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19日目
夜会の始まり
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夜会のパーティー会場は、お見合い相手のハーディン男爵家の長男グリムの屋敷だった。
もう一人のライオット男爵家の次男ティガロの屋敷は、小さいという理由で外された。
「あっ、思い出しました! 前にフローラお姉様と一度来たことがあります」
灰色の屋根に白い壁の屋敷を見て、カノンは思い出した。
三年前に次女フローラと一緒に来たことがある屋敷だった。
「うわぁ~。人がいっぱいです。皆んな、パトラッシュの為に集まったんですよ」
「クゥーン」
注目を集めるサメ型飛行船から降りて、カノンはパトラッシュを連れて、屋敷の中に入った。
300人以上の着飾った貴族や金持ちが集まっている。パトラッシュは緊張している。
1~3歳までの誕生日パーティーの参加者は、カノンと一部の使用人だけだった。
「はむはむ……この料理、私がレベル上げした物です。残念です。持ち帰っても意味ないです」
父親を探しながら、カノンは料理を一口食べてみた。
料理、酒、テーブルはエリックが用意した物だ。全部カノンのスキルが使われている。
美味しい新しい料理を持ち帰って、レベル上げする予定が崩れてしまった。
「カノンさん?」
「はい? あ、エドウィン伯爵様、こんばんわ」
名前を呼ばれて振り向くと、黒スーツで正装している伯爵家の長男がいた。
生ハムに巻かれたチーズを食べるのをやめて、カノンは挨拶した。
「あっはは、お恥ずかしい。あまりの美しさに誰だか分かりませんでした。可愛いワンちゃんですね? お名前を聞いてもいいですか?」
「パトラッシュです。オスなのでカッコイイと呼んだ方が喜びますよ」
「それは失礼。パトラッシュ君、いえ、ラッシュ君の方が良いかな?」
「気安く触るなワン」
しゃがみ込んでパトラッシュの頭を撫でる伯爵は良い人そうだ。
だけど、パトラッシュは初対面の相手に触らせるほど、安い犬じゃない。
左前足のお手で伯爵の手を払い退けた。
「あぅ……あっはは、嫌われてしまいました♪」
「知らない人だから緊張しているんです。それよりも父を見ていませんか? 探しているんですけど……」
カノンはさっさとお見合いを断りたい。伯爵の負傷した右手はどうでもいい。
エリックの居場所を聞いてみた。
「ああ、お父様ですか。先程挨拶したばかりです。会場にいるので一緒に探しましょう」
「ありがとうございます」
どうやら伯爵は知っているようだ。
案内してくれるらしいので、カノンをお礼を言って後ろを付いていく。
食べるなら今のうちしかないから、手に隠し持っている生ハムを口に放り込んだ。
「エリックさん、お嬢様が探していましたよ」
「おお! これはこれはエドウィン伯爵様! 私の可愛い迷子の子猫ちゃんを連れて来てくれましたか!」
エリックはすぐに見つかったが、赤い顔で上機嫌になっている。
人に酒を勧めては、自分も飲んでいるようだ。
「お父様、大丈夫ですか?」
「ふふっ。大丈夫だ。酔って悪ふざけをする感じで、話を切り出すつもりだ」
「凄いです、お父様!」
作戦が上手くいくか心配なカノンは、エリックに小声で大丈夫なのか確認している。
エリックが酔っているフリだと答えると、凄いと感心している。
本当に酔っている人間も、大丈夫だと答えると知らないようだ。
エリックは他のお見合い相手も見つけると、伯爵と男爵二人を連れて、会場の中心に立った。
重大発表ということで、注目を集めると話し出した。
「えー、本日は皆様お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。我が娘カノン・ネロエストには勿体ない程の、素晴らしい三人の青年をご紹介します」
パーティーに集まった人間は、状況は大体分かっている。
誰と付き合うのか、誰とも付き合わないのか聞きたいだけだ。
エリックからの紹介と、伯爵と男爵二人の自らの自己紹介を済ますと話が進んだ。
「エドウィン伯爵様、グリム男爵様、ティガロ男爵様、三人にお聞きしたいことがあります。よろしいでしょうか?」
これから無礼な質問をするから、エリックは三人に確認した。
三人とも問題ないと答えたから、これで何を聞いても簡単には怒られない。
エリックはお礼を言うと、質問を始めた。
「ありがとうございます。娘との結婚を本気でお考えでしょうか? 娘は何の取り柄もない普通の娘です。父親の私には好意を持たれる理由が分かりません」
「ははっ。何をおかしなことを。素晴らしいジョブをお持ちではないですか」
「その通りです。普通の娘とは、お父様は謙遜し過ぎですよ」
男爵二人が笑いながら、素晴らしい娘だと褒めている。
その通りなのだが、聞きたいのはジョブではなく、二人の気持ちだ。
「そうですか……では娘に特別なジョブが無ければ、お二人には何の魅力もない女ということですね」
「いえいえ! ジョブ抜きでも、カノンさんは大変お美しいです!」
