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21日目
ルセフとミランダ
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「冒険者登録を三人、大至急でお願いします。あとパーティ申請書もお願いします」
「か、かしこまりました! すぐにご用意します! えーっと、名前と年齢をお願いします!」
カウンターにいたのは、40代の知らない男性職員だった。
店で暴れまくったカノンにかなりビビっている。
「えー、何で年齢を言わないといけないのよ? 名前だけでいいでしょう」
「かしこまりました! こちらで年齢はご用意させていただきます!」
女性に年齢と体重を聞くのは禁句だ。
ミランダに拒否されて、男は勝手な想像で三人の年齢を書いている。
22、17、16とフローラに殴られたいらしい。
「これで手続きは完了です。どのような依頼をお探しでしょうか?」
手続きが終わり、ホッとひと安心した職員が聞いた。
この三人は偽冒険者だから仕事するつもりはない。
「はぁ? 仕事なんて探してないわ。訓練所を借りたいだけ。どこにあるの?」
「えーっと、訓練所は店を出て、左に曲がって、すぐにまた左に曲がって……」
ミランダが訓練所の場所を聞くと、職員が歩いて1分の訓練所の説明を始めた。
カノンが知っているから必要ないが、床で倒れている冒険者には必要だ。
「ぐぬぬぬぬっ! あの野朗~!」
折れてない左手で床に転がっている酒瓶を握った。女に舐められたままで終われない。
ヨロヨロ立ち上がると、狙いを一番偉そうなミランダに定めた。
背後から隙だらけの脳天に、酒瓶をめり込ませる。
「死ねえええー‼︎」
「えっ?」
絶叫して向かって来る冒険者に、ミランダが気づいた。
ゆっくり後ろを振り返ると、酒瓶が飛んで来るのが見えた。
「ふがあ‼︎」
「えっ? なに?」
誰かが投げた酒瓶が、酒瓶を持った男の頭に命中した。
男が床に倒れて唸っているが、ミランダに手を出して許されるわけがない。
「この下郎が! お嬢様に怪我させたら、私達が責任取るのよ!」
「ごぶ、ぶふっ!」
女性使用人三人に足蹴りされている。ある意味サービスだ。
「あっちの方から飛んで来たみたい。あの人達が助けてくれたんじゃないの?」
「ふーん、なかなかやるわね♪ 街を散歩する時の護衛に雇ってあげようじゃない」
フローラが飛んで来た方向を指差すと、二人組の男がテーブルで、知らないフリして食事している。
明らかに関わりたくないから、さっさと店から出て行って欲しいという雰囲気だ。
「どっちが瓶を投げたの? お礼にその食事代は支払ってあげる——」
「飲み終わったのをゴミ箱に捨てただけだ。お礼がしたいなら店から出て行け。うるさくて飯が不味くなる」
「なぐっ⁉︎」
それなのに、ミランダは二人組のテーブルに向かった。
その結果、褐色肌の錆色髪の青年に、不機嫌そうに出て行けと言われてしまった。
ミランダはショックを受けている。
「ははっ♪ ごめんねぇ。コイツ、美人だから緊張しているんだよ。冗談だから許してあげて。俺はウェイン、コイツはルセフ。お礼ならお友達と一緒に食事してくれるだけでいいよ。何なら街で買い物とかでもいいよ。もちろん奢るから」
口下手な友達の代わりに、黒髪、色白肌の青年が笑いながら話し出した。
女三人組、使用人を含めると六人組を誘っている。
五ヶ月前のルセフとウェインだ。
「食事したいなら勝手にするんだな。俺は家に帰る」
ルセフの皿にはまだ料理が残っているが、椅子から立ち上がった。
本気で帰るつもりのようだ。それをミランダが前に立ち塞がって止めた。
「ちょっと待ちなさい。あなた強そうね? 街で散歩する時の護衛に雇ってあげるわ。月40万ギルドぐらいでいいかしら?」
「フッ。金持ちはデートに誘うのにも、金を使わないと出来ないのか?」
「ななっ! デートじゃないわ! 護衛よ‼︎ 勘違いしないでちょうだい‼︎」
ミランダは護衛に雇いたいだけだが、揶揄われるのに慣れてないようだ。
顔を赤く染めて怒っている。
「だろうな。あんたぐらいの美人なら相手ぐらい選ぶ。金の話をしなければ少しは考えていたが、悪いが貧乏人にも誇りがあるんだ。金で何でも買えないと覚えておくんだな」
「なぐぐぐっ! ちょっと待ちなさいよ!」
ルセフはミランダの横を通り過ぎると、店の外に向かっていく。
断られたミランダはまだ言いたいことがあるらしいが、ルセフは止まらずに出て行った。
「くぅぅぅ! 何なのよ、アイツ!」
「まあまあ、そんなに怒らないで。護衛なら俺がするか——」
「あんたは要らないわ!」
「そんなぁー!」
「ククッ。この私に恥をかかすなんていい度胸じゃない。必ず護衛にならせてくださいと言わせてやるわ」
