没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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3日目

遺跡ダンジョン

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 馬に揺られながら、三人と一匹は森の中の遺跡にたどり着いた。
 ダンジョンには狩猟期間があり、その期間だけ増えすぎた魔物を倒すことが出来る。

 一般的な冒険者は倒した魔物を、アイテムポーチに詰め込めるだけ詰め込んで、家で解体作業する。
 実力があれば若者でも、月40~50万ギルドも稼げる高収入の仕事だ。

「パトラッシュ、ご主人様はお前が守るんだぞぉ~」
「クゥ~ン」

 ウェインがパトラッシュの頭を撫でて、カノンの護衛を任せた。
 天井に照明器具が付けられた、整備された薄茶色の煉瓦で作られた遺跡を進んでいく。
 三人と一匹の武器は、ルセフは剣、ウェインは弓と剣、カノンは短剣、パトラッシュは牙だ。

「いいか、カノン。魔物が出たら、お前がトドメを刺せ。経験値を貰って、レベルアップしてもらわないと困るからな」

 先頭を進むルセフは厳しい口調だが、死亡率を少しでも下げるには必要なことだった。
 経験値は魔物を倒した人にしか入らない。接待ダンジョンじゃないんだから、甘やかさない。

「それなら大丈夫です。パトラッシュが倒しても、私に経験値が入りますから」
「何だ、それは? まあいい。じゃあ、パトラッシュ。お前がトドメを刺せ」
「クゥーン‼︎」

 ルセフはペットが魔物を倒して、飼い主に経験値が入るという話を聞いたことがない。
 でも経験値が入るなら、どっちでもよかった。
 パトラッシュが聞いてないよぉー、という顔をしているけど、トドメ担当になった。

「止まれ。魔物がいた」

 小声でルセフが教えると、カノンを呼んで魔物の説明を始めた。

「あれは氷フライムだ。地面を歩くのがスライム、空中を浮くのがフライムだ。アイツは魔法で氷の砲弾を三連続で撃ってくる。身体が光ったら気をつけろよ」
「はい、分かりました」

 空中を球体にカットされた、青白く輝く宝石が浮かんでいる。
 大きさはスライムよりも少し大きく、通路の真ん中を上下に波打つように進んでいる。

「よし、ここにいろよ。倒すまで絶対に来るなよ。絶対だからな」
「むぅー! 一度言えば分かりますよ」

 馬鹿な子供に言うように、ルセフはカノンに何度も注意して、パトラッシュと一緒に突撃した。
 氷フライムの氷の砲弾を右に左に避けて、剣で素早く身体を三回斬った。
 ——ガン、ガン、ガン!
 激しい剣撃に、氷フライムの氷の身体にひび割れが発生した。

「こ、壊れるフラ~ッ!」
「パトラッシュ、トドメだ!」
「もうやるしかないワン!」

 ルセフの攻撃命令で、パトラッシュは氷フライムに噛み付いた。
 右前足に剛力リストバンド(レベル4)を付けているから、力が24も上がっている。
 噛み付いたまま、壁に氷フライムを何度も叩きつけて倒した。

「飼い主と違って、お前はやるみたいだな。その調子で頑張れよ」
「クゥーン」

 パトラッシュは褒められて嬉しいけど、口の中が少し凍っている。
 出来れば噛んでも大丈夫な魔物が良かった。

 遺跡の中には、鉄ハンマーを持ったミノタウロス、子供サイズのインプと呼ばれる小悪魔がいる。
 どれを倒しても経験値が1匹30も入るから、頑張ればレベル15ぐらいには簡単になれる。
 だけどレベル30相当の魔物達を、運動不足の飼い犬が楽に倒せるわけなかった。

「舐めるなミノ‼︎」
「キャウン!」

 筋骨隆々の牛男——ミノタウロスの左腕に噛み付いたパトラッシュが、壁に叩きつけられた。
 背骨が折れる重傷だ。左腕から離れて、床にグッタリと倒れた。

「この牛野朗!」
「ぐぅがああああ! こ、これで勝ったと思うなミノ……」

 パトラッシュがやられて、怒ったルセフがミノタウロスを剣で両断して倒した。

「おい、しっかりしろ! すぐに助けてやるからな!」
「も、もうダメ、ワン……」

 急いでパトラッシュに駆け寄ると、赤いアイテムポーチから回復薬を取り出した。
 回復薬は飲めば、HPが150回復する薬だ。
 即死していなければ、これで助けることが出来る。

「あっ、大丈夫ですよ。すぐに直しますから」
「はぁ?」

 だけど回復薬を飲まそうとするルセフを、カノンが止めた。
 パトラッシュは生き物で、カノンの所有物だ。
 修復スキルを使って、元通りに修復した。
 パトラッシュは不死身だった。
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