没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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3日目

街帰還

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「ふぅー、死ぬかと思ったワン」
「…………おい、何だこれは?」
「はい?」

 何事もなかったように、パトラッシュが立ち上がった。
 ルセフは呆然と見ていたが、再び怒りが込み上げてきた。
 道具以外も回復させられるとは聞いていない。

「何で犬を治療できるんだ」
「えっ? パトラッシュは物だから出来ますよ」

 外道の発言だが、カノンには当たり前の常識だ。
 そんな非常識にルセフは呆れている。

「はぁー、生き物も物扱いかよ。どんな家庭環境で育ったんだよ。だったら人間も魔物も物なのかよ」
「やってみましょうか?」
「やらなくていい。まったく……」

 カノンが倒したミノタウロスを修復しようとしたから、ルセフは怒って止めた。
 危ない実験に協力するつもりはない。やらせるならスライムでやらせる。

「カノンちゃんは凄いなぁ~♪ 回復魔法が使えるとは知らなかったよ。これなら怪我し放題だね」
「はい、任せてください。小指一本になっても直してみせます!」

 ミノタウロスをアイテムポーチに入れると、再び魔物倒しを始めた。
 ウェインはカノンを回復師だと勘違いしている。
 役立たずの低評価から高評価になっている。

「そんな便利な魔法はねえよ。それに俺達が倒れたら、その女一人じゃ魔物は倒せない。全員死ぬぞ」
「ルセフ、お前は否定ばかりで言い方がキツイんだよ。褒めて優しくしないと、女の子は伸びないぞ」

 カノンのことで、二人の男が喧嘩を始めた。

「本当のことを言っているだけだろ。その女はまだ一匹も倒してないからな。犬を仲間に欲しいぐらいだ」
「犬よりはカノンちゃんの方が良いよ。犬は金払ってくれないんだから」
「はんっ。金は払わないが、金を稼ぐなら一緒だろ。長期的に考えれば、犬の方が頼りになる」

 でも途中から、パトラッシュのことで喧嘩になってしまった。
 カノンが気づかないまま、短いヒロイン扱いが終わった。

「ルセフ、そろそろ帰る時間だ。それとも、もう少しレベル上げを手伝うのか?」

 遺跡に入って四時間が経過した。ウェインが時計を見て聞いた。

「そうだな。少し早いが帰るとするか。お前もそれでいいな?」
「うーん、あとちょっとでレベル15になるんですけど、駄目ですか?」

 ルセフに聞かれたけど、カノンはまだレベル上げをしたい。
 パトラッシュは大丈夫だけど、装備の方ももう少しで進化させることが出来る。
 だけどやっぱり断られた。

「駄目だ。暗くなると野宿することになる。残り30分だ。それで我慢するんだな」
「うーん、そうですね。そうします。また護衛してくださいね」
「ああ、考えておくよ」

 ルセフが目を逸らして応えた。もう護衛するつもりはない。
 魔物が多く出るのを期待するしかない。

 ♢

「カノンちゃん、宿屋に着いたよ」
「ふぁ~、疲れましたぁ~」

 午後7時30分。暗くなる午後8時前に、三人と一匹は街に帰ることが出来た。
 冒険者ギルド近くの宿屋で、カノンとパトラッシュを馬から降ろして、護衛は終了だ。

「しばらく解体で忙しくなる。ここには来ないからな。ついでに家にも来るなよ」
「はぁい、分かりましたぁ~。もう食べて寝ていいですかぁ~?」
「ああ、いいぞ。さっさと寝ろ」
 
 ルセフがカノンに注意するが、疲れと空腹と眠気でロクに聞いていない。
 魔物を合計で59匹も倒したから、解体作業に二、三日かかってしまう。
 家族に手伝ってもらって、6人がかりでするから、家に来られると邪魔になる。
 貧乏人は金持ちと遊んでいる暇はない。

「じゃあ、カノンちゃん、パトラッシュ、おやすみ。また護衛依頼よろしくね」
「はぁい、おやすみなさい~ぃ」

 眠そうにしながらも、カノンは冒険者ギルドに馬を返しに行く二人を手を振って見送った。
 二人が見えなくなると、宿屋の食堂で晩ご飯を食べて、カノンは部屋で、パトラッシュは馬小屋で寝た。
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