「そうですよ。突然お父様はどうしたんですか? そのような意地悪なことを聞かれるなんて……」
男爵二人の反応は完全にジョブ目当てだ。
エリックは狼狽えている二人を涼しい顔で見ると、伯爵の答えを聞いた。
もう一人のライオット男爵家の次男ティガロの屋敷は、小さいという理由で外された。
「あっ、思い出しました! 前にフローラお姉様と一度来たことがあります」
灰色の屋根に白い壁の屋敷を見て、カノンは思い出した。
三年前に次女フローラと一緒に来たことがある屋敷だった。
「うわぁ~。人がいっぱいです。皆んな、パトラッシュの為に集まったんですよ」
「クゥーン」
注目を集めるサメ型飛行船から降りて、カノンはパトラッシュを連れて、屋敷の中に入った。
300人以上の着飾った貴族や金持ちが集まっている。パトラッシュは緊張している。
1~3歳までの誕生日パーティーの参加者は、カノンと一部の使用人だけだった。
「はむはむ……この料理、私がレベル上げした物です。残念です。持ち帰っても意味ないです」
父親を探しながら、カノンは料理を一口食べてみた。
料理、酒、テーブルはエリックが用意した物だ。全部カノンのスキルが使われている。
美味しい新しい料理を持ち帰って、レベル上げする予定が崩れてしまった。
「カノンさん?」
「はい? あ、エドウィン伯爵様、こんばんわ」
名前を呼ばれて振り向くと、黒スーツで正装している伯爵家の長男がいた。
生ハムに巻かれたチーズを食べるのをやめて、カノンは挨拶した。
「あっはは、お恥ずかしい。あまりの美しさに誰だか分かりませんでした。可愛いワンちゃんですね? お名前を聞いてもいいですか?」
「パトラッシュです。オスなのでカッコイイと呼んだ方が喜びますよ」
「それは失礼。パトラッシュ君、いえ、ラッシュ君の方が良いかな?」
「気安く触るなワン」
しゃがみ込んでパトラッシュの頭を撫でる伯爵は良い人そうだ。
だけど、パトラッシュは初対面の相手に触らせるほど、安い犬じゃない。
左前足のお手で伯爵の手を払い退けた。
「あぅ……あっはは、嫌われてしまいました♪」
「知らない人だから緊張しているんです。それよりも父を見ていませんか? 探しているんですけど……」
カノンはさっさとお見合いを断りたい。伯爵の負傷した右手はどうでもいい。
エリックの居場所を聞いてみた。
「ああ、お父様ですか。先程挨拶したばかりです。会場にいるので一緒に探しましょう」
「ありがとうございます」
どうやら伯爵は知っているようだ。
案内してくれるらしいので、カノンをお礼を言って後ろを付いていく。
食べるなら今のうちしかないから、手に隠し持っている生ハムを口に放り込んだ。
「エリックさん、お嬢様が探していましたよ」
「おお! これはこれはエドウィン伯爵様! 私の可愛い迷子の子猫ちゃんを連れて来てくれましたか!」
エリックはすぐに見つかったが、赤い顔で上機嫌になっている。
人に酒を勧めては、自分も飲んでいるようだ。
「お父様、大丈夫ですか?」
「ふふっ。大丈夫だ。酔って悪ふざけをする感じで、話を切り出すつもりだ」
「凄いです、お父様!」
作戦が上手くいくか心配なカノンは、エリックに小声で大丈夫なのか確認している。
エリックが酔っているフリだと答えると、凄いと感心している。
本当に酔っている人間も、大丈夫だと答えると知らないようだ。
エリックは他のお見合い相手も見つけると、伯爵と男爵二人を連れて、会場の中心に立った。
重大発表ということで、注目を集めると話し出した。
「えー、本日は皆様お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。我が娘カノン・ネロエストには勿体ない程の、素晴らしい三人の青年をご紹介します」
パーティーに集まった人間は、状況は大体分かっている。
誰と付き合うのか、誰とも付き合わないのか聞きたいだけだ。
エリックからの紹介と、伯爵と男爵二人の自らの自己紹介を済ますと話が進んだ。
「エドウィン伯爵様、グリム男爵様、ティガロ男爵様、三人にお聞きしたいことがあります。よろしいでしょうか?」
これから無礼な質問をするから、エリックは三人に確認した。
三人とも問題ないと答えたから、これで何を聞いても簡単には怒られない。
エリックはお礼を言うと、質問を始めた。
「ありがとうございます。娘との結婚を本気でお考えでしょうか? 娘は何の取り柄もない普通の娘です。父親の私には好意を持たれる理由が分かりません」
「ははっ。何をおかしなことを。素晴らしいジョブをお持ちではないですか」
「その通りです。普通の娘とは、お父様は謙遜し過ぎですよ」
男爵二人が笑いながら、素晴らしい娘だと褒めている。
その通りなのだが、聞きたいのはジョブではなく、二人の気持ちだ。
「そうですか……では娘に特別なジョブが無ければ、お二人には何の魅力もない女ということですね」
「いえいえ! ジョブ抜きでも、カノンさんは大変お美しいです!」
「そうですよ。突然お父様はどうしたんですか? そのような意地悪なことを聞かれるなんて……」
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