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22日目
猫宮殿到着
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馬車は目的地を目指して走って行く。
高級な馬車は整備された道を走るのは得意だが、街の外の荒れた道は不向きだ。
たまに休憩しては、馬は回復薬で、馬車はスキルで修復しなくてはいけない。
「夜までに帰れるでしょうか?」
のんびりした移動にナンシーが心配している。
馬車の中で野宿するのは、女性なら嫌に決まっている。
「大丈夫です。ダンジョンの近くには無人の宿屋があります。安心して泊まれます」
「そうなんですね。しっかりと管理されているんですね」
「はい。お風呂も食事もあるので、何の心配もないです♪」
馬車に揺られながら、カノンが大嘘を言っている。
全部自分で用意するつもりだが、冒険者ならば宿屋が無いのは知っている。
意識を取り戻しているルセフが黙っていられずに否定した。
「そんなわけないだろ。いい加減にロープを解け」
「駄目です。さっき女の子を襲ったばかりじゃないですか。反省してください」
「頼まれたって襲わねぇよ。さっさと解け」
本当のことでも言っていいことがある。
年頃の女性には嘘でも、襲わないように我慢すると言うべきだった。
「なるほど。私達は襲う価値もないということですね……女の敵です!」
「てめぇ、この、やめろ……!」
怒ったカノンが上から振り下ろすタイプのビンタで、ルセフの頭を叩き始めた。
手加減しているから逆にウザい。ペチペチ連続で叩きまくる。
「ふぅー。ナンシーもやってもいいですよ♪」
「私は遠慮します。それよりもどこに向かっているんですか?」
叩きまくって、ちょっとスッキリした。次は使用人の番らしい。
ナンシーは恨まれたくないから断ると、カノンを睨んでいるルセフに聞いた。
「フンッ。ロープを解いたら教えてやるよ」
「ほら、ナンシー。まだ足りないみたいです! 叩いていいですよ!」
「はぁー、カノンお嬢様は黙っていてください。あなたも女性には優しくした方が良いですよ」
このままでは協力して魔物を倒すのは不可能だ。
ナンシーは年長者として、二人を仲直りさせようと決めた。
手始めにルセフの手足を拘束するロープを解いた。
「ロープは解きましたよ。次はあなたの番です。まさか女性との約束を破りませんよね?」
「ハンッ。誘拐犯がよく言うよ」
椅子に座り直したルセフにナンシーは聞いた。
手首をさすっていたルセフは、馬鹿にしたように笑って目を逸らした。
「ほらぁー、こういう人なんですよ。ナンシーが叩かないから舐められるんですよ」
「カノンお嬢様が叩いたからこうなったんです。むやみやたらに人を叩かないでください」
「むぅー! ナンシーはどっちの味方なんですか!」
「こっちです」
「がぁーん‼︎ 私の使用人なのに酷いです!」
考える必要もないぐらいの簡単な質問だった。ナンシーは素早くルセフを指差した。
カノンはショックを受けているが、ナンシーとルセフを叩いた自業自得だ。
♢
馬車に四時間ほど揺られて、目的地の猫宮殿に到着した。
孫の手を持った二本足で歩く猫魔物——ケットシーが大量に住んでいる。
放っておくと増えまくるから、猫宮殿の外に溢れないように定期的に駆除される。
「鈍器で殴られる程度だから、二人一組で戦えば安全だよ。俺とルセフがサポートするから安心して」
「はい」
カノンとミランダ、御者を含む女性使用人四人に向かって、ウェインがレベル上げの説明をする。
ウェインの背後にある岩橋の先には、男爵家の屋敷と同じぐらいに大きな宮殿が見える。
灰色と青が混じった円柱型の石造りの宮殿で、森の中の大きな岩山の上に建てられている。
岩橋を使わなければ、侵入するのは難しい。
「じゃあ、これで行こうか」
話し合いの結果、組み合わせが決まった。
使用人四人のレベルを上げるのが優先だと、ウェインとルセフは使用人二人ずつのサポートをする。
引き受けた仕事は使用人のレベル上げだから、カノンとミランダがいなければ、ルセフが断る理由はない。
