没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
66 / 121
17日目

貴族お見合い

しおりを挟む
「お父様、おはようございます。綺麗な新種の魔物を見つけたんですよ。これで冒険者ギルドの知名度も上がりますね」

 午前7時。天気は晴れている。
 カノンは今日中に、残り五種類のフライムを捕獲する予定だ。
 一階のテーブルで朝食を食べているエリックに報告した。

「それは良かった。実はお前に頼みたい仕事があるんだ」
「緊急の依頼ですか?」
「そうだ。緊急で重要な仕事だ。この中から好きな男を選べ。伯爵と子爵の息子だ」
「がぁーん‼︎」

 今日の捕獲予定は中止のようだ。まさかのお見合いらしい。
 テーブルに三人の男のお見合い写真が並べられた。
 伯爵三男22歳、子爵次男16歳、子爵長男17歳と、一応はまともな候補が選ばれている。

「是非とも飛行、お前を一目見て気に入ったそうだ。今日の昼食に会って話がしたいそうだ」
「今日ですか⁉︎ ちょっと用事が……」
「これ以上に大事な用事はない。服とカツラを用意しなさい。短い髪だと笑われてしまうぞ」
「はい、分かりました……」

 明らかに気に入ったのは、カノンではなく、飛行船の方だ。
 カノンは行きたくないが、父親に言われたら仕方ない。
 行かないと男爵よりも偉い貴族達に、平民の父親が何をされるか分からない。

「はぁー。結婚したら貴族生活です。手掴みでパンも食べれません」

 二階の部屋に戻ると、カノンは嫌々準備を始めた。
 パンなら部屋で隠れて食べればいいが、言いたいことはそうじゃない。
 貴族の嫁になると、窮屈で退屈な生活が待っている。

「仕方ないです! 全力で嫌われましょう!」

 カノンは本気のようだ。
 白いドレスと長い金髪をアイテムポーチに入れた。こんな物は必要ない。
 ありのままの姿ではないが、偽りの駄目女になって勝負するようだ。

 ♢

 昼食会場は以前門前払いされた高級料理店だった。
 血塗れの剣を持って、顔に古傷の落書きをしたカノンが入店した。
 革と布の戦士服を着た女戦士は、門前払いされないようだ。

「お待たせしました。ちょっとドラゴンと戦っていました」
「えっ……あなたがカノンさんですか?」
「はい、そうで、そうだぜ!」

 一番身分が上の伯爵長男が戸惑っている。
 エリックに聞いていた話と全然違う。

「そ、そうですか。よろしかったら、うちの使用人に着替えを用意させましょうか?」
「結構です。それよりも親父に肉が食えると聞いたんだけど、肉はどこですか?」
 
 伯爵長男が顔を引き攣らせて聞いたが、カノンは素早く断った。
 今日のカノンは、ガサツな肉好き女戦士になりきるみたいだ。
 付け焼き刃のせいか、ちょっと演技が微妙ではある。

「料理ならすぐに用意しましょう。その間にお話でもしましょうか。どうぞお席にお座りください」
「あ、ありがとうございます」

 伯爵長男が丁寧に丸テーブルの椅子を引くと、カノンが普通にお礼を言って座った。
 身につけた習慣はなかなか消えない。

「今日は急なお誘いで申し訳ありません。初めまして、アルガナン伯爵家の長男エドウィンです」
「あ、どうも。カノン・ネロエストです」
「お久し振りです、カノンさん。屋敷が売却されたと聞いて、ずっと心配していたんですよ」
「は、はぁ……?」
「私も心配していたんですよ。どうして頼ってくれなかったのですか? パーティで何度もお話したのに」
「そ、そうですね」

 伯爵長男に続いて、テーブルに座る二つの子爵家の次男と長男が話してきた。
 子爵の二人には何度か会ったらしいが、カノンの記憶には残っていない。
 全員初対面の全然知らない男達だ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

安全第一異世界生活

ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...