没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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7日目

父娘近況報告

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 カノンの父親——エリック・ネロエスト54歳は無事に娘に保護された。
 カノンの母親の男爵令嬢と結婚したのは、商売に成功した32歳の時だった。
 父親というよりも祖父に近い。

「くぅ~! やはりあの時のあれがマズかった!」
「どうしたんですか、お父様? お口に合いませんか?」

 朝食のパン1個を半分ほど食べると、エリックが不機嫌そうに顔を歪めた。
 事業に失敗した原因を思い出している。

「いいや。このパンは世界一美味しいよ。不味かったのは、私が作った酒の方だ」
「お酒ですか?」
「ああ、酒だ。あの雑草酒が色々とマズかった」

 エリックのジョブは【酒師】だ。
 果物、野菜、木の実、キノコ、草……と植物から酒を製造することが出来る。

 凄いジョブとスキルだが、途中から材料費を着服する為に、雑草を混ぜるようになった。
 10%から始めていき、徐々に20%、30%と増えていき、40%で不味すぎてバレた。
 食品は信用が第一なのに、雑草や木の葉を飲ませたら、客が怒るのは当然だ。

 屋敷と工場に客が大挙して、金返せコール。
 着服した隠し財産も尾行されて、しっかり全額没収。
 ついで捕まって、軽く暴行を受けた後に酒樽に放り込まれた。
 酒樽から脱出できたのは、つい最近だ。

「だいたいMP回復薬が高すぎるんだ! MP40回復で1本8000ギルドだぞ! 安く大量に作れと言われたら、食材費を削るしかないじゃないか!」
「そうです。お父様は上と下からの重圧に応えただけです。出来る中で最高の仕事をしました」

 エリックは材料費着服親父だが、身内なら庇うのは当たり前だ。
 MP回復薬も大量注文して、相場よりも2割も安いが、着服したくなったから仕方ない。
 娘に牛乳をコップに注がれながら、優しく慰められる。

「……いや。最低の仕事だった。村に住んでいた頃は畑の野菜や森の果物で、小さな樽で作っていた。あの頃は味にこだわっていたのに、街では金にこだわらなければ、酒を作れなくなっていた。周りの人間が皆、酒ではなく、私に金、金、金を作れと言っていた」

 だけど、父親は自分が悪いと少しは自覚している。
 30年前の村人時代を懐かしく思い出して、街の人間は怖いと言っている。
 結局は街色に染められた自分は悪くないと、言いたいだけだった。

「お父様の言う通りです。私も毎日お金を作っています。本当に街は大変です」
「カノンも苦労したんだな。はぁー、これからは小さな畑を耕して、酒造りからは引退だ。酒は人を駄目にする」

 二人とも被害者面しているが、二人とも街の人間を偽金と薄めた酒で騙しているだけだ。
 このままでは娘の方にも、父親と同じ末路が待っている。

「それよりもカノン。生活費はどうやって稼いでいるんだ? 昨日はそのまま寝てしまったから聞いてなかったが……」

 話を切り替えて、エリックは聞きたかった肝心の話を聞いた。
 家の中を軽く見回すだけで、高価な家具がたくさん置いてある。
 屋敷の家具ではないから、持ち出したわけではない。

「あ、そうでした! お父様。私、冒険者の仕事を紹介されて、魔物を倒してお金を稼いでいるんですよ!」

 カノンは初めての仕事を喜んで、エリックに報告した。
 するとエリックが勘違いした。

「なっ⁉︎ そんな危険な仕事をしていたのか⁉︎ くぅー! その装備、そしてあの魔物は見張りか‼︎」

 金貸しに武器を渡されて、魔物の見張り付きで、危険な仕事を無理矢理やらされていない。
 勘違いしているエリックに、カノンは大きくなったパトラッシュを、キチンと紹介した。
 
「いえ。あれはパトラッシュです。レベルが上がって進化したんです」
「クゥーン」
「ん⁇ ん? カノンは何を言っているんだ?」

 エリックは常識人だ。娘の言っていることが理解できずに混乱している。
 犬は牛みたいに大きくならない。
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