足りない武器を御者の使用人二人に貸すと、大きな両開きの木扉の横の、小さな扉から宮殿に侵入した。
高級な馬車は整備された道を走るのは得意だが、街の外の荒れた道は不向きだ。
たまに休憩しては、馬は回復薬で、馬車はスキルで修復しなくてはいけない。
「夜までに帰れるでしょうか?」
のんびりした移動にナンシーが心配している。
馬車の中で野宿するのは、女性なら嫌に決まっている。
「大丈夫です。ダンジョンの近くには無人の宿屋があります。安心して泊まれます」
「そうなんですね。しっかりと管理されているんですね」
「はい。お風呂も食事もあるので、何の心配もないです♪」
馬車に揺られながら、カノンが大嘘を言っている。
全部自分で用意するつもりだが、冒険者ならば宿屋が無いのは知っている。
意識を取り戻しているルセフが黙っていられずに否定した。
「そんなわけないだろ。いい加減にロープを解け」
「駄目です。さっき女の子を襲ったばかりじゃないですか。反省してください」
「頼まれたって襲わねぇよ。さっさと解け」
本当のことでも言っていいことがある。
年頃の女性には嘘でも、襲わないように我慢すると言うべきだった。
「なるほど。私達は襲う価値もないということですね……女の敵です!」
「てめぇ、この、やめろ……!」
怒ったカノンが上から振り下ろすタイプのビンタで、ルセフの頭を叩き始めた。
手加減しているから逆にウザい。ペチペチ連続で叩きまくる。
「ふぅー。ナンシーもやってもいいですよ♪」
「私は遠慮します。それよりもどこに向かっているんですか?」
叩きまくって、ちょっとスッキリした。次は使用人の番らしい。
ナンシーは恨まれたくないから断ると、カノンを睨んでいるルセフに聞いた。
「フンッ。ロープを解いたら教えてやるよ」
「ほら、ナンシー。まだ足りないみたいです! 叩いていいですよ!」
「はぁー、カノンお嬢様は黙っていてください。あなたも女性には優しくした方が良いですよ」
このままでは協力して魔物を倒すのは不可能だ。
ナンシーは年長者として、二人を仲直りさせようと決めた。
手始めにルセフの手足を拘束するロープを解いた。
「ロープは解きましたよ。次はあなたの番です。まさか女性との約束を破りませんよね?」
「ハンッ。誘拐犯がよく言うよ」
椅子に座り直したルセフにナンシーは聞いた。
手首をさすっていたルセフは、馬鹿にしたように笑って目を逸らした。
「ほらぁー、こういう人なんですよ。ナンシーが叩かないから舐められるんですよ」
「カノンお嬢様が叩いたからこうなったんです。むやみやたらに人を叩かないでください」
「むぅー! ナンシーはどっちの味方なんですか!」
「こっちです」
「がぁーん‼︎ 私の使用人なのに酷いです!」
考える必要もないぐらいの簡単な質問だった。ナンシーは素早くルセフを指差した。
カノンはショックを受けているが、ナンシーとルセフを叩いた自業自得だ。
♢
馬車に四時間ほど揺られて、目的地の猫宮殿に到着した。
孫の手を持った二本足で歩く猫魔物——ケットシーが大量に住んでいる。
放っておくと増えまくるから、猫宮殿の外に溢れないように定期的に駆除される。
「鈍器で殴られる程度だから、二人一組で戦えば安全だよ。俺とルセフがサポートするから安心して」
「はい」
カノンとミランダ、御者を含む女性使用人四人に向かって、ウェインがレベル上げの説明をする。
ウェインの背後にある岩橋の先には、男爵家の屋敷と同じぐらいに大きな宮殿が見える。
灰色と青が混じった円柱型の石造りの宮殿で、森の中の大きな岩山の上に建てられている。
岩橋を使わなければ、侵入するのは難しい。
「じゃあ、これで行こうか」
話し合いの結果、組み合わせが決まった。
使用人四人のレベルを上げるのが優先だと、ウェインとルセフは使用人二人ずつのサポートをする。
引き受けた仕事は使用人のレベル上げだから、カノンとミランダがいなければ、ルセフが断る理由はない。
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