ミランダが悔しそうに床を踏んでいる。
ウェインが気を利かせて食事に誘おうとするが、考える必要もなかった。
即座に断ると、悪い顔で平民ルセフへの仕返しを考え始めた。
「か、かしこまりました! すぐにご用意します! えーっと、名前と年齢をお願いします!」
カウンターにいたのは、40代の知らない男性職員だった。
店で暴れまくったカノンにかなりビビっている。
「えー、何で年齢を言わないといけないのよ? 名前だけでいいでしょう」
「かしこまりました! こちらで年齢はご用意させていただきます!」
女性に年齢と体重を聞くのは禁句だ。
ミランダに拒否されて、男は勝手な想像で三人の年齢を書いている。
22、17、16とフローラに殴られたいらしい。
「これで手続きは完了です。どのような依頼をお探しでしょうか?」
手続きが終わり、ホッとひと安心した職員が聞いた。
この三人は偽冒険者だから仕事するつもりはない。
「はぁ? 仕事なんて探してないわ。訓練所を借りたいだけ。どこにあるの?」
「えーっと、訓練所は店を出て、左に曲がって、すぐにまた左に曲がって……」
ミランダが訓練所の場所を聞くと、職員が歩いて1分の訓練所の説明を始めた。
カノンが知っているから必要ないが、床で倒れている冒険者には必要だ。
「ぐぬぬぬぬっ! あの野朗~!」
折れてない左手で床に転がっている酒瓶を握った。女に舐められたままで終われない。
ヨロヨロ立ち上がると、狙いを一番偉そうなミランダに定めた。
背後から隙だらけの脳天に、酒瓶をめり込ませる。
「死ねえええー‼︎」
「えっ?」
絶叫して向かって来る冒険者に、ミランダが気づいた。
ゆっくり後ろを振り返ると、酒瓶が飛んで来るのが見えた。
「ふがあ‼︎」
「えっ? なに?」
誰かが投げた酒瓶が、酒瓶を持った男の頭に命中した。
男が床に倒れて唸っているが、ミランダに手を出して許されるわけがない。
「この下郎が! お嬢様に怪我させたら、私達が責任取るのよ!」
「ごぶ、ぶふっ!」
女性使用人三人に足蹴りされている。ある意味サービスだ。
「あっちの方から飛んで来たみたい。あの人達が助けてくれたんじゃないの?」
「ふーん、なかなかやるわね♪ 街を散歩する時の護衛に雇ってあげようじゃない」
フローラが飛んで来た方向を指差すと、二人組の男がテーブルで、知らないフリして食事している。
明らかに関わりたくないから、さっさと店から出て行って欲しいという雰囲気だ。
「どっちが瓶を投げたの? お礼にその食事代は支払ってあげる——」
「飲み終わったのをゴミ箱に捨てただけだ。お礼がしたいなら店から出て行け。うるさくて飯が不味くなる」
「なぐっ⁉︎」
それなのに、ミランダは二人組のテーブルに向かった。
その結果、褐色肌の錆色髪の青年に、不機嫌そうに出て行けと言われてしまった。
ミランダはショックを受けている。
「ははっ♪ ごめんねぇ。コイツ、美人だから緊張しているんだよ。冗談だから許してあげて。俺はウェイン、コイツはルセフ。お礼ならお友達と一緒に食事してくれるだけでいいよ。何なら街で買い物とかでもいいよ。もちろん奢るから」
口下手な友達の代わりに、黒髪、色白肌の青年が笑いながら話し出した。
女三人組、使用人を含めると六人組を誘っている。
五ヶ月前のルセフとウェインだ。
「食事したいなら勝手にするんだな。俺は家に帰る」
ルセフの皿にはまだ料理が残っているが、椅子から立ち上がった。
本気で帰るつもりのようだ。それをミランダが前に立ち塞がって止めた。
「ちょっと待ちなさい。あなた強そうね? 街で散歩する時の護衛に雇ってあげるわ。月40万ギルドぐらいでいいかしら?」
「フッ。金持ちはデートに誘うのにも、金を使わないと出来ないのか?」
「ななっ! デートじゃないわ! 護衛よ‼︎ 勘違いしないでちょうだい‼︎」
ミランダは護衛に雇いたいだけだが、揶揄われるのに慣れてないようだ。
顔を赤く染めて怒っている。
「だろうな。あんたぐらいの美人なら相手ぐらい選ぶ。金の話をしなければ少しは考えていたが、悪いが貧乏人にも誇りがあるんだ。金で何でも買えないと覚えておくんだな」
「なぐぐぐっ! ちょっと待ちなさいよ!」
ルセフはミランダの横を通り過ぎると、店の外に向かっていく。
断られたミランダはまだ言いたいことがあるらしいが、ルセフは止まらずに出て行った。
「くぅぅぅ! 何なのよ、アイツ!」
「まあまあ、そんなに怒らないで。護衛なら俺がするか——」
「あんたは要らないわ!」
「そんなぁー!」
「ククッ。この私に恥をかかすなんていい度胸じゃない。必ず護衛にならせてくださいと言わせてやるわ」
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