没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

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19日目

時精霊誕生

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 九種類のフライムが丸型からひし形に進化した。
 夜会の時間が迫っているが、ギリギリ間に合いそうだ。
 あとは全種類レベル100にして進化させるだけだ。

「そういえば元フライムに合成したらどうなるんでしょう? まだ試してないです」

 でも、その前にカノンがあることに気づいた。
 元フライムに他のフライムを混ぜたら、元火フライムとかになるかもしれない。
 試しに合成してみた。

「うーん、元フライムのままです。やっぱりこれ以上は混ぜられないんですね」

 元精霊フライムのままだった。ステータスが変化しただけだ。
 1種類3匹ずつだけ残すと、カノンは残りのフライムを倒した。

「はぁー、これで実験終わりですか。まだまだ物足りないです」

 最終進化の準備が出来た。カノンは実験過程を楽しむタイプのようだ。
 終わりだと思って、少し気分が下がっている。
 だけどやっぱり進化させるようだ。1種類1匹ずつ進化させた。

【名前=元精霊 種族=精霊 損傷率=0%
 レベル=100(最大レベル) HP=35530/35530 MP=11880/11880
 力=222 体力=222 知性=163 精神=163 器用さ=163 素早さ=135】

「う~ん、これは成功のような、失敗のような……」

 ひし形だったフライム九種類が人型に変化した。
 頭と手足があり、それぞれの頭の形が、髪型のように少し違う。
 妖精のような可愛い人型になって、かなり倒しにくい。

「綺麗なひし形と可愛い精霊ですか。これは好みが分かれます。とりあえず一緒にしてみますか」

 予想外の結果だったが、カノンはもう一組フライムを進化させて精霊を作った。
 精霊同士を一緒にしたら増えるか実験だ。
 残ったひし形フライムも一緒の飼育ケースに入れて蓋をした。
 そろそろ夜会に出かけないといけない。

「念の為に分厚くしないと危ないですね」

 一つの飼育ケースにレベル100が27匹もいる。
 金庫並みに分厚くして頑丈にすると、魔法攻撃を無効化する護符を置いた。
 これで問題ない。体当たりで壊すには、クリスタル製の飼育ケースは頑丈過ぎる。

 安心すると、カノンは夜会の準備を始めた。

「髪留めはこれでいいですね。さあ、パトラッシュ行きますよ。美味しい料理が食べ放題ですよ」
「ワフゥ♪」

 軽く化粧して、薄紫色のロングドレスを着て、丸みを帯びた三角の髪留めを左髪に装着した。
 首輪だけをしているパトラッシュを連れて、カノンは夜会がある男爵家の屋敷に向かった。
 
 ♢

「……クックククク。愚かな人間よ。復讐の時だ。真の力を覚醒させた我に蹂躙されるが良い」
「いや、蹂躙するのは我だ。漆黒の中の漆黒、裏の中の裏、闇の眷族である我に手を出したことを、混沌と絶望と地獄の淵で後悔させてやる」

 カノンが部屋から消えると、闇精霊2匹が喋り出した。
 火精霊と雷精霊は飼育ケースを殴って、壊そうとしているが諦めた。

「かぁーっ、駄目だ‼︎ 全然壊せねえ!」
「敗者には死あるのみか……」
「あの女~! 増やしたいならエサ置いてけよ!」
「何言ってんのよ。もうフライムじゃないんだから無理よ」
「そうなのか⁉︎」

 精霊達が集まると好き好きに喋り始めた。
 精霊まで進化しても、フライム達の記憶と性格は残っていた。
 カノンに復讐しようとしている。

 監禁されて増やされて殺されているから、当然といえば当然だ。
 このままだと運が良くても、飼育ケースの中で一生過ごすことになる。
 全員脱出したいに決まっている。

「九属性の魔法に対しての護符か……だとしたら、それ以外の属性で攻撃すれば良いだけだ」
「クックク。新入りのくせに何か秘策でもあるようだな? 良かろう、申してみよ」

 元精霊が飼育ケースの床を手で触って確かめている。
 真の力が覚醒したのに、脱出できない闇精霊が聞いている。

「時だ。時を操れる精霊がいる。時間を戻せば、この檻が無かった状態に戻せる」
「時の精霊? 誰か知っているか?」
「時フライムなんて聞いたことないよ。居ないから聞いたことないんだよ」

 地精霊と風精霊は知らないようだ。
 他の精霊も知らないといった顔をしている。
 でも闇精霊だけが知っている顔をしている。

「ああ、アイツがいたか。だが次元の狭間からどうやって呼び出すつもりだ?」
「次元の狭間は知らないが、我ら九つの精霊が一つになれば、時の精霊になれる。その代償として、自我が強い精霊以外の自我は消える。やるなら覚悟が必要だ」
「……ああ、そうだったな。次元の狭間に封印されし記憶が邪魔したか。くっ、忌々しい神の封印め!」
「…………」

 脱出する方法と、闇精霊が知ったかぶりするのが分かった。
 元精霊の言う通りに、18匹の精霊と9匹の精霊フライムが手を繋いで輪を作った。
 ドロドロに融け合って、中心に集まると、一匹の白い人型精霊が誕生した。

「……クックク。闇より生まれし白き黒か。良かろう、闇の正義、いや、偽りの正義を実行してやろう」

 闇精霊の自我が残ってしまったようだ。
 分厚い飼育ケースの壁に向かって、時魔法の白い弾丸を飛ばして、壁を消滅させた。
 やっと真の力が覚醒したようだ。
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