまま撤退を見送るつもりだ。
私達はメタルスライムに襲われて、戦死した事にしよう。
別の町に行けば、何とか誤魔化せるかもしれないからな。
ピィピピピピピ‼︎
「ハッ! な、何だ⁉︎」
ウトウトしながら、偵察を続けていると、黒いキャンピングカーの中から、デカいアラームが鳴り始めた。
まさか、私が見つかったのか? だとしたら、急いで逃げないといけない。
「おい! 地下から反応が現れたぞ!」
「全員! 戦闘準備しろ!」
車の中から男達が次々と降りていく。
あっ、ヤバイ。早く報告しないとマズイ。
「私だ。何か動きがあったみたいだ。車の中から男達が次々と降りていく。バイアスの奴も降りて来たぞ」
『……そ。だったら、囮役の出番よ。私達が行く前に戦闘機を奪って、半分以上は始末しなさい。それと白黒は半殺しにして捕まえるのよ』
急いで報告すると、無線機からケイトの声が返ってきた。
私の囮役の仕事内容が大きく変更、追加されている。
ほとんど、全員片付けておけと言っているようなものだ。
見えるだけでも二十人近くはいるのに、半分は無理でしょう。
『ジジイ、もう乗ったでしょうね? 言い忘れてたけど、応援がやって来たら、それもあんたが片付けなさいよ。分かったわね?』
巫山戯るなよ。こっちはまだ茂みの中だ。
私がそんなに有能な人間に見えるのか?
戦闘機は車に立て掛けられるように置いてあるんだぞ。
そこに私が行ったら、「何で、お前がここにいるんだ?」になるじゃないか。
また集団リンチされるじゃないか。
「アムロとジェフは付いて来い。他は攻撃に巻き込まれないように、残りのFRと退避だ」
騒がしい現場をバイアスが指揮している。
二人の男達と一緒に人型戦闘機に乗ると動き出した。
指示の内容から私が頑張らなくても、他の仲間達は別の場所に移動してくれるらしい。
このまま茂みの中に隠れているだけで、私に与えられた仕事は勝手に終わりそうだ。
「早くしろよ! すぐに地下からデカい本体が現れる」
「やる事ない奴はさっさとバイクに乗って、南に避難しろ!」
バキバキと地面が音を立てて盛り上がっていく。
三機の戦闘機を残して、WBのメンバーが大急ぎで避難していく。
「なるほど。下水道の中に潜んでいたのか」
大昔の下水道や水道管なんて、とっくに壊れているだろう。
それでも、液体金属なら通れるんだろうな。
「現れたぞ! バイクなんていい! 誰でもいいから、FRに乗って避難しろ!」
ズガァン‼︎ 地面から細くて長い一本針が一気に突き出た。
高さ十五メートル、太さ四十センチの針の先端が膨らんで形を変えていく。
髭モジャとは大きさも変化する速さも全然違う。
間違いない。あれが本体のようだ。
「おい、あれって骸骨じゃないか?」
「あ、ああ、そうだな……」
数人が撤退作業をやめて、完成していく巨体骸骨を見上げている。
針の先端に鉛色のフードを被った、鉛色の骸骨が作られていく。
「……よし、盗むか」
残っている人数はバイアス達を合わせて、十人だ。
その全員の意識が上に集中している。今がチャンスだ。
WBメンバーのように自然に近づいて、戦闘機に乗ってみよう。
幸いな事に避難指示が出ている。
見つかっても、私をリンチする為に残ってくれる人はいないだろう。
♢
女達が交代で仮眠しているうちに、敵の人数を調べなければならない。
残念ながら、車の中は外から見る事は出来ない。
外にいる人数だけしか調べる事は出来なかった。
ちなみに私の仮眠は三日間治療用ベッドで寝ていたから必要ないそうだ。
それを決めるのは、多分、他人じゃなくて私だと思う。
このまま夜営地に駆け込んで、バイアスに密告してもいいけど、バイアスの仲間を殺している。
どっちの味方をしても、私を人間として扱ってくれる保証はない。
「増員は無理だ。昼頃までには終わらせる」
「仕方ない。負傷した者はトレーラーに運べ」
「暇なら本部の近くで待機していろ。仕事が来たら送ってやる」
バイアスは車の中で寝ているようだ。
外にいる五人が無線機からの連絡に答えている。
その一人の声が、パーカーが無線機で話していた男と似ていた。
おそらく、ここが指令基地みたいなものだと考えてよさそうだ。
