没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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11日目

酒謝罪・ギルド長

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 朝起きて朝食を食べると、カノンは冒険者ギルドに行こうとした。
 それを起きたばかりのエリックが呼び止めた。

「カノン、待ちなさい。私も冒険者ギルドに行く」
「おはようございます、お父様。朝ご飯を食べに行くんですか?」
「違う。危険な酒を飲ませた謝罪に行くんだ。感謝や謝罪が出来ない人間にロクな人間はいない」

 今日のエリックはまともなようだ。
 娘の失敗を父親として謝りに行くらしい。
 
「そうでした⁉︎ 謝るのを忘れていました! どうしましょう⁉︎」
「お前はもう大丈夫だ。他人ではなく、自分の間違いに気づけたなら、次に失敗した時は謝ることが出来る」

 動揺しまくるカノンに、エリックが自信満々に言った。
 確かにコソ泥で捕まった時に謝りまくっていた。
 だが謝っても問題は解決しなかった。解決したのはカノンの金だ。

「お父様、ありがとうございます。私も謝ります」
「うむ。さあ、行こうか」

 父親の威厳たっぷりに、エリックはパトラッシュの背中に乗った。
 自分の足で歩くつもりはないらしい。
 
 ♢

「このたびは娘が申し訳ありませんでした!」
「も、申し訳ありませんでした!」

 冒険者ギルドに到着すると、カウンターの失礼な男職員にエリックが謝罪した。
 頭が高いではなく、頭が低すぎる謝罪だ。カノンも慌てて土下座している。

「今さら謝っても遅いんだよ! ギルド長を呼んでくるから、そのまま待ってろ!」

 やはりエリックの土下座程度では解決しなかった。
 職員が怒って、冒険者ギルドの最高責任者——ギルド長を呼びに行った。

「カノン、例の物を用意するんだ」
「はい、お父様」

 父親に言われて、カノンは土下座したまま、アイテムポーチから例の物を取り出した。
 しばらく待っていると、職員がギルド長と一緒に戻って来た。

「ギルド長、この女が例の窃盗犯の協力者です」
「本当に間違いないんだね、ディラン君?」
「はい、間違いありません。本人達が罪を認めて謝罪しています」

 53歳のギルド長ゼノビス・バートランドが、職員のディラン・マッケンに聞いた。
 ギルド長はガッシリした、筋肉質の四角い顔と体型をしている。
 金色の髪を油で固めて、左右に広がる小さな口髭が生えている。

「ギルド長様。このたびは娘が試作品の酒を間違って飲ませてしまい、大変申し訳ありませんでした。こちらは酒の解毒薬です。倒れている冒険者様にお使いください」

 解毒薬ではなく、万能薬だ。
 エリックは土下座姿勢のまま、ギルド長に差し出した。
 
「ん? 窃盗したことを謝罪に来たのではないのかね?」
「確かにお父様はお金を盗みましたが、盗んだお金は全て返済しています」

 万能薬を受け取ると、ギルド長が二人に尋ねた。
 父親の代わりにカノンが素早く答えた。

「……ふむ。素材窃盗ではなく、酒の謝罪に来たわけか。ディラン君、これはどういうことだ?」
「酒は酒です。窃盗犯なのは間違いないです。おい、昨日の素材はどこで盗んで来た! 正直に言え!」

 ギルド長に聞かれても、ディランは冷静なままだ。自分の推理に確信を持っている。
 厳しい口調でカノンに盗んだ方法を聞いている。
 予想では移動スキルで、どこかの冒険者ギルドの保管庫か、大きな素材屋で盗んでいる。

「あれは素材屋で買った素材を加工しただけです。盗んでません。証拠をお見せしましょうか?」

 だけど、カノンには身に覚えがない。
 ギルド長と職員に無実を証明すると言っている。

「お願いしてもよろしいかな?」
「はい、大丈夫です。何でもいいので、持ち物を貸してください」
「では、このハンカチでいいかね?」
「はい、大丈夫です」

 ギルド長が聞くと、問題ないとカノンは答えた。
 ギルド長が紺色の布に、白線が入ったハンカチを渡してきた。
 
「おい、お前——」
「ディラン君!」
「す、すみません……」

 カノンは受け取たハンカチを、普通にハサミでバラバラに切り始めた。
 ディランが怒鳴ろうとしたが、ギルド長に睨まれて静かになった。

「それでどうするつもりかな?」
「今から修復します。修復すれば、ハンカチが増えます」
「ほぉー、それは面白そうだ」

 アイテムポーチにカノンがハサミを入れると、ギルド長が聞いた。
 何をするのか教えると、ギルド長は興味深そうに笑った。
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