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20日目
急募人手不足
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「わぁ~♪ 樽がいっぱいあるんですね」
「ちょっと困ります! 勝手に入らないでください!」
「んっ?」
男を押し退けて、カノンは工場に入った。
大人が抱き抱えて持ち運べる程度の大きさの酒樽が、左右の壁際に横一例に並んでいる。
ざっと数えても200樽は超えている。
「ロメオ、そちらの女性はどちら様だ?」
酒樽を揺らすのをやめて、エリックが作業員のロメオに聞いた。
工場に侵入してきた女が、自分の娘だと気づいてないらしい。
カノンは男物の服を着て、帽子の中に髪を入れているだけだ。
もっと家族との時間を大切にした方がいい。
「すみません、エリック様! 雇って欲しいとお願いされて、断ったら無理矢理に入って来て……」
「なるほど。申し訳ないが、見ての通り人手は足りています。タダ酒が飲みたいなら、酒場を回れば、女なら男が喜んで奢ってくれますよ。出口はあちらです。お引き取りを」
ロメオから事情を聞くと、エリックも同じように断った。
出口の扉を左手で差して、貴族らしく紳士的に対応している。
「この葉っぱは何ですか? 雑草みたいですけど」
だけど、侵入者は聞いていなし、見てもいない。
蓋の開いた四角い木箱に入っている、緑色の草を見ている。
「はぁー。香草ですよ。酒に香りをつけるのに使っているんです」
「そうですか? 雑草にしか見えませんけど」
「香草と雑草の区別が出来るようになったら、もう一度お越しください」
無礼な侵入者が自主的に出て行かないので、エリックが工場の作業員達を見て、人差し指を動かした。
カノンを指差すように動かされた指を見て、作業員3人が向かっていく。
【名前=雑草 種類=雑草 損傷率=31%】
「うーん、やっぱり雑草です。雑草の匂いしかしません」
「高級品だぞ! 汚い手で勝手に触るんじゃねえ!」
「おい、女! 仕事の邪魔だ! さっさと出て行け!」
「それともどっかの酒場のスパイか! だったら痛い目に遭わすぞ!」
カノンは雑草を手に取ってスキルを使った。間違いなく雑草だ。
それは企業秘密だから、強そうな見た目のゴツい作業員達がかなり怒っている。
もう生きて帰すことは出来ないぐらいだ。
「はぐう!」「ごふう!「ぎゃああ!」
だが相手が悪かった。襲いかかった瞬間、高速ビンタ三連発が発動した。
頬をぶたれた男達が宙を舞って、床に倒れて気絶した。
「人手が減ったみたいですけど、もっと減らした方が良いですか?」
「ひいい‼︎ こ、殺し屋だぁー‼︎」
「に、逃げろぉー!」
瞬殺された仲間を見て、工場から作業員達が逃げ出した。
作業員は全員で6人しかいなかったが、残っているのは気絶している3人とエリックだけだ。
雑草を持った殺し屋が向かって来たから、エリックは命乞いを始めた。
「ま、待ってくれ! 金なら倍払う!」
「お金ならあります。こんな雑草なんて入れて、良いと思っているんですか?」
両手を必死に前に出して、エリックは10倍払うらしいが、カノンは止まらない。
壁に背中がついて、エリックはもう後退り出来ない。
やりたくてやったわけじゃないと、自分の行為を正当化し始めた。
「うぐっ! し、仕方ないじゃないか! 収穫できる果物にも野菜にも限界があるんだ! 水で薄めろとでも言いたいのか。何かで代用するしかないじゃないか!」
「ちょっと待ってください……」
ビンタで根性を叩き直してもいいが、カノンはアイテムポーチから酒瓶を取り出した。
未来のエリックが作ったレベル15未進化の桃酒だ。
人が意識を失わずに美味しく飲める限界の酒だ。
「ま、待て‼︎ そんな物で殴られたら死んでしまう‼︎」
「違います。飲んでください」
「毒入りか‼︎ 私に酒を飲んで死ねと言うんだな‼︎」
殺されたくないから、エリックは必死だ。
本当に無駄な抵抗を続けている。
「殺し屋じゃないですよ。私が作った美味しい酒です。これを飲んで雇うか決めてください」
「い、嫌だぁー‼︎ まだ、死にたくな——はぐつ!」
エリックは酒を飲みたくないらしい。
走って逃げようとしたが、高速ビンタの方が速かった。
頬をぶたれて、五回転すると、床に倒れて気絶した。
「……うん、これは仕方ないです。回復薬を先に飲ませましょう」
カノンの思い通りの展開にはならなかったが、ロープで縛れば問題ない。