「おい、メタルスライムが現れたぞ」
んっ? ランプを揺らしながら、指令基地に向かって一人の男が走って来た。
あれだけ派手に家を燃やしていたら、そりゃー現れるに決まっている。
「分かった。カーソンの班が仕事させろと煩い。ここから南西七百五十メートル地点に待機させている。誰か誘導してくれ」
「俺達が行く。無線機は聞き飽きた。行くぞ、ドンテ!」
「ああ! 眠気覚ましに夜中のドライブを楽しもうぜ!」
男二人が無線機とランプを持って、バイクの所まで移動している。
それぞれがバイクに跨ると、メタルスライムが現れたと知らせに来た男もやって来た。
そして、片方のバイクの後方に一緒に跨った。
「こっちだ。案内する」
三人の男達が指令基地からバイク二台で離れて行く。
今度は黒いキャンピングカーから三人の男達が降りてきた。
二人が指令基地に行って、予備の無線機を手に取った。
もう一人がランプを持って、こっちに向かって来ている。
ヤバイ!
早く逃げないと見つかってしまう。
私は気づかれないように、急いで茂みの奥に隠れた。
男とランプの光が遠去かっていくのを息を殺して見送った。
「ふぅ……」
良かった。気づかれなかったようだ。それに奴らの作戦が大体分かった。
家を燃やして誘き寄せたメタルスライムを、待機させている数十組の班の所にバイクで連れて行っている。
やがて痺れを切らした本体が、やって来るのを狙っているんだろう。
でも、相手が分身を送って来なければ、効果はなさそうな作戦だな。
とりあえず、偵察はこの辺でいいだろう。見つかったら意味がない。
私は姿勢を低くして茂みの中を進んで、ケイト達の所に報告に戻った。
「——という訳だ。昼前には終わらせると言っていたから、本体が現れなければ、自分達から襲撃するんだろう」
起きていたケイトとパトリに偵察結果を報告した。
明らかにケイトは眠そうな顔をしている。
ふん、お子ちゃまだな。私も眠いから偵察任務は終わりでいいな。
「ふぅーん、つまりは本体の居場所は分かっているって事ね。パトリは上空から見て、怪しそうな場所はなかったの?」
「この辺はどれも同じ大きさの家ばかりだったよ。たまに豪邸があったけど、豪華な家に好んで住むとは思えないかも」
そこは同意見だな。
髭モジャに変身したメタルスライムが、豪邸のソファーで寝転んでいる姿は想像できない。
でも、分身が作れるなら、髭モジャと美女に変身したメタルスライムが戯れている可能性もあるな。
う~ん、あまり見たくはない光景だな。
「確かにそうね。じゃあ、全部の家を燃やすのが一番手っ取り早い方法なんじゃないの?」
「どこかに液体可燃物があれば、私が空から降らせて、家ごと全員丸焼きに出来るかも」
「うーん、それは時間的に無理ね。わざわざ探す時間はないと思う。やっぱり、今のところは様子見をするしかないみたいね」
「そっか……じゃあ、丸焼きは今度だね」
そんなに丸焼きがしたいなら、見回りしている男を上空から連れ去って、燃えている家に落とせばいいぞ。
もちろん、教えたらやりそうだから、絶対に教えないけど。
「そういう事ね。ジジイは偵察に戻って何か起こったら、無線機で報告しなさい。無線機からイビキが聞こえてきたら、叩き起こしに行くから気をつけなさいよ」
「へぇーい」
ケイト達に報告を終えて、私は偵察任務に戻って行った。
やっぱり、偵察任務は継続のようだ。
わざとイビキを出すという嫌がらせも考えたが、その場合は起きていても殴られるだろう。
娘には冗談はまったく通じないからな。
「それにしても、何故、ここにいると思ったんだ?」
背の高い茂みの中に戻った私は続きを考えていた。
本体の居場所が分かっているなら、さっさと攻撃すればいい。
明るくなる朝まで待つつもりなら、わざわざ夜営する必要はない。
朝にやって来て、攻撃を開始すればいいだけだ。
つまり居場所は分かっているけど、攻撃が出来ない場所にいるという事になる。
もしかして、これは釣りや罠なのか? それに調査するともバイアスは言っていた。
となると、メタルスライムの本体が出現しない可能性もある。
昼頃までに終わるというのは、調査を昼までに終了させるという意味なんじゃないのか?
