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21日目
朝食両親
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朝食後にミランダも教会に行くと決まると、カノンはベッドに押し込まれるのを解放された。
窒息死からは免れたが、完全に姉を怒らせている。
「ミランダお姉様は突然キレるから大変です」
「ワフゥ」
突然ではなく、必然だ。
お馬鹿な姉と妹の金髪サンドイッチの所為で、次女のミランダは日頃から不機嫌だ。
髪の色が姉妹で一人だけ茶髪なのも気に入らない。
金髪に染めたいけど、茶髪の父親がもう金髪に染めている。
あれの真似をすると考えると、絶対に染めたくなくなる。
そんなミランダの心境は、カノンはまったく知らない。
食堂に行くと、珍しく母親と父親が一緒に食事していた。
「おはようございます、お母様、お父様」
「座りなさい、カノン」
「はい、お母様」
二人に丁寧に挨拶すると、長方形の長いテーブルに座るように言われた。
母親の右隣、父親の対面の椅子にカノンは座った。
パトラッシュはその辺の床に座れば、ステーキ肉がやって来る。
「使用人に聞きましたよ。我儘を言って困らせているみたいね。その使用人の手に余るようなら、クビにして新しい使用人を雇います。まだ我儘を言いたいですか?」
「いえ、大丈夫です。ちょっと自由な時間が欲しくなっただけです」
「あらそうなの? まるで私が自由を与えていないみたいに聞こえるのだけど、言い間違いは良くないわよ」
食事が不味くなる重苦しい母娘の会話だが、母親に反抗するカノンが悪い……。
いつもならエリックはそう思って、黙って食べるのだが、子孫様に言われたばかりだ。
「まあまあ、カノンも反抗期なんだろう。無理に上から言っても逆効果だ。自分で考えて失敗するのも良い経験になる。何かしたいことがあるんだろう? 言ってみなさい」
二人の間に入って止めると、カノンにやりたいことがあるのか聞いてみた。
「はい、お父様。庭ではなく、街を散歩したいんです。同じ場所を毎日歩くのは退屈です」
「そんなことですか……くだらない。街なら買い物の時に行っているでしょ。買い物の回数を増やして欲しいんですね」
本当は飛行船で街の外まで行くが、それを言ったら絶対に許してもらえない。
でも、遠くの町や村で売っている限定品は欲しい。
買い物回数を増やしたいのは当たりだ。
「違います。適当に目的もなく歩きたいだけです」
「そんな無駄なことをするぐらいなら——」
「まあまあ、ロクサーヌ。無駄を知れば、必要なものも見えてくる。好きなことをやらせて、夕食の時に何をやったのか聞けばいいじゃないか。夜会の話のネタになりそうだ」
本当のことは言えないので、カノンは適当に誤魔化そうとするが、その言い方は駄目だ。
母親が気に入らないのか、反対しようとした。それをエリックが何とか止めて説得している。
「……分かりました。でも一人では駄目です。使用人を必ず二人は連れて行きなさい。問題行動を起こしたら即終わりです。分かりましたね?」
その結果、条件付きだが、外出許可を貰うことに成功した。
一人娘なら絶対に許されない。
「はい、お母様! お父様、ありがとうございます!」
「良いんだよ。親として子供のやりたいことを応援するのは当たり前のことだ。そして、子供の心配をするのも当たり前のことだ。ロクサーヌは意地悪を言っているわけじゃないだ。カノンのことが心配なだけなんだよ」
「はい、分かっています! お母様のことも大好きです!」
「うっ、勝手にしなさい。忠告はしましたよ」
椅子から立って二人にお礼を言うと、今度は母親に抱き着いた。
離婚しないように夫婦仲を良くするのは大変だ。
窒息死からは免れたが、完全に姉を怒らせている。
「ミランダお姉様は突然キレるから大変です」
「ワフゥ」
突然ではなく、必然だ。
お馬鹿な姉と妹の金髪サンドイッチの所為で、次女のミランダは日頃から不機嫌だ。
髪の色が姉妹で一人だけ茶髪なのも気に入らない。
金髪に染めたいけど、茶髪の父親がもう金髪に染めている。
あれの真似をすると考えると、絶対に染めたくなくなる。
そんなミランダの心境は、カノンはまったく知らない。
食堂に行くと、珍しく母親と父親が一緒に食事していた。
「おはようございます、お母様、お父様」
「座りなさい、カノン」
「はい、お母様」
二人に丁寧に挨拶すると、長方形の長いテーブルに座るように言われた。
母親の右隣、父親の対面の椅子にカノンは座った。
パトラッシュはその辺の床に座れば、ステーキ肉がやって来る。
「使用人に聞きましたよ。我儘を言って困らせているみたいね。その使用人の手に余るようなら、クビにして新しい使用人を雇います。まだ我儘を言いたいですか?」
「いえ、大丈夫です。ちょっと自由な時間が欲しくなっただけです」
「あらそうなの? まるで私が自由を与えていないみたいに聞こえるのだけど、言い間違いは良くないわよ」
食事が不味くなる重苦しい母娘の会話だが、母親に反抗するカノンが悪い……。
いつもならエリックはそう思って、黙って食べるのだが、子孫様に言われたばかりだ。
「まあまあ、カノンも反抗期なんだろう。無理に上から言っても逆効果だ。自分で考えて失敗するのも良い経験になる。何かしたいことがあるんだろう? 言ってみなさい」
二人の間に入って止めると、カノンにやりたいことがあるのか聞いてみた。
「はい、お父様。庭ではなく、街を散歩したいんです。同じ場所を毎日歩くのは退屈です」
「そんなことですか……くだらない。街なら買い物の時に行っているでしょ。買い物の回数を増やして欲しいんですね」
本当は飛行船で街の外まで行くが、それを言ったら絶対に許してもらえない。
でも、遠くの町や村で売っている限定品は欲しい。
買い物回数を増やしたいのは当たりだ。
「違います。適当に目的もなく歩きたいだけです」
「そんな無駄なことをするぐらいなら——」
「まあまあ、ロクサーヌ。無駄を知れば、必要なものも見えてくる。好きなことをやらせて、夕食の時に何をやったのか聞けばいいじゃないか。夜会の話のネタになりそうだ」
本当のことは言えないので、カノンは適当に誤魔化そうとするが、その言い方は駄目だ。
母親が気に入らないのか、反対しようとした。それをエリックが何とか止めて説得している。
「……分かりました。でも一人では駄目です。使用人を必ず二人は連れて行きなさい。問題行動を起こしたら即終わりです。分かりましたね?」
その結果、条件付きだが、外出許可を貰うことに成功した。
一人娘なら絶対に許されない。
「はい、お母様! お父様、ありがとうございます!」
「良いんだよ。親として子供のやりたいことを応援するのは当たり前のことだ。そして、子供の心配をするのも当たり前のことだ。ロクサーヌは意地悪を言っているわけじゃないだ。カノンのことが心配なだけなんだよ」
「はい、分かっています! お母様のことも大好きです!」
「うっ、勝手にしなさい。忠告はしましたよ」
椅子から立って二人にお礼を言うと、今度は母親に抱き着いた。
離婚しないように夫婦仲を良くするのは大変だ。
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