気絶している3人もロープで縛ると、極上回復薬を全員に飲ませた。
これで落ち着いて話が出来るはずだ。
「ちょっと困ります! 勝手に入らないでください!」
「んっ?」
男を押し退けて、カノンは工場に入った。
大人が抱き抱えて持ち運べる程度の大きさの酒樽が、左右の壁際に横一例に並んでいる。
ざっと数えても200樽は超えている。
「ロメオ、そちらの女性はどちら様だ?」
酒樽を揺らすのをやめて、エリックが作業員のロメオに聞いた。
工場に侵入してきた女が、自分の娘だと気づいてないらしい。
カノンは男物の服を着て、帽子の中に髪を入れているだけだ。
もっと家族との時間を大切にした方がいい。
「すみません、エリック様! 雇って欲しいとお願いされて、断ったら無理矢理に入って来て……」
「なるほど。申し訳ないが、見ての通り人手は足りています。タダ酒が飲みたいなら、酒場を回れば、女なら男が喜んで奢ってくれますよ。出口はあちらです。お引き取りを」
ロメオから事情を聞くと、エリックも同じように断った。
出口の扉を左手で差して、貴族らしく紳士的に対応している。
「この葉っぱは何ですか? 雑草みたいですけど」
だけど、侵入者は聞いていなし、見てもいない。
蓋の開いた四角い木箱に入っている、緑色の草を見ている。
「はぁー。香草ですよ。酒に香りをつけるのに使っているんです」
「そうですか? 雑草にしか見えませんけど」
「香草と雑草の区別が出来るようになったら、もう一度お越しください」
無礼な侵入者が自主的に出て行かないので、エリックが工場の作業員達を見て、人差し指を動かした。
カノンを指差すように動かされた指を見て、作業員3人が向かっていく。
【名前=雑草 種類=雑草 損傷率=31%】
「うーん、やっぱり雑草です。雑草の匂いしかしません」
「高級品だぞ! 汚い手で勝手に触るんじゃねえ!」
「おい、女! 仕事の邪魔だ! さっさと出て行け!」
「それともどっかの酒場のスパイか! だったら痛い目に遭わすぞ!」
カノンは雑草を手に取ってスキルを使った。間違いなく雑草だ。
それは企業秘密だから、強そうな見た目のゴツい作業員達がかなり怒っている。
もう生きて帰すことは出来ないぐらいだ。
「はぐう!」「ごふう!「ぎゃああ!」
だが相手が悪かった。襲いかかった瞬間、高速ビンタ三連発が発動した。
頬をぶたれた男達が宙を舞って、床に倒れて気絶した。
「人手が減ったみたいですけど、もっと減らした方が良いですか?」
「ひいい‼︎ こ、殺し屋だぁー‼︎」
「に、逃げろぉー!」
瞬殺された仲間を見て、工場から作業員達が逃げ出した。
作業員は全員で6人しかいなかったが、残っているのは気絶している3人とエリックだけだ。
雑草を持った殺し屋が向かって来たから、エリックは命乞いを始めた。
「ま、待ってくれ! 金なら倍払う!」
「お金ならあります。こんな雑草なんて入れて、良いと思っているんですか?」
両手を必死に前に出して、エリックは10倍払うらしいが、カノンは止まらない。
壁に背中がついて、エリックはもう後退り出来ない。
やりたくてやったわけじゃないと、自分の行為を正当化し始めた。
「うぐっ! し、仕方ないじゃないか! 収穫できる果物にも野菜にも限界があるんだ! 水で薄めろとでも言いたいのか。何かで代用するしかないじゃないか!」
「ちょっと待ってください……」
ビンタで根性を叩き直してもいいが、カノンはアイテムポーチから酒瓶を取り出した。
未来のエリックが作ったレベル15未進化の桃酒だ。
人が意識を失わずに美味しく飲める限界の酒だ。
「ま、待て‼︎ そんな物で殴られたら死んでしまう‼︎」
「違います。飲んでください」
「毒入りか‼︎ 私に酒を飲んで死ねと言うんだな‼︎」
殺されたくないから、エリックは必死だ。
本当に無駄な抵抗を続けている。
「殺し屋じゃないですよ。私が作った美味しい酒です。これを飲んで雇うか決めてください」
「い、嫌だぁー‼︎ まだ、死にたくな——はぐつ!」
エリックは酒を飲みたくないらしい。
走って逃げようとしたが、高速ビンタの方が速かった。
頬をぶたれて、五回転すると、床に倒れて気絶した。
「……うん、これは仕方ないです。回復薬を先に飲ませましょう」
カノンの思い通りの展開にはならなかったが、ロープで縛れば問題ない。
気絶している3人もロープで縛ると、極上回復薬を全員に飲ませた。
これで落ち着いて話が出来るはずだ。
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