だとしたら、ケイトが計画していた三つ巴の戦いは実現しない。
昼前までに撤退するのを見送るか、襲撃するか決めないとな。
「フッ、やっぱり穴だらけの作戦だったな」
私としては、このまま撤退を見送るつもりだ。
私達はメタルスライムに襲われて、戦死した事にしよう。
別の町に行けば、何とか誤魔化せるかもしれないからな。
ピィピピピピピ‼︎
「ハッ! な、何だ⁉︎」
ウトウトしながら、偵察を続けていると、黒いキャンピングカーの中から、デカいアラームが鳴り始めた。
まさか、私が見つかったのか? だとしたら、急いで逃げないといけない。
「おい! 地下から反応が現れたぞ!」
「全員! 戦闘準備しろ!」
車の中から男達が次々と降りていく。
あっ、ヤバイ。早く報告しないとマズイ。
「私だ。何か動きがあったみたいだ。車の中から男達が次々と降りていく。バイアスの奴も降りて来たぞ」
『……そ。だったら、囮役の出番よ。私達が行く前に戦闘機を奪って、半分以上は始末しなさい。それと白黒は半殺しにして捕まえるのよ』
急いで報告すると、無線機からケイトの声が返ってきた。
私の囮役の仕事内容が大きく変更、追加されている。
ほとんど、全員片付けておけと言っているようなものだ。
見えるだけでも二十人近くはいるのに、半分は無理でしょう。
『ジジイ、もう乗ったでしょうね? 言い忘れてたけど、応援がやって来たら、それもあんたが片付けなさいよ。分かったわね?』
巫山戯るなよ。こっちはまだ茂みの中だ。
私がそんなに有能な人間に見えるのか?
戦闘機は車に立て掛けられるように置いてあるんだぞ。
そこに私が行ったら、「何で、お前がここにいるんだ?」になるじゃないか。
また集団リンチされるじゃないか。
「アムロとジェフは付いて来い。他は攻撃に巻き込まれないように、残りのFRと退避だ」
騒がしい現場をバイアスが指揮している。
二人の男達と一緒に人型戦闘機に乗ると動き出した。
指示の内容から私が頑張らなくても、他の仲間達は別の場所に移動してくれるらしい。
このまま茂みの中に隠れているだけで、私に与えられた仕事は勝手に終わりそうだ。
「早くしろよ! すぐに地下からデカい本体が現れる」
「やる事ない奴はさっさとバイクに乗って、南に避難しろ!」
バキバキと地面が音を立てて盛り上がっていく。
三機の戦闘機を残して、WBのメンバーが大急ぎで避難していく。
「なるほど。下水道の中に潜んでいたのか」
大昔の下水道や水道管なんて、とっくに壊れているだろう。
それでも、液体金属なら通れるんだろうな。
「現れたぞ! バイクなんていい! 誰でもいいから、FRに乗って避難しろ!」
ズガァン‼︎ 地面から細くて長い一本針が一気に突き出た。
高さ十五メートル、太さ四十センチの針の先端が膨らんで形を変えていく。
髭モジャとは大きさも変化する速さも全然違う。
間違いない。あれが本体のようだ。
「おい、あれって骸骨じゃないか?」
「あ、ああ、そうだな……」
数人が撤退作業をやめて、完成していく巨体骸骨を見上げている。
針の先端に鉛色のフードを被った、鉛色の骸骨が作られていく。
「……よし、盗むか」
残っている人数はバイアス達を合わせて、十人だ。
その全員の意識が上に集中している。今がチャンスだ。
WBメンバーのように自然に近づいて、戦闘機に乗ってみよう。
幸いな事に避難指示が出ている。
見つかっても、私をリンチする為に残ってくれる人はいないだろう。
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