没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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11日目

特別経営相談役

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「ひゃひひはははっ~♪」

 酔っ払って上機嫌になったギルド長を、冒険者ギルドに送り届けた。
 約束通りにエリックは職員として仕事を始めた。
 最初の仕事は娘を上級冒険者にすることだった。

「おめでとう、カノン。今日からお前は上級冒険者だ」
「わぁ~♪ ありがとうございます!」

 金色の冒険者カードを渡して、エリックは拍手している。
 職権濫用ではなく、ギルド長から許可は貰っている。
 ギルド長が覚えてないと言えないように、書類に署名と認め印まで作成済みだ。

「お父様、上級冒険者になったら何が出来るんですか?」
「ごほん、ごほん。今は仕事中だ。職場ではエリックさんと呼びなさい」
「すみません、お父、エリックさん!」

 カノンの間違った呼び方を咳払いした後に、エリックは注意した。
 仕事場では父娘だと内緒にしたいようだ。

「うむ。よろしい。ディラン君、教えてやりなさい」
「くっ、何で俺が……」

 エリックに呼ばれて、ディランが嫌々やって来た。
 明らかに年齢だけ上の、新入りの言うことは聞きたくなさそうだ。
 それでも逆らったらどうなるか分かっている。
 ディランは上級冒険者の説明を始めた。

「上級冒険者の条件はレベル60以上だ。ほとんどがレアスキルの持ち主で、レベルの低いお前は本当はなれない。その辺を忘れるなよ」
「ディラン君、私の話を聞いていたのかね? 上級冒険者になる方法ではなく、何が出来るのか聞いているんだ」
「申し訳ありません。特別経営相談役」
「分かったのならいい。さあ、続けなさい」

 エリックの仕事は偉そうにするだけらしい。
 大変そうな仕事だが、娘の前だから気合いが入っている。ディランを厳しく指導している。
 ディランは形だけの謝罪をすると、続きを話し出した。

「上級になってもやることは変わらない。依頼人が上級になるだけだ。大商人、貴族、王族から依頼が来た場合、優先的にお前を紹介するだけだ」
「うむ。そういうことだ。ディラン君、彼女に上級依頼を見せてあげなさい」

 エリックは何も知らないのに知っているフリをして、ディランに上級依頼を注文した。
 流石のディランも、一人の冒険者を優遇しまくる相談役に反論した。

「申し訳ありません。現在、この街は冒険者が不足しています。彼女には配達と護衛を優先的に行ってもらいたいと思っています」

 特別経営相談役なら、冒険者ギルドを潰す経営はやめてもらう。
 毒酒飲ませて、街の冒険者を酔い潰したんだから、回復するまで責任取ってもらう。

「確かにお客様に迷惑をかけると、評判が悪くなる。次から仕事が来なくなるな」
「その通りです。そして残念ながら、この街の冒険者ギルドの評判は高くありません。現在、上級依頼は一件もありません」

 一応商人だったから、エリックは評判が大事なのは知っている。
 そして一度失った評判を取り戻すのは、ほとんど不可能に近いのも知っている。

「なるほど。選べる仕事もなしか。カノン、信用できる人間に飛行船を貸して、配達をやらせなさい。友達に冒険者がいただろう。それでいい。私も配達に行く!」
「分かりました。誘ってみます」
「やれやれ。忙しくなってきたぞ!」

 ディランから冒険者ギルドの状況を聞いて、特別経営相談役が自ら配達員に立候補した。
 冒険者ギルドの危機を救おうと、英雄になりきって的確に娘に指示を出している。
 まずは評判を上げる為に下級依頼を頑張るようだ。
 小型飛行船を借りると、配達のアイテムポーチを持って近くの町に出発した。
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